有価証券報告書-第95期(2022/04/01-2023/03/31)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において判断したものです。
<経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容>当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、世界各国では新型コロナウイルス感染症の規制の緩和・撤廃により、経済活動に回復の兆しが見られた一方、ロシア・ウクライナ情勢の影響が長期化していることやインフレの継続などから、世界経済の先行きが不透明な状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループを取り巻く事業環境では、気候変動問題への対応としてカーボンニュートラルや脱炭素化社会への移行の動きが加速する一方、ロシア・ウクライナ情勢を背景にエネルギーの安定供給との両立が改めて課題となっています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」ではこうした事業環境の変化を先取りし、エネルギーの
安定供給とエネルギートランジションを支える資源として重要性が高まっているLNG(液化天然ガス)を主体とする既存事業の深化、成長分野と位置付ける再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギー運用最適化、ライフサイエンスなどの新規事業の強化、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を進めています。
また、再生と未来に向けたビジョンの取組みを加速するため、当社グループはカーボンニュートラル宣言を公表しました。エンジニアリングの総合力にデジタル革新技術を活用して「2050年ネットゼロ」社会の実現に貢献していきます。
引き続き既存事業の着実な進捗と新規事業の加速により「エンジニアリングの新たな価値」を創出し、事業ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立することで、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当連結会計年度における業績は、次のとおりです。
(受注工事高)
受注工事高は、前連結会計年度比62.7%減の1,549億75百万円となりました。なお、当連結会計年度末受注残高は
1兆1,488億90百万円となりました。受注工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事高)
完成工事高は、前連結会計年度比38.3%増の4,301億63百万円となりました。完成工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事総利益)
完成工事総利益は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的なインフレ等がありましたが、案件は堅調に進捗したことから、前連結会計年度の完成工事総利益227億94百万円に対し、327億9百万円となりました。また、完成工事総利益率は前連結会計年度の7.3%から0.3ポイント増加し7.6%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴う営業活動の活発化および成長戦略を推進するための研究開発費の増加等により、前連結会計年度に比べ23億43百万円増加し145億92百万円となりました。また、販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度の3.9%から0.5ポイント減少し3.4%となりました。
(営業利益)
営業利益は、完成工事総利益と同様の理由により、前連結会計年度に比べ75億71百万円増加し181億16百万円となりました。
(営業外収益・営業外費用)
営業外収益は、海外プロジェクト資金の運用利益等により、前連結会計年度に比べ18億99百万円増加し43億57百万円となりました。また、営業外費用は、為替差損等により、前連結会計年度に比べ5億80百万円増加し21億52百万円となりました。この結果、営業外収支は22億5百万円の収益となりました。
(経常利益)
経常利益は、完成工事総利益と同様の理由及び営業外収益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ88億90百万円増加し203億22百万円となりました。
(特別利益・特別損失)
特別利益及び特別損失は、前連結会計年度が206億90百万円の損失超過であったのに対し、当連結会計年度は、関係会社清算益および関係会社株式売却益等の計上により5億7百万円の収益超過となりました。
(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ300億87百万円増加し208億29百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は55億11百万円、法人税等調整額は1億17百万円となり、前連結会計年度に比べ20億59百万円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ278億17百万円増加し151億87百万円となりました。
報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、アメリカ、インドネシアでLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるカタールNorth Field East LNG輸出基地案件(NFE
プロジェクト)では本設プラントの土木工事が、アメリカのゴールデンパスLNGプロジェクトでは建設工事が
それぞれ本格化し進捗しています。また、インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト(第3系列)は完工に
向けて最終盤を迎えています。その他ガス分野では、カタールで当社グループ会社がLNG・ガス処理プラント
