有価証券報告書-第97期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/23 16:01
【資料】
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【項目】
176項目
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において判断したものです。
<経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容>当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に回復基調が続いた一方、中東情勢やロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクの影響や米国による関税引き上げの影響等もあり、先行きは依然として不透明な状況が継続しました。
当社グループを取り巻く事業環境においては、気候変動問題への対応として低・脱炭素社会の実現に向けた需要が継続する一方、エネルギーの安定供給に向けたLNG需要も拡大するなど、人と地球の持続的で豊かな未来の実現が求められています。
当連結会計年度における業績は、次のとおりです。
(受注工事高)
受注工事高は、前連結会計年度比11.1%減の2,112億60百万円となりました。なお、当連結会計年度末受注残高は
7,398億57百万円となりました。受注工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事高)
完成工事高は、前連結会計年度比9.7%減の4,569億69百万円となりました。完成工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事総損益)
完成工事総損益は、GPXプロジェクト第1系列に係る契約の改定につき顧客であるGPX社と合意したこと、海外完工済案件での追加収益の計上、および国内外で進行中の案件の着実な進捗が寄与し、前連結会計年度の完成工事総損失1億57百万円に対し、423億19百万円の完成工事総利益となりました。また、完成工事総利益率は前連結会計年度の0.0%から9.3ポイント増加し9.3%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、物価上昇に対応するためのベースアップや成長戦略を推進するための研究開発費の継続等により、前連結会計年度に比べ30億47百万円増加し178億97百万円となりました。また、販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度の2.9%から1.0ポイント増加し3.9%となりました。
(営業損益)
営業損益は、完成工事総損益と同様の理由により、前連結会計年度に比べ394億28百万円増加し244億21百万円となりました。
(営業外収益・営業外費用)
営業外収益は、受取配当金や海外プロジェクト資金の運用利益の減少により、前連結会計年度に比べ10億20百万円減少し115億17百万円となりました。また、営業外費用は、為替差損等により、前連結会計年度に比べ7億50百万円増加し37億42百万円となりました。この結果、営業外収支は77億74百万円の収益となりました。
(経常損益)
経常損益は、完成工事総損益と同様の理由により、前連結会計年度に比べ376億57百万円増加し321億96百万円となりました。
(特別利益・特別損失)
特別利益及び特別損失は、前連結会計年度が6億97百万円の損失超過であったのに対し、当連結会計年度は、退職給付制度終了益の計上により1億89百万円の収益超過となりました。
(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ385億45百万円増加し323億86百万円の収益となりました。
法人税、住民税及び事業税は47億20百万円、法人税等調整額は40百万円となり、前連結会計年度に比べ37億79百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ428億18百万円増加し269億87百万円となりました。
報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、米国でLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるカタールNorth Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)の建設工事が進捗しています。米国のGolden Pass LNGプロジェクト(GPXプロジェクト)は、顧客である米国Golden Pass LNG Terminal LLC(GPX社)及びジョイントベンチャーパートナーである米国CB&ILLC(CB&I社)と協調して完工を目指すことを確認しており、2024年11月に顧客とLNGプラントの第1系列の契約改定に合意し、同第2系列及び第3系列についても引き続き契約改定の交渉を進めています。
その他ガス分野では、カタールで当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、第7次エネルギー基本計画において「トランジション燃料」と位置付けられたLNGの受入基地に係る複数の検討業務を完了しました。加えて、新規LNG受入基地案件の増設工事を受注しました。また、当社グループが建設したLNG受入基地の改造・改修工事を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は693億64百万円(前連結会計年度比37.5%増)となり、完成工事高は2,549億93百万円(同4.1%増)となりました。
