有価証券報告書-第85期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 13:03
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における日本経済は、雇用・所得環境は改善傾向にあったものの、製造業を中心とした低調な輸出や、消費税率引き上げ後の消費者マインドの低下、年明け以降の新型コロナウイルス感染症の急速な拡大による個人消費や企業活動の停滞により、景気減速が顕著となりました。世界経済は、米中貿易摩擦や英国・欧州連合間の貿易交渉等に加えて、感染症の世界的流行により各国経済や金融資本市場におけるリスクや緊張感の高まりから、先行きの不透明が深刻化しました。
このような経済環境のもと当社グループは2017年度を初年度とする第5次中期経営計画を実行に移しています。この第5次中期経営計画では、当社グループの中期経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」のもと、当社では第5次中期事業方針である「『ものづくりの進化と革新』~Standard向けのYKKものづくりへの挑戦~」の実現を、YKK AP㈱では第5次中期事業方針である「高付加価値化と需要創造によるAP事業の持続的成長」の実現を目指し、それぞれの事業を推進しています。2019年度も引き続きファスニング事業、AP事業それぞれの課題に取り組み、当社グループの根幹にある技術に基づいた市場要望実現のための施策を実行してまいりましたが、世界経済の減速や新型コロナウイルス感染症の影響を受ける形となりました。特に、新型コロナウイルス感染症の流行については、中国地域をはじめとする国内外の一部地域において経済活動の停滞を余儀なくされました。これによる、2019年度の当社グループの財政状態及び経営成績等に与える影響は限定的ではありましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、当社グループへの影響も大きくなってきております。この影響については、一過性のものではなく、長期にわたる可能性があると考えておりますが、現時点で財政状態及び経営成績等に与える影響を見通すことは困難であると考えております。
その結果、当期の連結業績は、売上高732,854百万円(前期比4.3%減)、営業利益41,341百万円(前期比33.1%減)、経常利益42,661百万円(前期比33.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23,629百万円(前期比48.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(a)ファスニング事業
当期のファスニング事業を取り巻く事業環境は、米国では雇用環境の安定を受け個人消費等が堅調に推移し、緩やかな経済成長が継続しましたが、米中貿易摩擦による世界的な景気減速や、英国・欧州連合間の貿易交渉等、不安定な要素が増加しました。このような事業環境のもと、ファスニング事業は、中国・アジア(中国・日本を除く。以下、同じ。)地域における供給体制の増強や、米国・欧州での高付加価値品の増販に取り組みました。また、グローバルマーケティング活動による顧客指定獲得、量販店への取組の強化や、各国内需市場に対する積極的なアプローチを行ってまいりました。しかし、景況感の悪化に伴う世界経済の成長鈍化や継続的な暖冬に伴う在庫増加の影響等により、各国においてアパレル小売市場の成長に減速感が見られました。
地域別では、北中米においてはブルーデニムの需要減に伴う顧客の在庫調整によりジーンズ分野向けの販売が、EMEA(欧州・中東・アフリカ)においては、イタリアでの高付加価値品や高級鞄向け顧客への販売が落ち込み、減収となりました。中国においては、内需顧客の深耕で着実に販売を伸ばしましたが、加工輸出顧客のアジア地域への縫製移行に伴う販売減少により減収となりました。アジア地域においては、顧客の増産や縫製移行に伴う需要増をベトナム・パキスタン等での供給体制強化により着実に捕捉することで販売を伸ばしたものの、暖冬や市況悪化を受けて減収となりました。そして、日本においては、ファスニング事業全体の販売低調により、グループ会社向けの材料供給が減少しました。更に第4四半期に入り、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大による世界的な経済活動の停止により、操業停止等各地域で事業に影響が生じました。
その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は前期比9.2%減の302,120百万円となりました。営業利益は、継続的なコスト削減の取り組みや原材料単価下落による増益要因があったものの、販売ボリュームの減少及び操業度の低下に加え、中国・アジア地域の増販・増産に向けた投資に伴う償却費や労務費等の製造固定費の増加、開発基盤強化費用増加等の減益要因が大きく、前期比32.5%減の36,213百万円となりました。
(b)AP事業
当期のAP事業を取り巻く事業環境は、日本国内においては、消費増税後の駆け込み需要の反動や、2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新設住宅着工戸数全体は前年割れとなりました。海外においては、米国では建築市場が米中貿易摩擦等の影響により伸び悩み、中国では地方都市において大手不動産開発市場の改善によりターゲット市場が伸長しましたが、同感染症の影響により、1月以降は市場が停滞しました。台湾では低金利と規制緩和により建築市場は堅調に推移し、インドネシアでは政府による住宅供給強化政策により普及・中級市場が拡大しました。このような事業環境のもと、第5次中期事業方針である「高付加価値化と需要創造によるAP事業の持続的成長」に向け、事業を推進してまいりました。
日本国内においては、住宅建材分野では、樹脂窓を軸とした開口部の高断熱化推進や建物と外構のトータルコーディネートによる価値提案、引き続き需要が見込まれるリフォーム専用品の増販等、販売強化策を実施してまいりました。また、近年の自然災害への対策として、防災・減災商品の開発および販売においても一層の取り組み強化を図ってまいりました。ビル建材分野では、個別防火認定品への移行を機会とした提案強化に向けて、商品・情報充実による物件対応力強化を実施してまいりました。
海外においては、北米では西海岸支店開設による営業戦略を遂行するとともに、2019年12月にカナダのErie Architectural Products Group(以下、エリーAP社)の全株式を取得し、カーテンウォール事業の更なる拡大に向けた基盤を構築してまいりました。中国では大手不動産開発市場での提案力強化による受注拡大、台湾・インドネシアでは高級市場での受注強化や商品力強化による販売拡大に取り組んでまいりました。
しかし、消費増税後の反動や新型コロナウイルス感染症拡大の影響による販売減もあり、AP事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む。)は、前期比0.5%減の425,812百万円となりました。営業利益は、国内では製造コストダウンや販売価格の改定等の増益要因があったものの、販売減や市場競争の激化、販管費増により減益、海外では中国・台湾地域の販売減により減益となり、全体では前期比2.8%減の22,871百万円となりました。
(c)その他
その他の事業につきましては、ファスニング加工機械・建材加工機械・金型及び機械部品等の製造・販売、不動産事業、アルミ製錬事業などを行っております。
その他の事業の売上高(セグメント間の内部売上を含む。)は、前期比0.3%減の58,673百万円、営業損失については、115百万円(前期は営業利益440百万円)となりました。
当社グループの財政状態については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、売上債権の減少、有形固定資産の支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が45,936百万円(前期比28.1%減)と減少したことや、子会社株式を取得したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,533百万円減少し、164,708百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは77,731百万円と、前期に比べ9,123百万円増加しました。これは主に、売上債権の増減額が前期は7,761百万円の増加であったのに対し、当期は16,201百万円の減少となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは68,123百万円と、前期に比べ14,235百万円増加しました。これは主に、子会社株式の取得が10,418百万円となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは5,446百万円と、前期に比べ2,191百万円増加しました。これは主に、短期借入金の純増減額が前期は768百万円であったのに対し、当期は39百万円となったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度末における実績は、次のとおりであります。
(a)生産実績
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
ファスニング263,97994.4
AP371,82699.0

