訂正有価証券報告書-第89期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策のもとで緩やかな回復基調となりましたが、世界的な金融引締めを受けたインフレや円安の進行等の影響を受けて、幅広い品目で価格上昇が続きました。世界経済においては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化といった不安定な国際情勢に加え、中国経済の先行き懸念など様々な不透明要因があり、各国の金融政策や為替相場の動向を含め、引き続き注視していく必要があります。
このような環境の中、第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)の3年目である当期は、経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」のもと、第6次中期事業方針として、ファスニング事業では「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」の実現を、AP事業では「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を目指し、それぞれの事業を推進してまいりました。前期は不安定な世界情勢やインフレ等の世界経済失速の影響を大きく受けましたが、当期も状況は好転することはなく、特にファスニング事業においては市中アパレル在庫の高止まりが強く影響しました。一方で、原材料・資材価格の高騰の影響に対する適切な価格改定の実施及び円安による増収効果もありました。
その結果、当期の連結業績は、売上高は920,234百万円(前期比3.0%増)、営業利益は55,241百万円(前期比1.3%減)、経常利益は60,824百万円(前期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は42,365百万円(前期比11.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(a)ファスニング事業
当期のファスニング事業を取り巻く事業環境は、ロシアのウクライナ侵攻継続、中東情勢の悪化等の地政学リスクの顕在化や世界的なインフレ、金融引締めの継続、中国不動産市場の低迷等の影響により景況感が悪化し、市中のアパレル在庫が高止まりしました。
このような事業環境のもと、顧客希望納期対応による新規顧客の獲得や適切な価格改定を実施したものの、市況低迷の継続とアパレル顧客の在庫調整の影響を受け販売ボリュームが減少したことにより、減収となりました。
地域別では、日本地域においては、円安進行によるロイヤリティ収入の増収効果があったものの、グループ会社向け輸出販売が大きく低迷しました。Americas地域においては、車両部材分野及び官需分野向け販売が堅調に推移したものの、ジーンズ需要低迷の影響を受けました。Europe地域においては、ジャケット分野向け販売の不振や顧客の在庫調整に伴い販売が低調に推移しました。ISAMEA(India/South Asia/Middle East/Africa)地域においては、加工輸出向けが回復基調となり販売ボリュームは前期並みとなりました。ASEAN地域においては、スポーツアパレル分野をはじめとした加工輸出向け大手顧客の在庫調整の影響等により販売が低調に推移しました。中国地域においては、加工輸出向け顧客の販売低調が続いたものの、内需向けは堅調に推移したことや、前期はゼロコロナ政策により経済活動が停滞した影響で販売が低迷したことから、対前期で販売が増加しました。
その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比0.3%減の379,367百万円となりました。営業利益は、継続的なコストダウンの実施や円安による増益効果があったものの、販売ボリュームの減少や操業度の低下等の影響により、前期比23.8%減の33,329百万円と、減収減益となりました。
(b)AP事業
当期のAP事業を取り巻く事業環境は、日本国内においては、円安の継続等による資材価格の高止まりなどの影響を受けて住宅価格の高騰が継続し、新設住宅着工戸数は前期を下回りましたが、政府の3省連携補助事業により省エネ改修需要が高まりました。海外においては、北米ではビル建材・住宅建材市場ともに金利の高止まりによる不動産市況の悪化により着工が減少しました。中国では不動産購入規制緩和策が打ち出されたものの住宅購入意欲の低迷が継続し、台湾では住宅投機抑制策により市場が落ち込みました。インドネシアでは金利の高止まりにより住宅着工は前期を大きく下回りました。
このような事業環境のもと、日本国内においては、内窓を中心に住宅リフォーム及びビル改装分野で販売が大幅に伸長しました。住宅事業では、リフォーム商品に加えて、樹脂窓・アルミ樹脂複合窓による高断熱窓化の更なる推進等により販売を拡大しました。エクステリア事業では、市場が低調の中でカーポート・門扉は販売が増加したものの、事業全体では前期を下回りました。ビル事業では、新築・改装分野ともに受注・販売を拡大しました。
海外においては、北米ではビル建材・住宅建材ともに販売が前期を下回った一方、中国では内需における中級市場の新規顧客開拓により販売が好調に推移しました。台湾では集合住宅市場での拡販と中南部地域への営業強化により増販となり、インドネシアではノックダウン商品の拡販と新規チャネル開拓により販売が前期を上回りました。また、タイにおいて2023年12月にCWメーカーであるYHSI社及びその製造会社であるSM社の株式を取得し、連結子会社化しました。
その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、3期連続で過去最高を更新し、前期比5.8%増の538,145百万円となりました。営業利益は、国内における原材料・資材価格の高騰や販管費の増加等を販売増加や価格改定、製造コストダウン等により吸収し、前期比43.4%増の25,623百万円と、増収増益となりました。
(c)その他
その他の事業については、不動産、アルミ製錬事業等を行っております。