(石油・石油化学関係)
国内では、石油会社向けに、製油所の設備更新工事や省エネ、カーボンニュートラルに資する各種検討業務などを遂行中であり、出光興産㈱よりSAF(Sustainable Aviation Fuel)製造装置導入に係る基本設計業務を受注し、遂行中です。また、国内製油所や石油・石油化学事業所に対して、これまで培った高度解析技術(3次元流動解析やダイナミック・シミュレーション、構造解析、耐震)と最新のデジタル技術を組み合わせ、運転最適化と設備保全効率化ならびに運転・保全業務のDX推進に向けたO&M(Operation & Maintenance)事業を展開しています。
また、マイクロ波化学㈱、三井化学㈱とマイクロ波加熱を利用した革新的ナフサクラッキング技術の共同開発を進めています。本事業は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム重点課題推進スキーム」にて実施遂行しています。本技術の確立により、従前の化学業界の重要課題である「ナフサの熱分解で排出されるCO2の大幅な削減」に貢献します。
当連結会計年度の受注工事高は381億85百万円(同2.1%増)となり、完成工事高は332億50百万円(同9.6%増)となりました。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、AGC㈱をはじめ複数の顧客向け医薬品製造設備のEPC業務を遂行中です。また、バイオ医薬品のFS(Feasibility Study)業務を完了し、次のステップである設計業務を新たに受注しました。このほかバイオ関連製造施設のFS業務を新規受注しました。
EPC関連事業以外では、NEDO助成事業にて、産学連携で「植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発」を引続き進めています。本開発では、ベンチスケールからパイロットスケールに至るまでの生産が可能な実証用設備を子安オフィス・リサーチパーク内に建設し、高度修飾タンパク質の生産技術の実証運転を開始しました。本設備はNEDO助成期間終了後は、植物バイオものづくりの実用化開発に利用することなどを予定しており、各種受託サービスの充実に努めます。
そのほか、国立大学法人筑波大学と継続してきた特別共同研究事業の一環として、同大学付属病院内に細胞培養加工施設(Cell Processing Facility)を設置しました。これにより、当社は、当該細胞培養加工施設に加え、既に同大学内に開設済みの「つくば幹細胞ラボ」、当社子安オフィス・リサーチパークと合わせて3つの拠点を得たことで、基礎研究から製造開発支援までの一貫した解決策を顧客に提供可能な「伴走型技術コンサルテーション」サービスの提供を進めています。
併せて、一般社団法人アイディーフォーの研究用疾患iPS細胞の提供拡大を目指す「iPS細胞提供プラットフォーム」を構築する実証実験(第二期)に参画し、今後の細胞系事業展開に資するiPS細胞のデータベース構築や流通経路の最適化を検討していきます。
一般化学分野では、㈱クレハ向けフッ化ビニリデン樹脂生産設備のEPC業務を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は264億77百万円(同70.3%減)となり、完成工事高は356億99百万円(同14.7%増)となりました。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドにおける環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。
新エネルギー分野では、再生可能エネルギーの効率的な活用に資する蓄エネルギー活用や地域分散型のエネルギー供給システムへの取組みを強化しています。加えて、洋上風力分野では、国内事業者に対する着床式発電所に関する各種ソフト業務・遂行支援や、浮体式発電所建設のFS業務等を進めています。
インフラ分野では、インドネシアで単一製造ラインとして世界最大規模となる銅製錬工場が2024年11月に完工しました。
国内では、主に電気自動車における航続距離拡大・充電時間の短縮・安全性向上が期待される全固体電池に関して、出光興産㈱向けに固体電解質の小型実証プラントプロジェクトを完工しました。また、全固体電池実用化に向けた中間原料である硫化リチウム(Li2S)の大型装置建設工事を、更には固体電解質の大型パイロットプラントの基本設計業務を受注し遂行中です。さらに2024年7月に鹿児島県喜界町と地域脱炭素ビジョン推進に関する包括連携協定を締結しました。同町のゼロカーボンアイランド構想実現に向けて取り組んでまいります。そのほか、2024年1月に発生した能登半島地震に因る工場被災の復旧工事が完工しました。
当連結会計年度の受注工事高は701億21百万円(30.6%増)となり、完成工事高は1,266億53百万円(同35.0%減)となりました。
≪脱炭素ビジネスの取組み≫
水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCUS(Carbon dioxide Capture and
Utilization and Strage)、エネルギーマネジメントの取組みは以下のとおりです。
(水素・アンモニア)
水素分野では、当社の独自技術であるSPERA水素TM技術の優位性を生かした水素サプライチェーンの構築に向けて、海外、国内で具体的な案件や検討を進めています。
シンガポールでは、同国での水素利用拡大に向け、2024年6月から現地の南洋理工大学、PSA Singapore(PSA社)、三菱商事㈱と共同で、PSA社が運営する港湾内のコンテナヤードに当社の小型脱水素装置を設置し、大型燃料電池車への水素供給の実証運転を継続しています。
