四半期報告書-第93期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う世界経済の停滞が続いており、先が見通せない状況が今後も続くと見込まれます。
こうした状況の中、当社グループは、従業員及び関係先の健康と安全を最優先し、顧客と協力して必要な対応を速やかにとりながら手持ちプロジェクトを遂行しています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」に即して、引き続きプロジェクトの全ステージにおけるリスクマネジメントを徹底するとともに、2020年4月にエネルギープロジェクト事業統括下に建設本部を設立して工事及びコミッショニングの機能の強化を図り、EPC(設計・調達・建設)遂行管理力の強化を進めています。財務面では、2020年6月に開催した株主総会において決議された資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分により、当社単体の累積損失(2020年3月末現在1,354億94百万円)を解消し、財務体質を改善しました。人財の高度化・拡充については、人財開発に関わる統一的な指針として人財開発基本方針を策定し、業務遂行力と組織経営力を兼ね備えた人財の開発を進めています。
さらに、2020年4月に健康経営宣言を制定し、従業員の健康保持・増進のための施策を実行するとともに、働き方改革の推進により、生産性の向上を図っています。
当社は中期経営計画で脱炭素化社会への移行を成長の機会と捉え、その実現に向けた様々な取り組みを経営の重点施策に位置付けてきました。2020年12月に発表された日本政府のグリーン成長戦略により、脱炭素化社会を目指す機運はさらに高まっています。当社はグリーンエネルギーや地球環境分野のビジネス展開及びデジタルトランスフォーメーションを加速し、「エンジニアリング価値の再定義」の取り組みを進めながら、持続的な成長に向けて事業ポートフォリオと収益構造の変革を進めています。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は1,028億10百万円(前年同四半期比26.6%減)、連結完成工事高は2,429億76百万円(同10.9%減)であった結果、連結受注残高は6,267億55百万円(前連結会計年度末比22.8%減)となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大が想定以上に長引いていることにより、海外大口案件や国外業者に発注をしている国内案件を中心に影響額について慎重に精査し、工事費用の増加を見込んだこと等により、完工総利益は154億68百万円(前年同四半期比57.6%減)となりました。一方、中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」に掲げた固定費削減施策の着実な遂行により販売費及び一般管理費を前年同期比25億27百万円削減した結果、営業利益は60億64百万円(前年同四半期比75.3%減)、経常利益は62億8百万円(同70.3%減)となりました。また、一部の海外連結子会社において、税制改正による法人税等の還付を見込んだこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は64億67百万円(同61.7%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、遂行中案件全般に影響が出ているというわけではなく、案件毎に異なる状況です。一部案件では進捗等に影響が見られるものの、大半の案件は想定内で遂行中であり、コスト削減や増益を達成できている案件もあります。なお、当第3四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、受取手形・完成工事未収入金の増加45億73百万円、未成工事支出金の増加27億92百万円の一方で、現金預金の減少319億64百万円、ジョイントベンチャー持分資産の減少266億4百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ513億96百万円減少しました。
負債については、長期借入金の増加99億4百万円の一方で、未成工事受入金の減少456億99百万円、支払手形・工事未払金の減少226億84百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ591億39百万円減少しました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、純資産合計は326億85百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、米国、インドネシア、モザンビーク、ナイジェリアでLNG(液化天然ガス)プラントのEPC業務を遂行中です。米国では、キャメロンLNGプロジェクトは全系列において商業生産を開始しています。ゴール
デンパスLNGプロジェクトではEPC業務を遂行中です。モザンビークとナイジェリアのLNGプロジェクトでは
パートナーが実施する設計のレビューなどの技術的なサポート業務を遂行中です。また、カタールで計画されている年産780万トンのLNGプラント4系列を増設する案件に入札しました。その他ガス分野では、カタールの当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の増強・改造・改修や火力発電所向けガス供給設備の新設、地震・津波災害対策工事等のEPC業務を遂行中です。
(石油・石油化学・金属関係)
海外では、米国メキシコ湾岸でエチレン生産プラントのEPC業務、マレーシアで残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を遂行中です。
国内では、石油会社向けに、製油所の競争力強化、設備更新及び船舶燃料硫黄分規制への対策を目的とした既設設備改修工事、耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。
金属資源分野においては、国内にてポリプロピレン重合用触媒製造工場のEPC業務を遂行中です。引き続き需要が堅調である金属資源分野における受注拡大に向けて取り組んでいきます。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱より遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造工場のEPC業務を受注し遂行中です。さらに、バイオ医薬品原薬製造工場の基本設計業務を受注し遂行中です。EPC業務を遂行中であった医薬品合成原薬製造設備は完工しました。EPC業務以外では、シオノギファーマ㈱と医薬品原薬・中間体の連続生産技術の開発・検討を協力して進めています。
