有価証券報告書-第23期(令和1年12月1日-令和2年11月30日)

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2021/02/26 9:41
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、感染拡大の防止策を講じながら、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果がありつつも、感染症が内外の経済を下振れさせるリスクに十分に注意する必要があります。
一方で、当社グループの主たる事業領域である生鮮流通を取り巻く環境は、コロナ禍以前から大きな課題を抱えており、小売業は、消費低迷・人口減の影響などからスーパーの統合や連携の動きが増加していることに加え、コロナ禍においてEC(Electronic Commerce:電子商取引)や宅配事業者などが伸長し、競争の激化が起こっている状況です。卸売市場についても、コロナ禍以前より卸売数量が減少しており、働き手の確保や物流の効率化など構造的課題がありました。
このような状況の中、当社グループは、コロナ禍における社会及び消費者の意識変化に注視しておりました。特に当社グループの顧客が食品ロスや環境問題、地域内循環やサプライチェーン短縮化の重要性の認識といった社会の意識変化、衛生意識の高まり、節約志向や家庭内調理の増加といった消費者の意識変化に対応するため、非接触、キャッシュレスなどの店舗効率化やネット活用による顧客囲い込み、節約・簡便・健康志向・環境問題に対応した商品調達・供給力強化、ECや宅配利用増加に伴う物流業者の負担増大を踏まえた物流機能の効率化といった、構造的課題への対応スピードを上げてくると想定しております。その中で当社グループの経験やノウハウが活かせる分野において、各業界のプレイヤーとの取り組み等を行ってサービス化に努めてまいりましたものの、コロナ禍において営業活動の制約等もあったことから、売上に関しては当初計画と比較して厳しい状況となりましたが、コスト等を削減することで営業利益ではほぼ計画通りに進捗いたしました。
売上高につきましては、56億53百万円(前連結会計年度比1.6%増)、営業利益は2億65百万円(同1.4%増)、経常利益は2億35百万円(同7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億16百万円(同31.2%増)となりました。
セグメント別の業績は、次の通りです。
ⅰ)オペレーション支援事業
当社の輸入青果物の流通オペレーションにかかわるノウハウや知見について、国産青果物流通に展開する取り組みを各企業と実証実験を行ってまいりました。地産地消など売場を起点とした調達支援の取り組み、仲卸企業とは既存の市場流通の課題解決に向けた取り組み、生産者とは小売企業との直取引支援の取り組みを行い、サービス化を実現いたしました。
また、従前からの課題でありました、輸入青果物サプライチェーンの受託業務オペレーションの効率化を推進し、生産性を向上させることで、国産青果物流通への展開スピードを上げる環境を構築しております。さらに、大手チェーンストア向けの「生鮮MDシステム」については、顧客の地域分社化に伴い、地域毎のより細かいニーズに対応すべく機能の改修や追加を行い、未導入だったグループ会社や部門への導入に向けた取り組みを前期より実施するとともに、地方チェーンストアへの導入に向けた営業を本格化いたしました。
以上の結果、売上高44億75百万円(前連結会計年度比3.3%減)、営業利益14億75百万円(同5.4%減)となりました。
ⅱ)農業支援事業
青森県の「岩木山りんご生産出荷組合」からのりんご事業については、令和2年度産のりんごの集荷量は増加とともに、新たに国産青果物の取り扱いも堅調に推移し、また、子会社の有機農産物販売については、輸入果実が増加と売上増に寄与いたしました。
2018年から取り組んでおりますドラッグストア向けの青果売場構築支援事業は、コロナ禍により当初目標であった期末時点での単月黒字化の達成はできませんでしたが、来年度に向けて本格展開の準備を行っております。
海外で実証実験を行っておりましたセンシング技術のビジネス活用に向けた取り組みは、コロナ禍ではありますが、国内で継続して実証実験ができる環境を整え、継続して行ってまいりました。
以上の結果、売上高11億77百万円(前連結会計年度比26.3%増)、営業損失1億93百万円(前連結会計年度は営業損失2億3百万円)となりました。