の改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社グループが建設したLNG受入基地の改造・改修工事を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は607億31百万円(前連結会計年度比267.4%増)となり、完成工事高は2,423億83百万円(同51.9%増)となりました。
(石油・石油化学関係)
国内では、石油会社向けに、製油所の設備更新工事、省エネやカーボンニュートラルに資する各種検討及び
耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、石油化学分野では機能材案件のEPC
業務を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は359億29百万円(同11.1%増)となり、完成工事高は295億51百万円(同47.9%減)となりました。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け案件において、遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設及び付帯設備を完工しました。また、その他製薬会社向けバイオ医薬品原薬製造設備のEPC業務を
遂行中で、新たに医薬品原薬製造設備の建設も受注しました。
当社は、シオノギファーマ㈱が設立したPharmira㈱に出資参画しており、医薬品原薬・中間体製造に関する革新的な連続生産技術を実装化する役割を担っています。また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術
総合開発機構(NEDO)助成事業にて、産学連携で「植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発」を
進めています。
一般化学分野では、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を実施しました。
当連結会計年度の受注工事高は267億50百万円(同34.9%減)となり、完成工事高は340億96百万円(同4.3%増)となりました。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドにおける環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社
のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。また、国内顧客向けには、石炭火力発電所向け
の排煙脱硫設備のEPC業務を完工しました。
新エネルギー分野では、太陽光発電設備(メガソーラー)建設や木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行中です。
インフラ分野では、インドネシアで単一製造ラインとして世界最大規模となる銅製錬工場のEPC業務を遂行中で、建設工事が本格化しています。国内では、EPC業務を遂行していたポリプロピレン重合用触媒製造工場が
完工したほか、新規案件として先端素材工場のFEED(基本設計)業務を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は258億51百万円(92.0%減)となり、完成工事高は1,192億27百万円(同101.8%増)となりました。
≪脱炭素ビジネスの取組み≫
水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCU(Carbon dioxide Capture and
Utilization)、エネルギーマネジメントの取組みは以下のとおりです。
(水素・アンモニア)
水素分野では、当社の独自技術であるSPERA水素™技術の優位性を生かした水素サプライチェーンの構築に向けて、シンガポール、欧州で具体的な案件や検討を進めています。
シンガポールでは、商用規模のクリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて、同国有数の総合ユー
ティリティで政府系コングロマリットであるSembcorp Industries社、三菱商事㈱と概念設計を遂行中で、
2026年に商業水素供給開始を目標としています。
欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals社、三菱商事㈱とともに、商業規模の水素
輸入による国際間水素サプライチェーン構築の検討を進めています。また、イギリス・スコットランドから
オランダ・ロッテルダム港への水素海上輸送プロジェクトに参画、事業化調査を実施中です。
国内では、水素バリューチェーン推進協議会の理事会社として、社会実装プロジェクトの創出と政策支援の実現などに向けて活動しています。
アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進めています。また、国内における
アンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
(CCS/CCU)
CCS分野では、国内火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵するCCS実証設備の運転支援業務を
遂行しました。また、大規模な天然ガス火力発電所で発生する排ガスから固体吸収材を用いてCO2を分離・回収
する技術開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。加えて、CO2の回収・CCSシステム設計におけるグローバルリーダーであるPace CCS社とCCS分野での協業に関する覚書を締結、CCSプロジェクトのFS(Feasibility Study)やコンセプトデザインからFEED/EPCまで幅広く展開していきます。
東南アジアでは、インドネシア国営石油会社プルタミナ社と脱炭素循環技術の共同検討業務契約を、タイ