オーストラリアでは、ENEOS㈱より直接メチルシクロヘキサン電解合成(Direct MCH®)を活用した大規模実証プラント建設工事を受注し、遂行中です。
国内では、水素バリューチェーン推進協議会の理事会社として、社会実装プロジェクトの創出と政策支援の実現に向けて活動しています。
また、2024年2月にトヨタ自動車㈱と大規模水電解システムの共同開発及び戦略的パートナーシップの構築に係る協業基本合意書を締結、発表しました。同システム標準パッケージを開発して、2026年度からトヨタ自動車㈱本社工場水素パーク内への同システムの導入を開始します。
そのほか、政府が目指す2050年までのカーボンニュートラル実現の為、2024年1月に川崎重工業㈱をリーダーとして、東洋エンジニアリング㈱、日揮グローバル㈱、当社の4社によるJV協定書を締結し、オーストラリアにおいて、日本水素エネルギー㈱が取り組んでいる液化水素サプライチェーンの商用化実証を目的としたFEED(Front End Engineering Design)業務を完了しました。
アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進めています。さらに、㈱JERA、㈱日本触媒と共同で既存の技術より競争力のあるアンモニア分解技術の開発を進めており、NEDOの技術開発事業にて実施遂行しています。
そのほか、国内におけるアンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
(CCS/CCUS)
CO2の回収・CCSシステム設計におけるグローバルリーダーであるPace CCS社とCCS分野での協業に関する覚書を締結し、CCSプロジェクトのFS業務やコンセプトデザインからFEED/EPC業務まで幅広く展開していきます。
また、大規模な天然ガス火力発電所で発生する排ガスから固体吸収材を用いてCO2を分離・回収する技術開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。
東南アジアでは、インドネシア国営石油会社プルタミナ社と2023年3月に締結した炭素循環技術に係る共同検討業務契約に基づいて、当社のCO2リフォーミング技術を適用した検討を実施しました。これは、わが国の提唱するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の一端に係る案件と位置付けられ、関連閣僚会議等で進捗等について都度報告されています。
また、西オーストラリア州におけるCO2サプライチェーン構築に関する実現可能性検討業務を豪州のPilot Energy Limited社から受注し、遂行中です。
当社、日本郵船㈱、Knutsen NYK Carbon Carriers AS社は、液化CO2のCCUSの技術として想定される常温昇圧(EP)・中温中圧(MP)・低温低圧(LP)の3方式について、回収したCO2の液化から一時貯蔵、海上輸送などCCUSバリューチェーンを通じた経済性や実現性検証に関する共同検討を2023年度に実施しました。今後事業者に対してEP方式に関する具体的な提案を行うべく、技術面を含む詳細検討を実施しています。
また、三菱重工業㈱と、同社CO2回収技術の包括ライセンス契約を締結し、国内向けCO2回収プロジェクトを対象に、同社が関西電力㈱と共同開発したCO2回収技術である「KM CDR ProcessTM」及び「Advanced KM CDR ProcessTM」のライセンス供与を受け、戦略的に協業を推進しています。
そのほか、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による2024年度の先進的CCS事業に採択された三菱商事㈱、電源開発㈱、出光興産㈱、石油資源開発㈱ほか、各事業者の計画に係る複数の検討業務を受注・遂行し、2025年度においても複数件の受注の獲得へ向け各事業者と協議を実施していきます。
さらに、液化CO2バリューチェーン共通化に向けた協議会への参画等、CCUSバリューチェーン全体に対応すべく展開を行っています。
CCU分野では、産学官連携で、CO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造の研究開発に取組んでいます。既に本研究のため当社子安オフィス・リサーチパークに設置したパイロットプラントにてCO2由来のパラキシレンの製造に成功しており、当社のほか、㈱ゴールドウイン、三菱商事㈱、Neste Oyj、SK geo centric Co., Ltd.、Indorama Ventures PCL、India Glycols Ltd.の7社で構築したサステナブルなポリエステル製造のサプライチェーンプロジェクトにポリエステル繊維の原料として供給し、㈱ゴールドウインが日本展開するブランドであるザ・ノース・フェイスのスポーツユニフォームに採用されています。
CO2と水素を用いた合成燃料製造に関し、ENEOS㈱向けの1BD(1 Barrel per day)合成燃料実証試験設備建設工事を2024年6月に完工しました。そのほか、㈱INPEX向けの400Nm3-CO2/h メタネーション(合成メタン(e-methane))試験設備工事を遂行中です。また、CCU分野における主要原料の一つであるCOの製造に関し、積水化学工業㈱よりCO2→CO変換プラント(中型試験機)のEPC業務を受注し遂行中です。
(エネルギーマネジメント)
2023年3月に完工した北海道北部風力送電㈱向け世界最大級の大型蓄電池システムの長期に亘る保守業務を遂行中です。加えて、㈱ニジオ(東京ガス㈱100%出資子会社)向け大型蓄電所建設工事を受注し遂行中です。電力需給のバランスの安定化や出力変動の課題解決のため、国内では広く蓄電池の活用が求められており、当社の経験と実績が高く評価されています。
