四半期報告書-第94期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、世界経済は新型コロナウイルス感染症の影響から依然として先行き予断を許さない状況が続くと見込まれます。
こうした状況の中、当社グループは、従業員及び関係先の健康と安全を最優先し、顧客と協力して必要な対応を速やかにとりながら手持ちプロジェクトを遂行しています。
当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化・水素社会への移行の加速、低炭素・再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の革新的な進化など大きく変化しています。当社グループではこうした事業環境の変化を先取りして、当社グループの未来を拓く分野への展開を経営の重点施策の一翼として位置付けてきました。2021年5月には中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」をアップデートし、当面の安定収益を支える既存事業の深化と、当社の未来を拓く新規事業の取り組みをさらに加速していくことにしました。
既存事業で確実に収益を確保しながら、成長分野と位置付ける、再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギーマネジメント、ライフサイエンスなどの新規事業を強化し、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を図ることで、事業ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立し、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は3,929億90百万円(前年同四半期比282.2%増)、連結完成工事高は2,170億98百万円(同10.7%減)であった結果、連結受注残高は1兆3,223億32百万円(前連結会計年度末比17.4%増)となりました。また、営業利益は82億76百万円(前年同四半期比36.5%増)、経常利益は87億59百万円(同41.1%増)となりましたが、イクシスLNGプロジェクト関連の特別損失203億74百万円の計上により、親会社株主に帰属する四半期純損失は136億58百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益64億67百万円)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、遂行中案件全般に影響が出ているというわけではなく、案件毎に異なる状況です。一部案件では進捗等に影響が見られるものの、大半の案件は想定内で遂行中であり、コスト削減や増益を達成できている案件もあります。なお、当第3四半期連結累計期間の連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、現金預金の減少196億90百万円、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産の減少98億30百万円の一方で、ジョイントベンチャー持分資産の増加360億94百万円、未成工事支出金の増加68億79百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ144億71百万円増加しました。
負債については、支払手形・工事未払金の減少219億52百万円の一方で、未払金の増加340億3百万円、契約負債の増加306億18百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ356億93百万円増加しました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上、配当金の支払いなどにより、利益剰余金が178億79百万円減少した結果、純資産合計は155億24百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、米国、インドネシア、ナイジェリアでLNG(液化天然ガス)プラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。カタールでは、年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるNorth Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)のEPC業務を遂行中です。米国では、ゴールデンパスLNGプロジェクトのEPC業務を遂行中です。ナイジェリアのLNGプロジェクトでは、パートナーが実施する設計のレ
ビューなどの技術支援業務を行っています。その他ガス分野では、カタールの当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の増強・改造・改修や火力発電所向けガス供給設備の新設等のEPC業務を遂行中であり、地震・津波災害対策工事については完工しました。
(石油・石油化学関係)
海外では、米国メキシコ湾岸でエチレン生産プラントのEPC業務を完工しました。マレーシアで残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を遂行中です。
国内では、石油会社向けに、製油所の競争力強化、設備更新の工事、耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、船舶燃料硫黄分規制への対策を目的とした既設設備改修工事を完工しました。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設及び付帯設備、バイオ医薬品原薬製造工場のEPC業務を遂行中です。EPC事業分野以外では、当社の連続フロー合成技術を実装することを目的とし、シオノギファーマ㈱が中心となって設立する、医薬品原薬・中間体の連続生産技術を用いた開発製造受託事業を行う合弁会社に参画することを決定しました。
一般化学分野では、カーボンリサイクル技術の確立に向けて、産学官連携でCO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造についての研究開発に取り組んでいます。さらに、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、業界における大手生産・運営事業者であるMIRAI㈱と業務提携による体制強化を図り、商業設備の導入推進に取り組んでいます。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドで環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。
国内では、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵する(CCS)実証設備の運転支援業務及び一部改造工事を遂行中です。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫設備のEPC業務を遂行中です。
