四半期報告書-第86期第2四半期(平成30年4月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/11/08 15:02
【資料】
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【項目】
28項目
文中における将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ234億円増加の6,933億円、自己資本は138億円増加の3,150億円となり、自己資本比率は45.4%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、たな卸資産の増加等により、前連結会計年度末と比べ160億円増加の4,163億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、建物及び構築物、無形固定資産の増加と建設仮勘定の減少等により、前連結会計年度末と比べ74億円増加の2,769億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末と比べ53億円増加の2,029億円となりました。
固定負債は、長期借入金の増加と繰延税金負債、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末と比べ8億円増加の572億円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及適用後の前連結会計年度末の数値で比較を行っています。
②経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、米国では良好な雇用環境や所得税減税を背景に個人消費及び企業活動ともに好調に推移し、欧州でも緩やかな経済成長が続きました。日本経済も、好調な世界経済を背景に輸出と設備投資を中心に回復基調が持続しました。一方、中国では成長の鈍化傾向が続いており、貿易摩擦の激化が今後の世界経済の先行きに対する懸念材料となっています。
当第2四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車向け市場でCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への開発活動が具体化し、AI搭載の動きや自動運転でのルールの整備なども進みつつあります。モバイル市場のスマートフォンでは、高機能化された新製品が投入され、対応部品へのニーズも引き続き高い水準となることが期待されています。IoT(Internet of Things)市場は、さまざまな分野での活用ニーズが増してきました。
この中で電子部品事業において、車載市場では操作入力用モジュール製品や通信用高周波製品等が全般にわたり堅調に推移しました。民生その他市場では、スマートフォン向け各種製品が一部市場の減少傾向を受け、前年同期比で減少しました。また、為替も想定より円安傾向で推移して業績は期初予想値を上回ったものの、前年同期比では売上高及び営業利益ともに減少する結果となりました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、電子シフターやドアモジュール等のモジュール製品、Bluetooth®、W-LAN、LTE等の通信用高周波製品が全般にわたって堅調に推移しました。また、二輪車の安全開発に取り組むNPOに加入。CASE領域での新規ビジネスの獲得にも取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,396億円(前年同期比3.5%増)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、カメラ用アクチュエータは高機能製品の拡大により堅調に推移したものの、スマートフォン市場の減少傾向を受けタッチパネルなど一部のコンポーネント製品が軟調となりました。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)では、IoTで国際物流企業とのコラボレーションをはじめ、建設、医療などの分野での採用も進んでいます。
当第2四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,015億円(前年同期比12.0%減)となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の電子部品事業の売上高は2,411億円(前年同期比3.7%減)、営業利益は198億円(前年同期比20.1%減)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界は、CASEの領域において、インターネットへの常時接続機能の搭載、自動運転、自動車シェアリングサービス、ハイブリッド車や電気自動車の電動化等、他の業界に類を見ないほどの大きな変化が生じています。自動車の電子化が加速する中、カーエレクトロニクス業界ではインフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動運転やAI(人工知能)など新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた企業間競争が激化しています。
このような中、車載情報機器事業(アルパイン(株)・東証一部)では、自動車産業の新たなトレンドであるCASEに対応するため、当社との経営統合を計画しています。経営統合により、当社が有するセンシングデバイスや通信デバイス技術とアルパイン(株)のソフトウェア技術を融合し、ドライバーや同乗者に感動の移動空間と時間を提供する HMI(Human Machine Interface)の開発強化を図ります。
更に、電気自動車や自動車シェアリングサービスの市場規模拡大が期待される中国自動車市場へのアプローチを強化するため、持分法適用関連会社であるNeusoft Reach Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.の増資を行うなど、車載情報システムのトータルソリューション企業を目指し、成長に向けた取り組みを推進しました。
当第2四半期連結累計期間の業績は、前期に引き続き、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションの売上が好調に推移したことに加え、生産コストの削減や効率化を推進したことから、売上高、営業利益ともに前年同期比で上回りました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の車載情報機器事業の売上高は1,434億円(前年同期比17.3%増)、営業利益は76億円(前年同期比102.0%増)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、スマートフォンの高機能化、自動車の電子化、産業機器の生産拡大、IoTの進展などに支えられ、昨年ほどの過熱感はないものの電子部品、半導体の需要は底堅く推移しました。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証二部)では、昨年に引き続きグローバルに拠点・倉庫・ネットワークの拡充を続け、国内・海外一体となった提案営業を推進し、取扱貨物量の拡大を図りました。国内では埼玉県加須市に本年5月に大型の新倉庫を竣工し、羽生営業所の業務を統合し営業を開始しました。国内輸送ネットワークの要として、そして質の高い保管環境を実現した倉庫として、顧客によりよいサービスを提供していきます。海外においても、事業基盤強化に向けて拠点の拡充を進めました。中国華東地区では需要増に伴う太倉の倉庫拡張、アセアンでは保管ビジネス拡大のためのシンガポール倉庫の移転拡張、インドとベトナムの事業拡大に伴う整備を行いました。また、電子部品・自動車関連部品の取扱貨物増加が見込まれるタイにおいては、本年8月に倉庫建設に着工。欧州でもドイツの倉庫拡張を行いました。
当第2四半期連結累計期間の業績は、国内外での拡販により当社グループ外の一般顧客向けに売上高を伸ばすことができました。一方、利益面では、生産性向上に取り組んでいますが、新規拠点の立上げ費用や航空運賃の高止まりなど、コスト増により減益となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の物流事業の売上高は328億円(前年同期比3.8%増)、営業利益は20億円(前年同期比13.3%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第2四半期連結累計期間の当社グループにおける連結業績は、売上高4,233億円(前年同期比3.2%増)、営業利益301億円(前年同期比1.3%減)、経常利益289億円(前年同期比3.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益174億円(前年同期比30.0%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ48億円減少し、当第2四半期連結会計期間末の残高は、1,159億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、363億円(前年同期は170億円の増加)となりました。この増加は、主に税金等調整前四半期純利益288億円、減価償却費213億円及び仕入債務の増加額113億円による資金の増加と、売上債権の増加額79億円及び法人税等の支払額79億円による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、418億円(前年同期は319億円の減少)となりました。この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出354億円及び出資金の払込による支出33億円による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は、5億円(前年同期は97億円の増加)となりました。この増加は、主に長期借入れによる収入71億円による資金の増加と、配当金の支払額39億円及び非支配株主への配当金の支払額12億円による資金の減少によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、154億円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第2四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金をはじめ将来の事業基盤に向けた研究開発や、主に電子部品事業は生産体制の強化を図るための工場の新設、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2018年9月30日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との400億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。