そのほか、スタートアップ企業であるGrid Beyond社とのVPP事業(Virtual Power Plant)における協業に関しては、国内顧客複数社とシステム導入に係る契約を締結し、2025年度に電力市場取引のサービス開始を予定しています。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて今後国内ではエネルギー会社を中心にアンモニア・CCS/CCUS等の脱炭素分野への投資が多く見込まれる状況にあり、当社は脱炭素分野のFS/FEED業務、EPC業務を確実に受注・遂行するためにJFEエンジニアリング㈱との間で両社の保有するエンジニアリング力の効果的活用、人的資本の相互補完・最適配置等を軸とした協業の検討を開始しました。
≪DXの取組み≫
「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」の実現のために、全社DXを加速させています。この取り組みを広く社内外で共有するため、当社グループのDXを「Chiyoda DX STORY」と名付けました。Chiyoda DX STORYではコーポレートDX、及びプロジェクトDXで、自社の変革を推し進め、全社員がデジタルプラットフォーム上で業務を行うことにより、業務が効率化・自動化されると同時に広く情報が共有され、意思決定を加速することを目指しています。また、デジタルとフィジカルを融合したO&M-X事業にて業界の変革を顧客と協業して推進しています。そして、それらの変革の原動力としてデジタルコア人財の育成・拡充を進めています。
コーポレートDXでは、リソースマネジメントシステムにより受注計画と人員稼働状況をもとに事業計画シナリオを描くことが定着しました。また、人財育成プラットフォームであるタレントマネジメントシステムではAIを活用した社員の過去の業務経歴や実績に基づいたキャリアの広がりや、目指すプロジェクトポジションに求められるスキルや経験者の知見を集約する等、キャリア設計に必要な提供情報を充実させ、社員一人一人のキャリア設計ができるようになっています。また、コントラクターである当社の重要な業務のひとつである契約締結業務の変革のため、契約のドラフティングから締結、履行サイクルの適切な管理と、その情報が活用できるデジタル基盤の構築に着手しました。この狙いはすべてのステークホルダーとの契約内容とその関連情報を集約し、締結時又はプロジェクト遂行上のトラブルの対応で必要となる情報をタイムリーに提供することで、リスクの低減や対応スピードが向上することを 意図しています。
加えて、働き方改革の一環として、ノーコード・ローコードによるRPA(Robotic Process Automation)の市民開発環境や、様々なデータを統合・可視化し分析するためのデータ分析基盤、業務用生成AIサービスの提供を開始し、意見交換・議論を目的としたコミュニティサイトも設置しました。
プロジェクトDXでは、EPC遂行管理力の進化を目指してかねてより開発・適用を開始していたAWP(Advanced Work Packaging)が海外主要プロジェクトに本格適用され、サブコントラクターとの透明性のある情報共有により作業効率が明確に向上しています。また、中小案件にも対応したデジタルEPCプラットフォームの構築を進めており、業務をプラットフォーム上で行い、情報の可視化/構造化を実現する環境の構築を始めています。これにより情報の把握・意思決定の即時化、業務の自動化、精密なガバナンスを実現することを目指しています。そのほか2024年度から、プロジェクト図書管理の国内案件適用を開始しております。
デジタル変革ビジネスでは、プラント運転・保守ソリューションとDX事業を再編・統合し、顧客のプラント運転・保全業務の変革を支援するソリューション事業を展開し、新たなO&MトータルソリューションサービスとしてplantOS®の提供を開始しました。plantOS®は、千代田エクスワンエンジニアリング㈱をはじめ、当社グループがこれまで提供してきた産業/プラント向けメンテナンス分野におけるフィジカルサポートと当社が長年培ってきた高度解析・診断、IOT、AI等のデジタル技術をハイブリッドに融合したO&M向けサービスです。これまで提供してきた当社のAIプロダクトEFEXIS®については、当社のプロセス知見や独自のシミュレータを活用したプロセスデジタルツインとして、plantOS®の重要なソリューションの一部と位置付けることとしています。また、当社はBasetwo Artificail Intelligence, Inc.(ベーストゥー社)と資本業務提携を行い、ベーストゥー社が提供するAIツールを「EFEXIS Studio」としてplantOS®に実装しました。これにより、当社は専門知識を持ち合わせないプラントオーナーやオペレータに対し、自身で様々なデータ源からデータを収集、活用する環境を提供することが可能となります。
そのほか、plantOS®の構築・提供に際し各種のサービスプロバイダーとの連携を進めております。plantOS®のクラウドシステム構築では日本ビジネスシステムズ㈱との覚書を締結し、また、回転機診断のためのソリューション開発においては中山水熱工業㈱との協業を開始しております。plantOS®の中核であるデジタルツインソリューションをプラント運転・保守の領域において効果的に活用するため米国のデジタルツインコンソーシアムに加入し、既に協業を開始しているVisionaize社のV-Suiteを活用したデジタルツインソリューションの提供を開始しております。
