有価証券報告書-第160期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
日本経済は、世界経済における通商問題の長期化などにより製造業を中心に弱さが見られていましたが、足元における新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴い、個人消費や企業収益が急速に悪化しております。
建設業界においても、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も緩やかに増加しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が発生しはじめております。
こうした状況のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
| 経営成績 (単位:億円) | 前連結会計年度 (A) | 当連結会計年度 (B) | 増減額 (B-A) | 増減率 (%) |
| 受注高 | 16,938 | 16,800 | △138 | △0.8% |
| 売上高 | 16,508 | 17,513 | 1,004 | 6.1% |
| 営業利益 | 1,533 | 1,677 | 144 | 9.4% |
| 経常利益 | 1,579 | 1,733 | 154 | 9.8% |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 1,125 | 1,220 | 95 | 8.5% |
受注高は、建築事業が新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、一部の大型工事の発注時期が先送りされた影響等により減少したものの、土木事業が大型工事の受注で増加したことにより、概ね前連結会計年度並みの1兆6,800億円となりました。
売上高は、土木事業及び建築事業が豊富な手持ち工事を順調に消化したこと等により増加したことから、前連結会計年度比6.1%増の1兆7,513億円となりました。
営業利益は、土木事業の売上総利益が増収に加え、工事終盤を迎えた大型工事における追加工事の獲得や工事進捗に伴う原価低減等により利益率が好転したことに伴い増益となったことから、前連結会計年度比9.4%増の1,677億円となりました。経常利益は、受取配当金の増加による金融収支の好転等に伴う営業外損益の好転により、同9.8%増の1,733億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損及び減損損失の計上等に伴う特別損益の悪化及び税金等調整前当期純利益の増益に伴う法人税等の増加により、同8.5%増の1,220億円となりました。なお、ROE(自己資本当期純利益率)は、前連結会計年度比0.4%増の16.6%となりました。
経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、建設市場の動向並びに建設コストの変動等による経営環境の変化があります。
当連結会計年度における経営環境は、概ね良好に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が発生しはじめております。今後については、短期的には新型コロナウイルス感染症拡大により景気の一段の悪化が懸念されており、当社グループを取り巻く経営環境は極めて厳しい状況が継続すると考えられます。
また、中長期的には、国内建設需要の減少に伴う競争環境の激化や建設技能労働者不足等が見込まれることから、海外事業の持続的な成長、注力分野への経営資源の戦略的投入、働き方改革による将来の担い手確保及び技術開発等による生産性向上が重要な課題であると考えております。
報告セグメント等の経営成績並びに経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容を示すと次のとおりであります(報告セグメント等の業績につきましては、セグメント間の内部取引を含めて記載しております。)。
①土木事業
売上高は、豊富な手持ち工事を順調に消化したこと等により、前連結会計年度比4.8%増の4,911億円となりました。営業利益は、増収に加え、工事終盤を迎えた大型工事における追加工事の獲得や工事進捗に伴う原価低減等による利益率好転により完成工事総利益が増加したことから、同34.4%増の713億円となりました。
②建築事業
売上高は、豊富な手持ち工事を順調に消化したこと等により、前連結会計年度比8.4%増の1兆2,248億円となりました。営業利益は、一部の大型工事において収支改善が進まなかったこと等による利益率低下により完成工事総利益が減少したことから、同5.7%減の826億円となりました。
③開発事業
不動産業界におきましては、分譲マンション市場では、引き続き販売価格は高止まりし、都心部や駅至近等、顧客による立地選別傾向が一層強まっております。ビル賃貸市場では、都心部を中心として賃料は緩やかな上昇傾向を維持し、堅調に推移しております。
反面、当社グループにおきましては、売上高は連結子会社における分譲マンション引渡戸数の減少等により、前連結会計年度比2.9%減の1,183億円となりました。営業利益は、減収等により開発事業総利益が減少したことから同2.7%減の125億円となりました。
④その他
売上高は、前連結会計年度比19.2%増の144億円、営業利益は同5.1%増の12億円となりました。
(2) 財政状態の状況
①資産の状況
完成工事未収入金の増加等により、資産合計は前連結会計年度末比2.4%・438億円増の1兆8,899億円となりました。
②負債の状況
未成工事受入金の増加等により、負債合計は前連結会計年度末比1.1%・122億円増の1兆1,360億円となりました。
③純資産の状況
自己株式の取得、株式相場下落によるその他有価証券評価差額金の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末比4.4%・315億円増の7,539億円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末比0.7%増の39.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益を1,747億円獲得したこと等により、当連結会計年度収支は774億円の収入超となりました。(前連結会計年度は710億円の支出超)
