四半期報告書-第95期第3四半期(2022/10/01-2022/12/31)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動回復の両立が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢といった地政学的リスク、インフレの継続、エネルギー・原材料価格の高騰などから、今後も世界経済は先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。
このような状況のもと、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、気候変動問題への対応としてカーボンニュートラルや脱炭素化社会への移行の動きが加速する一方、ロシア・ウクライナ情勢を背景にエネル
ギーの安定供給との両立が改めて課題となっています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」ではこうした事業環境の変化を先取りし、エネル
ギーの安定供給とエネルギートランジションを支える資源として重要性が高まっているLNG(液化天然ガス)を主体とする既存事業の深化、成長分野と位置付ける再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギー運用最適化、ライフサイエンスなどの新規事業の強化、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を進めています。
再生と未来に向けたビジョンの取組みを加速するため、2022年4月1日付で当社はカーボンニュートラル宣言を公表しました。エンジニアリングの総合力にデジタル革新技術を活用して「2050年ネットゼロ」社会の実現に貢献していきます。
引き続き既存事業の着実な進捗と新規事業の加速により「エンジニアリングの新たな価値」を創出し、事業
ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立することで、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は1,205億31百万円(前年同四半期比69.3%減)、連結完成工事高は3,084億81百万円(同42.1%増)であった結果、連結受注残高は1兆2,794億74百万円(前連結会計年度末比3.9%減)となり、営業利益は136億18百万円(前年同四半期比64.5%増)、経常利益は156億36百万円(同78.5%増)となりました。また、法人税等の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益は125億32百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失136億58百万円)となりました。
ロシア・ウクライナ情勢の影響については、当社の想定を超えて情勢が悪化する場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がありますので、今後も注視、対処していきます。なお、当第3四半期連結累計期間の連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、未成工事支出金の増加75億75百万円、投資有価証券の増加18億2百万円、流動資産その他の増加258億27百万円の一方で、未収入金の減少453億49百万円、現金預金の減少76億63百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ186億72百万円減少しました。
負債については、支払手形・工事未払金の増加252億75百万円の一方で、未払金の減少281億98百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少50億98百万円、長期借入金の減少50億円、契約負債の減少43億57百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ178億52百万円減少しました。
純資産については、為替換算調整勘定の減少によりその他の包括利益累計額が減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、純資産合計は149億41百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、アメリカ、インドネシアでLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるカタールNorth Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)では本設プラントの土木工事が、アメリカのゴールデンパスLNGプロジェクトでは建設工事がそれぞれ本格化し進捗しています。また、インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト(第3系列)は完工に向けて最終盤を迎えています。その他ガス分野では、カタールで当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の改造・改修工事を遂行中です。
(石油・石油化学関係)
国内では、石油会社向けに、製油所の設備更新工事、省エネやカーボンニュートラルに資する各種検討
及び耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、石油化学分野では機能材案件のEPC業務を遂行中です。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設
及び付帯設備並びにバイオ医薬品原薬製造工場のEPC業務を遂行中です。EPC事業分野以外では、シオノギ
ファーマ㈱が設立し、当社が参画した合弁会社Pharmira㈱が2022年4月から事業を開始しています。同社は、医薬品原薬の製法開発、治験原薬製造から商用生産に至るフルレンジ・ワンストップの医薬品原薬・中間体製造を提供し、当社は革新的な連続生産技術を実装化する役割を担い、今後、当該技術の水平展開に
よりライフサイエンス分野の強化を図ります。
また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業にて、産学連携で「植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発」を進めています。一般化学分野では、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、引き続き商業設備の導入推進に取り組んでいます。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドにおける環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫
設備のEPC業務を遂行中です。
新エネルギー分野では、太陽光発電設備(メガソーラー)建設、蓄電池設備、木質ペレットを燃料とする
国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行中です。
インフラ分野では、インドネシアにて単一製造ラインとして世界最大規模となる銅製錬工場のEPC業務を
当社単独にて遂行中であり、建設工事が本格化しています。国内では、先端素材工場の新規FEED業務を遂行中であり、EPC業務を遂行していたポリプロピレン重合用触媒製造工場が完工しました。