発電公社EGAT社とクリーン水素・アンモニア バリューチェーン検討覚書をそれぞれ締結し、両国におけるカーボンニュートラル社会への早期移行に貢献していきます。
CCU分野では、産学官連携で、CO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造の研究開発に取り組んでいます。また、アメリカBlue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術開発を推進しています。加えて、産学官連携で、大気中のCO2の回収・
資源化の研究開発も取り組んでいます。
ドイツのINERATEC社とe-fuel製造による脱炭素化促進に向けた戦略的協業に関する覚書を締結し、同社の
最先端PtXテクノロジーを活用することで、e-fuel分野に展開していきます。加えて、CO2と水素を用いた合成燃料製造の実証プラント建設工事を受注し、遂行中です。
(エネルギーマネジメント)
北海道北部風力送電㈱向け世界最大級の大型蓄電池システム建設工事を2023年3月に完工し、4月から運転を開始しました。同システムの20年間に亘る保守業務も受注しています。また、蓄電池事業においては新規
案件も順調に推進しています。エネルギーマネジメントシステム分野として、スタートアップ企業と連携して国内向けにVPP(Virtual Power Plant)事業などの取組みを強化しています。
その他、再生可能エネルギーの効率的な活用に資する蓄エネルギー活用や地域分散型のエネルギー供給システムの構築を進めています。
≪デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組み≫
全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル
変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスの取組みを進めています。2022年12月に経済産業省が進めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定されました。
プロジェクトデジタル変革では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)を大型プロジェクトに順次適用しています。また、㈱Arent及び当社が共同出資した㈱PlantStreamが開発した革新的な空間設計システムは、当社グループの設計業務を改革するとともに、国内外のプラントオーナーやEPCコントラク
ターでの導入が進んでいます。
コーポレートデジタル変革では、デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、リソース
計画・人財管理の高度化、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、プラント運転・保守ソリューションとDX事業を再編・統合し、顧客のプラント
運転・保全業務の変革を支援するソリューション事業を展開していきます。また、アメリカVisionaize社と
協業で国内外の顧客に産業設備/プラントの運転・保守業務に大きな変革をもたらす3D デジタルツインの提供を開始しました。
経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項、及び、それらに対する対応については、3.事業等のリスクに記載しています。
カタール、アメリカ、インドネシアで遂行中のLNG等のプロジェクトのほか、手持ちEPC案件を着実に遂行していくことに加え、2021年5月に公表した「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」のアップデートでも言及しているとおり、脱炭素社会への移行加速や石油ガス業界の急激な変革進行への対応、再生可能エネルギー分野及び医薬ライフサイエンス分野等の更なる強化、並びにデジタル徹底活用による全社事業変革を強力に推し進めていきます。
また、当社グループは、従業員が心身ともに健康を保持して能力を最大限に発揮することが当社グループの経営理念達成や競争力の向上に不可欠であると考え、人財たる従業員を支えるため健康経営に取り組んでおり、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人」を2021年から3年連続で取得しています。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 受注実績
なお、国内及び海外の受注高並びに受注残高の内訳は、次のとおりです。
(注) 受注残高の( )内の数字は、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。
② 売上実績
なお、国内及び海外の売上実績の内訳は、次のとおりです。
(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
2 主な相手先別の売上実績及び総売上高に対する割合は次のとおりです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は1,066億82百万円となり、前連結会計年度末残高より375億82百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
営業活動による資金収支
税金等調整前当期純利益の計上に加え、未収入金の回収、運転資金負担の改善などにより、当連結会計年度における営業活動による資金収支は、441億57百万円のプラスとなりました。
投資活動による資金収支
ライフサイエンス事業への新規投資の一方、定期預金の払戻などにより、当連結会計年度における投資活動による資金収支は、78億89百万円のプラスとなりました。
財務活動による資金収支
長期借入金の新規調達の一方、返済などにより、当連結会計年度における財務活動による資金収支は、170億57百万円のマイナスとなりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社が受注した国内外のプラント建設に関わる費用、販売費及び一般管理費のほか、今後の成長戦略を支えるための投資です。販売費及び一般管理費のうち主なものは、従業員給与 手当等の人件費のほか、業務委託費等です。当社の研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が過半を占めています。
