四半期報告書-第86期第3四半期(平成30年4月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/07 15:08
【資料】
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【項目】
26項目
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ104億円増加の6,802億円、自己資本は141億円増加の3,153億円となり、自己資本比率は46.4%となりました。
流動資産は、たな卸資産の増加と現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末と比べ57億円増加の4,060億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、建物及び構築物の増加と建設仮勘定、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末と比べ46億円増加の2,742億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金の増加と賞与引当金、未払法人税等の減少等により、前連結会計年度末と比べ19億円増加の1,996億円となりました。
固定負債は、長期借入金、繰延税金負債、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末と比べ45億円減少の517億円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及適用後の前連結会計年度末の数値で比較を行っています。
②経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国では良好な雇用や所得環境を背景に個人消費が拡大し、企業活動も好調に推移しましたが、年末にかけて減速感が出てきました。一方、欧州も堅調さを維持したものの、同様に景気減速感が強まり、中国では貿易摩擦も影響し鈍化傾向が続いています。日本経済は、輸出と設備投資が底堅く、個人消費も回復基調が持続しました。
当第3四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車向け市場で中国市場の減速が見られたもののCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への開発活動は更に活発化しており、各社で業務提携や開発協力など、次代を見据えた動きが進みました。モバイル市場のスマートフォンでは、成熟期を迎え、買い替えサイクルの長期化など、市場の伸びは鈍化傾向が顕著となっています。また、新事業領域のEHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)では、IoT(Internet of Things)で、さまざまな分野での活用ニーズが更に増加するとともに、ロボティクス、ドローン、AIなどエレクトロニクスの新たな広がりも見られました。
このような中、電子部品事業における車載市場では、操作入力用モジュール製品や通信用高周波製品等が全般にわたり堅調に推移しました。民生その他市場では、スマートフォン向け各種製品が景気等の減速により前年同期比で減少しました。また、為替は想定より円安で推移して業績に寄与したものの、全体ではスマートフォン向け製品の減少を補いきれず、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少する結果となりました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、電子シフターやドアモジュール等のモジュール製品、Bluetooth®、W-LAN、LTE等の通信用高周波製品が全般にわたって堅調に推移しました。また、中国での自動車向け通信技術C-V2X(Cellular Vehicle to Everything)に向け、同国営企業との戦略パートナーシップを締結しました。また、全ての海外現地生産法人で国際的品質マネジメントシステム規格「IATF16949」への移行を完了しました。この他、国内外自動車メーカー各社より品質等の表彰を頂いています。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は2,092億円(前年同期比0.1%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、カメラ用アクチュエータは高機能製品の拡大により期待が高まりましたが、スマートフォンの減速傾向を受け一部のコンポーネント製品が軟調となりました。EHIIでは、中国、インド、マレーシア等、各国での展示会に出展し、光通信やIoT等、進展する市場の新規開拓も進めています。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,540億円(前年同期比17.1%減)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の電子部品事業の売上高は3,633億円(前年同期比8.1%減)、営業利益は321億円(前年同期比30.8%減)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界は、CASEの領域において、インターネットへの常時接続機能の搭載、自動運転、自動車シェアリングサービス、ハイブリッド車や電気自動車の電動化等、他の業界に類を見ないほどの大きな変化が生じています。自動車の電子化が加速する中、カーエレクトロニクス業界ではインフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動運転やAI(人工知能)など新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた企業間競争が激化しています。
このような中、車載情報機器事業では、自動車産業の新たなトレンドであるCASEに対応するため、電子部品事業が有するセンシングデバイスや通信デバイス技術と車載情報機器事業のソフトウェア技術を融合し、ドライバーや同乗者に感動の移動空間と時間を提供するHMI(Human Machine Interface)の開発強化を図り、車載情報システムのトータルソリューションカンパニーを目指しています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションの売上が好調に推移したことに加え、生産コストの削減や効率化を推進したことから、売上高、営業利益ともに前年同期比で上回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の車載情報機器事業の売上高は2,215億円(前年同期比15.6%増)、営業利益は122億円(前年同期比32.2%増)となりました。
なお、2018年12月5日に開催されたアルパイン(株)臨時株主総会で、2019年1月1日付で当社株式との株式交換が承認されたため、2018年12月26日付でアルパイン(株)は上場廃止となりました。詳しくは14ページに記載の重要な後発事象をご覧ください。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、自動車関連は底堅く推移しましたが、スマートフォン向けや設備関連の出荷が昨年後半から減速傾向を示し、荷動きが二極化しました。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証二部)では、引き続きグローバルに拠点・倉庫・ネットワークの拡充を続け、国内・海外一体となった提案営業を推進しました。国内では昨年5月に埼玉県加須市に竣工した大型の新倉庫が稼働し、質の高い保管サービスで取り扱い貨物の拡大に寄与しています。海外においても、事業基盤の強化に向けて拠点の拡充を進めました。中国華東地区では需要増に伴う太倉の倉庫拡張、アセアンでは保管ビジネス拡大のためのシンガポール倉庫の移転拡張、インドとベトナムの事業拡大のための体制整備を行いました。また、電子部品・自動車関連部品の取扱貨物の増加が見込まれるタイにおける新たな倉庫建設の着工や、欧州では東欧展開に向けた準備を進めています。
当第3四半期連結累計期間の業績は、国内・海外での拡販により当社グループ外の一般の顧客向けに売上高を伸ばすことができました。一方、利益面では、新規拠点の安定稼働や効率化による生産性向上を推進していますが、新規拠点の立上げ費用や航空運賃の高止まりなどが影響し減益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の物流事業の売上高は504億円(前年同期比4.2%増)、営業利益は36億円(前年同期比4.5%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第3四半期連結累計期間の当社グループにおける連結業績は、売上高6,445億円(前年同期比0.0%増)、営業利益490億円(前年同期比17.5%減)、経常利益447億円(前年同期比23.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益271億円(前年同期比38.8%減)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、236億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第3四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金をはじめ将来の事業基盤に向けた研究開発や、主に電子部品事業は生産体制の強化を図るための工場の新設、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2018年12月31日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との400億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。