その他の事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比1.4%増の30,808百万円、営業損失については219百万円(前期は営業損失2,624百万円)となりました。
当社グループの財政状態については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの収入が、投資活動によるキャッシュ・フローの支出を上回り、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた結果、前連結会計年度末に比べ32,235百万円増加し、323,941百万円となりました。
当社グループのキャッシュ・フローの状況の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度末における実績は、次のとおりであります。
(a)生産実績
(注)1.上記の金額は、販売価格で表示しております。
2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(b)受注実績
(注)1.上記の金額は、販売価格で表示しております。
2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(c)販売実績
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、第6次中期経営計画において、収益性の向上及び経営の効率性の追求を目指し、その経営指標として「売上高営業利益率8.0%以上」及び「ROA(総資産利益率)5.0%以上」を目標に掲げております。これに対して当連結会計年度(以下「当期」という)末の売上高営業利益率は、前連結会計年度(以下「前期」という)末比0.3ポイント減少の6.0%、ROAは前期末比0.1ポイント増加の3.3%となりました。
なお、当社グループの総資産は、前期末比133,729百万円増加(+10.9%)して1,355,312百万円となりました。流動資産は前期末比65,598百万円増加(+9.0%)の798,253百万円、固定資産は前期末比68,131百万円増加(+13.9%)の557,059百万円となりました。流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の増加等です。固定資産増加の主な要因は、有形固定資産の増加等です。
当期末の負債合計は、前期末比14,473百万円減少(△4.6%)して300,819百万円となりました。流動負債は前期末比11,463百万円減少(△5.1%)の215,110百万円、固定負債は前期末比3,009百万円減少(△3.4%)の85,708百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、仕入債務の減少等です。固定負債減少の主な要因は、退職給付に係る負債の減少等です。
当期末の純資産は、前期末比148,202百万円増加(+16.4%)して1,054,493百万円となりました。純資産増加の主な要因は、為替換算調整勘定の増加等です。
これらの結果、自己資本比率は前期末の72.5%から76.1%となりました。また1株当たり純資産額は、前期末の738千円から860千円となりました。
当社グループの経営成績は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は105,708百万円と、前期に比べ23,983百万円増加しました。これは主に売上債権及び棚卸資産の増減額の減少等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用された資金は99,612百万円と、前期に比べ43,747百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出が前期と比べ28,151百万円増加し、76,303百万円となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は1,394百万円(前期は7,000百万円の使用)となりました。これは主に社債の発行による収入の増加等によるものです。
また、為替変動の影響により、当連結会計年度は現金及び現金同等物が24,744百万円増加しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の291,706百万円から32,235百万円増加(+11.1%)して323,941百万円となりました。
(b)流動性及び資金の源泉
ア.資金調達の基本方針および資金調達手段
当社グループは、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を323,941百万円保有し、また、換金性の高い金融資産を26,049百万円保有しております。そのうち、海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物と換金性の高い金融資産の合計額は259,318百万円でありますが、これらは将来における海外事業の成長投資に充当する予定であります。なお、連結子会社は原則として銀行等の外部からの資金調達は行わず、当社や地域統括会社が連携して効率的なグループファイナンスを行っております。
当社グループは、当連結会計年度末において手許現金及び現金同等物を十分に確保しておりますが、将来における成長投資に備えて、安定的な外部資金調達能力の維持向上を図っております。当社グループにおける当連結会計年度末の外部からの借入金及び社債残高は26,978百万円であり、総資産に対して2.0%と非常に低い依存度となっており、かつ、流動比率は371.1%、自己資本比率は76.1%と、強固な財務基盤を保っております。また、当社グループは、外部機関から格付を取得しておりますが、当連結会計年度末における格付投資情報センター(R&I)の格付はAA-(信用力は極めて高く、優れた要素がある)となっております。これらに基づき、金融機関から低コストにて借入金等による追加の資金調達が可能と考えております。
