有価証券報告書-第25期(2021/12/01-2022/11/30)

【提出】
2023/02/24 11:59
【資料】
PDFをみる
【項目】
142項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策については経済活動との両立による新たな局面を迎え、景気への影響を見極めながら対応が図られています。一方、国際情勢の緊張から、資源価格の上昇や物価高、金融市場の動向などにより消費行動への影響が懸念され引き続き不透明な状況が予想され、その動向を注視する必要があります。
当社グループが主に事業を展開する生鮮流通業界においては、従来続く人口減少等の社会構造の変化に加え、感染症や国際情勢など新たな環境変化に起因する課題への対応からデジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心とした構造的転換への投資意欲が強く、事業環境は大きく変化してきています。
スーパーマーケットを中心とした小売量販店においては、光熱費や資材価格の上昇をはじめとしてあらゆる販管コストの上昇に加え、店舗運営の効率化や商品調達の最適化に対し、キャッシュレス決済やセルフレジの導入などによるデジタル化・効率化を推進する一方、移動スーパーや宅配など新たな店舗運営形態の取り組みを模索しています。ライフスタイルの多様化や感染症対策における行動様式の変化、節約志向など生活者ニーズに広がりを見せていることもあり、対応すべき課題が蓄積していると認識しています。
また、当社が従来主力とする輸入青果物のオペレーションについては、円安と資源高の同時進行や物流の混乱により産地における関連事業者や輸入商社等の収益環境の悪化が懸念されます。また、国内の農業・生産サイドにおいても生産者の高齢化や後継者問題、気候変動による主要産地からの農産物の供給の不安定化など課題を抱えています。
これら課題の抜本的な解決と、社会的要請である脱炭素社会をはじめとした環境配慮の視点を持った持続可能な取り組みが必要となります。
このような環境にあって当社グループは、当連結会計年度を構造改革期と位置付け、事業構造の見直し、組織改革に取り組んでまいりました。既存事業は収益基盤を強化するとともに、生鮮流通における「小商圏」「地域活性化」を軸にしたビジネスの確立と展開を進めてまいりました。「輸入青果物サプライチェーン事業」の落ち込みに目途がつき、事業構造改革の取り組みの結果、収益を大きく回復することができました。
以上の結果、売上高につきましては、48億50百万円(前連結会計年度比6.5%減)、営業利益は2億14百万円(前連結会計年度は営業損失95百万円)、経常利益は2億17百万円(前連結会計年度は経常損失1億26百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億55百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失9億42百万円)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
ⅰ)オペレーション支援事業
当事業セグメントにおける「輸入青果物サプライチェーン事業」及び「生鮮MDシステム事業」は、安定収益基盤を拡充するとともに、運営の効率化に努めてまいりました。輸入青果物サプライチェーン事業では、事業拠点の統廃合や人員の再配置、受託業務オペレーションの生産性向上の取り組みにより運営体制を再構築し、収益力向上に注力しました。大手チェーンストア向けの生鮮MDシステム事業は、大手量販店グループの各社への導入を進め規模拡大を追求する一方、機能の追加開発や改修によりユーザー利便性を高めることで、顧客企業との取引強化を図ってまいりました。課金対象となるトランザクション量は堅調に推移し、前年を上回る結果となりました。「青果売場構築支援事業」についても、導入及び運営において効率化を図り、今後の事業拡大への取り組みを継続しております。
以上の結果、売上高32億38百万円(前連結会計年度比15.9%減)、営業利益12億19百万円(同14.2%増)となりました。
ⅱ)農業支援事業
「りんご・国産青果物販売事業」については、令和3年度産のりんごの全国的な収穫量の減少を受け、集荷数量を確保できず前年を下回る結果となりましたが、さつまいもなど新たな商材の取り扱いを開始し、その他の国産青果物の取引が順調に推移したため、「りんご・国産青果物販売事業」全体の売上高は伸長しました。子会社の「有機農産物販売事業」については、主力となるバナナ等の輸入有機商材において一時供給網の混乱や品質不良の問題があったものの持ち直した他、加工品等のスポット販売が寄与し、事業全体では売上高は伸長しました。
以上の結果、売上高16億12百万円(前連結会計年度比20.4%増)、営業損失1億27百万円(前連結会計年度は営業損失1億18百万円)となりました。
②財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末と比べて6億33百万円減少し、54億90百万円(前連結会計年度末比10.3%減)となりました。内訳としては、流動資産が44億42百万円(同12.7%減)、固定資産が10億47百万円(同1.2%増)となりました。
流動資産の主な減少要因は、現金及び預金が9億45百万円減少したことによるものです。
固定資産の主な増加要因は、繰延税金資産が30百万円、ソフトウエアが29百万円増加したことによるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べて7億95百万円減少し、21億18百万円(同27.3%減)となりました。内訳としては、流動負債が9億92百万円(同33.9%減)、固定負債が11億26百万円(同20.3%減)となりました。
流動負債の主な減少要因は、未払金が3億61百万円、事業構造改善引当金が2億57百万円減少したことによるものです。
固定負債の主な減少要因は、長期借入金が2億71百万円減少したことによるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べて1億61百万円増加し、33億71百万円(同5.0%増)となりました。
この結果、自己資本比率は61.4%となりました。
その主な増加要因は、利益剰余金について親会社株主に帰属する当期純利益を1億55百万円計上したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上等がありましたが、長期借入金の返済による支出、無形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比して9億45百万円減少し、33億94百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は5億4百万円(前年同期は2億88百万円の収入)となりました。これは主に売上債権の増加により2億90百万円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億71百万円(前年同期は1億84百万円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出1億34百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億70百万円(前年同期は12億26百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出3億11百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)482,784171.2