今後の成長戦略を支えるための投資については、当社グループは2021年5月にアップデートされた中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」で事業ポートフォリオと収益構造の革新を掲げており、既存事業の深化を図りながら、当社の未来を拓く新規事業を加速することで、事業基盤を強化し、持続的な成長を実現していくことを目指しています。資金配分については、このビジョンに沿って既存事業の深化と新規事業の加速をバランスよく実行していきます。
既存事業の深化では、EPC業務プロセスの変革とプロジェクト遂行力の強化に重点的に投資していきます。新規事業の加速では、カーボンニュートラル分野、ライフサイエンス分野を対象とした投資を強化していきます。そして、両分野でのビジネスモデルにさらなる付加価値を付けていくためにデジタルトランスフォーメーションを図る投資も推進していきます。
③ 財務政策
当社グループは、上記中期経営計画を確実に遂行するうえで、長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、安定した財務基盤を維持すること、及び新規事業の加速に備えた資金余力を確保するため、自己資本比率については20%以上を安定的に維持することを目標としています。
また、資金需要に対しては、内部資金又は借入により資金調達することとしています。資金の流動性については、三菱商事㈱の完全子会社である三菱商事フィナンシャルサービス㈱と総額800億円の融資枠及び金融機関と当座貸越契約を締結し十分に確保しています。
上記財源を適切に活用し、中期経営計画で掲げた事業環境の変化を捉えた事業ポートフォリオと収益構造の変革を加速させ、当社グループを安定的に運営する資金を創出していくと同時に、その延長線上で、安定的な配当を早期に実施できるように努めていきます。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが要求されます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて判断及び見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。
当社グループの見積りや判断を含む重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項」に記載しています。また、会計方針の適用において使用される当社の判断と見積りのうち、当社グループの連結財務諸表の報告額に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるものについては、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において判断したものです。
<経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容>当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、世界各国では新型コロナウイルス感染症の規制の緩和・撤廃により、経済活動に回復の兆しが見られた一方、ロシア・ウクライナ情勢の影響が長期化していることやインフレの継続などから、世界経済の先行きが不透明な状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループを取り巻く事業環境では、気候変動問題への対応としてカーボンニュートラルや脱炭素化社会への移行の動きが加速する一方、ロシア・ウクライナ情勢を背景にエネルギーの安定供給との両立が改めて課題となっています。
中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」ではこうした事業環境の変化を先取りし、エネルギーの
安定供給とエネルギートランジションを支える資源として重要性が高まっているLNG(液化天然ガス)を主体とする既存事業の深化、成長分野と位置付ける再生可能エネルギー、水素、炭素循環、エネルギー運用最適化、ライフサイエンスなどの新規事業の強化、デジタルトランスフォーメーションを通じたビジネスモデルの付加価値向上を進めています。
また、再生と未来に向けたビジョンの取組みを加速するため、当社グループはカーボンニュートラル宣言を公表しました。エンジニアリングの総合力にデジタル革新技術を活用して「2050年ネットゼロ」社会の実現に貢献していきます。
引き続き既存事業の着実な進捗と新規事業の加速により「エンジニアリングの新たな価値」を創出し、事業ポートフォリオの革新を進め、安定的な収益基盤を確立することで、持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指します。
当連結会計年度における業績は、次のとおりです。
(受注工事高)
受注工事高は、前連結会計年度比62.7%減の1,549億75百万円となりました。なお、当連結会計年度末受注残高は
1兆1,488億90百万円となりました。受注工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事高)
完成工事高は、前連結会計年度比38.3%増の4,301億63百万円となりました。完成工事高の概要は、「報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況」に記載のとおりです。
(完成工事総利益)