一般化学分野では、高機能材製造設備及び水素化石油樹脂生産設備を完工しました。また、カーボンリサイクル技術の確立に向けて、産学官連携でCO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造についての研究開発に取り組んでいます。さらに、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、業界における大手生産・運営事業者であるMIRAI㈱と業務提携による体制強化を図り、商業設備の導入推進に取り組むとともに、カタール大学向けに実証設備納入業務を遂行中です。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドで環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社の
CT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。
国内では、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵する(CCS)実証設備のEPC業務を完了し運転が開始されました。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫設備のEPC業務を遂行中です。
新エネルギー分野では、世界最大級の蓄電池システム建設、複数の太陽光発電設備(メガソーラー)建設、木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行するとともに、今後大きなマーケットが予測される洋上風力発電分野への参入を検討しています。
「次世代水素サプライチェーンの事業化に向けた実証プロジェクト」は、2020年12月に実証運転を完了し、当社のSPERA水素技術(MCH-LOHC法)の商業規模へのスケールアップが可能であることを実証しました。今後、需要拡大に対応するコスト低減を一層図り、2020年代半ば以降の準商用化や商用化を通して、2050年を目標にしたカーボンニュートラルに貢献していきます。また、シンガポールでは当社技術の安全性が高く評価され、三菱商事㈱と当社はシンガポールの民間5社と当社技術を用いた水素の輸入利用・事業化の検討を継続して推進しています。さらに、豪州Hazer社と同社のメタン熱分解プロセスにより、CO2の貯蔵を不要とする水素の製造・供給も目指し、国内顧客候補との協議を進めています。
[デジタル技術革新分野]
デジタルトランスフォーメーション分野では、革新的デジタルプロダクト展開、デジタルEPC推進、業務プロセス革新の3つの取り組みを進めています。
革新的デジタルプロダクト展開では、エンジニアリングの知見とデジタルAI技術を融合させ、顧客のプ
ラントの資産価値を最大化するための高度デジタルプロダクトを開発し、EFEXIS®ブランドで提供しており、国内外のプラントで導入を進めています。当該プロダクトのひとつは、インドネシアのドンギ・スノロLNG社の稼動中LNGプラントへ導入され、製品の増産、運転コストや運転に伴う排出ガスの削減へ寄与しました。
デジタルEPC推進では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを開発し、遂行プロジェクトに順次適用しています。また、当社がエンジニアリング事業で培った知見及びプラント空間設計の基本思想と㈱ArentのCAD技術・最適化技術を融合させて、プラントの基本設計業務のうち空間設計に掛かる工数の約80%を削減し、従来の約5倍の速度で三次元モデルの作成を可能とする革新的な設計システムを開発しました。このシステムをプラントエンジニアリング業界に提案するため、2020年8月に当社及び㈱Arentの共同出資により㈱PlantStreamを設立し、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターなどへの販売を進めています。
業務プロセス革新では、デジタルAI技術を活用し20%の業務効率改善を目指す活動「Target20」により全社デジタル化を推進しています。また、当社子会社の千代田システムテクノロジーズ㈱のIT部門を分社化のうえ、IT大手のTIS㈱との共同出資会社であるTIS千代田システムズ㈱を2020年10月1日に設立し、当社グループのIT基盤を強化しています。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。
2 本表の金額には消費税等は含まれていません。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、10億92百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う世界経済の停滞が続いており、先が見通せない状況が今後も続くと見込まれます。
こうした状況の中、当社グループは、従業員及び関係先の健康と安全を最優先し、顧客と協力して必要な対応を速やかにとりながら手持ちプロジェクトを遂行しています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」に即して、引き続きプロジェクトの全ステージにおけるリスクマネジメントを徹底するとともに、2020年4月にエネルギープロジェクト事業統括下に建設本部を設立して工事及びコミッショニングの機能の強化を図り、EPC(設計・調達・建設)遂行管理力の強化を進めています。財務面では、2020年6月に開催した株主総会において決議された資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分により、当社単体の累積損失(2020年3月末現在1,354億94百万円)を解消し、財務体質を改善しました。人財の高度化・拡充については、人財開発に関わる統一的な指針として人財開発基本方針を策定し、業務遂行力と組織経営力を兼ね備えた人財の開発を進めています。
さらに、2020年4月に健康経営宣言を制定し、従業員の健康保持・増進のための施策を実行するとともに、働き方改革の推進により、生産性の向上を図っています。