さらに、㈱センシンロボティクスと資本業務提携関係を構築し、同社がインフラ保全領域で磨いてきた技術力を融合、ロボットやドローン、AR/VR技術を使ってデータを収集し3Dデジタルツインプラットフォームへ集約、新たな価値を生み出すソリューションの共創を開始しております。また、圧力計専業メーカーである㈱木幡計器製作所のIoTセンサ(製品名Salta®)を、plantOS®のパートナー製品として連携活用する業務提携を締結いたしました。plantOS®にSalta®を組み込むことで、従来IoT化が難しかったアナログゲージの遠隔モニタリングを可能とし、デジタルツインと連携したタイムリーなプラント状態可視化を実現します。
加えて、plantOS®提供事業の一環として、インドネシアのPT Donggi Senoro LNG(ドンギ・スノロ社)より技術サポート提供業務を受注しました。本件はドンギ・スノロ社が保有するLNGプラントにおけるエンジニアリングサービス、プロセス安全サポートなどを対象としています。当社がこれまで培ってきたコンサルティング能力や先進的なデジタル技術を活用し、プラントの安全・安定運転の実現に向けてドンギ・スノロ社に最適なソリューションを提供していきます。
PlantStream®に関しては、多くのユーザーに利用が開始され、プラントエンジニアリングを変革し、業界の発展に寄与したこと等、当社の㈱PlantStream設立意義の実現に一定の成果を上げたと判断し、2025年3月17日付で保有する㈱PlantStreamの全株式を共同出資者である㈱Arentへ譲渡しました。引き続き㈱Arent及び㈱PlantStreamとの技術提携を通じてPlantStream®の機能強化を図り、当社の初期設計や建設計画効率化をすすめていきます。
経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項、および、それらへの対応については、3.事業等のリスクに記載しています。
大型プロジェクトであるGPXプロジェクト及びNFEプロジェクトのほか、手持ちEPC案件を着実に遂行していくことに加え、当社を取り巻く事業環境と当社グループの強みを掛け合わせ、顧客にとっての良き事業共創パートナーを目指し、事業・技術の開発から操業まで広範囲に伴走し、多様で柔軟な事業ポートフォリオの確立に努めていきます。
また、当社グループのパーパス「社会の“かなえたい”を共創(エンジニアリング)する」を実現するための重要な基盤は、当社グループの最大の資産である人財です。組織風土と人材開発の両面から組織と人財のWell-Beingを高め、社会とステークホルダーとの価値の循環を持続し、双方の価値を高めていきながら、人的資本経営を推進していきます。収益性向上やガバナンスの強化のみならず、人的資本経営を推進することで、中長期的な企業価値の向上に努めていきます。

(2) 生産、受注及び販売の実績
① 受注実績
事業部門の名称前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
受注高受注残高受注高受注残高
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
⦅前年同期比⦆
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
1 エンジニアリング事業236,97599.8993,878100.0210,63799.7739,857100.0
(113,423)⦅11.1%減⦆(△8,312)
エネルギー
分野
(1) LNGプラント関係48,49420.4708,96071.334,43716.3486,61665.8
(90,741)⦅29.0%減⦆(△6,542)
(2) その他ガス関係1,9360.84,1580.434,92616.534,2994.6
(△20)⦅1,704.0%増⦆(△31)
(3) 石油・石油化学関係37,40215.832,2143.238,18518.137,0145.0
(△1,494)⦅2.1%増⦆(△135)
地球環境
分野
(4) 医薬・生化学
・一般化学関係
89,23337.698,0219.926,47712.587,57511.9
(△2,793)⦅70.3%減⦆(△1,224)
(5) 環境・新エネルギー
・インフラ関係
53,67522.6145,05514.670,12133.288,26711.9
(26,962)⦅30.6%増⦆(△254)
(6) その他6,2332.65,4670.66,4883.16,0840.8
(27)⦅4.1%増⦆(△123)
2 その他の事業5690.2--6220.3--
( -)⦅9.3%増⦆( -)
総 合 計237,545100.0993,878100.0211,260100.0739,857100.0
(113,423)⦅11.1%減⦆(△8,312)

なお、国内及び海外の受注高並びに受注残高の内訳は、次のとおりです。
国内外内訳前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
受注高受注残高受注高受注残高
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
⦅前年同期比⦆
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国 内159,46367.1164,23716.5131,53862.3192,40426.0
(△2,068)⦅17.5%減⦆(△1,570)
海 外78,08132.9829,64083.579,72137.7547,45374.0
(115,492)⦅2.1%増⦆(△6,741)
合 計237,545100.0993,878100.0211,260100.0739,857100.0
(113,423)⦅11.1%減⦆(△8,312)

(注) 受注残高の( )内の数字は、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。
② 売上実績
事業部門の名称前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)
⦅前年同期比⦆
構成比(%)
1 エンジニアリング事業505,41299.9456,34699.9
⦅9.7%減⦆
エネルギー
分野
(1) LNGプラント関係241,93147.7250,23954.8
⦅3.4%増⦆
(2) その他ガス関係2,9200.64,7541.0
⦅62.8%増⦆
(3) 石油・石油化学関係30,3476.033,2507.3
⦅9.6%増⦆
地球環境
分野
(4) 医薬・生化学
・一般化学関係
31,1166.235,6997.8
⦅14.7%増⦆
(5) 環境・新エネルギー
・インフラ関係
194,71238.5126,65327.7
⦅35.0%減⦆
(6) その他4,3830.95,7481.3
⦅31.1%増⦆
2 その他の事業5690.16220.1
⦅9.3%増⦆
総 合 計505,981100.0456,969100.0
⦅9.7%減⦆

なお、国内及び海外の売上実績の内訳は、次のとおりです。
国内外内訳前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)
⦅前年同期比⦆
構成比(%)
国 内85,40416.9101,80222.3
⦅19.2%増⦆
海 外420,57683.1355,16677.7
⦅15.6%減⦆
合 計505,981100.0456,969100.0
⦅9.7%減⦆

(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
2 主な相手先別の売上実績及び総売上高に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度当連結会計年度
相手先金額
(百万円)
割合
(%)
相手先金額
(百万円)
割合
(%)
カタールエナジー188,38337.2カタールエナジー207,15445.3
ピーティー・フリーポート・インドネシア172,25234.0ピーティー・フリーポート・インドネシア101,28622.2

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は2,212億38百万円となり、前連結会計年度末残高より550億29
百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
営業活動による資金収支
税金等調整前当期純利益の計上に加え、契約負債の増加などにより、当連結会計年度における営業活動による資金収支は511億75百万円のプラスとなりました。
投資活動による資金収支
無形固定資産及び有形固定資産の取得などにより、当連結会計年度における投資活動による資金収支は41億81百万円のマイナスとなりました。
財務活動による資金収支
リース債務の返済による支出などにより、当連結会計年度における財務活動による資金収支は2億98百万円のマイナスとなりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主な内訳は、当社が受注した国内外のプラント建設に関わる費用、販売費及び一般管理費のほか、今後の成長戦略を支えるための投資です。販売費及び一般管理費のうち主な内訳は、従業員給与手当等の人件費のほか、業務委託費等です。当社の研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が過半を占めています。
LNGや金属、医薬品といった既存EPC分野の事業基盤を維持しながら、今後の成長戦略を支える、水素やCCSを含む脱炭素ソリューション、バイオ、先端素材、O&M-Xソリューション、エネルギーマネジメント等の新規分野の事業機会創出に向けた投資を継続して進めていきます。
③ 財務政策
当社グループは、資金需要に対して、内部資金還流または外部借入により資金調達する方針です。外部借入に関しては、三菱商事株式会社の子会社である三菱商事フィナンシャルサービス株式会社との間で総額100億円の借入枠を確保することで、流動性を維持しています。
上記財源を適切かつ効果的に活用し、事業ポートフォリオの革新と高収益体質への変革、サステナブルな社会の実現への貢献を進め、当社グループを安定的に運営する資金を継続して創出していきます。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが要求されます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて判断及び見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。
当社グループの見積りや判断を含む重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項」に記載しています。また、会計方針の適用において使用される当社の判断と見積りのうち、当社グループの連結財務諸表の報告額に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるものについては、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

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