完成工事総利益は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的なインフレ等がありましたが、案件は堅調に進捗したことから、前連結会計年度の完成工事総利益227億94百万円に対し、327億9百万円となりました。また、完成工事総利益率は前連結会計年度の7.3%から0.3ポイント増加し7.6%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴う営業活動の活発化および成長戦略を推進するための研究開発費の増加等により、前連結会計年度に比べ23億43百万円増加し145億92百万円となりました。また、販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度の3.9%から0.5ポイント減少し3.4%となりました。
(営業利益)
営業利益は、完成工事総利益と同様の理由により、前連結会計年度に比べ75億71百万円増加し181億16百万円となりました。
(営業外収益・営業外費用)
営業外収益は、海外プロジェクト資金の運用利益等により、前連結会計年度に比べ18億99百万円増加し43億57百万円となりました。また、営業外費用は、為替差損等により、前連結会計年度に比べ5億80百万円増加し21億52百万円となりました。この結果、営業外収支は22億5百万円の収益となりました。
(経常利益)
経常利益は、完成工事総利益と同様の理由及び営業外収益が増加したことにより、前連結会計年度に比べ88億90百万円増加し203億22百万円となりました。
(特別利益・特別損失)
特別利益及び特別損失は、前連結会計年度が206億90百万円の損失超過であったのに対し、当連結会計年度は、関係会社清算益および関係会社株式売却益等の計上により5億7百万円の収益超過となりました。
(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ300億87百万円増加し208億29百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は55億11百万円、法人税等調整額は1億17百万円となり、前連結会計年度に比べ20億59百万円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ278億17百万円増加し151億87百万円となりました。
報告セグメントであるエンジニアリング事業の分野別概況は、次のとおりです。
[エネルギー分野]
(LNG・その他ガス関係)
海外では、カタール、アメリカ、インドネシアでLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を遂行中です。年産800万トンのLNGプラント4系列の増設案件であるカタールNorth Field East LNG輸出基地案件(NFE
プロジェクト)では本設プラントの土木工事が、アメリカのゴールデンパスLNGプロジェクトでは建設工事が
それぞれ本格化し進捗しています。また、インドネシアのタングーLNG拡張プロジェクト(第3系列)は完工に
向けて最終盤を迎えています。その他ガス分野では、カタールで当社グループ会社がLNG・ガス処理プラント
の改造・改修案件に係る複数の設計業務を遂行中です。
国内では、当社グループが建設したLNG受入基地の改造・改修工事を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は607億31百万円(前連結会計年度比267.4%増)となり、完成工事高は2,423億83百万円(同51.9%増)となりました。
(石油・石油化学関係)
国内では、石油会社向けに、製油所の設備更新工事、省エネやカーボンニュートラルに資する各種検討及び
耐震補強等の国土強靭化基本法対応の検討業務などを遂行中です。また、石油化学分野では機能材案件のEPC
業務を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は359億29百万円(同11.1%増)となり、完成工事高は295億51百万円(同47.9%減)となりました。
[地球環境分野]
(医薬・生化学・一般化学関係)
医薬・生化学分野では、塩野義製薬㈱向け案件において、遺伝子組換えタンパク質によるワクチン原薬製造設備の増設及び付帯設備を完工しました。また、その他製薬会社向けバイオ医薬品原薬製造設備のEPC業務を
遂行中で、新たに医薬品原薬製造設備の建設も受注しました。
当社は、シオノギファーマ㈱が設立したPharmira㈱に出資参画しており、医薬品原薬・中間体製造に関する革新的な連続生産技術を実装化する役割を担っています。また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術
総合開発機構(NEDO)助成事業にて、産学連携で「植物による高度修飾タンパク質の大量生産技術の開発」を
進めています。
一般化学分野では、顧客の廃プラスチックのリサイクル事業について基本設計業務を実施しました。
当連結会計年度の受注工事高は267億50百万円(同34.9%減)となり、完成工事高は340億96百万円(同4.3%増)となりました。
(環境・新エネルギー・インフラ関係)
環境分野では、インドにおける環境規制強化により石炭火力発電所への排煙脱硫設備の導入が進む中、当社
のCT-121排煙脱硫プロセスが複数の案件に活用されています。また、国内顧客向けには、石炭火力発電所向け
の排煙脱硫設備のEPC業務を完工しました。
新エネルギー分野では、太陽光発電設備(メガソーラー)建設や木質ペレットを燃料とする国内最大級のバイオマス発電所建設に係るEPC業務を遂行中です。
インフラ分野では、インドネシアで単一製造ラインとして世界最大規模となる銅製錬工場のEPC業務を遂行中で、建設工事が本格化しています。国内では、EPC業務を遂行していたポリプロピレン重合用触媒製造工場が
完工したほか、新規案件として先端素材工場のFEED(基本設計)業務を遂行中です。
当連結会計年度の受注工事高は258億51百万円(92.0%減)となり、完成工事高は1,192億27百万円(同101.8%増)となりました。
≪脱炭素ビジネスの取組み≫
水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)/CCU(Carbon dioxide Capture and
Utilization)、エネルギーマネジメントの取組みは以下のとおりです。
(水素・アンモニア)
水素分野では、当社の独自技術であるSPERA水素™技術の優位性を生かした水素サプライチェーンの構築に向けて、シンガポール、欧州で具体的な案件や検討を進めています。