CO2利用・回収(CCU)分野では、米国Blue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術の開発とその事業化を推進しています。
新エネルギー分野では、世界最大級の蓄電池システム建設、太陽光発電設備(メガソーラー)建設、木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行するとともに、今後大きなマーケットが予測される洋上風力発電分野への参入を検討しています。
水素事業分野については、当社のSPERA水素技術の優位性を生かした事業化・商用化に向けて、より具体的な検討や協議を進めています。欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals及び三菱商事㈱とともに商業規模の水素輸入による欧州での国際間水素サプライチェーン構築の検討を開始しています。東南アジアでは、総合ユーティリティや都市開発を事業とするシンガポールのSembcorp Industries社、三菱商事㈱とともにシンガポールにおけるクリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて具体的な検討を進めています。国内では、本格的な水素の大量消費社会を見据え、ENEOS㈱が実施する製油所での実証事業において、ブルネイ・ダルサラーム国にある国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の実証で設置した次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合の設備で製造するメチルシクロヘキサンの製造・納入を開始し、日本に向けてタンカーで輸送する計画です。また、アンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
エネルギーマネジメント分野では、ベルギーのQpinch社と協業で、未利用排熱の有効活用を可能とするケミカルヒートポンプ技術の導入による産業設備の更なる省エネルギー化とCO2排出量削減を実現する事業を推進しています。また、アイルランドのGrid Beyond社との協業で、同社のVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)プラットフォームを活用し、産業設備による電力の需要調整力を創出することで再生可能エネルギーの更なる普及と電力の安定供給に貢献するVPP事業を推進しています。
インフラ分野では、2021年7月に受注したインドネシア銅製錬工場のEPC業務を開始しました。国内では、ポリプロピレン重合用触媒製造工場のEPC業務を遂行中です。
当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み状況は、次のとおりです。
全社DXを加速するために、社長直下にCDO室を新設しました。この体制のもと、デジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスへの取り組みを進めています。
プロジェクトデジタル変革では、プロジェクト遂行をフルデジタル化し、効率化、リスクマネジメント、収益力強化を目指します。EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを大型プロジェクトに順次適用しています。また、プラントの基本設計業務のうち空間設計にかかる工数の80%程度を削減し、従来の約5倍の速度で三次元モデルの作成を可能とする革新的な設計システムを当社及び㈱Arentが共同出資する㈱PlantStreamにより開発を進め、自社の設計業務を改革するとともに、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターへの販売を進めています。
コーポレートデジタル変革では、コーポレート運営をデジタルによって強化し、多様な働き方への対応を進めながら、事業パフォーマンスを向上し、かつ機動的なリソース配置の実現を目指します。デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化、電子認証・電子契約を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、デジタルAI技術でエンジニアリングの価値を拡大し、顧客のプラントの生産・操業のデジタル変革をエンジニアリングするとともに、新規事業の創出を加速していきます。国内外の顧客に対し、エンジニアリングの知見とデジタルAI技術を融合させたプラント操業の最適化ソリューションであるEFEXIS®及びCognite㈱、三菱商事㈱とともに進める、産業設備・プラント向けデジタルプラット
フォームソリューション Mirai Fusionの提供を拡大しています。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しております。
2 第2四半期連結会計期間より、エンジニアリング事業のうちエネルギー分野及び地球環境分野の内訳について一部名称及び区分定義を変更しており、前第3四半期連結累計期間についても変更後の区分定義に基づき開示しております。なお、報告セグメントの取扱いに変更はありません。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5億80百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間において、世界経済は新型コロナウイルス感染症の影響から依然として先行き予断を許さない状況が続くと見込まれます。
こうした状況の中、当社グループは、従業員及び関係先の健康と安全を最優先し、顧客と協力して必要な対応を速やかにとりながら手持ちプロジェクトを遂行しています。
当社グループを取り巻く事業環境は、脱炭素化・水素社会への移行の加速、低炭素・再生可能エネルギーの更なる普及、デジタル技術の革新的な進化など大きく変化しています。当社グループではこうした事業環境の変化を先取りして、当社グループの未来を拓く分野への展開を経営の重点施策の一翼として位置付けてきました。2021年5月には中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」をアップデートし、当面の安定収益を支える既存事業の深化と、当社の未来を拓く新規事業の取り組みをさらに加速していくことにしました。
既存事業で確実に収益を確保しながら、成長分野と位置付ける、再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギーマネジメント、ライフサイエンスなどの新規事業を強化し、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を図ることで、事業ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立し、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結累計期間の連結受注工事高は3,929億90百万円(前年同四半期比282.2%増)、連結完成工事高は2,170億98百万円(同10.7%減)であった結果、連結受注残高は1兆3,223億32百万円(前連結会計年度末比17.4%増)となりました。また、営業利益は82億76百万円(前年同四半期比36.5%増)、経常利益は87億59百万円(同41.1%増)となりましたが、イクシスLNGプロジェクト関連の特別損失203億74百万円の計上により、親会社株主に帰属する四半期純損失は136億58百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益64億67百万円)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、遂行中案件全般に影響が出ているというわけではなく、案件毎に異なる状況です。一部案件では進捗等に影響が見られるものの、大半の案件は想定内で遂行中であり、コスト削減や増益を達成できている案件もあります。なお、当第3四半期連結累計期間の連結財務諸表においては、同作成時点で見込まれる合理的な影響額を積算し、工事進捗度計算の基礎となる工事原価総額に織り込んだうえで、完成工事高及び完成工事原価を計上しています。