~脱炭素ビジネスの取組み~
水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCU(Carbon dioxide Capture and
Utilization)、エネルギーマネジメントの取組みを以下のとおり進めています。
(水素・アンモニア)
水素分野では、当社独自技術であるSPERA水素™技術の優位性を生かした水素サプライチェーンの構築に
向けて、複数の具体的な検討を進めています。
欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals、三菱商事㈱とともに、商業規模の水素
輸入による国際間水素サプライチェーン構築の検討を進めています。また、イギリス・スコットランドからオランダ・ロッテルダム港への水素海上輸送プロジェクトに参画しました。更に、フランスAxens社と水素
サプライチェーンに関する戦略的商業協力の覚書を締結、当社のSPERA水素™技術とAxens社のトルエン水素化技術の販売促進を共同で推進し、水素サプライチェーンの構築を更に加速させていきます。
シンガポールでは、クリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて、現地民間各社、三菱商事㈱と
具体的な検討を進めており、総合ユーティリティや都市開発を事業とするSembcorp Industries社、三菱商事㈱と水素サプライチェーン構築に向けてPre-FEED遂行の覚書を締結しました。
国内では、水素バリューチェーン推進協議会の理事会社として、社会実装プロジェクトの創出と政策支援の実現などに向けて活動しています。
アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進めています。また、国内におけるアンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
(CCS/CCU)
CCSに関する取組みでは、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵するCCS実証設備の運転支援業務及び一部改造工事を遂行中です。また、大規模な天然ガス火力発電所排ガス向けに固体吸収材を用いたCO2分離・回収の技術開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。
インドネシアでは、プルタミナ社と同国最大規模となるCCS事業の共同検討を開始しました。これは、化学製品プラントから排出されるCO2の回収・輸送及び貯留設備の建設・運転の実現可能性を検討するものです。
CCUに関する取組みでは、アメリカBlue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術の開発とその事業化を推進しています。また、産学官
連携で、CO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造の研究開発に取り組んでいます。
ドイツのINERATEC社とはe-fuel製造による脱炭素化促進に向けた戦略的協業に関する覚書を締結しました。同社の最先端PtXテクノロジーを活用することで、e-fuel分野に展開していきます。
(エネルギーマネジメント)
世界最大級の蓄電池システムについては、EPC業務の遂行に加え保守業務を新たに受注する等、再生可能
エネルギーの効率的な活用に資する蓄エネルギー設備やVPP(Virtual Power Plant)事業などのエネルギー
マネジメント分野への取組みを強化しています。
~デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組み~
全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスの取組みを進めています。2022年12月に経済産業省が進めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定されました。
プロジェクトデジタル変革では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを大型プロジェクトに順次適用しています。また、㈱Arent及び当社が共同出資した㈱PlantStreamが開発した“プラントの基本設計業務のうち空間設計にかかる工数を大幅に削減、高速度で三次元モデルを作成出来る革新的な設計システム”は、当社の設計業務を改革するとともに、国内外のプラントオーナーやEPCコントラクターでの導入が進んでいます。
コーポレートデジタル変革では、デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、リソース
計画・人財管理の高度化、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、プラント運転・保守ソリューションとDX事業を再編・統合して「O&M-X
ソリューション事業部」を2023年1月に新設しました。国内外顧客のプラント運転・保全業務の変革を支援するソリューション提供を拡大・加速していきます。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しております。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、12億76百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動回復の両立が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢といった地政学的リスク、インフレの継続、エネルギー・原材料価格の高騰などから、今後も世界経済は先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。
このような状況のもと、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、気候変動問題への対応としてカーボンニュートラルや脱炭素化社会への移行の動きが加速する一方、ロシア・ウクライナ情勢を背景にエネル
ギーの安定供給との両立が改めて課題となっています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」ではこうした事業環境の変化を先取りし、エネル
ギーの安定供給とエネルギートランジションを支える資源として重要性が高まっているLNG(液化天然ガス)を主体とする既存事業の深化、成長分野と位置付ける再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギー運用最適化、ライフサイエンスなどの新規事業の強化、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を進めています。
再生と未来に向けたビジョンの取組みを加速するため、2022年4月1日付で当社はカーボンニュートラル宣言を公表しました。エンジニアリングの総合力にデジタル革新技術を活用して「2050年ネットゼロ」社会の実現に貢献していきます。
引き続き既存事業の着実な進捗と新規事業の加速により「エンジニアリングの新たな価値」を創出し、事業
ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立することで、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は1,205億31百万円(前年同四半期比69.3%減)、連結完成工事高は3,084億81百万円(同42.1%増)であった結果、連結受注残高は1兆2,794億74百万円(前連結会計年度末比3.9%減)となり、営業利益は136億18百万円(前年同四半期比64.5%増)、経常利益は156億36百万円(同78.5%増)となりました。また、法人税等の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益は125億32百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失136億58百万円)となりました。
ロシア・ウクライナ情勢の影響については、当社の想定を超えて情勢が悪化する場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性がありますので、今後も注視、対処していきます。なお、当第3四半期連結累計期間の連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、未成工事支出金の増加75億75百万円、投資有価証券の増加18億2百万円、流動資産その他の増加258億27百万円の一方で、未収入金の減少453億49百万円、現金預金の減少76億63百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ186億72百万円減少しました。
負債については、支払手形・工事未払金の増加252億75百万円の一方で、未払金の減少281億98百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少50億98百万円、長期借入金の減少50億円、契約負債の減少43億57百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ178億52百万円減少しました。
純資産については、為替換算調整勘定の減少によりその他の包括利益累計額が減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、純資産合計は149億41百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、アメリカ、インドネシアでLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるカタールNorth Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)では本設プラントの土木工事が、アメリカのゴールデンパスLNGプロジェクトでは建設工事がそれぞれ本格化し進捗しています。また、インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト(第3系列)は完工に向けて最終盤を迎えています。その他ガス分野では、カタールで当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の改造・改修工事を遂行中です。
(石油・石油化学関係)
国内では、石油会社向けに、製油所の設備更新工事、省エネやカーボンニュートラルに資する各種検討
及び耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、石油化学分野では機能材案件のEPC業務を遂行中です。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設
及び付帯設備並びにバイオ医薬品原薬製造工場のEPC業務を遂行中です。EPC事業分野以外では、シオノギ
ファーマ㈱が設立し、当社が参画した合弁会社Pharmira㈱が2022年4月から事業を開始しています。同社は、医薬品原薬の製法開発、治験原薬製造から商用生産に至るフルレンジ・ワンストップの医薬品原薬・中間体製造を提供し、当社は革新的な連続生産技術を実装化する役割を担い、今後、当該技術の水平展開に
よりライフサイエンス分野の強化を図ります。
また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業にて、産学連携で「植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発」を進めています。一般化学分野では、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、引き続き商業設備の導入推進に取り組んでいます。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドにおける環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫
設備のEPC業務を遂行中です。
新エネルギー分野では、太陽光発電設備(メガソーラー)建設、蓄電池設備、木質ペレットを燃料とする
国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行中です。
インフラ分野では、インドネシアにて単一製造ラインとして世界最大規模となる銅製錬工場のEPC業務を
当社単独にて遂行中であり、建設工事が本格化しています。国内では、先端素材工場の新規FEED業務を遂行中であり、EPC業務を遂行していたポリプロピレン重合用触媒製造工場が完工しました。
~脱炭素ビジネスの取組み~
水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCU(Carbon dioxide Capture and
Utilization)、エネルギーマネジメントの取組みを以下のとおり進めています。
(水素・アンモニア)
水素分野では、当社独自技術であるSPERA水素™技術の優位性を生かした水素サプライチェーンの構築に
向けて、複数の具体的な検討を進めています。
欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals、三菱商事㈱とともに、商業規模の水素
輸入による国際間水素サプライチェーン構築の検討を進めています。また、イギリス・スコットランドからオランダ・ロッテルダム港への水素海上輸送プロジェクトに参画しました。更に、フランスAxens社と水素
サプライチェーンに関する戦略的商業協力の覚書を締結、当社のSPERA水素™技術とAxens社のトルエン水素化技術の販売促進を共同で推進し、水素サプライチェーンの構築を更に加速させていきます。
シンガポールでは、クリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて、現地民間各社、三菱商事㈱と
具体的な検討を進めており、総合ユーティリティや都市開発を事業とするSembcorp Industries社、三菱商事㈱と水素サプライチェーン構築に向けてPre-FEED遂行の覚書を締結しました。
国内では、水素バリューチェーン推進協議会の理事会社として、社会実装プロジェクトの創出と政策支援の実現などに向けて活動しています。
アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進めています。また、国内におけるアンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
(CCS/CCU)