シンガポールでは、商用規模のクリーン水素サプライチェーン事業の実現に向けて、同国有数の総合ユー
ティリティで政府系コングロマリットであるSembcorp Industries社、三菱商事㈱と概念設計を遂行中で、
2026年に商業水素供給開始を目標としています。
欧州では、オランダのロッテルダム港湾公社、Koole Terminals社、三菱商事㈱とともに、商業規模の水素
輸入による国際間水素サプライチェーン構築の検討を進めています。また、イギリス・スコットランドから
オランダ・ロッテルダム港への水素海上輸送プロジェクトに参画、事業化調査を実施中です。
国内では、水素バリューチェーン推進協議会の理事会社として、社会実装プロジェクトの創出と政策支援の実現などに向けて活動しています。
アンモニア関連分野では、当社が主幹事会社となり、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、産学官連携で製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進めています。また、国内における
アンモニア受入設備や水素燃料供給に関する複数の検討業務を遂行中です。
(CCS/CCU)
CCS分野では、国内火力発電所の燃焼廃ガスからCO2を分離・回収・貯蔵するCCS実証設備の運転支援業務を
遂行しました。また、大規模な天然ガス火力発電所で発生する排ガスから固体吸収材を用いてCO2を分離・回収
する技術開発をNEDOのグリーンイノベーション基金事業として進めています。加えて、CO2の回収・CCSシステム設計におけるグローバルリーダーであるPace CCS社とCCS分野での協業に関する覚書を締結、CCSプロジェクトのFS(Feasibility Study)やコンセプトデザインからFEED/EPCまで幅広く展開していきます。
東南アジアでは、インドネシア国営石油会社プルタミナ社と脱炭素循環技術の共同検討業務契約を、タイ
発電公社EGAT社とクリーン水素・アンモニア バリューチェーン検討覚書をそれぞれ締結し、両国におけるカーボンニュートラル社会への早期移行に貢献していきます。
CCU分野では、産学官連携で、CO2の回収・資源化やCO2を原料とするパラキシレン製造の研究開発に取り組んでいます。また、アメリカBlue Planet社、三菱商事㈱との協業で、排ガス等に含まれるCO2を原料にしてコンクリート原料である骨材を製造する技術開発を推進しています。加えて、産学官連携で、大気中のCO2の回収・
資源化の研究開発も取り組んでいます。
ドイツのINERATEC社とe-fuel製造による脱炭素化促進に向けた戦略的協業に関する覚書を締結し、同社の
最先端PtXテクノロジーを活用することで、e-fuel分野に展開していきます。加えて、CO2と水素を用いた合成燃料製造の実証プラント建設工事を受注し、遂行中です。
(エネルギーマネジメント)
北海道北部風力送電㈱向け世界最大級の大型蓄電池システム建設工事を2023年3月に完工し、4月から運転を開始しました。同システムの20年間に亘る保守業務も受注しています。また、蓄電池事業においては新規
案件も順調に推進しています。エネルギーマネジメントシステム分野として、スタートアップ企業と連携して国内向けにVPP(Virtual Power Plant)事業などの取組みを強化しています。
その他、再生可能エネルギーの効率的な活用に資する蓄エネルギー活用や地域分散型のエネルギー供給システムの構築を進めています。
≪デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組み≫
全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX意識・文化の醸成等を図るとともに、プロジェクトデジタル
変革、コーポレートデジタル変革、デジタル変革ビジネスの取組みを進めています。2022年12月に経済産業省が進めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に認定されました。
プロジェクトデジタル変革では、EPC遂行管理力の進化に向けて、AWP(Advanced Work Packaging)を大型プロジェクトに順次適用しています。また、㈱Arent及び当社が共同出資した㈱PlantStreamが開発した革新的な空間設計システムは、当社グループの設計業務を改革するとともに、国内外のプラントオーナーやEPCコントラク
ターでの導入が進んでいます。
コーポレートデジタル変革では、デジタル技術を活用したリモートワーク環境の更なる整備、リソース
計画・人財管理の高度化、ロボティックスプロセスオートメーション導入による管理業務の効率化を推進しています。
デジタル変革ビジネスでは、プラント運転・保守ソリューションとDX事業を再編・統合し、顧客のプラント
運転・保全業務の変革を支援するソリューション事業を展開していきます。また、アメリカVisionaize社と
協業で国内外の顧客に産業設備/プラントの運転・保守業務に大きな変革をもたらす3D デジタルツインの提供を開始しました。
経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項、及び、それらに対する対応については、3.事業等のリスクに記載しています。
カタール、アメリカ、インドネシアで遂行中のLNG等のプロジェクトのほか、手持ちEPC案件を着実に遂行していくことに加え、2021年5月に公表した「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」のアップデートでも言及しているとおり、脱炭素社会への移行加速や石油ガス業界の急激な変革進行への対応、再生可能エネルギー分野及び医薬ライフサイエンス分野等の更なる強化、並びにデジタル徹底活用による全社事業変革を強力に推し進めていきます。