②財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末と比べて87百万円減少し、55億35百万円(前連結会計年度末比1.5%減)となりました。内訳としては、流動資産が38億90百万円(同7.8%増)、固定資産が16億44百万円(同18.3%減)となりました。
流動資産の主な増加要因は、現金及び預金が3億6百万円増加したことによるものです。
固定資産の主な減少要因は、ソフトウエアが1億98百万円、ソフトウエア仮勘定が59百万円減少したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べて1億82百万円減少し、13億88百万円(同11.6%減)となりました。内訳としては、流動負債が8億41百万円(同13.8%減)、固定負債が5億47百万円(同8.0%減)となりました。
流動負債の主な減少要因は、リース債務が45百万円、未払金が51百万円減少したことによるものです。
固定負債の主な減少要因は、長期借入金が44百万円減少したことによるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて95百万円増加し、41億47百万円(同2.3%増)となりました。
この結果、自己資本比率は74.9%となりました。
その主な増加要因は、利益剰余金について親会社株主に帰属する当期純利益を1億16百万円計上した一方、配当により22百万円減少したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上等により、前連結会計年度末に比して3億6百万円増加し、30億10百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は5億67百万円(前年同期は6億74百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を1億67百万円、減価償却費を4億0百万円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は93百万円(前年同期は4億64百万円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出81百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億67百万円(前年同期は40百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出65百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出52百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)89,222926.1

(注)1.金額は販売価格により算出したものであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度における生産実績の著しい変動の要因は、「①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度における製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)63,0851,177.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度における製品仕入実績の著しい変動の要因は、「①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(c)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)446,366115.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(d)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
オペレーション支援事業4,43016.0--

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(e)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
前年同期比(%)
金額(千円)
オペレーション支援事業4,475,47196.7
農業支援事業1,177,735126.3
合計5,653,207101.6

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去をしております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年12月1日
至 2019年11月30日)
当連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱ケーアイ・フレッシュアクセス1,112,53620.01,276,14422.6
㈱ファーマインド836,06515.0822,92914.6
㈱ドール816,16214.7390,8636.9

3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年2月26日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について重要な会計方針に基づき見積り及び仮定による判断を行っており、経営者はこれらの見積り及び仮定に関して継続して評価を行っております。しかし、見積りには特有の不確実性があるため、実際の結果につきましては見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報(新型コロナウイルスの感染拡大に伴う会計上の見積りについて)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
当連結会計年度における業績の概要は次のとおりであります。
(売上高) 当連結会計年度における売上高は56億53百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。その主な内訳は、オペレーション支援事業売上44億75百万円(同3.3%減)、農業支援事業売上11億77百万円(同26.3%増)であります。主な増減要因は、オペレーション支援事業では、生鮮青果物サプライチェーン向けに提供する「イーサポートリンクシステムVer.2」および業務受託サービスにおけるサービス料金の見直しを実施したこと、「生鮮MDシステム」については、大手チェーンストアのグループ企業、子会社等への導入が拡大し、トランザクション量が増加したこと、農業支援事業では、子会社で取り扱いを開始した輸入果実の有機バナナの販売量が増加したこと、ドラッグストア向けの新業態開発としてのサービス実証実験についても継続して75店舗(2020年11月期末時点)で取り組んだことによるものであります。
(売上原価)
売上原価は、33億79百万円(同1.4%増)となりました。主な内訳は、労務費として10億33百万円、ソフトウエア開発等の設備投資による減価償却費が3億80百万円、保守管理費が6億41百万円であります。これらにより、売上総利益は22億74百万円(同2.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、20億9百万円(同2.1%増)となりました。主な内訳は、人件費として11億69百万円、保守管理費が2億41百万円であります。これらにより、営業利益は2億65百万円(同1.4%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、9百万円となりました。主な内訳は、受取利息4百万円、受取配当金2百万円であります。営業外費用は、38百万円となりました。主な内訳は、コミットメントフィー21百万円、貸倒引当金繰入額12百万円であります。これらにより、経常利益は2億35百万円(同7.1%減)となりました。
(特別損益)
特別損失は、67百万円となりました。主な内訳は、減損損失33百万円、投資有価証券評価損27百万円であります。
(税金費用)
税金費用は、50百万円となりました。主な内訳は、法人税、住民税及び事業税として35百万円、法人税等調整額15百万円計上したことによるものです。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1億16百万円(同31.2%増)となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、長期借入金で調達しております。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化するリスクに万全を期すため、機動的な資金調達手段としてコミットメントライン契約(取引金融機関5行と総額20億円)を締結いたしました。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。