資産については、現金預金の減少196億90百万円、受取手形・完成工事未収入金及び契約資産の減少98億30百万円の一方で、ジョイントベンチャー持分資産の増加360億94百万円、未成工事支出金の増加68億79百万円などにより、資産合計は前連結会計年度末に比べ144億71百万円増加しました。
負債については、支払手形・工事未払金の減少219億52百万円の一方で、未払金の増加340億3百万円、契約負債の増加306億18百万円などにより、負債合計は前連結会計年度末に比べ356億93百万円増加しました。
純資産については、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上、配当金の支払いなどにより、利益剰余金が178億79百万円減少した結果、純資産合計は155億24百万円となりました。
当社の報告セグメントであるエンジニアリング事業の概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、米国、インドネシア、ナイジェリアでLNG(液化天然ガス)プラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。カタールでは、年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるNorth Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)のEPC業務を遂行中です。米国では、ゴールデンパスLNGプロジェクトのEPC業務を遂行中です。ナイジェリアのLNGプロジェクトでは、パートナーが実施する設計のレ
ビューなどの技術支援業務を行っています。その他ガス分野では、カタールの当社グループ会社がLNG・ガス処理プラントの改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社が建設したLNG受入基地の増強・改造・改修や火力発電所向けガス供給設備の新設等のEPC業務を遂行中であり、地震・津波災害対策工事については完工しました。
(石油・石油化学関係)
海外では、米国メキシコ湾岸でエチレン生産プラントのEPC業務を完工しました。マレーシアで残油流動接触分解装置のEPCC(設計・調達・建設・試運転)業務を遂行中です。
国内では、石油会社向けに、製油所の競争力強化、設備更新の工事、耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、船舶燃料硫黄分規制への対策を目的とした既設設備改修工事を完工しました。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設及び付帯設備、バイオ医薬品原薬製造工場のEPC業務を遂行中です。EPC事業分野以外では、当社の連続フロー合成技術を実装することを目的とし、シオノギファーマ㈱が中心となって設立する、医薬品原薬・中間体の連続生産技術を用いた開発製造受託事業を行う合弁会社に参画することを決定しました。
一般化学分野では、カーボンリサイクル技術の確立に向けて、産学官連携でCO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造についての研究開発に取り組んでいます。さらに、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を遂行しています。
植物工場分野では、業界における大手生産・運営事業者であるMIRAI㈱と業務提携による体制強化を図り、商業設備の導入推進に取り組んでいます。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドで環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。
国内では、火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵する(CCS)実証設備の運転支援業務及び一部改造工事を遂行中です。また、石炭火力発電所向けの排煙脱硫設備のEPC業務を遂行中です。
CO2利用・回収(CCU)分野では、米国Blue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術の開発とその事業化を推進しています。
新エネルギー分野では、世界最大級の蓄電池システム建設、太陽光発電設備(メガソーラー)建設、木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行するとともに、今後大きなマーケットが予測される洋上風力発電分野への参入を検討しています。
水素事業分野については、当社のSPERA水素技術の優位性を生かした事業化・商用化に向けて、より具体的な検討や協議を進めています。欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals及び三菱商事㈱とともに商業規模の水素輸入による欧州での国際間水素サプライチェーン構築の検討を開始しています。東南アジアでは、総合ユーティリティや都市開発を事業とするシンガポールのSembcorp Industries社、三菱商事㈱とともにシンガポールにおけるクリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて具体的な検討を進めています。国内では、本格的な水素の大量消費社会を見据え、ENEOS㈱が実施する製油所での実証事業において、ブルネイ・ダルサラーム国にある国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の実証で設置した次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合の設備で製造するメチルシクロヘキサンの製造・納入を開始し、日本に向けてタンカーで輸送する計画です。また、アンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
エネルギーマネジメント分野では、ベルギーのQpinch社と協業で、未利用排熱の有効活用を可能とするケミカルヒートポンプ技術の導入による産業設備の更なる省エネルギー化とCO2排出量削減を実現する事業を推進しています。また、アイルランドのGrid Beyond社との協業で、同社のVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)プラットフォームを活用し、産業設備による電力の需要調整力を創出することで再生可能エネルギーの更なる普及と電力の安定供給に貢献するVPP事業を推進しています。