また、当社グループは、従業員が心身ともに健康を保持して能力を最大限に発揮することが当社グループの経営理念達成や競争力の向上に不可欠であると考え、人財たる従業員を支えるため健康経営に取り組んでおり、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人」を2021年から3年連続で取得しています。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 受注実績
事業部門の名称 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||||||
受注高 | 受注残高 | 受注高 | 受注残高 | ||||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) ⦅前年同期比⦆ | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | ||
1 エンジニアリング事業 | 415,219 | 99.9 | 1,331,014 | 100.0 | 154,347 | 99.6 | 1,148,890 | 100.0 | |
(100,117) | ⦅62.8%減⦆ | (93,065) | |||||||
エネルギー 分野 | (1) LNGプラント関係 | 15,292 | 3.7 | 914,960 | 68.8 | 55,508 | 35.8 | 811,656 | 70.6 |
(98,935) | ⦅263.0%増⦆ | (80,503) | |||||||
(2) その他ガス関係 | 1,235 | 0.3 | 3,006 | 0.2 | 5,223 | 3.4 | 5,162 | 0.5 | |
(△197) | ⦅322.7%増⦆ | (0) | |||||||
(3) 石油・石油化学関係 | 32,352 | 7.8 | 27,188 | 2.0 | 35,929 | 23.2 | 26,655 | 2.3 | |
(1,575) | ⦅11.1%増⦆ | (△6,911) | |||||||
地球環境 分野 | (4) 医薬・生化学 ・一般化学関係 | 41,117 | 9.9 | 50,429 | 3.8 | 26,750 | 17.2 | 42,698 | 3.7 |
(△1,292) | ⦅34.9%減⦆ | (△384) | |||||||
(5) 環境・新エネルギー ・インフラ関係 | 322,366 | 77.5 | 332,737 | 25.0 | 25,851 | 16.7 | 259,129 | 22.6 | |
(1,015) | ⦅92.0%減⦆ | (19,767) | |||||||
(6) その他 | 2,854 | 0.7 | 2,690 | 0.2 | 5,085 | 3.3 | 3,589 | 0.3 | |
(81) | ⦅78.1%増⦆ | (89) | |||||||
2 その他の事業 | 721 | 0.1 | - | - | 627 | 0.4 | - | - | |
( -) | ⦅12.9%減⦆ | ( -) | |||||||
総 合 計 | 415,940 | 100.0 | 1,331,014 | 100.0 | 154,975 | 100.0 | 1,148,890 | 100.0 | |
(100,117) | ⦅62.7%減⦆ | (93,065) |
なお、国内及び海外の受注高並びに受注残高の内訳は、次のとおりです。
国内外内訳 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||||||
受注高 | 受注残高 | 受注高 | 受注残高 | |||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) ⦅前年同期比⦆ | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |
国 内 | 86,525 | 20.8 | 104,121 | 7.8 | 87,161 | 56.2 | 92,247 | 8.0 |
(82) | ⦅0.7%増⦆ | (△5,846) | ||||||
海 外 | 329,414 | 79.2 | 1,226,893 | 92.2 | 67,813 | 43.8 | 1,056,643 | 92.0 |
(100,034) | ⦅79.4%減⦆ | (98,911) | ||||||
合 計 | 415,940 | 100.0 | 1,331,014 | 100.0 | 154,975 | 100.0 | 1,148,890 | 100.0 |
(100,117) | ⦅62.7%減⦆ | (93,065) |
(注) 受注残高の( )内の数字は、前連結会計年度以前に受注した工事の契約変更等による減額及び外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額の合計を加味しています。
② 売上実績
事業部門の名称 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) ⦅前年同期比⦆ | 構成比(%) | ||
1 エンジニアリング事業 | 310,394 | 99.8 | 429,535 | 99.8 | |
⦅38.4%増⦆ | |||||
エネルギー 分野 | (1) LNGプラント関係 | 155,454 | 50.0 | 239,315 | 55.6 |
⦅53.9%増⦆ | |||||
(2) その他ガス関係 | 4,063 | 1.3 | 3,068 | 0.7 | |
⦅24.5%減⦆ | |||||
(3) 石油・石油化学関係 | 56,670 | 18.2 | 29,551 | 6.9 | |
⦅47.9%減⦆ | |||||
地球環境 分野 | (4) 医薬・生化学 ・一般化学関係 | 32,681 | 10.5 | 34,096 | 7.9 |
⦅4.3%増⦆ | |||||
(5) 環境・新エネルギー ・インフラ関係 | 59,069 | 19.0 | 119,227 | 27.7 | |
⦅101.8%増⦆ | |||||
(6) その他 | 2,455 | 0.8 | 4,275 | 1.0 | |
⦅74.1%増⦆ | |||||
2 その他の事業 | 721 | 0.2 | 627 | 0.2 | |
