四半期報告書-第89期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/08 15:00
【資料】
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【項目】
36項目
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ351億円増加の7,294億円、自己資本は276億円増加の3,725億円となり、自己資本比率は51.1%となりました。
流動資産は、棚卸資産、受取手形及び売掛金の増加と、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末と比べ250億円増加の4,503億円となりました。
固定資産は、投資有価証券、機械装置及び運搬具、無形固定資産の増加と、繰延税金資産の減少等により、前連結会計年度末と比べ101億円増加の2,791億円となりました。
流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加と、未払費用、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ36億円増加の2,280億円となりました。
固定負債は、繰延税金負債の増加等により、前連結会計年度末と比べ27億円増加の942億円となりました。
②経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、各国でワクチン接種が進み緩やかな回復傾向となりました。一方、景気回復に伴い原油や原材料が高騰し、物流コストも高止まり状態が継続していることに加え、新型コロナウイルス変異株の世界的かつ急速な感染再拡大により、世界経済は不透明感が再び増してきています。米国では、コロナウイルスの感染が再拡大しましたが、設備投資等が堅調に推移した結果、景気は底堅さを維持しました。欧州では、各国で経済活動の制限が段階的に緩和されて景気回復に向かいましたが、一部の国では急激な感染拡大によりロックダウンが行われました。中国では、堅調な個人消費により景気は回復傾向となりましたが、局地的な感染再拡大から厳格な防疫体制が敷かれ、一部地域でのロックダウンや工場の稼働停止等の措置がとられました。また、部品メーカーの集積地であるアセアン地域でも感染拡大によるロックダウンが広がるなど、景気の先行きは不透明な状況が続いています。また、前年度からの半導体不足の影響が収束せず、更に半導体以外の部品供給も不安定になり、サプライチェーンの混乱が深刻さを増しており、自動車メーカーを中心に生産計画の見直しなどが続いています。
こうした事業環境の中、当社では当期首から継続している物流費や部材等の高騰への対応や、計画的な生産や在庫の確保による売上高の維持など、変化に細かく対応することで業績への影響を最小限に抑えるべく様々な活動を行いました。生産面では、中国・天津市の工場での生産を終了し、グローバルでの生産体制の見直しを進めました。
当第3四半期連結累計期間における経営成績の概況については以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。
セグメントの状況
<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、世界の自動車市場は新型コロナウイルスの影響による落ち込みから回復傾向となりました。スマートフォン市場も、新型スマートフォンの人気により販売台数が増加し、両市場ともに回復基調となりました。自動車市場においては、半導体をはじめとした部品不足の影響が長期化しており、新車生産が需要に応えられず十分な生産が困難な状況となっています。しかし、スマートフォン市場の好調により当事業の売上高及び営業利益ともに前年同期比で増加しました。

[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、新型コロナウイルスの影響や第2四半期連結会計期間で深刻化した半導体不足の影響等が、2021年11月から新車生産が回復基調となり、モジュール製品のうちインストルメントパネルやドアモジュールが好転の兆しを見せたことにより、前年同期比で売上高が増加しました。開発活動では、ミリ波センサで国内初の60GHz帯製品の量産を可能とする認証取得や、自動運転機能の高度化に寄与するGNSSモジュール(全地球衛星測位システム)を古野電気株式会社と共同で開発するなど、今後の事業拡大に向けた取り組みを進めました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は、1,543億円(前年同期比2.9%増)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、ゲーム市場及びスマートフォン市場の好調により、ゲーム機やモバイル機器に搭載されるコンポーネント製品が前年同期を上回る売上高となりました。
当第3四半期連結累計期間における当市場の売上高は、2,020億円(前年同期比38.0%増)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における電子部品事業の売上高は3,563億円(前年同期比20.2%増)、営業利益は269億円(前年同期比266.9%増)となりました。
<車載情報機器事業>車載情報機器事業においては、当第3四半期連結会計期間の半ばからインフォテインメント製品やサウンドシステム製品が好転の兆しを見せましたが、売上拡大が見込まれていたディスプレイ事業はLCDの不足により伸び悩み、更に2020年度第2四半期連結累計期間まで続いた自動車メーカー向け純正品の販売終息により、売上高は前年同期比で軟調に推移しました。また、材料費の高騰やサプライチェーンの混乱による物流費の増加などが大きく影響し、リソース配置の見直しを含む固定費抑制に取り組み業績悪化を最小限に抑えたものの、前年同期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は1,690億円(前年同期比5.2%減)、営業損失は50億円(前年同期における営業損失は25億円)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、IoT、5G、DX(Digital Transformation)といった潮流の中で、通信・情報機器向けの需要が増加しました。自動車関連においても、電子化やEV化の中で電子部品の需要が増加傾向となりました。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第一部)では、前期に続き地域と市場・顧客の2つの軸で業容の拡大を図りました。地域戦略として、日本や中国などの既存展開地域における衛星拠点の整備、更にインドや東欧などの拠点・ネットワークの整備に取り組みました。市場・顧客戦略については主力の電子部品メーカーや商社などの顧客に加え、自動車や産業機器関連の顧客拡大を進めました。
当第3四半期連結累計期間における業績は、国内を中心に保管、運送、輸出入の全てにおいて売上高が増加し、更に国内幹線便ネットワークの再編、保管事業におけるIT化の推進や入出庫業務の効率化などを図ったことから、前年同期比で売上高、営業利益ともに増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における物流事業の売上高は587億円(前年同期比15.4%増)、営業利益は47億円(前年同期比46.6%増)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第3四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、売上高5,933億円(前年同期比11.2%増)、営業利益278億円(前年同期比221.5%増)、経常利益284億円(前年同期比342.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益147億円(前年同期における親会社株主に帰属する四半期純損失は21億円)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、232億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第3四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金及び将来の事業基盤に向けた研究開発に加え、電子部品事業は生産体制強化を図るための生産設備への投資、車載情報機器事業は生産設備の更新や合理化のための国内外の主要な拠点での投資、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2021年12月31日現在、短期資金調達のための4つの金融機関との435億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。