当社は中期経営計画で脱炭素化社会への移行を成長の機会と捉え、その実現に向けた様々な取り組みを経営の重点施策に位置付けてきました。2020年12月に発表された日本政府のグリーン成長戦略により、脱炭素化社会を目指す機運はさらに高まっています。当社はグリーンエネルギーや地球環境分野のビジネス展開及びデジタルトランスフォーメーションを加速し、「エンジニアリング価値の再定義」の取り組みを進めながら、持続的な成長に向けて事業ポートフォリオと収益構造の変革を進めています。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は1,028億10百万円(前年同四半期比26.6%減)、連結完成工事高は2,429億76百万円(同10.9%減)であった結果、連結受注残高は6,267億55百万円(前連結会計年度末比22.8%減)となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大が想定以上に長引いていることにより、海外大口案件や国外業者に発注をしている国内案件を中心に影響額について慎重に精査し、工事費用の増加を見込んだこと等により、完工総利益は154億68百万円(前年同四半期比57.6%減)となりました。一方、中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」に掲げた固定費削減施策の着実な遂行により販売費及び一般管理費を前年同期比25億27百万円削減した結果、営業利益は60億64百万円(前年同四半期比75.3%減)、経常利益は62億8百万円(同70.3%減)となりました。また、一部の海外連結子会社において、税制改正による法人税等の還付を見込んだこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は64億67百万円(同61.7%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、遂行中案件全般に影響が出ているというわけではなく、案件毎に異なる状況です。一部案件では進捗等に影響が見られるものの、大半の案件は想定内で遂行中であり、コスト削減や増益を達成できている案件もあります。なお、当第3四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、受取手形・完成工事未収入金の増加45億73百万円、未成工事支出金の増加27億92百万円の一方で、現金預金の減少319億64百万円、ジョイントベンチャー持分資産の減少266億4百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ513億96百万円減少しました。
負債については、長期借入金の増加99億4百万円の一方で、未成工事受入金の減少456億99百万円、支払手形・工事未払金の減少226億84百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ591億39百万円減少しました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、純資産合計は326億85百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、米国、インドネシア、モザンビーク、ナイジェリアでLNG(液化天然ガス)プラントのEPC業務を遂行中です。米国では、キャメロンLNGプロジェクトは全系列において商業生産を開始しています。ゴール
デンパスLNGプロジェクトではEPC業務を遂行中です。モザンビークとナイジェリアのLNGプロジェクトでは
パートナーが実施する設計のレビューなどの技術的なサポート業務を遂行中です。また、カタールで計画されている年産780万トンのLNGプラント4系列を増設する案件に入札しました。その他ガス分野では、カタールの当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の増強・改造・改修や火力発電所向けガス供給設備の新設、地震・津波災害対策工事等のEPC業務を遂行中です。
(石油・石油化学・金属関係)
海外では、米国メキシコ湾岸でエチレン生産プラントのEPC業務、マレーシアで残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を遂行中です。
国内では、石油会社向けに、製油所の競争力強化、設備更新及び船舶燃料硫黄分規制への対策を目的とした既設設備改修工事、耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。
金属資源分野においては、国内にてポリプロピレン重合用触媒製造工場のEPC業務を遂行中です。引き続き需要が堅調である金属資源分野における受注拡大に向けて取り組んでいきます。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱より遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造工場のEPC業務を受注し遂行中です。さらに、バイオ医薬品原薬製造工場の基本設計業務を受注し遂行中です。EPC業務を遂行中であった医薬品合成原薬製造設備は完工しました。EPC業務以外では、シオノギファーマ㈱と医薬品原薬・中間体の連続生産技術の開発・検討を協力して進めています。
一般化学分野では、高機能材製造設備及び水素化石油樹脂生産設備を完工しました。また、カーボンリサイクル技術の確立に向けて、産学官連携でCO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造についての研究開発に取り組んでいます。さらに、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、業界における大手生産・運営事業者であるMIRAI㈱と業務提携による体制強化を図り、商業設備の導入推進に取り組むとともに、カタール大学向けに実証設備納入業務を遂行中です。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドで環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社の
CT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。
国内では、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵する(CCS)実証設備のEPC業務を完了し運転が開始されました。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫設備のEPC業務を遂行中です。
新エネルギー分野では、世界最大級の蓄電池システム建設、複数の太陽光発電設備(メガソーラー)建設、木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行するとともに、今後大きなマーケットが予測される洋上風力発電分野への参入を検討しています。
