四半期報告書-第34期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

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2021/02/10 10:00
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(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、わが国をはじめ世界における社会経済活動全般が大きな影響を受けました。当社グループの事業についても、昨年4月の緊急事態宣言以降、観光のご利用減、出張の抑制等の出控えや消費の減退等、非常に厳しい状況下におかれました。
新型コロナウイルス感染症の再拡大や、それに伴う「Go To トラベル キャンペーン」停止等もあり、短期間でのご利用回復は見通せず、会社発足以来、財務面において最大の危機であると認識しています。
このような状況下において、当社グループとしては、「社会インフラ企業としての使命を守る」「お客様、社員の安全を守る」「社員の雇用を守る」「サプライチェーンを守る」の4つを基本方針として対応しています。
当第3四半期連結累計期間においては、上記の通り、新型コロナウイルス感染症の影響により、営業収益は前年同期比44.0%減の6,450億円、営業損失は1,755億円、経常損失は1,893億円、法人税等を控除した親会社株主に帰属する四半期純損失は1,618億円となりました。
このような極めて厳しい状況に鑑み、鉄道の安全確保及びお客様と社員の新型コロナウイルス感染防止対策の着実な実施を前提としつつ、徹底した経費節減と設備投資の抑制によりキャッシュアウトの縮減を行っています。
引き続き、お客様に安全に、安心してご利用いただくための取り組みをグループ全体で推進するとともに、新たなお客様ニーズを踏まえた価値の提供等によるご利用促進や新たな需要創出を図っていきます。
また、これらの状況を踏まえ、中長期的な財務基盤の回復、社会変化を捉えた変革、安全と成長への道筋を示すべく、昨年10月に「JR西日本グループ中期経営計画2022」の見直しを行いました。
「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、事故の反省と教訓を重く受け止め、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上の取り組み、変革の推進という「経営の3本柱」を今後も経営の最重要課題として取り組んでいきます。
一方で、変化の予測が難しい社会においても、暮らしを支える企業グループとして、「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会」という「めざす未来」の実現に向けて地域と共に歩み続けていきます。
さらに、中長期的な課題として、今後の鉄道や創造事業のご利用が構造的に変化することも踏まえ、構造改革によるキャッシュフロー創出力の回復と施策の重点化による財務基盤の回復により経営を強靭化するとともに、予測困難な未来への変化対応力を向上させ、将来的な企業価値向上に努めていきます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 運輸業
当社は、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上への弛まぬ努力を積み重ねるとともに、このような重大な事故を二度と発生させないとの決意のもと、「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」(以下、「安全考動計画2022」)を策定し、ハード、ソフト両面から安全性向上の取り組みや安全マネジメントの仕組みづくりを進めました。
新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況下においても、最重要課題である鉄道の安全については、「安全考動計画2022」を着実に推進し、より高いレベルの安全をめざしていきます。
ホームの安全対策として、山陽新幹線の主要駅及び在来線のご利用の多い駅等におけるホーム柵の整備等を引き続き進め、岡山、広島、鶴橋、高槻、神戸の各駅の一部ホームで使用を開始しました。
また、激甚化する自然災害への対策として、引き続き、斜面防災対策や降雨時運転規制へのレーダー雨量活用をはじめとした豪雨対策、山陽新幹線における逸脱防止ガードの整備、建物・高架橋等の耐震補強等の地震対策等を進めました。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、お客様の安全を最優先に、より安心してご利用いただくための様々な取り組みを行っています。
(新型コロナウイルス感染症への主な具体的取り組み)
・主な駅及び車両の入念な清掃の実施
・在来線全車両への抗ウイルス・抗菌加工の実施(京阪神エリアは完了)
・主な駅のエレベーター、券売機への抗ウイルス・抗菌加工の実施
・列車内換気に関するご案内及び窓開けの実施
・新幹線全駅、はるか停車駅、乗降10万人以上の駅におけるお客様用消毒用アルコールの設置