なお、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、投機的な取引は一切行わないという基本方針に従い取り組んでおります。
イ.資金需要
当社グループの主な資金の源泉は営業活動によって獲得した資金であり、投資活動によるキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内とする方針を掲げており、これらキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローと定義しております。当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにより105,708百万円の資金を獲得しましたが、投資活動によるキャッシュ・フローにより99,612百万円の資金を使用し、フリーキャッシュ・フローは6,096百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払い及び有利子負債の返済をした一方で、国内普通社債20,000百万円を発行し、1,394百万円の資金を獲得しました。これらに円安による海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物の換算差額による増加24,744百万円を合わせ、現金及び現金同等物は前連結会計年度から32,235百万円増加し、将来における更なる成長投資に備えております。
当社グループの当連結会計年度における主な資金需要は、運転資金(主に支払手形サイト短縮化対応資金)、設備投資資金、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、M&A資金、有利子負債の返済資金等となり、当社グループは、これらの資金需要に対して国内普通社債の発行により調達した資金及び自己資金で賄いました。翌連結会計年度における主な資金需要として、増収に伴い増加が見込まれる運転資金、合理化・サステナビリティ及びデジタル分野を中心とした設備投資資金、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、及び有利子負債の返済資金等を見込んでおります。
なお、配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策のもとで緩やかな回復基調となりましたが、世界的な金融引締めを受けたインフレや円安の進行等の影響を受けて、幅広い品目で価格上昇が続きました。世界経済においては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化といった不安定な国際情勢に加え、中国経済の先行き懸念など様々な不透明要因があり、各国の金融政策や為替相場の動向を含め、引き続き注視していく必要があります。
このような環境の中、第6次中期経営計画(2021年度~2024年度)の3年目である当期は、経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation『技術に裏付けられた価値創造』」のもと、第6次中期事業方針として、ファスニング事業では「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」の実現を、AP事業では「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を目指し、それぞれの事業を推進してまいりました。前期は不安定な世界情勢やインフレ等の世界経済失速の影響を大きく受けましたが、当期も状況は好転することはなく、特にファスニング事業においては市中アパレル在庫の高止まりが強く影響しました。一方で、原材料・資材価格の高騰の影響に対する適切な価格改定の実施及び円安による増収効果もありました。
その結果、当期の連結業績は、売上高は920,234百万円(前期比3.0%増)、営業利益は55,241百万円(前期比1.3%減)、経常利益は60,824百万円(前期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は42,365百万円(前期比11.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(a)ファスニング事業
当期のファスニング事業を取り巻く事業環境は、ロシアのウクライナ侵攻継続、中東情勢の悪化等の地政学リスクの顕在化や世界的なインフレ、金融引締めの継続、中国不動産市場の低迷等の影響により景況感が悪化し、市中のアパレル在庫が高止まりしました。
このような事業環境のもと、顧客希望納期対応による新規顧客の獲得や適切な価格改定を実施したものの、市況低迷の継続とアパレル顧客の在庫調整の影響を受け販売ボリュームが減少したことにより、減収となりました。
地域別では、日本地域においては、円安進行によるロイヤリティ収入の増収効果があったものの、グループ会社向け輸出販売が大きく低迷しました。Americas地域においては、車両部材分野及び官需分野向け販売が堅調に推移したものの、ジーンズ需要低迷の影響を受けました。Europe地域においては、ジャケット分野向け販売の不振や顧客の在庫調整に伴い販売が低調に推移しました。ISAMEA(India/South Asia/Middle East/Africa)地域においては、加工輸出向けが回復基調となり販売ボリュームは前期並みとなりました。ASEAN地域においては、スポーツアパレル分野をはじめとした加工輸出向け大手顧客の在庫調整の影響等により販売が低調に推移しました。中国地域においては、加工輸出向け顧客の販売低調が続いたものの、内需向けは堅調に推移したことや、前期はゼロコロナ政策により経済活動が停滞した影響で販売が低迷したことから、対前期で販売が増加しました。
その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比0.3%減の379,367百万円となりました。営業利益は、継続的なコストダウンの実施や円安による増益効果があったものの、販売ボリュームの減少や操業度の低下等の影響により、前期比23.8%減の33,329百万円と、減収減益となりました。
(b)AP事業
