有価証券報告書-第58期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/09/29 9:56
【資料】
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は817億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ317億38百万円増加いたしました。これは主に、仕掛品が146億3百万円、現金及び預金が115億37百万円、流動資産のその他が19億73百万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、当連結会計年度末残高は426億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ236億70百万円増加いたしました。これは主に、前受金が134億20百万円、流動負債のその他が40億91百万円、未払法人税等が31億47百万円増加したことによるものであります。
株主資本につきましては、当連結会計年度末残高は390億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ80億27百万円増加いたしました。これは主に、剰余金の配当により27億95百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を108億23百万円計上したことによるものであります。
株主資本にその他の包括利益累計額及び新株予約権を加えた純資産合計は391億75百万円となり、また自己資本比率は47.9%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、当初は堅調に推移しましたが、下期にはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な蔓延で経済活動の中断が余儀なくされ、足元では大幅な景気後退となりました。さらに感染拡大の収束時期を見極めることは難しいものの、経済は緩やかに回復に向かうと見込まれています。
当社グループの主要販売先である半導体業界では、COVID-19の拡大でスマートフォンなどコンシューマー製品や車載機器の需要が減速する一方で、リモートワーク、eコマース、ゲーミングの増加やそれら通信量の増大に対応したDC(データセンター)向けの需要が拡大しました。データ保存に使われるメモリーもDC需要増などを背景として価格下落が収束傾向にあり、ロジックデバイスメーカーの最先端分野では次世代のEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いた半導体の量産が開始され、大手デバイスメーカーやマスクブランクスメーカーが引き続きEUV関連分野で生産増強の投資を継続しています。
このような状況下、当社グループの連結売上高は425億72百万円(前連結会計年度比48.0%増)となりました。
品目別に見ますと、半導体関連装置が343億72百万円(前連結会計年度比73.9%増)、その他が21億50百万円(前連結会計年度比51.2%減)、サービスが60億49百万円(前連結会計年度比31.6%増)となりました。
売上総利益率につきましては、原価率の悪化により、54.0%(前連結会計年度比1.3ポイント減)となりました。
販売費及び一般管理費は、79億29百万円(前連結会計年度比0.6%減)、売上高に対する比率は18.6%(前連結会計年度比9.1ポイント減)となりました。販売費及び一般管理費の主な減少要因は、品質補償引当金繰入額、研究開発費及び旅費交通費の減少によるものです。研究開発費につきましても、主に現行主力製品であるマスク欠陥検査装置やマスクブランクス欠陥検査装置等の開発並びに性能向上に用いましたが、COVID-19の影響もあり当初見込みには至らず、32億97百万円(前連結会計年度比8.2%減)となりました。
これらの結果、営業利益が150億62百万円(前連結会計年度比89.7%増)、経常利益が151億15百万円(前連結会計年度比92.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は108億23百万円(前連結会計年度比82.4%増)となりました。また、1株当たり当期純利益は120円02銭となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ115億39百万円増加し、246億60百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、164億86百万円の収入(前年同期比184.2%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益151億15百万円、前受金の増加額134億38百万円、その他の増減額50億33百万円などの収入要因が、たな卸資産の増加額152億94百万円、法人税等の支払額25億56百万円、売上債権の増加額13億33百万円などの支出要因を上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、20億38百万円の支出(前年同期比104.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11億78百万円、無形固定資産の取得による支出6億20百万円などによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、28億円の支出(前年同期比63.3%増)となりました。これは主に、配当金の支払額27億95百万円などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、検査・測定機器の設計、製造、販売を行う単一のセグメントであるため、セグメント情報は記載を省略しております。
これに代わる品目別の生産実績、受注高及び受注残高並びに販売実績は次のとおりであります。
a.品目別生産実績
当連結会計年度における生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目生産高(千円)対前期増減率(%)
製品
半導体関連装置64,174,18398.3
その他2,389,790△30.3
小計66,563,97486.0
サービス6,049,73331.6
合計72,613,70779.8

(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.品目別受注高及び受注残高
当連結会計年度における受注状況を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目受注高受注残高
金額(千円)対前期増減率(%)金額(千円)対前期増減率(%)
製品
半導体関連装置70,157,21487.987,826,80168.8
その他3,490,81149.83,937,84251.6
小計73,648,02585.791,764,64467.9
サービス6,527,56836.51,398,93451.9
合計80,175,59480.493,163,57967.7

(注)1.金額は販売価格で表示しております。
2.受注高には受注取消・変更等による調整額が含まれております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.品目別販売実績
当連結会計年度における販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目販売高(千円)対前期増減率(%)
製品
半導体関連装置34,372,35673.9
その他2,150,825△51.2
小計36,523,18251.1
サービス6,049,73331.6
合計42,572,91548.0

(注)1.当連結会計年度及び前連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度におけるIntel Corporationに対する販売実績は、連結会計年度の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
相手先前連結会計年度
(自 2018年7月1日
至 2019年6月30日)
当連結会計年度
(自 2019年7月1日
至 2020年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Taiwan Semiconductor
Manufacturing Company Limited
6,868,89823.917,891,19442.0
Intel Corporation--6,337,39314.9
Samsung Electronics Co., Ltd.4,666,25216.24,745,18611.1

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
3)キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシ
ュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料費、外注費及び労務費、並びに他社と差別化するための研究開発投資に必要な材料費及び労務費であります。直近においては、新規事業に対して積極的な研究開発投資を行っており、その資金需要が大きくなっております。
これらの資金需要に対する資金調達については、原則として、中長期的な事業戦略と当社グループの事業領域及び事業規模による事業リスクに対応した最適な資本構成を検討し、決定しております。現時点においては、資本効率が十分なレベルにあるかを検証し、可能な限り財務リスクは低めておくべき状況と考えております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業利益率20%以上を維持しつつ、積極的な研究開発で大きく成長していくことを目標にしています。当社グループの参入している業界は、技術革新のスピードが速く、常に最先端に向けた研究開発や成長のための投資を積極的かつ継続的に行う必要があるためです。
また当社グループは、合計12ヵ年の新中期経営計画を推進しており、数値目標は開示しておりませんが、この計画の中で挙げている課題を達成していくことが、経営上の目標の達成状況を判断するための指標と考えております。なお、新中期経営計画に関しては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。