(注) 1. 上記の金額は、販売価格で表示しております。
2. その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(b)受注実績
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
ファスニング297,77092.214,35393.2
AP422,90299.0164,68298.7

(注) 1. 上記の金額は、販売価格で表示しております。
2. その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(c)販売実績
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
ファスニング301,80390.8
AP425,59499.5
その他5,45699.0
合計732,85495.7

(注) 1. 上記の金額は、消費税等抜きで表示しております。
2. セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの財政状態は、当連結会計年度末(以下「当期末」という)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)比28,289百万円減少(△2.8%)して983,645百万円となりました。流動資産は前期末比28,592百万円減少(△5.3%)の506,588百万円、固定資産は前期末比303百万円増加(+0.1%)の477,056百万円となりました。
流動資産減少の主な要因は、売上債権の減少等です。固定資産増加の主な要因は、有形固定資産の増加等です。
当期末の負債合計は、前期末比19,657百万円減少(△5.8%)して321,080百万円となりました。流動負債は前期末比10,870百万円減少(△5.6%)の182,904百万円、固定負債は前期末比8,787百万円減少(△6.0%)の138,176百万円となりました。
流動負債減少の主な要因は、仕入債務の減少等です。固定負債減少の主な要因は、退職給付に係る負債の減少等です。
当期末の純資産は、前期末比8,631百万円減少(△1.3%)して662,564百万円となりました。純資産減少の主な要因は、為替換算調整勘定の減少等です。
これらの結果、自己資本比率は前期末の64.8%から65.7%となりました。また1株当たり純資産額は、前期末の546千円から539千円となりました。
当社グループの経営成績は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業の収益性と資産効率を高めるとともに得た利益を更なる事業成長に積極的に投資するために、第5次中期経営目標を「売上高営業利益率8.0%以上」と「ROA5.0%以上」と定めております。3年目である当期は当社グループの営業利益が減益となった結果、売上高営業利益率は5.6%、ROAは2.4%と目標に届きませんでしたが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも、当該目標達成に向け事業収益ならびに資産効率の向上に取組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況 」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主にファスニング、建材の製造・販売事業を行うために、短期的な運転資金は自己資金および銀行借入により調達し、長期的に必要な資金は自己資金および社債発行や銀行借入により調達しております。一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、投機的な取引は一切行わないという基本方針に従い取り組んでおります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は58,660百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は164,708百万円となっております。
③重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって採用している「重要な会計方針」については、「第5[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積もりを行う必要があり、特に以下の事項は、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響については不確定要素が多いため、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(完成工事高及び完成工事原価の計上基準)
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事契約については工事進行基準を適用し、その他の工事契約については、工事完成基準を適用しております。工事進行基準の工事収益計上における工事進捗度の見積りは、原価比例法を採用しております。
工事進行基準を適用する業務プロセスにおいて、工事進捗の見積りの適正性を十分に担保するために物件判定会議を整備、開催しております。また、契約時に総原価を見積った後、追加増減があった場合は適時かつ適切に工事台帳の契約金額および工事原価総額のメンテナンスを行うことで、売上計上時において相応の見積精度があると判断していますが、引き続き実質及び形式の両面から統制の有効性を向上させる方針です。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。新型コロナウイルス感染症の影響については、長期化する不確実性を考慮しつつも、少なくとも2020年6月末までは深刻な状況が継続するものと仮定しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積もりの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

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