四半期報告書-第88期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/07 15:01
【資料】
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【項目】
36項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ71億円減少の6,184億円、自己資本は95億円減少の3,149億円となり、自己資本比率は50.9%となりました。
流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末と比べ92億円減少の3,599億円となりました。
固定資産は、建設仮勘定、投資有価証券の増加と、機械装置及び運搬具の減少等により、前連結会計年度末と比べ21億円増加の2,584億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ149億円減少の1,831億円となりました。
固定負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末と比べ174億円増加の893億円となりました。
②経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、米国では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく、外出制限等による消費の落ち込みもあり低調に推移しました。欧州でも新型コロナウイルスの感染拡大の影響は大きく、主要都市でのロックダウン等により消費が減少し、景気の低迷が続きました。中国では3月から経済活動が徐々に再開しましたが、新型コロナウイルスの経済への影響が長期化する見通しで、景気の低迷が続いています。日本においても4月から5月下旬の間に出された緊急事態宣言の影響が大きく、政府による支援策等による景気回復策が出されましたが、個人消費の低迷が大きく影響し、総じて景気は低調に推移しました。
当第1四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車市場では継続してCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への開発が活発となっていますが、直近の市況は新型コロナウイルスの影響や昨年からの中国市場での販売減速に伴い、自動車の世界販売台数が前年同期比で大きく減少し、更にスマートフォン市場も出荷台数が前年同期比で減少するなど、低調に推移しました。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)による提案活動やAI(人工知能)を組み合わせた新たなビジネスへの展開が進んでいますが、新型コロナウイルスによる影響もあり軟調に推移しています。
この中で、電子部品事業における車載市場では、自動車販売の減速により各種製品が全般にわたり低調となりました。民生その他市場においても、スマートフォン向け各種製品が出荷台数の減少の影響を大きく受けました。全体では、車載市場及び民生その他市場ともに低調となり、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、世界的に自動車市場が減速した影響を受け、各種製品が全般にわたり低調に推移しました。この中で、CASE時代の次世代自動車における幅広いニーズへの対応に向けて、次世代センシング技術等の開発を進めました。
当第1四半期連結累計期間における当市場の売上高は331億円(前年同期比47.9%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、スマートフォンの出荷台数の減少の影響を受け、各種製品が全般にわたり低調に推移しました。EHIIでは、新型コロナウイルスの需要増加に伴う人工呼吸器向け操作デバイスの増産体制の整備や、衛生面に配慮したタッチレス操作パネルの提案等を行いました。
当第1四半期連結累計期間における当市場の売上高は361億円(前年同期比17.8%減)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における電子部品事業の売上高は693億円(前年同期比35.6%減)、営業損失は33億円(前年同期における営業利益は24億円)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界においては、世界の自動車市場は新型コロナウイルスの感染拡大による自動車の販売台数減少の影響が大きく、厳しい状況で推移しました。また、CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展による自動車産業を巡る環境変化が大きく、次世代自動車へ活用するためのIT・通信等の業種・業態の垣根を超えた企業間の開発競争が激化しました。
このような中、車載情報機器事業では、電子部品事業とのシナジーを発揮したデジタルキャビンの提案を強化し、それに向けた製品の開発を加速させています。また、ブロックチェーン技術を活用したカーシェアリング向けデジタルキーの開発、自動運転に5Gを活用するための開発、コネクテッドカーの車両情報管理のMaaS(Mobility as a Service)ビジネスの強化等を図りました。
当第1四半期連結累計期間における業績は、自動車の販売台数減少の影響が大きく、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は476億円(前年同期比39.3%減)、営業損失は38億円(前年同期における営業利益は24億円)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、新型コロナウイルスの感染拡大による顧客の工場の操業停止により、スマートフォンや自動車向けの生産が減少し、電子部品の荷動きが低調となりました。また、感染者数が一旦減少傾向に入った地域もあり、物流需要も徐々に回復している状況です。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第二部)では、世界の各地域で新型コロナウイルスの感染拡大防止に十分な注意を払い、各国によって異なる規制に対応しました。また、新型コロナウイルスによる制約はありますが、本来の事業活動に注力すべく、3カ年の第4次中期経営計画2年目の当期は、次の戦略・施策を推進し、グローバルにビジネスの拡大を図っていきます。
当第1四半期連結累計期間における業績は、貨物取扱高の減少に対応すべく生産性向上によるコスト削減に取り組みましたが、電子部品全体の荷動きが停滞したことなどにより、減収減益となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における物流事業の売上高は161億円(前年同期比3.5%減)、営業利益は6億円(前年同期比41.7%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第1四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、売上高1,354億円(前年同期比34.1%減)、営業損失65億円(前年同期における営業利益は58億円)、経常損失67億円(前年同期における経常利益は22億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失91億円(前年同期における親会社株主に帰属する四半期純損失は11億円)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、89億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)従業員数
①連結会社の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。
②提出会社の状況
当第1四半期連結累計期間において、当社の従業員数は1,753名増加し、7,252名となりました。これは主に、2020年4月1日付で連結子会社であるアルパイン(株)の全事業(但し、“アルパイン”ブランドの市販ビジネスに関する商標権及び子会社株式等の保有・管理事業を除きます。)を吸収分割により承継したことによるものです。
なお、従業員数は就業人員(当社グループからグループ外部への出向者は除きます。)です。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第1四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金及び将来の事業基盤に向けた研究開発に加え、電子部品事業は生産体制強化を図るための生産設備への投資、車載情報機器事業は生産設備の更新や合理化のため、国内外の主要な拠点での投資、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2020年6月30日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との700億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。