四半期報告書-第34期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

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2020/11/10 10:00
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37項目
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、わが国をはじめ世界における社会経済活動全般が大きな影響を受けました。当社グループの事業についても、緊急事態宣言以降、観光のご利用減、出張の抑制等の出控えや消費の減退等、非常に厳しい状況下におかれました。
足元では、緩やかな回復傾向が見られるものの、短期間でのご利用回復は見通せず、会社発足以来、財務面において最大の危機であると認識しています。
このような状況下において、当社グループとしては、「社会インフラ企業としての使命を守る」「お客様、社員の安全を守る」「社員の雇用を守る」「サプライチェーンを守る」の4つを基本方針として対応しています。
当第2四半期連結累計期間においては、上記の通り、新型コロナウイルス感染症の影響により、営業収益は前年同期比48.8%減の3,899億円、営業損失は1,447億円、経常損失は1,543億円、法人税等を控除した親会社株主に帰属する四半期純損失は1,281億円となりました。
このような極めて厳しい状況に鑑み、鉄道の安全確保及びお客様と社員の新型コロナウイルス感染防止対策の着実な実施を前提としつつ、徹底した経費削減と設備投資の抑制によりキャッシュアウトの縮減を行っています。
引き続き、お客様に安全に、安心してご利用いただくための取り組みをグループ全体で推進するとともに、新たなお客様ニーズを踏まえた価値の提供等によるご利用促進や新たな需要創出を図っていきます。
また、これらの状況を踏まえ、中長期的な財務基盤の回復、社会変化を捉えた変革、安全と成長への道筋を示すべく、「JR西日本グループ中期経営計画2022」の見直しを行いました。
「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、事故の
反省と教訓を重く受け止め、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上の取り組み、変革の推進という「経営の3本柱」を今後も経営の最重要課題として取り組んでいきます。
一方で、変化の予測が難しい社会においても、暮らしを支える企業グループとして、「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会」という「めざす未来」の実現に向けて地域と共に歩み続けていきます。
さらに、中長期的な課題として、今後の鉄道や創造事業のご利用が構造的に変化することも踏まえ、構造改革によるキャッシュフロー創出力の回復と、施策の重点化による財務基盤の回復により経営を強靭化するとともに、予測困難な未来への変化対応力を向上させ、将来的な企業価値向上に努めていきます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 運輸業
当社は、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上への弛まぬ努力を積み重ねるとともに、このような重大な事故を二度と発生させないとの決意のもと、「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」(以下、「安全考動計画2022」)を策定し、ハード、ソフト両面から安全性向上の取り組みや安全マネジメントの仕組みづくりを進めました。
新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況下においても、最重要課題である鉄道の
安全については、「安全考動計画2022」を着実に推進し、より高いレベルの安全をめざしていきます。
ホームの安全対策として、山陽新幹線の主要駅及び在来線のご利用の多い駅等におけるホーム柵の整備等を引き続き進めました。
また、激甚化する自然災害への対策として、引き続き、斜面防災対策をはじめとした豪雨対策や山陽新幹線における逸脱防止ガードの整備、建物、高架橋等の耐震補強等の地震対策等を進めました。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、お客様の安全を最優先に、より安心してご利用いただくための様々な取り組みを行っています。
(新型コロナウイルス感染症への主な具体的取り組み)
・主な駅及び車両の入念な清掃の実施
・在来線全車両への抗ウイルス・抗菌加工の実施(京阪神エリアは完了)
・列車内換気に関するご案内及び窓開けの実施
・新幹線全駅、はるか停車駅、乗降10万人以上の駅におけるお客様用消毒用アルコールの設置
・JR各社と日本民営鉄道協会等で構成される鉄道連絡会のガイドラインに沿った感染防止策の実施と継続した時差出勤・テレワーク・可能な限りのマスク着用への協力依頼等に関する車内放送や駅構内放送の実施及び駅・車内へのポスターの掲出
・主な線区・区間の列車及び主な駅の時間帯別の混雑状況のホームページ等での告知
・インターネット列車予約サービスやみどりの券売機におけるシートマップ機能のご利用促進
・「期間限定 定期券併用チケットレス特急券」の発売(6~9月)
・新幹線や在来線特急列車の一部運休等の実施
・社員の感染予防策、体調管理の徹底
・社員の一時帰休の実施
今後も安全・安心に十分留意しつつ、政府等の方針、社会情勢、お客様のご利用状況等を見極めながら、各エリアの状況に応じた需要回復策を段階的に講じていくとともに、個人旅行、若年層等の属性や移動目的に対応した施策を実施していきます。さらに、行動様式やお客様の意識の変化を捉え、ビジネス、旅行等、様々なニーズに応じた新たな施策を展開していきます。
(需要回復に向けての主な具体的取り組み)
・「WEST EXPRESS 銀河」運転開始(9月)
・「どこでもドアきっぷ」発売開始(9月)
・「山陽新幹線直前割50」や北陸新幹線での「eチケット早特21/14」等の割引きっぷの発売
・せとうちエリアにおける「グランピング事業実証実験」の開始(9月)
・MaaSアプリ「WESTER」「setowa」のリリース(9月)
これらの取り組みを行いましたが、新型コロナウイルス感染症による大きな影響を受け、運輸業セグメントの営業収益は前年同期比57.2%減の2,102億円、営業損失は1,387億円となりました。
② 流通業
流通業については、各業界団体において作成されたガイドライン(以下、「ガイドライン」)を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。
7月には、デジタル活用の推進を図る取り組みの一環として、当社グループの商業施設・飲食店にモバイルオーダープラットフォーム「O:der(オーダー)」の導入を開始しました。
流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテルについては、6月に「ヴィアイン広島新幹線口」を開業し、「ヴィアイン下関」のリニューアルを実施しました。
しかしながら、休業期間が長期に及んだこと等により、流通業セグメントの営業収益は前年同期比47.4%減の613億円、営業損失は99億円となりました。
③ 不動産業
不動産業についても、流通業と同様に、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。
ショッピングセンターでは、6月に「金沢百番街」の一部エリアにおけるリニューアル開業を実施したほか、9月には「さんすて岡山」のリニューアルが完了しました。さらに、9月にアウトドア用品の専門店10店舗を集めた「LUCUA OUTDOOR from ALBi」をルクア大阪にオープンしました。
不動産業セグメントでは、不動産販売等は好調でしたが、ショッピングセンターにおける新型コロナウイルス感染症の影響により、営業収益は前年同期比11.5%減の655億円、営業利益は同21.4%減の150億円となりました。
④ その他
ホテル業及び旅行業についても、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。
4~6月には移動の自粛が呼びかけられるなど、需要が大幅に減少しましたが、「Go To トラベル キャンペーン」等も活用し、ご利用の回復に努めていきます。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、その他セグメントの営業収益は前年同期比34.3%減の527億円、営業損失は108億円となりました。
運輸業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。
ア.輸送実績
区分単位第34期第2四半期累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年9月30日)
前年同期比
営業日数183-
キロ程新幹線キロ812.6812.6
在来線キロ( 28.0 )
4,090.5
( 28.0 )
4,090.5
キロ( 28.0 )
4,903.1
( 28.0 )
4,903.1
輸送人員定期千人518,03983.0%
定期外千人180,01746.8
千人698,05669.2