CCSに関する取組みでは、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵するCCS実証設備の運転支援業務及び一部改造工事を遂行中です。また、大規模な天然ガス火力発電所排ガス向けに固体吸収材を用いたCO2分離・回収の技術開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。
インドネシアでは、プルタミナ社と同国最大規模となるCCS事業の共同検討を開始しました。これは、化学製品プラントから排出されるCO2の回収・輸送及び貯留設備の建設・運転の実現可能性を検討するものです。
CCUに関する取組みでは、アメリカBlue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術の開発とその事業化を推進しています。また、産学官
連携で、CO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造の研究開発に取り組んでいます。
ドイツのINERATEC社とはe-fuel製造による脱炭素化促進に向けた戦略的協業に関する覚書を締結しました。同社の最先端PtXテクノロジーを活用することで、e-fuel分野に展開していきます。
(エネルギーマネジメント)
世界最大級の蓄電池システムについては、EPC業務の遂行に加え保守業務を新たに受注する等、再生可能
エネルギーの効率的な活用に資する蓄エネルギー設備やVPP(Virtual Power Plant)事業などのエネルギー
マネジメント分野への取組みを強化しています。
~デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組み~
全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスの取組みを進めています。2022年12月に経済産業省が進めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定されました。
プロジェクトデジタル変革では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを大型プロジェクトに順次適用しています。また、㈱Arent及び当社が共同出資した㈱PlantStreamが開発した“プラントの基本設計業務のうち空間設計にかかる工数を大幅に削減、高速度で三次元モデルを作成出来る革新的な設計システム”は、当社の設計業務を改革するとともに、国内外のプラントオーナーやEPCコントラクターでの導入が進んでいます。
コーポレートデジタル変革では、デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、リソース
計画・人財管理の高度化、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、プラント運転・保守ソリューションとDX事業を再編・統合して「O&M-X
ソリューション事業部」を2023年1月に新設しました。国内外顧客のプラント運転・保全業務の変革を支援するソリューション提供を拡大・加速していきます。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 前第3四半期連結累計期間 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) | |||||
受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | 受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | ||
1 エンジニアリング事業 | 392,466 | 216,575 | 1,322,332 | 120,041 | 307,991 | 1,279,474 | |
( 99.9%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ( 99.6%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ||
エネルギー 分野 | (1) LNGプラント関係 | 10,623 | 109,437 | 877,764 | 52,885 | 181,471 | 879,452 |
( 2.7%) | ( 50.4%) | ( 66.4%) | ( 43.9%) | ( 58.8%) | ( 68.7%) | ||
(2) その他ガス関係 | 546 | 3,568 | 2,813 | 4,604 | 2,414 | 5,197 | |
( 0.1%) | ( 1.7%) | ( 0.2%) | ( 3.8%) | ( 0.8%) | ( 0.4%) | ||
(3) 石油・石油化学関係 | 25,421 | 46,957 | 29,231 | 28,062 | 23,298 | 31,515 | |
( 6.5%) | ( 21.6%) | ( 2.2%) | ( 23.3%) | ( 7.5%) | ( 2.5%) | ||
地球環境 分野 | (4) 医薬・生化学 ・一般化学関係 | 29,484 | 21,852 | 50,713 | 14,967 | 23,014 | 42,052 |
( 7.5%) | ( 10.1%) | ( 3.8%) | ( 12.4%) | ( 7.5%) | ( 3.3%) | ||
(5) 環境・新エネルギー ・インフラ関係 | 324,063 | 32,287 | 359,713 | 15,828 | 74,957 | 317,623 | |
( 82.5%) | ( 14.9%) | ( 27.2%) | ( 13.1%) | ( 24.3%) | ( 24.8%) | ||
(6) その他 | 2,326 | 2,471 | 2,096 | 3,692 | 2,834 | 3,632 | |
( 0.6%) | ( 1.1%) | ( 0.2%) | ( 3.1%) | ( 0.9%) | ( 0.3%) | ||
2 その他の事業 | 523 | 523 | - | 490 | 490 | - | |
( 0.1%) | ( 0.2%) | ( -) | ( 0.4%) | ( 0.2%) | ( -) | ||
合 計 | 392,990 | 217,098 | 1,322,332 | 120,531 | 308,481 | 1,279,474 | |
(100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | ||
国 内 | 64,336 | 89,250 | 108,927 | 59,140 | 58,155 | 99,504 | |
( 16.4%) | ( 41.1%) | ( 8.2%) | ( 49.1%) | ( 18.9%) | ( 7.8%) | ||
海 外 | 328,653 | 127,847 | 1,213,405 | 61,390 | 250,325 | 1,179,969 | |
( 83.6%) | ( 58.9%) | ( 91.8%) | ( 50.9%) | ( 81.1%) | ( 92.2%) |
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しております。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、12億76百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。