四半期報告書-第87期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/08 15:01
【資料】
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【項目】
35項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ56億円減少の6,700億円、自己資本は230億円減少の3,422億円となり、自己資本比率は51.1%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金の減少と、たな卸資産の増加等により、前連結会計年度末と比べ61億円減少の3,968億円となりました。
固定資産は、無形固定資産、建物及び構築物の増加と、機械装置及び運搬具の減少等により、前連結会計年度末と比べ4億円増加の2,732億円となりました。
流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加と、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ352億円増加の2,232億円となりました。
固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ180億円減少の742億円となりました。
②経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、米国では良好な雇用や所得環境が個人消費を下支えし、企業活動も好調に推移しました。一方、欧州ではドイツや英国での輸出が伸び悩み、景気は減速傾向となりました。中国では、企業の設備投資の低迷と輸入の減少により、景気は停滞局面が続いています。日本経済は、個人消費や公共投資が後半にやや軟調となったものの輸出や設備投資は底堅く、安定基調を保ちました。
当第1四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車市場で、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への合従連衡が続くものの、直近の市況は、景気の減速や貿易摩擦の影響などから、中国をはじめ欧米でも低調となりました。スマートフォン市場でも買い替えサイクルの長期化などにより回復の兆しは見られませんでした。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)による具体的な施策が更に進むとともに、AI(人工知能)やロボティクスの活用など新たな広がりも見られました。
この中で電子部品事業では、車載市場で、自動車市場の景気減速の影響を受けモジュール製品や通信用高周波製品が軟調傾向となりました。民生その他市場では、新規顧客開拓や拡販活動によりスマートフォン向けカメラ用アクチュエータやタッチパネルが堅調に推移しました。全体では、車載市場の軟調をスマートフォン向け製品の増加で補いきれず、前年同期比で営業利益は減少しました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、低調な自動車市場の影響を受け、インストルメントパネル周辺、ドアモジュール等のモジュール製品、Bluetooth®、W-LAN、LTE等の通信用高周波製品など全般にわたって軟調傾向となりました。CASEへの取り組みでは、タッチインプットモジュールや加飾パネルなど次世代への具体的な提案活動を更に進めました。この他、海外自動車メーカー各社より技術提案、安定供給などを評価され、表彰を受けています。
当第1四半期連結累計期間における当市場の売上高は636億円(前年同期比10.0%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、新規顧客開拓や拡販活動によりスマートフォン向けカメラ用アクチュエータやタッチパネルが堅調となりました。EHIIでは、Sigfox(フランスSigfox社が提供するIoT向け無線通信規格)等を利用したIoT物流管理プロジェクトの推進やドローンによる架空地線自動追尾点検の実施、光ネットワーク向け新製品の発表など、具体的な活動を展開しました。
当第1四半期連結累計期間における当市場の売上高は440億円(前年同期比7.9%増)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の電子部品事業の売上高は1,076億円(前年同期比3.4%減)、営業利益は24億円(前年同期比43.8%減)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界においては、世界最大の市場である中国での新車販売が景気減速の影響を受け減少傾向を示し、欧米市場も販売台数が前年同期に比べ減少するなど、厳しい状況で推移しました。また、CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展により環境が大きく変化し、IT・通信など業種・業態を超えた企業間の開発競争が激化しています。
このような中、車載情報機器事業では、ディスプレイ製品と電子部品事業のセンサを連動した新製品開発や、ナビゲーションのGPS(Global Positioning System)と画像処理技術及びセンサを加えた技術を活用したドローンシステムの実用化に注力するなど、経営統合によるシナジーの早期実現を加速させています。
また、音響スピーカーの開発で培った技術を応用し、歩行者に自動車の接近を知らせる車両接近通報システムの開発に着手し、更にカーシェアリング向けブロックチェーンデジタルキーの開発強化のため、IT企業のフリービット株式会社(東証第一部)の一部株式を取得し、連携強化を図りました。
販売面では、国内市販市場向け販売拠点「アルパインスタイル横浜246」において、ナビゲーションを核としたシステム製品を搭載したカスタマイズカーの拡販を目指しました。自動車メーカー向け純正品については、前期に引き続き欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションやディスプレイ製品の売上が好調に推移しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は785億円(前年同期比9.6%増)、営業利益は24億円(前年同期比39.2%減)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、スマートフォン、自動車、産業用機器などの需要の減速により荷動きは低調に推移しました。一方、自動車業界では自動運転や通信など次世代技術の進展による電子部品の需要拡大が見込まれています。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第二部)では、HUB拠点の整備とネットワークの充実による取扱貨物量の拡大を図り、安定稼働、倉庫オペレーションの生産性向上に取り組みました。
また、新規に車載関連物流強化の施策として、株式会社ロジコムと合弁会社を2019年4月に設立し、同社の持つ車載部品関連の技術・経験と物流事業の海外展開ノウハウを合わせ、海外での車載関連ビジネスの拡大を目指し、更に欧州では東欧展開の足掛かりとしてハンガリーに事務所を開設しました。
この中で物流事業では、主に海外において、外販向けを中心に売上高が増加し、利益面でも拠点の安定稼働等に伴い増益となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における物流事業の売上高は167億円(前年同期比3.2%増)、営業利益は10億円(前年同期比9.6%増)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第1四半期連結累計期間の当社グループにおける連結業績は、売上高2,057億円(前年同期比1.7%増)、営業利益58億円(前年同期比38.9%減)、経常利益22億円(前年同期比72.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失11億円(前年同期比129.0%減)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、93億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第1四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金をはじめ将来の事業基盤に向けた研究開発や、主に電子部品事業は生産体制の強化を図るための工場の新設、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2019年6月30日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との400億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。