有価証券報告書-第55期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 13:04
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138項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの回復による人流増加が続くなど経済活動の正常化が進みました。また、海外情勢としては中国における不動産市場の停滞に伴う先行き懸念に加え、ウクライナやイスラエル情勢等に伴う地政学的リスクの高まりなど、引き続き不透明な状況が継続しております。
外食業界におきましては、行動規制の緩和、インバウンド需要の増加に伴う人流回復等により、売上は堅調に推移しております。一方で、原材料価格等の高止まりや引き続く物価高のなかで消費者の節約志向は高まっております。加えて人件費も上昇傾向にあり、依然として厳しい状況が継続しております。
このような状況下、当社グループにおきましては、積極的な新規出店、ブランド力の維持・向上を目的とした既存店舗の改装促進、お客さまの利便性及び購買体験価値の向上を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を重要施策と位置付けております。
当連結会計年度におきましては、主力のKFC事業で、年間を通じて日常利用の促進を図りました。「ハレの日」需要強化の一環として、オリジナルチキンを中心とした大人数向け商品の「お盆におすすめ!10ピースパック」や「ひなまつり9ピースバーレル」のほか、人気の「パーティバーレル」や「ケンタお重」等を実施いたしました。また、普段のお食事をもっとお得にお楽しみいただけるように「秋のトクトクパックサイド1個無料」や「ファン感謝祭パック」、「40%OFFパック」等のバリューキャンペーンを展開いたしました。
さらに「ガーリックホットチキン」、「辛みそにんにくチキン」等の新チキン商品を積極的に投入するとともに、「レッドホットチキン」や「とろ~り月見」シリーズ、「チーズにおぼれるフィレバーガー」等の季節商品の定番化で話題性の向上と売上の最大化を図りました。また、「カリホクハッシュのフィレバーガー」や「ニューヨークチキンバーガーズ」、「和風チキンカツバーガー本格ゆず七味」等の新バーガー商品を定期的に販売し、「バーガー」の認知拡大を図るとともに、「チキンフィレバーガーセット550円」等のキャンペーンを展開することでバーガー未経験のお客さまでもお得にお試しいただける機会を創出し、ファン層の拡大を目指しました。
プロモーション活動では、テレビCMをはじめ、デジタルメディアへの広告・PR強化のほか、人気ゲームとのコラボ企画による新規顧客の獲得に向けた施策を実行いたしました。さらには、デリバリーへの対応拡大、オンラインオーダーの整備、新ポイントサービスの導入等のデジタル戦略を加速させました。
店舗数につきましては、当連結会計年度において51店舗(直営13店舗・フランチャイズ38店舗)と1,200店舗達成後も積極的に出店を継続し、1,232店舗となりました。改装につきましては、183店舗(直営45店舗・フランチャイズ138店舗)実施、配達代行を含むデリバリーサービスの実施店舗は942店舗となりました。「もっと近くに、より快適に」の実現に向けて、テイクアウト専門店やドライブスルー特化型店舗の出店、改装によるセルフレジ、ピックアップロッカーやドライブスルーサイネージの設置など、積極的な店舗開発を進めました。
人財・ITシステムなどの事業インフラのさらなる強化としては、お客さまの体験価値向上を図るため、品質 (Quality)、サービス(Service)、清潔さ(Cleanliness)、おもてなしの心(Hospitality)をもって接する「QSC× H」を実践し、店舗オペレーションの改善によりサービスの課題解決に努めました。また、店舗及び本部システムの改修による業務効率化や従業員の研修プログラムの変更等を実施いたしました。その他の活動として、調理体験教室の再開やこども食堂等への食材提供支援の拡大、フードバンクへの寄付やプラスチック使用量の削減等を推進いたしました。これらのサステナビリティ活動にグループ全体で取り組み拡大していくために、サステナビリティ方針とマテリアリティ(重要課題)を特定し、「食」「地球」「人」「地域」の4つの領域でアクションを整理いたしました。今後、具体的な活動を実践してまいります。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,106億8千5百万円(対前連結会計年度比10.8%増)、営業利益は58億6千2百万円(同61.9%増)、経常利益は67億7百万円(同54.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は43億3千2百万円(同74.0%増)となりました。
(2) 中期経営計画対象年度(2021年度~2024年度)における経営成績等の概要
当社グループでは、中期経営計画『第二の創業 これから50年の持続的成長に向けて』を策定し諸施策を実行してまいりました。
これまでの実績(2021年度~2023年度)につきましては、以下のとおりであります。
中期経営計画
初年度
(2022年3月期)
前連結会計年度
(2023年3月期)
当連結会計年度
(2024年3月期)
売上高(百万円)97,52099,926110,685
営業利益(百万円)6,1063,6225,862
親会社株主に帰属する
当期純利益(百万円)
4,5572,4894,332

中期経営計画の初年度にあたる2022年3月期においては、積極的な新規出店、デリバリー導入店舗数の飛躍的拡大、サンド商品を“戦略商品”と位置付けての一層の強化等諸施策を着実に取り組んだ結果、フランチャイズを含めたKFCチェーン売上高が上場以来最高を更新、連結売上高は975億2千万円となりました。営業利益につきましては、原材料価格や物流費の高騰等厳しい収益環境下にありながらも61億6百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、受取協力金の計上、新型コロナウイルス感染症拡大に一定の歯止めがかかりつつある現状から、事業投資先においては業績回復の兆候も見え始め、持分法による投資損失の損失幅が縮小したこともあり、45億5千7百万円となりました。