・JR各社と日本民営鉄道協会等で構成される鉄道連絡会のガイドラインに沿った感染防止策の実施と継続した時差出勤・テレワーク・可能な限りのマスク着用への協力依頼等に関する車内放送や駅構内放送の実施及び駅・車内へのポスターの掲出
・主な線区・区間の列車及び主な駅の時間帯別の混雑状況のホームページでの告知
・インターネット列車予約サービスやみどりの券売機におけるシートマップ機能のご利用促進
・「期間限定 定期券併用チケットレス特急券」の発売(昨年6~9月)
・新幹線や在来線特急列車の一部運休等の実施
・社員の感染予防策、体調管理の徹底
・社員の一時帰休の実施
今後も安全・安心に十分留意しつつ、政府等の方針、社会情勢、お客様のご利用状況等を見極めながら、各エリアの状況に応じた需要回復策を段階的に講じていくとともに、個人旅行、若年層等の属性や移動目的に対応した施策を実施していきます。さらに、行動様式やお客様の意識の変化をとらえ、ビジネス、旅行等、さまざまなニーズに応じた新たな施策を展開していきます。
(需要回復に向けての主な具体的取り組み)
・「WEST EXPRESS銀河」運転開始(昨年9月~山陰方面、同12月~山陽方面)
・「『どこでもドアで、どこいこう。』キャンペーン」の実施(「どこでもドアきっぷ」の発売等)(昨年10月~1月)
・「山陽新幹線直前割50」や北陸新幹線での「eチケット早特21/14」等の割引きっぷの発売
・「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」の実施(同10~12月)
・MaaSアプリ「WESTER」「setowa」のリリース(同9月)
これらの取り組みを行いましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、運輸業セグメントの営業収益は前年同期比51.5%減の3,577億円、営業損失は1,736億円となりました。
② 流通業
流通業については、緊急事態宣言の発出以降、多くの施設・店舗を休業し、その後は順次営業を再開してきましたが、現在も一部で休業しています。各業界団体において作成されたガイドライン(以下、「ガイドライン」)を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。
昨年7月には、デジタル活用の推進を図る取り組みの一環として、当社グループの商業施設・飲食店にモバイルオーダープラットフォーム「O:der(オーダー)」の導入を開始しました。
流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテルについては、同6月に「ヴィアイン広島新幹線口」を開業、「ヴィアイン下関」のリニューアルを実施し、同12月には「ヴィアイン大阪京橋」を開業しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、流通業セグメントの営業収益は前年同期比40.1%減の1,062億円、営業損失は112億円となりました。
③ 不動産業
不動産業についても、流通業と同様に、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。
ショッピングセンターでは、昨年6月に「金沢百番街」の一部エリアにおけるリニューアル開業を実施したほか、同9月には「さんすて岡山」のリニューアルを完了しました。さらに、同9月にアウトドア用品の専門店10店を集めた「LUCUA OUTDOOR from ALBi」をルクア大阪にオープンしました。
また、同11月にはシェアオフィス「ワークスペース阿倍野松崎町」をトライアルオープンしました。
不動産業セグメントでは、不動産販売等は好調でしたが、ショッピングセンターにおける新型コロナウイルス感染症の影響等により、営業収益は前年同期比9.3%減の1,006億円、営業利益は同19.4%減の232億円となりました。
④ その他
ホテル業及び旅行業についても、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めています。昨年10月には新ブランドホテル「梅小路ポテル京都」を開業しました。
現在も一部施設を休業するなど、引き続き厳しい状況にありますが、行政の施策等も活用し、ご利用の回復に努めていきます。
その他セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の影響により、営業収益は前年同期比35.7%減の803億円、営業損失は136億円となりました。
運輸業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。
ア.輸送実績
区分単位第34期第3四半期累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比
営業日数275-
キロ程新幹線キロ812.6812.6
在来線キロ( 28.0 )
4,090.5
( 28.0 )
4,090.5
キロ( 28.0 )
4,903.1
( 28.0 )
4,903.1
輸送人員定期千人775,58384.3%
定期外千人307,17953.8
千人1,082,76372.6




新幹線定期千人キロ593,63688.0
定期外千人キロ5,241,75732.8
千人キロ5,835,39435.0




定期千人キロ11,791,62281.0
定期外千人キロ4,115,86747.8
千人キロ15,907,49068.6


定期千人キロ2,724,69687.3
定期外千人キロ1,483,49644.0
千人キロ4,208,19264.8
定期千人キロ14,516,31982.1
定期外千人キロ5,599,36346.7
千人キロ20,115,68367.8
合計定期千人キロ15,109,95582.3
定期外千人キロ10,841,12138.8
千人キロ25,951,07756.0

(注)1.キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前年同期比は、前年第3四半期末の数値を記載しております。
2.輸送人キロ欄の近畿圏は、近畿統括本部の地域について記載しております。
イ.収入実績
区分単位第34期第3四半期累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
前年同期比








新幹線定期百万円7,76090.0%
定期外百万円116,93633.7
百万円124,69735.1




定期百万円72,86581.8
定期外百万円72,92348.2
百万円145,78960.7


定期百万円16,15785.5
定期外百万円28,68643.4
百万円44,84452.8
定期百万円89,02382.5
定期外百万円101,61046.8
百万円190,63458.6
合計定期百万円96,78483.0
定期外百万円218,54638.7
百万円315,33146.3
荷物収入百万円297.9
合計百万円315,33346.3
鉄道線路使用料収入百万円4,073103.1
運輸雑収百万円41,68080.6
収入合計百万円361,08749.0

(注) 旅客収入欄の近畿圏は、近畿統括本部の地域について記載しております。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産額は、3兆5,204億円となり、前連結会計年度末と比較し、2,452億円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加によるものです。
負債総額は、2兆4,918億円となり、前連結会計年度末と比較し、4,397億円増加しました。これは主に、社債及び借入金の増加によるものです。
純資産総額は、1兆285億円となり、前連結会計年度末と比較し、1,945億円減少しました。これは主に、利益剰余金の減少によるものです。
(3)経営方針、事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大による極めて厳しい状況を踏まえ、中長期的な財務基盤の回復、社会変化を捉えた変革、安全と成長への道筋を示すべく、昨年10月に「JR西日本グループ中期経営計画2022」の見直しを行いました。
「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、事故の反省と教訓を重く受け止め、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上の取り組み、変革の推進という「経営の3本柱」を今後も経営の最重要課題として取り組んでいきます。
一方で、変化の予測が難しい社会においても、暮らしを支える企業グループとして、「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会」という「めざす未来」の実現に向けて地域と共に歩み続けていきます。
さらに、中長期的な課題として、今後の鉄道や創造事業のご利用が構造的に変化することも踏まえ、構造改革によるキャッシュフロー創出力の回復と施策の重点化による財務基盤の回復により経営を強靭化するとともに、予測困難な未来への変化対応力を向上させ、将来的な企業価値向上に努めていきます。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は36億円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に、重要な変更はありません。
(5)主要な設備
① 新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があったものは、次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間において完成した重要な設備の新設
工事件名セグメントの名称総工事費完成年月
車両新造工事運輸業百万円
1,2932020年6月
7,9462020年9月
4,3142020年12月
社員研修センターの
リニューアル工事
運輸業12,0492020年5月
広島支社ビル新築工事運輸業6,2652020年11月

② 前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設、除却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間に新たに確定した重要な設備の新設の計画
工事件名セグメントの
名称
予算総額工事着手年月完成予定年月
百万円
芦屋駅改良運輸業4,5422020年8月2023年度
車両新造工事運輸業20,6542020年9月2021年度
広岡社宅等用地開発(オフィス棟)不動産業7,8162020年8月2022年度