四半期報告書-第88期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/08 15:00
【資料】
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【項目】
35項目
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ379億円増加の6,635億円、自己資本は23億円増加の3,268億円となり、自己資本比率は49.3%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、現金及び預金の増加と、たな卸資産の減少等により、前連結会計年度末と比べ346億円増加の4,038億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、投資有価証券の増加と、建設仮勘定の減少等により、前連結会計年度末と比べ32億円増加の2,596億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金の増加と、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ166億円増加の2,146億円となりました。
固定負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末と比べ180億円増加の898億円となりました。
②経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルスにより大きく様変わりしました。米国では感染拡大の影響への経済対策等の効果が表れ、個人消費の増加により持ち直し傾向となりました。欧州でも各国の都市封鎖が緩和された影響により、個人消費が緩やかな回復となりましたが、景気全体としては軟調傾向となりました。中国では2020年3月の経済活動再開後、製造業や個人消費が中心となり、景気は回復傾向が持続しました。日本においては政府の各種支援策等による個人消費の回復や製造業を中心とした輸出の持ち直しが見られましたが、新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあることから、景気は軟調傾向となりました。
当第3四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。また、2019年6月27日に行われたFAITAL S.p.A.、FAITAL U.S.A.,INC.、Magyarországi Hangszórógyártó Kft.、2019年7月1日に行われたZHAOPU ELECTRONICS (SHANGHAI) INC.との企業結合に係る暫定的な会計処理は前連結会計年度末に確定したため、前四半期連結累計期間との比較・分析に当たっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車市場ではCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への製品開発が一段と進む中、世界の新車販売台数は、第2四半期からの各国での経済活動の再開、及び第3四半期での経済対策の効果により回復したものの、第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス流行の影響は大きく、前年同期比で減少となりました。スマートフォン市場では、5G対応の新商品発売による買い替え需要などもあり、自動車市場のような大きな落ち込みはありませんでしたが、世界販売台数は前年同期比で減少しました。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボティクスを活用した新たなビジネスの展開が進んでいますが、新型コロナウイルスの影響により低調に推移しました。
こうした状況から、電子部品事業の車載市場において、当第3四半期は特に北米や中国向けが好調に推移しましたが、第3四半期連結累計期間では、新車販売台数の落ち込みが大きく影響し、同市場向け各種製品が低調となりました。民生その他市場においても、北米向けスマートフォンの販売時期の遅れや米中貿易摩擦による中国向けスマートフォンの減少などによる製品の出荷台数の減少の影響があり、低調に推移しました。
これらの結果、当事業の売上高及び営業利益ともに前年同期比で減少しました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、CASE時代の次世代自動車に向けた幅広いニーズに対応すべく、次世代センシング技術等の開発を進めました。また、株式会社東海理化とHMI(Human Machine Interface)領域の共同開発等に関して基本合意を締結しました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は、世界的に自動車市場が減速した影響を受け、全般的に各種製品が低調に推移し、1,499億円(前年同期比19.4%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、新型コロナウイルス流行の影響による衛生面に配慮したタッチレス操作パネルの提案などを進め、また共生社会の実現に向けAIスーツケースの実証実験を開始しました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は、スマートフォンの販売台数の減少による影響を受け、スマートフォン向けカメラ用アクチュエータを除く各種製品が全般にわたり低調に推移し、1,463億円(前年同期比2.2%減)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における電子部品事業の売上高は2,963億円(前年同期比11.7%減)、営業利益は73億円(前年同期比61.7%減)となりました。
<車載情報機器事業>CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展により、IT・通信など業種・業態の垣根を超えた企業間の開発競争が激化する中、先に記載のとおり新車販売台数が前年同期比で減少となり、市況は低調に推移しました。この中で、車載情報機器事業では、電子部品事業とのシナジー効果によって生まれた「デジタルキャビン」製品群の提案、ブロックチェーン技術を活用したカーシェアリング向けデジタルキーシステムの開発や、コネクテッドカーの車両情報管理等、MaaS(Mobility as a Service)ビジネスの強化を図りました。この他、海外自動車メーカーより「革新的で品質の高い製品やサービスの提供」が評価され、表彰を受けました。
当第3四半期連結累計期間における業績は、自動車の販売台数減少の影響が大きく、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は1,783億円(前年同期比24.8%減)、営業損失は25億円(前年同期における営業利益は80億円)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、新型コロナウイルス流行の影響により第1四半期から第2四半期にかけては自動車向けやスマートフォン向け製品の生産が減少しましたが、第2四半期以降の市況回復に伴い、貨物取扱量の需要が増加しました。一方で、消費物流は外出自粛や在宅勤務等により宅配ビジネスが好調に推移しました。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第一部 ※2021年1月21日市場第二部銘柄から市場第一部銘柄へ指定替)では、新規拡販に取り組むとともに、生産性向上の施策として国内では新たに大型の自動化設備を導入した倉庫を稼働しました。消費物流は新たなコンセプトのマテリアルハンドリング機器を導入するなどの効率化を図りました。海外においては、拠点・ネットワークの拡充を継続し、中国では2020年8月に通関業の専門子会社を設立し、通関業務の迅速化による輸出入事業拡大に向けた体制強化を図りました。
当第3四半期連結累計期間における業績は、新規拡販と生産性向上によるコスト削減に取り組みましたが、電子部品業界の荷動きが減少した影響もあり、前年同期比で売上高は増加しましたが、営業利益は減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における物流事業の売上高は508億円(前年同期比0.5%増)、営業利益は32億円(前年同期比2.1%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第3四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、売上高5,337億円(前年同期比15.7%減)、営業利益86億円(前年同期比72.1%減)、経常利益64億円(前年同期比74.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失21億円(前年同期における親会社株主に帰属する四半期純利益は52億円)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、243億円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)従業員数
①連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。
②提出会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社の従業員数は、1,788名増加し、7,287名となりました。これは主に、2020年4月1日付で連結子会社であるアルパイン(株)の全事業(但し、”アルパイン”ブランドの市販ビジネスに関する商標権及び子会社株式等の保有・管理事業を除きます。)を吸収分割により承継したことによるものです。なお、従業員数は就業人員(当社グループからグループ外部への出向者は除きます。)です。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第3四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金及び将来の事業基盤に向けた研究開発に加え、電子部品事業は生産体制強化を図るための生産設備への投資、車載情報機器事業は生産設備の更新や合理化のため、国内外の主要な拠点での投資、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2020年12月31日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との700億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。