インフラ分野では、2021年7月に受注したインドネシア銅製錬工場のEPC業務を開始しました。国内では、ポリプロピレン重合用触媒製造工場のEPC業務を遂行中です。
当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み状況は、次のとおりです。
全社DXを加速するために、社長直下にCDO室を新設しました。この体制のもと、デジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスへの取り組みを進めています。
プロジェクトデジタル変革では、プロジェクト遂行をフルデジタル化し、効率化、リスクマネジメント、収益力強化を目指します。EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)適用のためのシステムを大型プロジェクトに順次適用しています。また、プラントの基本設計業務のうち空間設計にかかる工数の80%程度を削減し、従来の約5倍の速度で三次元モデルの作成を可能とする革新的な設計システムを当社及び㈱Arentが共同出資する㈱PlantStreamにより開発を進め、自社の設計業務を改革するとともに、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターへの販売を進めています。
コーポレートデジタル変革では、コーポレート運営をデジタルによって強化し、多様な働き方への対応を進めながら、事業パフォーマンスを向上し、かつ機動的なリソース配置の実現を目指します。デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化、電子認証・電子契約を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、デジタルAI技術でエンジニアリングの価値を拡大し、顧客のプラントの生産・操業のデジタル変革をエンジニアリングするとともに、新規事業の創出を加速していきます。国内外の顧客に対し、エンジニアリングの知見とデジタルAI技術を融合させたプラント操業の最適化ソリューションであるEFEXIS®及びCognite㈱、三菱商事㈱とともに進める、産業設備・プラント向けデジタルプラット
フォームソリューション Mirai Fusionの提供を拡大しています。
受注高、完成工事高、受注残高の実績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 前第3四半期連結累計期間 (自 2020年4月1日 至 2020年12月31日) | 当第3四半期連結累計期間 (自 2021年4月1日 至 2021年12月31日) | |||||
受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | 受注高 (構成比) | 完成工事高 (構成比) | 受注残高 (構成比) | ||
1 エンジニアリング事業 | 102,285 | 242,450 | 626,755 | 392,466 | 216,575 | 1,322,332 | |
( 99.5%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ( 99.9%) | ( 99.8%) | (100.0%) | ||
エネルギー 分野 | (1) LNGプラント関係 | 12,567 | 86,437 | 322,094 | 10,623 | 109,437 | 877,764 |
( 12.2%) | ( 35.6%) | ( 51.4%) | ( 2.7%) | ( 50.4%) | ( 66.4%) | ||
(2) その他ガス関係 | 2,201 | 8,389 | 7,908 | 546 | 3,568 | 2,813 | |
( 2.2%) | ( 3.4%) | ( 1.3%) | ( 0.1%) | ( 1.7%) | ( 0.2%) | ||
(3) 石油・石油化学関係 | 37,769 | 95,336 | 67,611 | 25,421 | 46,957 | 29,231 | |
( 36.7%) | ( 39.2%) | ( 10.8%) | ( 6.5%) | ( 21.6%) | ( 2.2%) | ||
地球環境 分野 | (4) 医薬・生化学 ・一般化学関係 | 38,743 | 16,650 | 41,976 | 29,484 | 21,852 | 50,713 |
( 37.7%) | ( 6.9%) | ( 6.7%) | ( 7.5%) | ( 10.1%) | ( 3.8%) | ||
(5) 環境・新エネルギー ・インフラ関係 | 8,015 | 32,769 | 185,079 | 324,063 | 32,287 | 359,713 | |
( 7.8%) | ( 13.5%) | ( 29.5%) | ( 82.5%) | ( 14.9%) | ( 27.2%) | ||
(6) その他 | 2,988 | 2,867 | 2,084 | 2,326 | 2,471 | 2,096 | |
( 2.9%) | ( 1.2%) | ( 0.3%) | ( 0.6%) | ( 1.1%) | ( 0.2%) | ||
2 その他の事業 | 525 | 525 | - | 523 | 523 | - | |
( 0.5%) | ( 0.2%) | ( -) | ( 0.1%) | ( 0.2%) | ( -) | ||
合 計 | 102,810 | 242,976 | 626,755 | 392,990 | 217,098 | 1,322,332 | |
(100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | (100.0%) | ||
国 内 | 81,714 | 105,391 | 154,022 | 64,336 | 89,250 | 108,927 | |
( 79.5%) | ( 43.4%) | ( 24.6%) | ( 16.4%) | ( 41.1%) | ( 8.2%) | ||
海 外 | 21,095 | 137,584 | 472,733 | 328,653 | 127,847 | 1,213,405 | |
( 20.5%) | ( 56.6%) | ( 75.4%) | ( 83.6%) | ( 58.9%) | ( 91.8%) |
(注)1 受注残高を算出するに当たっては、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しております。
2 第2四半期連結会計期間より、エンジニアリング事業のうちエネルギー分野及び地球環境分野の内訳について一部名称及び区分定義を変更しており、前第3四半期連結累計期間についても変更後の区分定義に基づき開示しております。なお、報告セグメントの取扱いに変更はありません。
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5億80百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。