当期のAP事業を取り巻く事業環境は、日本国内においては、円安の継続等による資材価格の高止まりなどの影響を受けて住宅価格の高騰が継続し、新設住宅着工戸数は前期を下回りましたが、政府の3省連携補助事業により省エネ改修需要が高まりました。海外においては、北米ではビル建材・住宅建材市場ともに金利の高止まりによる不動産市況の悪化により着工が減少しました。中国では不動産購入規制緩和策が打ち出されたものの住宅購入意欲の低迷が継続し、台湾では住宅投機抑制策により市場が落ち込みました。インドネシアでは金利の高止まりにより住宅着工は前期を大きく下回りました。
このような事業環境のもと、日本国内においては、内窓を中心に住宅リフォーム及びビル改装分野で販売が大幅に伸長しました。住宅事業では、リフォーム商品に加えて、樹脂窓・アルミ樹脂複合窓による高断熱窓化の更なる推進等により販売を拡大しました。エクステリア事業では、市場が低調の中でカーポート・門扉は販売が増加したものの、事業全体では前期を下回りました。ビル事業では、新築・改装分野ともに受注・販売を拡大しました。
海外においては、北米ではビル建材・住宅建材ともに販売が前期を下回った一方、中国では内需における中級市場の新規顧客開拓により販売が好調に推移しました。台湾では集合住宅市場での拡販と中南部地域への営業強化により増販となり、インドネシアではノックダウン商品の拡販と新規チャネル開拓により販売が前期を上回りました。また、タイにおいて2023年12月にCWメーカーであるYHSI社及びその製造会社であるSM社の株式を取得し、連結子会社化しました。
その結果、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、3期連続で過去最高を更新し、前期比5.8%増の538,145百万円となりました。営業利益は、国内における原材料・資材価格の高騰や販管費の増加等を販売増加や価格改定、製造コストダウン等により吸収し、前期比43.4%増の25,623百万円と、増収増益となりました。
(c)その他
その他の事業については、不動産、アルミ製錬事業等を行っております。
その他の事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、前期比1.4%増の30,808百万円、営業損失については219百万円(前期は営業損失2,624百万円)となりました。
当社グループの財政状態については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローの収入が、投資活動によるキャッシュ・フローの支出を上回り、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた結果、前連結会計年度末に比べ32,235百万円増加し、323,941百万円となりました。
当社グループのキャッシュ・フローの状況の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度末における実績は、次のとおりであります。
(a)生産実績
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
ファスニング | 332,875 | 100.9 |
AP | 435,809 | 101.4 |
(注)1.上記の金額は、販売価格で表示しております。
2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(b)受注実績
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
ファスニング | 370,410 | 99.6 | 18,356 | 106.7 |
AP | 561,823 | 106.5 | 266,624 | 116.2 |
(注)1.上記の金額は、販売価格で表示しております。
2.その他については、そのほとんどがグループ内への販売のため記載を省略しております。
(c)販売実績
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
ファスニング | 377,089 | 99.7 |
AP | 537,945 | 105.8 |
その他 | 5,199 | 81.1 |
合計 | 920,234 | 103.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、第6次中期経営計画において、収益性の向上及び経営の効率性の追求を目指し、その経営指標として「売上高営業利益率8.0%以上」及び「ROA(総資産利益率)5.0%以上」を目標に掲げております。これに対して当連結会計年度(以下「当期」という)末の売上高営業利益率は、前連結会計年度(以下「前期」という)末比0.3ポイント減少の6.0%、ROAは前期末比0.1ポイント増加の3.3%となりました。
なお、当社グループの総資産は、前期末比133,729百万円増加(+10.9%)して1,355,312百万円となりました。流動資産は前期末比65,598百万円増加(+9.0%)の798,253百万円、固定資産は前期末比68,131百万円増加(+13.9%)の557,059百万円となりました。流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の増加等です。固定資産増加の主な要因は、有形固定資産の増加等です。
当期末の負債合計は、前期末比14,473百万円減少(△4.6%)して300,819百万円となりました。流動負債は前期末比11,463百万円減少(△5.1%)の215,110百万円、固定負債は前期末比3,009百万円減少(△3.4%)の85,708百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、仕入債務の減少等です。固定負債減少の主な要因は、退職給付に係る負債の減少等です。
当期末の純資産は、前期末比148,202百万円増加(+16.4%)して1,054,493百万円となりました。純資産増加の主な要因は、為替換算調整勘定の増加等です。