⦅12.9%減⦆ | |||||
総 合 計 | 311,115 | 100.0 | 430,163 | 100.0 | |
⦅38.3%増⦆ |
なお、国内及び海外の売上実績の内訳は、次のとおりです。
国内外内訳 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) ⦅前年同期比⦆ | 構成比(%) | |
国 内 | 117,677 | 37.8 | 93,189 | 21.7 |
⦅20.8%減⦆ | ||||
海 外 | 193,437 | 62.2 | 336,974 | 78.3 |
⦅74.2%増⦆ | ||||
合 計 | 311,115 | 100.0 | 430,163 | 100.0 |
⦅38.3%増⦆ |
(注) 1 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
2 主な相手先別の売上実績及び総売上高に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||||
相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) | 相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) |
カタールエナジー | 75,437 | 24.2 | カタールエナジー | 146,126 | 34.0 |
ビーピー・ベラウ・エルティーディー | 31,521 | 10.1 | ピーティー・フリーポート・インドネシア | 91,256 | 21.2 |
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は1,066億82百万円となり、前連結会計年度末残高より375億82百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
営業活動による資金収支
税金等調整前当期純利益の計上に加え、未収入金の回収、運転資金負担の改善などにより、当連結会計年度における営業活動による資金収支は、441億57百万円のプラスとなりました。
投資活動による資金収支
ライフサイエンス事業への新規投資の一方、定期預金の払戻などにより、当連結会計年度における投資活動による資金収支は、78億89百万円のプラスとなりました。
財務活動による資金収支
長期借入金の新規調達の一方、返済などにより、当連結会計年度における財務活動による資金収支は、170億57百万円のマイナスとなりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社が受注した国内外のプラント建設に関わる費用、販売費及び一般管理費のほか、今後の成長戦略を支えるための投資です。販売費及び一般管理費のうち主なものは、従業員給与 手当等の人件費のほか、業務委託費等です。当社の研究開発費は、研究開発に携わる従業員の人件費が過半を占めています。
今後の成長戦略を支えるための投資については、当社グループは2021年5月にアップデートされた中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」で事業ポートフォリオと収益構造の革新を掲げており、既存事業の深化を図りながら、当社の未来を拓く新規事業を加速することで、事業基盤を強化し、持続的な成長を実現していくことを目指しています。資金配分については、このビジョンに沿って既存事業の深化と新規事業の加速をバランスよく実行していきます。
既存事業の深化では、EPC業務プロセスの変革とプロジェクト遂行力の強化に重点的に投資していきます。新規事業の加速では、カーボンニュートラル分野、ライフサイエンス分野を対象とした投資を強化していきます。そして、両分野でのビジネスモデルにさらなる付加価値を付けていくためにデジタルトランスフォーメーションを図る投資も推進していきます。
③ 財務政策
当社グループは、上記中期経営計画を確実に遂行するうえで、長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、安定した財務基盤を維持すること、及び新規事業の加速に備えた資金余力を確保するため、自己資本比率については20%以上を安定的に維持することを目標としています。
また、資金需要に対しては、内部資金又は借入により資金調達することとしています。資金の流動性については、三菱商事㈱の完全子会社である三菱商事フィナンシャルサービス㈱と総額800億円の融資枠及び金融機関と当座貸越契約を締結し十分に確保しています。
上記財源を適切に活用し、中期経営計画で掲げた事業環境の変化を捉えた事業ポートフォリオと収益構造の変革を加速させ、当社グループを安定的に運営する資金を創出していくと同時に、その延長線上で、安定的な配当を早期に実施できるように努めていきます。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。一般に公正妥当と認められる連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産及び負債の報告額や、報告対象期間中の収益及び費用の報告額に影響する判断及び見積りを行うことが要求されます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて判断及び見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合もあります。
当社グループの見積りや判断を含む重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項」に記載しています。また、会計方針の適用において使用される当社の判断と見積りのうち、当社グループの連結財務諸表の報告額に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるものについては、連結財務諸表注記の「4 会計方針に関する事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。