四半期報告書-第87期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/08 15:01
【資料】
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【項目】
37項目
文中における将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末と比べ50億円減少の6,706億円、自己資本は250億円減少の3,402億円となり、自己資本比率は50.7%となりました。
流動資産は、現金及び預金の減少と、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末と比べ2億円減少の4,026億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、繰延税金資産の減少と、無形固定資産、建物及び構築物の増加等により、前連結会計年度末と比べ47億円減少の2,680億円となりました。
流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末と比べ369億円増加の2,250億円となりました。
固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ172億円減少の750億円となりました。
②経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、米国では底堅い個人消費に加え、FRBの金融緩和策の下支え効果もあり堅調に推移しました。一方、欧州では英国がEU離脱をめぐる混乱の継続から景気低迷が続き、ドイツでも世界経済減速の影響を受けてマイナス基調が続きました。中国では、景気刺激策を打ち出す中、米国との貿易摩擦による輸出の鈍化傾向が続いており予断を許さない状況です。日本経済は、為替が円高基調の中、個人消費や企業の設備投資は安定基調を保ち、輸出も持ち直し傾向となりました。
当第2四半期連結累計期間における経営成績の概況については、以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高(例:電子部品事業から車載情報機器事業向けの売上(製品の供給)や、物流事業における電子部品事業及び車載情報機器事業向けの売上(物流サービスの提供))は、内部取引売上高として消去しています。
セグメントの状況<電子部品事業>エレクトロニクス業界においては、自動車市場では引き続きCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への製品開発が加速する中、足元の市況は米中貿易摩擦や欧州での先行き不透明感等から低調となりました。スマートフォン市場も、中国を中心に市場の鈍化傾向が続きました。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)にかかる新たなサービスやセキュリティ技術などが続々と開発され、AI(人工知能)やロボティクスの活用等も含め、今後の成長への期待を抱かせるものとなりました。
この中で電子部品事業では、車載市場で、自動車販売が景気減速の影響を受けモジュール製品や通信用高周波製品が軟調傾向となりました。一方、民生その他市場では新規顧客開拓や拡販活動により、スマートフォン向けカメラ用アクチュエータやタッチパネル、ウェアラブル製品向けセンサが堅調に推移しました。全体では、車載市場の軟調をモバイル向け製品の増加で補いきれず、前年同期比で営業利益は減少しました。
[車載市場]
電子部品事業における車載市場では、世界的な自動車市場悪化の影響を受け、各種製品が全般にわたって軟調に推移しました。この中で、次世代自動車向け5Gプラットフォームでのソフトウェアライセンス契約を米国クアルコムテクノロジー社と、またハプティック®に関連する製品創出での協力協定を米国イマージョン社と締結するなど、次世代製品創出への動きを進めました。
当第2四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,259億円(前年同期比9.8%減)となりました。
[民生その他市場]
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、新規顧客開拓や拡販活動によりスマートフォン向けカメラ用アクチュエータ、タッチパネル、ハプティック®、更にウェアラブル製品向けセンサが堅調に推移しました。新製品開発では、タクトスイッチ®、防水スイッチ、デジタル気圧センサなどの新機種を市場投入し、ウェアラブルや社会インフラ等さまざまな市場での広がりが期待されます。EHIIでは、Sigfox(フランスSigfox社が提供するIoT向け無線通信規格)等を利用したIoT物流管理プロジェクトの推進やドローンによる架空地線自動追尾点検の実施、光ネットワーク向け新製品の発表等、具体的な活動を展開しました。
当第2四半期連結累計期間における当市場の売上高は1,047億円(前年同期比3.1%増)となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の電子部品事業の売上高は2,306億円(前年同期比4.4%減)、営業利益は131億円(前年同期比33.7%減)となりました。
<車載情報機器事業>自動車業界においては、世界最大の市場である中国での新車販売が景気減速の影響を受け減少傾向を示し、欧米市場も販売台数が前年同期に比べ減少するなど、厳しい状況で推移しました。また、CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展により環境が大きく変化し、IT・通信等の業種・業態を超えた企業間の開発競争が激化しています。