これらの結果、自己資本比率は前期末の72.5%から76.1%となりました。また1株当たり純資産額は、前期末の738千円から860千円となりました。
当社グループの経営成績は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 81,724 | 105,708 | 23,983 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △55,864 | △99,612 | △43,747 |
フリーキャッシュ・フロー | 25,860 | 6,096 | △19,764 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △7,000 | 1,394 | 8,395 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 8,207 | 24,744 | 16,537 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 291,706 | 323,941 | 32,235 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は105,708百万円と、前期に比べ23,983百万円増加しました。これは主に売上債権及び棚卸資産の増減額の減少等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用された資金は99,612百万円と、前期に比べ43,747百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出が前期と比べ28,151百万円増加し、76,303百万円となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は1,394百万円(前期は7,000百万円の使用)となりました。これは主に社債の発行による収入の増加等によるものです。
また、為替変動の影響により、当連結会計年度は現金及び現金同等物が24,744百万円増加しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の291,706百万円から32,235百万円増加(+11.1%)して323,941百万円となりました。
(b)流動性及び資金の源泉
ア.資金調達の基本方針および資金調達手段
当社グループは、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を323,941百万円保有し、また、換金性の高い金融資産を26,049百万円保有しております。そのうち、海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物と換金性の高い金融資産の合計額は259,318百万円でありますが、これらは将来における海外事業の成長投資に充当する予定であります。なお、連結子会社は原則として銀行等の外部からの資金調達は行わず、当社や地域統括会社が連携して効率的なグループファイナンスを行っております。
当社グループは、当連結会計年度末において手許現金及び現金同等物を十分に確保しておりますが、将来における成長投資に備えて、安定的な外部資金調達能力の維持向上を図っております。当社グループにおける当連結会計年度末の外部からの借入金及び社債残高は26,978百万円であり、総資産に対して2.0%と非常に低い依存度となっており、かつ、流動比率は371.1%、自己資本比率は76.1%と、強固な財務基盤を保っております。また、当社グループは、外部機関から格付を取得しておりますが、当連結会計年度末における格付投資情報センター(R&I)の格付はAA-(信用力は極めて高く、優れた要素がある)となっております。これらに基づき、金融機関から低コストにて借入金等による追加の資金調達が可能と考えております。
なお、一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、投機的な取引は一切行わないという基本方針に従い取り組んでおります。
イ.資金需要
当社グループの主な資金の源泉は営業活動によって獲得した資金であり、投資活動によるキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内とする方針を掲げており、これらキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローと定義しております。当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにより105,708百万円の資金を獲得しましたが、投資活動によるキャッシュ・フローにより99,612百万円の資金を使用し、フリーキャッシュ・フローは6,096百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払い及び有利子負債の返済をした一方で、国内普通社債20,000百万円を発行し、1,394百万円の資金を獲得しました。これらに円安による海外の連結子会社が保有する現金及び現金同等物の換算差額による増加24,744百万円を合わせ、現金及び現金同等物は前連結会計年度から32,235百万円増加し、将来における更なる成長投資に備えております。
当社グループの当連結会計年度における主な資金需要は、運転資金(主に支払手形サイト短縮化対応資金)、設備投資資金、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、M&A資金、有利子負債の返済資金等となり、当社グループは、これらの資金需要に対して国内普通社債の発行により調達した資金及び自己資金で賄いました。翌連結会計年度における主な資金需要として、増収に伴い増加が見込まれる運転資金、合理化・サステナビリティ及びデジタル分野を中心とした設備投資資金、研究開発資金、配当金支払い資金、納税資金、及び有利子負債の返済資金等を見込んでおります。
なお、配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。