前連結会計年度との比較では、未成工事受入金の増加、売上債権の減少等による工事関係収支の好転(834億円)等により1,485億円の好転となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
定期預金の減少等により、当連結会計年度収支は332億円の収入超となりました。(前連結会計年度は822億円の支出超)
前連結会計年度との比較では、定期預金の減少(602億円)等により1,155億円の好転となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払、自己株式の取得等により、当連結会計年度収支は666億円の支出超となりました。(前連結会計年度は961億円の支出超)
前連結会計年度との比較では、前連結会計年度における社債の償還による支出に対する反動減(100億円)、自己株式の取得による支出の減少(80億円)等により295億円の好転となりました。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,826億円(前連結会計年度末比450億円増)となり、また、資金調達に係る有利子負債の残高は2,081億円(同92億円減)となりました。なお、当期の資金調達に係る有利子負債のうちノンリコース債務は1億円(同1億円増)であります。
資本の財源及び資金の流動性については、中期経営計画(2018-2020)の基本方針・経営課題に基づき、新たに生み出すキャッシュとこれまで蓄積してきた手元資金を主な原資として、株主還元や成長投資などへ適切に資金を配分してまいります。ただし、成長投資については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、将来に対する不確実性が極めて高い状況下にあるため、事業継続に必要となる投資は行いますが、新たな事業機会の確保に向けた投資については当面の間凍結します。
なお、中期経営計画(2018-2020)においては、財務体質の一層の強化を図るため、有利子負債3,000億円未満、実質無借金経営の恒久化、自己資本比率40%以上を財務上の経営数値目標としております。
(4)生産、受注及び販売の状況
① 受注実績
(単位:百万円)
| 報告セグメント等の名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 土木事業 | 411,058 | 434,970 | |
| 建築事業 | 1,148,973 | 1,117,916 | |
| 開発事業 | 124,586 | 115,812 | |
| その他 | 9,241 | 11,351 | |
| 合計 | 1,693,859 | 1,680,051 | |
② 売上実績
(単位:百万円)
| 報告セグメント等の名称 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 土木事業 | 439,109 | 459,109 | |
| 建築事業 | 1,087,671 | 1,168,446 | |
| 開発事業 | 114,855 | 112,422 | |
| その他 | 9,241 | 11,351 | |
| 合計 | 1,650,877 | 1,751,330 | |
(注) 1 受注実績、売上実績においては、セグメント間の取引を相殺消去しております。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
(参考) 提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
① 受注高、売上高、繰越高及び施工高
| 期別 | 区分 | 前期繰越高 (百万円) | 当期受注高 (百万円) | 計 (百万円) | 当期売上高 (百万円) | 次期繰越高(百万円) | 当期施工高 (百万円) | |||||
| 手持高 | うち施工高 | |||||||||||
第159期
| 報 告 セ グメント | 土木事業 | 686,372 | 271,892 | 958,264 | 319,152 | 639,112 | 1% | 9,510 | 314,610 | ||
| 建築事業 | 1,596,318 | 1,033,442 | 2,629,760 | 987,937 | 1,641,823 | 1 | 23,059 | 991,713 | ||||
| 計 | 2,282,691 | 1,305,334 | 3,588,025 | 1,307,089 | 2,280,935 | 1 | 32,570 | 1,306,324 | ||||
| 開発事業 | 265 | 21,910 | 22,175 | 11,983 | 10,192 | - | - | - | ||||
| その他 | - | 9,352 | 9,352 | 9,352 | - | - | - | - | ||||
| 合計 | 2,282,956 | 1,336,596 | 3,619,553 | 1,328,425 | 2,291,127 | - | - | - | ||||
第160期
| 報 告 セ グメント | 土木事業 | 639,112 | 301,710 | 940,822 | 321,379 | 619,443 | 1% | 6,981 | 318,850 | ||
| 建築事業 | 1,641,823 | 1,012,479 | 2,654,303 | 1,065,649 | 1,588,653 | 2 | 27,793 | 1,070,383 | ||||
| 計 | 2,280,935 | 1,314,189 | 3,595,125 | 1,387,028 | 2,208,097 | 2 | 34,775 | 1,389,234 | ||||
| 開発事業 | 10,192 | 16,226 | 26,418 | 13,226 | 13,192 | - | - | - | ||||
| その他 | - | 9,268 | 9,268 | 9,268 | - | - | - | - | ||||
| 合計 | 2,291,127 | 1,339,685 | 3,630,813 | 1,409,523 | 2,221,289 | - | - | - | ||||
