有価証券報告書-第22期(平成30年12月1日-令和1年11月30日)

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2020/02/28 10:33
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、個人消費が持ち直し、企業の設備投資は増加傾向にあるなか、雇用情勢は改善しており、景気は輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復しております。
一方で、当社グループの主たる事業領域である生鮮流通を取り巻く環境は、大きく変化しております。特にスーパーマーケット業界では、少子高齢化による人口減少の影響により、労働者の確保難によるコストの増加、ネット通販やドラッグストアなどの異業種からの生鮮品販売の参入などで競争環境が厳しくなっております。
2019年11月期は、このような市場環境の変化に対応するため、いままでの機能別の組織からサービス目的別の組織へと、下期から大きくマネジメント体制を変更いたしました。これにより現場の意思決定のスピードアップを図り、社員の経営参加意識の向上とローコストオペレーションを実現していきたいと考えております。また、2020年11月期より適用を開始するため、人事制度も再構築いたしました。引き続き、社員1人1人のモチベーション向上につながるような教育制度など、継続的な施策を実施して、経営基盤の強化に努めたいと考えております。事業面では、ドラッグストア向けビジネスや国内青果物流通プラットフォームの構築など、数年前から積極的に進めてきた複数の新規事業投資が、本格的に展開可能なステージに移行しつつあります。既存事業につきましては、サービス価格の適正化や取り扱うトランザクション量の増加などにより、減損などの特別損失を除き、ほぼ計画通りに進捗いたしました。
以上の結果、売上高55億62百万円(前連結会計年度比13.9%増)、営業利益2億61百万円(同79.5%増)、経常利益2億53百万円(同100.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益89百万円(同386.3%増)となりました。
セグメント別の業績は、次の通りです。
なお、当連結会計年度より、従来「オペレーション支援事業」に含めてきた海外事業の担当部門を「農業支援事業」に含めております。これは、当社グループでは激しく変化する経営環境や多様化する顧客ニーズに対応し、事業戦略遂行のためにより迅速かつ的確な意思決定を行う体制の構築と業務の効率化を図ることを目的として、組織変更を実施したためであります。以下の前年比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
(オペレーション支援事業)
バナナサプライチェーンの顧客に対しては、新たな業務を受託するため、2019年7月より札幌に第2オフィスを開設し、顧客と調整しながら業務移管を進めております。同時に業務受託オペレーションのローコスト化を実現させるため、RPAなどの業務の自動化技術への対応も継続しております。また、大手チェーンストア向けの「生鮮MDシステム」については、顧客の地域分社化に伴い、地域毎のより細かいニーズに対応すべく機能の改修や追加を行い、未導入だったグループ会社や部門への導入に向けた取り組みを実施いたしました。また、当社の生産履歴管理システムである「農場物語」のチェーンストア版といえるシステムを新たに開発し、下期にリリースいたしました。これにより、約3,000名の新たな生産者にサービスを展開することが可能となりました。現在進めている国内青果物流通プラットフォームの構築については、大手小売業者や仲卸業者と、システムに必要な機能の絞り込みや新しいサービスの提案など、具体的なタスクを進めております。
以上の結果、売上高46億29百万円(前連結会計年度比10.6%増)、営業利益15億59百万円(同15.7%増)となりました。
(農業支援事業)
青森県の「岩木山りんご生産出荷組合」からの受託販売事業については、集荷量の増大を見据え冷蔵庫の増設を行いました。子会社の有機農産物販売会社については、取り扱いを開始した輸入果実である有機バナナの販売量が増加し、売上増加に寄与いたしました。ドラッグストア向けの新たなサービス実証実験については、継続して41店舗(2019年11月期末)で取り組み、ビジネスモデルの構築に注力しました。当連結会計年度から農業支援事業セグメントに含めている海外事業については、主にフィリピンにおけるシステム提供に向けた活動を行ってまいりました。
以上の結果、売上高9億32百万円(前連結会計年度比33.4%増)、営業損失2億3百万円(前連結会計年度は営業損失1億67百万円)となりました。