「次世代水素サプライチェーンの事業化に向けた実証プロジェクト」は、2020年12月に実証運転を完了し、当社のSPERA水素技術(MCH-LOHC法)の商業規模へのスケールアップが可能であることを実証しました。今後、需要拡大に対応するコスト低減を一層図り、2020年代半ば以降の準商用化や商用化を通して、2050年を目標にしたカーボンニュートラルに貢献していきます。また、シンガポールでは当社技術の安全性が高く評価され、三菱商事㈱と当社はシンガポールの民間5社と当社技術を用いた水素の輸入利用・事業化の検討を継続して推進しています。さらに、豪州Hazer社と同社のメタン熱分解プロセスにより、CO2の貯蔵を不要とする水素の製造・供給も目指し、国内顧客候補との協議を進めています。
[デジタル技術革新分野]
デジタルトランスフォーメーション分野では、革新的デジタルプロダクト展開、デジタルEPC推進、業務プロセス革新の3つの取り組みを進めています。
革新的デジタルプロダクト展開では、エンジニアリングの知見とデジタルAI技術を融合させ、顧客のプ
ラントの資産価値を最大化するための高度デジタルプロダクトを開発し、EFEXIS®ブランドで提供しており、国内外のプラントで導入を進めています。当該プロダクトのひとつは、インドネシアのドンギ・スノロLNG社の稼動中LNGプラントへ導入され、製品の増産、運転コストや運転に伴う排出ガスの削減へ寄与しました。
デジタルEPC推進では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを開発し、遂行プロジェクトに順次適用しています。また、当社がエンジニアリング事業で培った知見及びプラント空間設計の基本思想と㈱ArentのCAD技術・最適化技術を融合させて、プラントの基本設計業務のうち空間設計に掛かる工数の約80%を削減し、従来の約5倍の速度で三次元モデルの作成を可能とする革新的な設計システムを開発しました。このシステムをプラントエンジニアリング業界に提案するため、2020年8月に当社及び㈱Arentの共同出資により㈱PlantStreamを設立し、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターなどへの販売を進めています。
業務プロセス革新では、デジタルAI技術を活用し20%の業務効率改善を目指す活動「Target20」により全社デジタル化を推進しています。また、当社子会社の千代田システムテクノロジーズ㈱のIT部門を分社化のうえ、IT大手のTIS㈱との共同出資会社であるTIS千代田システムズ㈱を2020年10月1日に設立し、当社グループのIT基盤を強化しています。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 前第3四半期連結累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | |||||
受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | 受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | ||
1 エンジニアリング事業 | 139,432 | 272,071 | 873,903 | 102,285 | 242,450 | 626,755 | |
( 99.6%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ( 99.5%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ||
エネルギー 分野 | (1) LNGプラント関係 | 56,589 | 129,435 | 466,519 | 12,567 | 86,437 | 322,094 |
( 40.4%) | ( 47.5%) | ( 53.4%) | ( 12.2%) | ( 35.6%) | ( 51.4%) | ||
(2) その他ガス関係 | 5,073 | 2,883 | 15,581 | 2,201 | 8,389 | 7,908 | |
( 3.6%) | ( 1.1%) | ( 1.8%) | ( 2.1%) | ( 3.4%) | ( 1.3%) | ||
(3) 石油・石油化学 ・金属関係 | 41,977 | 86,713 | 261,824 | 40,247 | 99,186 | 179,589 | |
( 30.0%) | ( 31.8%) | ( 29.9%) | ( 39.2%) | ( 40.8%) | ( 28.6%) | ||
地球環境 分野 | (4) 医薬・生化学 ・一般化学関係 | 12,289 | 17,611 | 18,357 | 38,743 | 16,650 | 41,976 |
( 8.8%) | ( 6.5%) | ( 2.1%) | ( 37.7%) | ( 6.9%) | ( 6.7%) | ||
(5) 環境・新エネルギー ・インフラ関係 | 18,453 | 28,464 | 106,633 | 5,537 | 28,920 | 73,102 | |
( 13.2%) | ( 10.4%) | ( 12.2%) | ( 5.4%) | ( 11.9%) | ( 11.7%) | ||
(6) その他 | 5,048 | 6,963 | 4,986 | 2,988 | 2,867 | 2,084 | |
( 3.6%) | ( 2.5%) | ( 0.6%) | ( 2.9%) | ( 1.2%) | ( 0.3%) | ||
2 その他の事業 | 595 | 595 | - | 525 | 525 | - | |
( 0.4%) | ( 0.2%) | ( -) | ( 0.5%) | ( 0.2%) | ( -) | ||
合 計 | 140,027 | 272,667 | 873,903 | 102,810 | 242,976 | 626,755 | |
(100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | ||
国 内 | 70,587 | 95,214 | 192,266 | 81,714 | 105,391 | 154,022 | |
( 50.4%) | ( 34.9%) | ( 22.0%) | ( 79.5%) | ( 43.4%) | ( 24.6%) | ||
海 外 | 69,440 | 177,452 | 681,636 | 21,095 | 137,584 | 472,733 | |
( 49.6%) | ( 65.1%) | ( 78.0%) | ( 20.5%) | ( 56.6%) | ( 75.4%) |
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。
2 本表の金額には消費税等は含まれていません。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、10億92百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。