このような中、車載情報機器事業では、ディスプレイ製品と電子部品事業のセンサを連動させた新製品開発や、ナビゲーションのGPS(Global Positioning System)と画像処理技術及びセンサを加えた技術を活用したドローンシステムの実用化に注力するなど、経営統合によるシナジーの早期実現を加速させています。また、音響スピーカーの開発で培った技術を応用し、歩行者に自動車の接近を知らせる車両接近通報システムの開発に着手するとともに、ブロックチェーン技術を活用したカーシェアリング向けデジタルキーの開発やコネクテッドカーの車両情報管理のため、IT企業のフリービット株式会社(東証第一部)の一部株式を取得し、業務提携によるCaaS(Car as a Service)ビジネスの強化を図りました。
当第2四半期連結累計期間の業績は、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションやディスプレイ製品の売上が好調に推移しましたが、製品ミックスの変化により利益は減少しました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における車載情報機器事業の売上高は1,576億円(前年同期比9.9%増)、営業利益は58億円(前年同期比22.9%減)となりました。
<物流事業>物流事業の主要顧客である電子部品業界において、スマートフォン、自動車、産業用機器などの市況の悪化を受けて荷動きが低調に推移しました。一方、自動車業界ではCASEに伴う次世代技術の進展により、電子部品の今後の需要拡大が見込まれています。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証第二部)では、今後の電子部品の需要拡大が見込まれるアセアン、南アジア地域を中心に、HUB拠点の整備とネットワークの充実を進め、新規取扱貨物量の拡大を図りました。2019年7月にはタイで大型の新倉庫を竣工し営業を開始しました。欧州では、東欧展開の足掛かりとしてハンガリーに事務所を開設しました。また、車載関連物流強化の一環として、(株)ロジコム社と合弁会社を設立し、海外での車載関連ビジネスの拡大を目指します。
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上は海外で外販向けを中心に伸ばし、国内では生協関係の宅配及び化粧品関係の拡販により増収増益を確保することができました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における物流事業の売上高は334億円(前年同期比1.9%増)、営業利益は20億円(前年同期比3.0%増)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当第2四半期連結累計期間の当社グループにおける連結業績は、売上高4,281億円(前年同期比1.1%増)、営業利益215億円(前年同期比28.7%減)、経常利益159億円(前年同期比44.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益59億円(前年同期比65.8%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ5億円減少し、当第2四半期連結会計期間末の残高は、1,177億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、409億円(前年同期は363億円の増加)となりました。この増加は、主に税金等調整前四半期純利益156億円、減価償却費236億円及び仕入債務の増加額147億円による資金の増加と、売上債権の増加額141億円による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、280億円(前年同期は418億円の減少)となりました。この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出236億円及び連結の範囲の変更を伴う子会社持分の取得による支出35億円による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、99億円(前年同期は5億円の増加)となりました。この減少は、主に短期借入金の純増減額125億円による資金の増加と、経営統合後の株主還元施策として行った自己株式の取得による支出118億円、配当金の支払額52億円及び長期借入金の返済による支出41億円による資金の減少によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、181億円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当第2四半期連結累計期間における当社グループは、運転資金をはじめ将来の事業基盤に向けた研究開発や、主に電子部品事業は生産体制の強化を図るための工場の新設、物流事業は国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資といった設備投資による資金需要が生じています。
②財務政策
当社グループでは、事業活動の推進、支援を目的とし、現金及び現金同等物、営業活動からのキャッシュ・フローのほか、銀行借入金によって資金調達を行っています。具体的には、運転資金を確実に確保するために、2019年9月30日現在、短期資金調達のための7つの金融機関との400億円のコミットメントライン契約を維持しています。また、グループ内資金の効果的な活用のため、グループ各社を含めキャッシュプールシステムを運用しています。