新幹線定期千人キロ399,02585.2
定期外千人キロ2,629,79825.0
千人キロ3,028,82427.6




定期千人キロ7,820,01079.1
定期外千人キロ2,331,09640.5
千人キロ10,151,10664.9


定期千人キロ1,847,82586.1
定期外千人キロ821,73737.0
千人キロ2,669,56261.1
定期千人キロ9,667,83580.3
定期外千人キロ3,152,83339.6
千人キロ12,820,66964.1
合計定期千人キロ10,066,86180.5
定期外千人キロ5,782,63231.3
千人キロ15,849,49351.2

(注)1.キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前年同期比は、前年第2四半期末の数値を記載しております。
2.輸送人キロ欄の近畿圏は、近畿統括本部の地域について記載しております。
イ.収入実績
区分単位第34期第2四半期累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年9月30日)
前年同期比








新幹線定期百万円5,16989.8%
定期外百万円60,74526.5
百万円65,91428.0




定期百万円47,82980.5
定期外百万円42,16541.4
百万円89,99555.9


定期百万円10,64984.4
定期外百万円15,97536.4
百万円26,62547.1
定期百万円58,47881.2
定期外百万円58,14139.9
百万円116,62053.6
合計定期百万円63,64881.8
定期外百万円118,88631.7
百万円182,53540.3
荷物収入百万円198.2
合計百万円182,53640.3
鉄道線路使用料収入百万円2,819112.1
運輸雑収百万円27,66581.2
収入合計百万円213,02143.5

(注) 旅客収入欄の近畿圏は、近畿統括本部の地域について記載しております。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産額は3兆5,049億円となり、前連結会計年度末と比較し、2,297億円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加によるものです。
負債総額は2兆4,322億円となり、前連結会計年度末と比較し、3,800億円増加しました。これは主に、社債及び借入金の増加によるものです。
純資産総額は1兆727億円となり、前連結会計年度末と比較し、1,503億円減少しました。これは主に、利益剰余金の減少によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,300億円増加し、3,083億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が減少したことなどから、営業活動において支出した資金は1,412億円(前年同期は1,078億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、固定資産の取得による支出が増加したことなどから、投資活動において支出した資金は前年同期に比べ56億円多い990億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、社債や借入などの長期資金の調達を実施したことなどから、財務活動において得た資金は4,703億円(前年同期は565億円の支出)となりました。
(4)経営方針、事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の経営方針、事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は22億円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に、重要な変更はありません。
(6)主要な設備
① 新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第2四半期連結累計期間に著しい変動が
あったものは、次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間において完成した重要な設備の新設
工事件名セグメントの名称総工事費完成年月
車両新造工事運輸業百万円
1,2932020年6月
7,9462020年9月
社員研修センターの
リニューアル工事
運輸業12,0492020年5月

② 前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設、除却等について、当第2四半期
連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間に新たに確定した重要な設備の新設の計画
工事件名セグメントの名称予算総額工事着手年月完成予定年月
芦屋駅改良運輸業百万円2020年8月2023年度
4,542
車両新造工事運輸業20,6542020年9月2021年度
広岡社宅等用地開発(オフィス棟)不動産業7,8162020年8月2022年度