(注)金額は販売価格により算出したものであります。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度における製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)455,702182.0

(c)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
農業支援事業(千円)520,645104.9

(d)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
オペレーション支援事業8,845191.05,050-

(e)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
金額(千円)
オペレーション支援事業3,238,37484.2
農業支援事業1,612,495120.4
合計4,850,86993.5

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去をしております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱ケーアイ・フレッシュアクセス937,52918.1308,2916.4
㈱ファーマインド810,64615.6807,13716.6

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年2月24日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について重要な会計方針に基づき見積り及び仮定による判断を行っており、経営者はこれらの見積り及び仮定に関して継続して評価を行っております。しかし、見積りには特有の不確実性があるため、実際の結果につきましては見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
当連結会計年度における業績の概要は次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は48億50百万円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。その主な内訳は、オペレーション支援事業売上高32億38百万円(同15.9%減)、農業支援事業売上高16億12百万円(同20.4%増)であります。主な増減要因は、オペレーション支援事業では、生鮮青果物サプライチェーン向けに提供する「イーサポートリンクシステムVer.2」及び業務受託サービスにおける一部顧客の契約の見直しを実施したこと、「生鮮MDシステム」については、大手チェーンストアのグループ企業、子会社等への導入が拡大し、トランザクション量が増加したこと、農業支援事業では、子会社で取り扱いを開始した輸入果実の有機バナナや有機キウイなどの販売量が増加したことによるものであります。
(売上原価)
売上原価は、30億28百万円(同6.1%減)となりました。主な内訳は、労務費として7億25百万円、保守管理費が5億12百万円であります。これらにより、売上総利益は18億22百万円(同7.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、16億8百万円(同21.8%減)となりました。主な内訳は、人件費として8億57百万円、保守管理費が1億76百万円であります。これらにより、営業利益は2億14百万円(前年同期は営業損失95百万円)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、22百万円となりました。主な内訳は、受取配当金11百万円、違約金収入5百万円であります。営業外費用は、19百万円となりました。主な内訳は、貸倒引当金繰入額10百万円であります。これらにより、経常利益は2億17百万円(前年同期は経常損失1億26百万円)となりました。
(特別損益)
特別損失は、89百万円となりました。主な内訳は、減損損失49百万円、事業構造改善費用29百万円であります。
(税金費用)
税金費用は、△27百万円となりました。主な内訳は、法人税、住民税及び事業税として6百万円、法人税等調整額△33百万円計上したことによるものです。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1億55百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失9億42百万円)となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、長期借入金で調達しております。