中期経営計画の2年目にあたる前連結会計年度においては、まん延防止等重点措置の解除による行動変容、巣籠もり需要の一服感により、上半期は既存店売上高が前年を下回る状況が続きました。その後下半期以降は、日常利用の更なる推進、バーガーメニューの投入を始めとした新商品発売、お得感のあるセットメニューの展開等により、既存店売上高が上昇に転じ、通期においても前年同期比100.5%と好調に推移、KFCチェーン売上高は、2022年3月期に続き上場以来最高を更新いたしました。これに伴い、原材料価格や資源価格等コスト上昇の影響を受けつつも、連結売上高は999億2千6百万円、営業利益は36億2千2百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、上記要因に加え、一部の持分法適用関連会社において、外国人観光客の受入再開、行動制限の緩和等により業績回復が顕著となったことにより持分法による投資利益を計上したことから、24億8千9百万円となりました。
当連結会計年度においては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症法上の分類が「5類」へ引き下げられたことで外食需要が回復し、既存店売上高が通期において前年同期比108.0%と引き続き好調に推移いたしました。前連結会計年度にご好評をいただきましたバーガーメニューの拡充、効果的なバリューキャンペーンの実施、セルフレジの導入店舗数拡大等、お客さまの購買体験価値及び利便性の向上に努めてまいりました。これに伴い、原材料価格や物流費等コスト上昇の影響を受けつつも、連結売上高は1,106億8千5百万円、営業利益は58億6千2百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、主に外食需要の回復により持分法適用関連会社の業績回復が鮮明になったことで持分法による投資利益を計上したことから、43億3千2百万円となりました。
(3) 財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、433億1千万円となり、前連結会計年度末と比べ117億9千2百万円の増加となりました。
その主な要因は、現金及び預金の増加114億1千7百万円、売掛金の増加9億5百万円及び未収法人税等の減少5億1千4百万円等によるものであります。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、180億4千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ4億8千9百万円の増加となりました。
その主な要因は、有形固定資産の増加21億2千6百万円、投資有価証券の減少18億8千9百万円及び繰延税金資産の増加3億5千5百万円等によるものであります。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、240億6千1百万円となり、前連結会計年度末と比べ76億9千1百万円の増加となりました。
その主な要因は、買掛金の増加21億3千2百万円、未払金の増加15億9千6百万円及び未払法人税等の増加24億9千5百万円等によるものであります。
④ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は61億3千9百万円となり、前連結会計年度末と比べ13億1千5百万円の増加となりました。
その主な要因は、リース債務の増加14億6百万円及び退職給付に係る負債の減少8千4百万円等によるものであります。
⑤ 純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、311億5千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ32億7千4百万円の増加となりました。
その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益43億3千2百万円の計上、剰余金の配当による減少11億2千1百万円等によるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して114億1千7百万円増加し、336億7千1百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して108億5千2百万円増加し、128億9千6百万円となりました。その主な要因は税金等調整前当期純利益69億7千8百万円、減価償却費24億1千1百万円、仕入債務の増加21億3千2百万円、利息及び配当金の受取額11億1千3百万円等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して9億7千4百万円増加し、2億2千2百万円となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出12億8千8百万円及び投資有価証券の払戻による収入15億8百万円等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して2億5千1百万円減少し、△17億2百万円となりました。その主な要因は、配当金の支払額11億2千1百万円及びリース債務の返済による支出5億7千9百万円等によるものであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループでは、経営環境の変化に備えて手元流動性を十分確保することで安定した財務基盤を維持することに努めており、当連結会計年度末における流動比率は180.0%となっております。
当面の資金需要につきましては、原材料費や販売費及び一般管理費に計上されるサービスに対する費消のほか、新規出店や既存店舗の改装による設備投資等であり、これらは自己資金で賄う予定であります。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
自己資本比率(%)57.455.356.056.850.8
時価ベースの自己資本比率(%)135.83155.47132.91128.81163.69
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)-----
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)385.991,330.351,342.78180.53233.60

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。