②財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末と比べて2億85百万円増加し、56億22百万円(前連結会計年度末比5.3%増)となりました。内訳としては、流動資産が36億9百万円(同10.8%増)、固定資産が20億12百万円(同3.2%減)となりました。
流動資産の主な増加要因は、現金及び預金が1億69百万円、売掛金が1億53百万円増加したことによるものです。
固定資産の主な減少要因は、ソフトウエアが1億98百万円減少したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べて2億17百万円増加し、15億70百万円(同16.1%増)となりました。内訳としては、流動負債が9億76百万円(同28.9%増)、固定負債が5億94百万円(同0.3%減)となりました。
流動負債の主な増加要因は、未払金が73百万円増加したことによるものです。
固定負債の主な減少要因は、長期借入金が28百万円増加した一方、リース債務が48百万円減少したことによるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて68百万円増加し、40億52百万円(同1.7%増)となりました。
この結果、自己資本比率は72.1%となりました。
その主な増加要因は、利益剰余金について親会社株主に帰属する当期純利益を89百万円計上した一方、配当により22百万円減少したことによるものです。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上等により、前連結会計年度末に比して1億69百万円増加し、27億4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6億74百万円(前年同期は4億24百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を1億98百万円、減価償却費を3億82百万円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4億64百万円(前年同期は4億49百万円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出1億88百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は40百万円(前年同期は1億65百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入1億円、長期借入金の返済による支出46百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出65百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)9,63442.6

(注)1.金額は販売価格により算出したものであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度における製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)5,35830.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(c)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)385,442117.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(d)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
オペレーション支援事業27,63846.813,73033.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(e)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
前年同期比(%)
金額(千円)
オペレーション支援事業4,629,962110.6
農業支援事業932,157133.4
合計5,562,119113.9

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去をしております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年12月1日
至 2018年11月30日)
当連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱ケーアイ・フレッシュアクセス962,10719.71,112,53620.0
㈱ファーマインド724,16014.8836,06515.0
㈱ドール722,49814.8816,16214.7

3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について重要な会計方針に基づき見積り及び仮定による判断を行っており、経営者はこれらの見積り及び仮定に関して継続して評価を行っております。しかし、見積りには特有の不確実性があるため、実際の結果につきましては見積りと異なる可能性があります。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年2月28日)現在において判断したものであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
当連結会計年度における業績の概要は次のとおりであります。
(売上高) 当連結会計年度における売上高は55億62百万円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。その主な内訳は、オペレーション支援事業売上46億29百万円(同10.6%増)、農業支援事業売上9億32百万円(同33.4%増)であります。主な増減要因は、オペレーション支援事業では、生鮮青果物サプライチェーン向けに提供する「イーサポートリンクシステムVer2」および業務受託サービスにおけるサービス料金の見直しを実施したこと、「生鮮MDシステム」については、大手チェーンストアのグループ企業、子会社等への導入が拡大し、トランザクション量が増加したこと、農業支援事業では、子会社で取り扱いを開始した輸入果実の有機バナナの販売量が増加したこと、ドラッグストア向けの新業態開発としてのサービス実証実験についても継続して41店舗(2019年11月期末時点)で取り組んだことによるものであります。
(売上原価)
売上原価は、33億32百万円(同13.2%増)となりました。主な内訳は、労務費として11億29百万円、ソフトウエア開発等の設備投資による減価償却費が3億62百万円、保守管理費が6億82百万円であります。これらにより、売上総利益は22億29百万円(同14.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、19億68百万円(同9.6%増)となりました。主な内訳は、人件費として10億38百万円、保守管理費が2億44百万円であります。これらにより、営業利益は2億61百万円(同79.5%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、16百万円となりました。主な内訳は、業務受託料5百万円、投資事業組合運用益2百万円であります。営業外費用は、24百万円となりました。主な内訳は、貸倒引当金繰入額20百万円、支払利息4百万円であります。これらにより、経常利益は2億53百万円(同100.6%増)となりました。
(特別損益)
特別損失は、55百万円となりました。主な内訳は、減損損失55百万円であります。
(税金費用)
税金費用は、1億9百万円となりました。主な内訳は、法人税、住民税及び事業税として55百万円、法人税等調整額53百万円計上したことによるものです。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は89百万円(同386.3%増)となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、長期借入金で調達しております。