四半期報告書-第87期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/10 15:02
【資料】
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【項目】
37項目
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ217億円減少の6,539億円、自己資本は251億円減少の3,401億円となり、自己資本比率は52.0%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、現金及び預金の減少と、たな卸資産の増加等により、前連結会計年度末と比べ91億円減少の3,937億円となりました。
固定資産は、繰延税金資産、機械装置及び運搬具の減少と、建物及び構築物、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末と比べ126億円減少の2,601億円となりました。
流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加と賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ216億円増加の2,096億円となりました。
固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ191億円減少の731億円となりました。
②経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国では製造業の減速感がありましたが、金融緩和策による個人消費の下支え効果もあり堅調に推移しました。一方、欧州では世界経済減速の影響を受けて輸出の回復が遅れ、英国のEU離脱をめぐる混乱の継続も景気に悪影響を及ぼしました。中国では米国との貿易摩擦により米国向け輸出が減少し、更に個人消費の減少などから景気の低迷が続いています。日本経済では企業の設備投資は増加基調にあり、個人消費は消費税増税に伴う駆け込み需要の反動により減少傾向となったものの、総じて景気は堅調に推移しました。
第3四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車市場では継続してCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への開発が活発化していますが、足元の市況は新車の世界販売台数が前年比で減少となるなど低調に推移しました。スマートフォン市場も、一部新商品が好調だったものの全体ではマイナス成長となりました。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)とAIを組み合わせた新たなビジネスが提案されるなど、具体的な動きが進んでいます。
この中で、電子部品事業における車載市場では、自動車販売の減速を受けモジュール製品や通信用高周波製品等が全般にわたり低調となりましたが、民生その他市場では新規顧客開拓や拡販活動によりスマートフォン向け各種製品が堅調に推移しました。全体では、車載市場の軟調を民生その他市場で補いきれず、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、世界的に自動車市場が減速した影響を受け、各種製品が全般にわたって低調に推移しました。この中で、自動運転時代を見据えて車室内の高品位な入力デバイス(Premium-HMI)やブロックチェーン活用のデジタルキーによるスマートアクセス、更に横浜ゴム株式会社と共同によるタイヤセンサなど、次世代に向けた各種の製品開発を進めました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,859億円(前年同期比11.2%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、スマートフォン向けを中心としたモバイル市場において、新規顧客開拓や拡販活動によりタッチパネル、ハプティック®、更にウェアラブル製品向けセンサが堅調に推移しました。スマートフォン向けカメラ用アクチュエータは、中国向けは堅調だったものの北米向け製品ミックスの影響により減少しました。EHIIでは、IoTを用いたサービスビジネスの開拓を目的に株式会社東芝及び東芝デジタルソリューションズ株式会社が設立予定の「ifLink®オープンコミュニティ」に参加しました。また、IoT物流遠隔管理システムや作業者見守りシステム、ドローンによる架空地線・自動追尾点検システムなど、実績をもとにした各種の提案活動も展開しました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,496億円(前年同期比2.8%減)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の電子部品事業の売上高は3,356億円(前年同期比7.6%減)、営業利益は192億円(前年同期比40.2%減)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界においては、中国での新車販売が経済の悪化や米中貿易摩擦などの影響を受け減少し、北米では金利の高止まりや好調な経済活動に伴う車体価格の上昇により販売台数が減少しました。欧州の販売台数は横ばいで推移したものの、世界の自動車市場は総じて厳しい状況で推移しました。また、CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展による自動車産業を巡る事業環境が大きく変化しつつあり、コネクテッドカーや自動運転に次世代移動通信規格5Gを活用するためのIT・通信等の業種・業態を超えた企業間の開発競争が激化しました。
このような中、車載情報機器事業では経営統合によるシナジーの早期実現を目指し、ディスプレイ製品と電子部品事業のセンサを連動させた新製品開発や、ナビゲーションのGPS(Global Positioning System)にセンサ及び画像処理技術を組み合わせたドローンシステムの実用化に注力しました。また、音響スピーカーの開発で培った技術を応用し、歩行者に自動車の接近を知らせる車両接近通報システムの開発に着手するとともに、ブロックチェーン技術を活用したカーシェアリング向けデジタルキーの開発やコネクテッドカーの車両情報管理のため、IT企業のフリービット株式会社の一部株式を取得し、業務提携によるMaaS(Mobility as a Service)ビジネスの強化を図りました。
当第3四半期連結累計期間の業績は、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションやディスプレイ製品の売上が好調に推移しましたが、製品ミックスの変化により利益は減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は2,371億円(前年同期比7.0%増)、営業利益は81億円(前年同期比33.4%減)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、各種電子機器、自動車、産業用機器などの市況悪化により荷動きが低調に推移しました。一方、自動車業界ではCASEに伴う次世代技術の進展により、電子部品の今後の需要拡大が見込まれています。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第二部)では、今後の需要拡大が見込まれるアセアン、南アジア地域を中心にHUB拠点の整備とネットワークの充実を進め、2019年7月にタイで大型の新倉庫を竣工し営業を開始しました。欧州では、東欧展開の足掛かりとしてハンガリーに事務所を開設しました。更に、車載関連物流強化の一環として株式会社ロジコムと合弁会社を、海外展開の第一段階としてインドに現地法人を設立して車載関連ビジネスの拡大を目指します。
当第3四半期連結累計期間の業績は、国内外で新規顧客の獲得に取り組み、生協関係の宅配及び化粧品の拡販により増収となったものの、電子部品全体の荷動きが減少したことなどにより増収減益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における物流事業の売上高は506億円(前年同期比0.3%増)、営業利益は33億円(前年同期比9.5%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第3四半期連結累計期間の当社グループにおける連結業績は、売上高6,328億円(前年同期比1.8%減)、営業利益312億円(前年同期比36.3%減)、経常利益254億円(前年同期比43.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益52億円(前年同期比80.6%減)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、282億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第3四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金をはじめ将来の事業基盤の確立に向けた研究開発や、主に電子部品事業は生産体制の強化を図るための工場の新設、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2019年12月31日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との400億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。