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその
増減額を含めております。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。また前期以前
に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により請負金額に変更のあるものについても同様に
処理しております。
2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
4 前期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々15.5%、3.2%、当期の土木事業
及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々1.2%、13.9%であります。
② 受注工事高の受注方法別比率
建設事業の受注方法は、特命と競争に大別されます。
| 期別 | 区分 | 特命 | 競争 | 計 |
| 第159期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 41.7 % | 58.3 % | 100 % |
| 建築工事 | 51.2 | 48.8 | 100 | |
| 第160期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 34.0 % | 66.0 % | 100 % |
| 建築工事 | 50.5 | 49.5 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
| 期別 | 区分 | 国内 | 海外 | 合計 (B) (百万円) | ||
| 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | (A) (百万円) | (A)/(B) (%) | |||
| 第159期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 土木工事 | 162,902 | 139,035 | 17,214 | 5.4 | 319,152 |
| 建築工事 | 187,278 | 796,809 | 3,849 | 0.4 | 987,937 | |
| 計 | 350,181 | 935,844 | 21,063 | 1.6 | 1,307,089 | |
| 第160期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 土木工事 | 166,616 | 146,381 | 8,381 | 2.6 | 321,379 |
| 建築工事 | 172,443 | 879,855 | 13,350 | 1.3 | 1,065,649 | |
| 計 | 339,060 | 1,026,237 | 21,731 | 1.6 | 1,387,028 | |
(注) 1 第159期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
| ・ | 三菱地所㈱ 東京商工会議所 ㈱東京會舘 | 丸の内二重橋ビル 新築工事 |
| ・ | 三井不動産㈱ 三菱地所㈱ | (仮称)TGMM芝浦プロジェクト (A棟・ホテル棟新築工事) |
| ・ | 日本テレビ放送網㈱ | (仮称)麹町新スタジオ棟建設プロジェクト |
| ・ | 北海道開発局旭川開発建設部 | 天塩川サンルダム建設事業の内 堤体建設工事 |
| ・ | 西日本高速道路㈱ | 新名神高速道路 生野大橋(PC上部工)工事 |
2 第160期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
| ・ | (独行)日本スポーツ振興センター | 新国立競技場整備事業(第Ⅱ期) |
| ・ | ㈱ホテルオークラ | (仮称)虎ノ門2-10計画 |
| ・ | 三井不動産㈱ | (仮称)豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業 2-1街区AC棟 新築工事 |
| ・ | 東日本高速道路㈱ | 東京外環自動車道 田尻工事 |
| ・ | 首都高速道路㈱ | (負)高速横浜環状北西線シールドトンネル(港北行)工事 |
3 第159期及び第160期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 手持工事高(2020年3月31日)
| 区分 | 国内 | 海外 | 合計 (B) (百万円) | ||
| 官公庁 (百万円) | 民間 (百万円) | (A) (百万円) | (A)/(B) (%) | ||
| 土木工事 | 281,101 | 291,560 | 46,780 | 7.6 | 619,443 |
| 建築工事 | 283,616 | 1,120,899 | 184,138 | 11.6 | 1,588,653 |
| 計 | 564,718 | 1,412,460 | 230,918 | 10.5 | 2,208,097 |
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
| ・ | (独行)都市再生機構 東日本賃貸住宅本部 | 四谷駅前地区(再)建築工事 |
| ・ | 中日本高速道路㈱ | 東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事 |
| ・ | フィリピン政府・運輸省 | フィリピン・南北通勤鉄道事業CP01工区 |
| ・ | 東日本旅客鉄道㈱ 日本ホテル㈱ ㈱ジェイアール東日本スポーツ | 川崎駅西口開発計画 新築工事 |
| ・ | 春日・後楽園駅前地区市街地 再開発組合 | 春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事(南街区) |
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
なお、重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりです。