有価証券報告書-第99期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/21 12:55
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この財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社及び連結子会社の実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。
なお、経営上の目標の達成状況については、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中期経営計画の進捗状況」を参照願います。
(1)業績等の概要
①業績
「(4)経営成績に係る検討と分析 ②オペレーティング・セグメント情報」を参照願います。
②キャッシュ・フロー
「(5)流動性と資金調達の源泉 ⑥キャッシュ・フローの状況」を参照願います。
(2)仕入、成約及び売上の状況
①仕入の状況
各オペレーティング・セグメントにおいて、仕入高と売上高との差額は売上高に比べ僅少であるため、記載は省略しております。
②成約の状況
各オペレーティング・セグメントの成約高と売上高との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
③売上の状況
「(4)経営成績に係る検討と分析」及び連結財務諸表注記事項7.「セグメント情報」を参照願います。
(注) 当社グループは、総合商社である当社を中心とした事業活動を展開しており、受注生産形態をとらない事業が多いことから、生産、受注及び販売の状況に替え、仕入、成約及び売上の状況としております。
(3)経営者の検討における重要な指標について
当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、2「事業等のリスク」に述べる各項目の影響を受けますが、当連結会計年度末において当社の経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の指標が有用であると考えます。
①売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)
当社及び連結子会社は様々な商品と地域にわたる幅広い事業活動を展開し、そのリスク・リターンの形態も仲介取引から金属資源・エネルギーの権益事業まで多岐にわたります。当社及び連結子会社の経営成績及び事業の進捗を把握する上で、オペレーティング・セグメント別の売上総利益、持分法による投資損益及び当期利益(親会社の所有者に帰属)の変動要因に係る分析を重視しています。
②金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向
当社及び連結子会社の経営成績に占める金属資源・エネルギー関連事業の重要性が高いことから、金属資源・エネルギーの市況及び持分生産量は、経営成績の重要な変動要因になります。金属資源・エネルギーの価格及び需給の動向に関する詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」及び「(4)経営成績に係る検討と分析 ②オペレーティング・セグメント情報」内の金属資源セグメント及びエネルギーセグメントの該当箇所を参照願います。
③キャッシュ・フロー水準、資本効率及び財務レバレッジ
前中期経営計画(2014年5月公表)において、キャッシュ創出力を測定し資金再配分の原資を示す指標として、基礎営業キャッシュ・フロー(*1)を導入しており、2018年3月期から始まった中期経営計画(2017年5月公表)でも、引き続き、基礎営業キャッシュ・フローを重要な経営指標としております。
当社は、資本効率と資金調達に係わる安定性の観点から、株主資本(*2)の水準及び、親会社所有者帰属持分利益率(ROE)並びに負債・資本構成の方針を定期的に策定し、その履行状況を検証しています。同時に個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から株主資本の規模を検証しているほか、既存の有利子負債の再調達に加え、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、財務レバレッジに留意しています。当社の資本管理については連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を、財務戦略については「(5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。
(*1)基礎営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから営業活動に係る資産・負債の増減によるキャッシュ・フローを除いた金額として算出されます。
(*2)連結財政状態計算書の親会社の所有者に帰属する持分合計を指します。
(4)経営成績に係る検討と分析
①連結損益計算書項目
(単位:億円)当期前期増減
収益48,92143,640+5,281
売上総利益7,9077,193+714
販売費及び一般管理費△5,717△5,390△327
その他の
収益・費用
有価証券損益551650△99
固定資産評価損益△255△57△198
固定資産処分損益151110+41
雑損益15899+59
マルチグレイン事業関連引当金繰入額△250-△250
金融
収益・費用
受取利息365349+16
受取配当金848519+329
支払利息△665△570△95
持分法による投資損益2,3491,706+643
法人所得税△1,031△1,346+315
当期利益4,4133,262+1,151
当期利益(親会社の所有者に帰属)4,1853,061+1,124

(*) 四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
IFRSにおける収益は、商品販売や役務提供におけるリスクとリターンの帰属度合によって、売先に対する請求金額の総額で表示されるものと、対応する原価と相殺後の純額で表示されるものに区分されます。
・総額で収益表示される取引は、当該取引に関するリスクとリターンが主として契約当事者たる当社及び連結子会社に帰属する取引であり、商品販売または役務提供の主たる履行義務を負担する取引や、在庫リスクを負担する取引などが該当します。
・純額で収益表示される取引は、商品供給者及び役務提供者の実質的な代理人として販売取引を行う場合など、当社及び連結子会社に対するリスクとリターンの帰属度合が低い取引であり、手数料が取引量または取引額に対し定額または定率で定められている取引などが該当します。
当社は、収益を商品販売による収益、役務提供による収益、その他の収益に分類し、対応する原価を区分表示しています。オペレーティング・セグメント別の収益を収益の区分に分類すると以下のとおりです。
セグメント
(単位:億円)
当期前期増減
商品販売による
収益
役務提供による
収益
その他の
収益
合計商品販売による
収益
役務提供による
収益
その他の
収益
合計商品販売による
収益
役務提供による
収益
その他の
収益
合計
鉄鋼製品2,11626602,3821,76725702,02434990358
金属資源9,3659729,4647,3877527,4641,9782202,000
機械・
インフラ
2,7131,0247344,4712,4339616924,0852806342386
化学品11,13856716111,8679,72250414710,3731,41663141,494
エネルギ-5,33550△425,3434,55947304,6367763△72707
生活産業12,3731,58813314,09412,1911,46812313,78318212010311
次世代・
機能推進
2637652461,2732737442361,252△10211021
合計43,3034,3561,23448,89438,3314,0551,23043,6174,97230145,277
その他51131940151911△20
調整・
消去
080804040404
連結合計43,3084,3661,24748,92138,3364,0591,24543,6404,97230725,281

商品販売による収益
商品販売による収益は、総額で表示される商品販売取引からの収益であり、主に以下の取引により稼得されます。
・契約の当事者として行う多種多様な商品の販売
・金属、化学品、食料、機械などの幅広い製品の製造販売
・鉄鉱石、銅、石炭、石油・ガスなどの資源開発
・不動産の開発・販売
役務提供による収益
役務提供による収益には、契約の当事者及び代理人として関わる様々な商品売買取引に関する手数料及び売買差益が含まれています。具体的には、以下の取引があげられます。
・物流ロジスティクスサービス、情報通信サービス、技術支援などの多種多様な役務提供に対する対価として手数料を受け取る取引
・売先と買先が予め特定された取引において契約の当事者として商品の売値と買値の差額を損益として計上する取引、製造家と需要家の契約締結斡旋や商品受渡の支援を行う取引
その他の収益
その他の収益には、主として、トレーディング目的で行われた商品デリバティブ取引と金融デリバティブ取引に係る収益、不動産、鉄道車両、船舶、航空機並びに機械装置などのリース取引に係る収益、並びに一般顧客向け金融に係る収益が含まれています。
売上総利益
主にエネルギーセグメント及び金属資源セグメントで増益となりました。一方、化学品セグメントで減益となりました。
その他の収益・費用
販売費及び一般管理費
変動の内訳を社内管理上の費目別に見ると以下のとおりです。
(単位:億円)
費目別内訳人件費福利費旅費
交通費
交際費
会議費
通信情報費
当期2,97112229870458
前期2,83813028167474
増減額(*)133△8173△16





費目別内訳借地借家料減価償却費租税公課貸倒引当金
繰入額
諸雑費合計
当期2751441692031,0075,717
前期271134108929955,390
増減額(*)4106111112327

(*)△は負担減
変動の内訳をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。
(単位:億円)
オペレーティング
・セグメント
鉄鋼製品金属資源機械・
インフラ
化学品エネルギー生活産業次世代・
機能推進
当期3214441,2159664211,530508
前期3503181,1599354311,395502
増減額(*)△291265631△101356

オペレーティング
・セグメント
合計その他調整・消去合計
当期5,40530755,717
前期5,090225755,390
増減額(*)31582△70327

(*)△は負担減
有価証券損益
当期は、主に金属資源セグメントで有価証券利益を計上した一方、機械・インフラセグメントで有価証券利益及び損失を計上しました。また、生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで有価証券損失を計上しました。前期は、主に金属資源セグメント及び生活産業セグメント、機械・インフラセグメント、次世代・機能推進セグメントで有価証券利益を計上しました。
固定資産評価損益
当期は、主に生活産業セグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上しました。
固定資産処分損益
当期は、主に生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで固定資産売却益を計上しました。前期は、主に生活産業セグメントで固定資産売却益を計上しました。
雑損益
鉄鋼製品セグメントにおいて、持分法適用会社出資に係る価格調整条項のデリバティブ評価益を計上したほか、エネルギーセグメントなどで探鉱費が減少しました。
マルチグレイン事業関連引当金繰入額
生活産業セグメントにおいて、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金
主に、エネルギーセグメント及び金属資源セグメントで増加しました。
持分法による投資損益
主に、機械・インフラセグメント及び金属資源セグメント、エネルギーセグメントで増益となりました。
法人所得税
・当期において、Valeparへの投資に係る繰延税金負債の取崩しや、配当等に伴う持分法適用会社への投資に係る繰延税金負債の取崩し、米国税制改正に伴う繰延税金負債の取崩し等により、法人所得税の負担が減少しました。一方、法人所得税前利益が、前期から836億円増加したことに伴い、対応する法人所得税が増加したほか、持分法適用会社への投資に係る繰延税金資産の取崩し及びMultigrain Tradingにおける繰延税金資産の取崩しによる法人所得税の増加がありました。
・当期の実効税率は18.9%となり、前期の29.2%から、10.3ポイント減少しました。上述の繰延税金資産の取崩しが税率増加要因となった一方、繰延税金負債の取崩しが税率減少要因となりました。
当期利益(親会社の所有者に帰属)
上記の結果、前期から1,124億円増益の4,185億円となりました。
②オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
なお、当期より、従前の地域別セグメントを商品別セグメントに集約するとともに、各報告セグメントに帰属する経費及び法人所得税の配賦方法を変更したことに伴い、前期のオペレーティング・セグメント情報を修正再表示しています。
鉄鋼製品
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(親会社の所有者に帰属)247109+138
売上総利益419367+52
持分法による投資損益133111+22
受取配当金2528△3
販売費及び一般管理費△321△350+29
その他△9△47+38

増益の主因は以下のとおりです。
・当期において、Gestamp Automociónへの出資参画に伴う価格調整条項のデリバティブ評価益48億円を計上
・当期において、Game Changer Holdingsで米国税制改正による繰延税金負債の取崩益35億円を計上
金属資源
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(親会社の所有者に帰属)2,5761,443+1,133
売上総利益2,0681,768+300
持分法による投資損益618485+133
受取配当金16420+144
販売費及び一般管理費△444△318△126
その他170△512+682

売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
・豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石価格の上昇を主因に136億円の増益
・豪州石炭事業は、石炭価格の上昇を主因に123億円の増益
持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
・チリの銅鉱山事業会社Inversiones Mineras Acruxは、前期の減損の反動及び当期における前期の減損の戻入れ、銅価格の上昇を主因に117億円の増益
・チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiは、銅価格の上昇を主因に51億円の増益
・Valeparは、第2四半期にValeへ吸収合併されたことを主因に96億円の減益
当期において、Valeから受取配当金87億円を計上
上記のほか、以下要因がありました。
・当期において、ValeparのValeへの吸収合併に伴い、有価証券利益563億円及びValeparに対する投資から発生した将来加算一時差異に係る繰延税金負債の取崩益352億円を計上
・当期において、持分法適用会社Inner Mongolia Erdos Electric Power & Metallurgical Ltdからの配当に伴い、持分法投資の将来加算一時差異に係る繰延税金負債の取崩益を計上
・前期において、スクラップ事業会社Sims Metal Managementの区分変更に伴い有価証券利益269億円を計上
・当期において、当社連結決算にて、カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileにおける各種前提の見直しを行った結果、融資に係る貸倒引当金繰入額147億円及び持分法投資に係る損失39億円を計上
鉄鉱石の価格変動による影響及び当社持分生産量
価格変動は、当社の鉄鉱石関連の海外子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な変動を及ぼします。2019年3月期において連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、鉄鉱石US$1/トンあたりの価格変動により23億円と概算しております。
当連結会計年度の1年間における当社鉄鉱石関連の権益見合い生産量は60.9百万トン(連結除外後のVale権益見合い生産量15.3百万トン含む)です。上記の影響額は、当連結会計年度末時点で、海外子会社及び持分法適用会社の権益見合いに対して、2019年3月期の出荷量の増減を織り込み、一定の米ドル及びその他関連通貨の為替相場などを前提条件とした上で算出したものです。なお、一般的に、豪ドルなどの資源産出国の通貨は、輸出商品の市況に連動する傾向があり、この変動により当社連結子会社及び持分法適用会社の現地通貨建ての売上総利益は影響を受けることがあります。
機械・インフラ
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(親会社の所有者に帰属)896668+228
売上総利益1,2191,145+74
持分法による投資損益965643+322
受取配当金3430+4
販売費及び一般管理費△1,215△1,159△56
その他△1079△116

売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
・三井物産プラントシステムは、電力関連の取扱増加を主因に34億円増益
持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
・IPP(独立系発電)事業は378億円の増益
-当期において、英国発電事業で売却益203億円を計上
-前期において、過去の買収案件に係る無形資産の減損損失を計上
-前期において、豪州発電所の閉鎖決定に伴う損失を計上
-電力デリバティブ契約などに係る時価評価損益は6億円の利益となり、前期の20億円の損失から、26億円の改善
-尼国発電事業において、前期に尼国税制改正に伴う一過性の税負担減少があった一方、当期において、リファイナンスに伴う利益39億円を計上
・Penske Automotive Groupは、米国税制改正の影響を主因に48億の増益
・当期において、持分法投資先の海外プロジェクトに起因する業績悪化懸念による損失計上
・当期において、中南米における融資案件に対する引当金51億円計上
・当期において、海外鉄道事業において、減損損失を計上
上記のほか、以下要因がありました。
・前期において、豪州風力発電事業会社の売却により有価証券売却益58億円を計上
・前期において、IPP事業の取得対価に対する調整金受領により雑益を計上
・当期において、コンテナターミナルの開発・運営事業で固定資産の減損損失54億円を計上
・前期において、航空関連の出資持分の売却益41億円を計上
・当期において、尼国発電事業の融資子会社でリファイナンスに伴う損失41億円を計上
・当期において、英国発電事業の売却に伴い、英国発電事業への投資会社において有価証券評価損35億円を計上
・当期において、発電事業を行う持分法適用会社からの配当に伴い、持分法投資から生じる将来加算一時差異に係る繰延税金負債の取崩益を計上
・持分法適用会社の株式一部売却に伴い有価証券売却益を計上
化学品
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(親会社の所有者に帰属)342327+15
売上総利益1,3661,456△90
持分法による投資損益11339+74
受取配当金2319+4
販売費及び一般管理費△966△935△31
その他△194△252+58

売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
・Novus Internationalは、メチオニン価格の下落を主因に169億円減益
上記のほか、以下要因がありました。
・当期において、Intercontinental Terminals Companyで米国税制改正による繰延税金負債の取崩益84億円を計上
エネルギー
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(親会社の所有者に帰属)486317+169
売上総利益968639+329
持分法による投資損益245171+74
受取配当金519326+193
販売費及び一般管理費△421△431+10
その他△825△388△437

売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
・三井石油開発は、コスト減少及び為替変動の影響を主因に171億円増益
・Mitsui E&P USAは、ガス価格上昇及び生産数量増加を主因に97億円増益
・MEP Texas Holdingsは、原油価格上昇を主因に49億円増益
・Mitsui E&P Middle Eastは、原油価格上昇及び生産数量増加を主因に45億円増益
・Mitsui E&P Australiaは、原油価格上昇を主因に44億円増益
・Westport Petroleumは、トレーディング要因で37億円減益
Japan Australia LNG (MIMI)の原油価格上昇による増益を主因に、持分法損益が増益
LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は501億円となり、前期から197億円の増加
上記のほか、以下要因がありました。
・当期において、米国シェールガス・オイル事業の持株会社MEPUS Holdingsで米国税制改正に伴い、繰延税金資産の取崩しによる損失149億円を計上
・当期において、三井石油開発などで70億円の探鉱費用を計上した一方、前期は三井石油開発などで75億円の探鉱費用を計上
原油・ガスの価格変動による影響及び当社持分生産量
当社の石油・ガスの持分生産量は、2017年3月期において年間243百万バレル(ガスはバレル換算、換算係数は原油1バレル=天然ガス5,800立方フィート、当社連結子会社・持分法適用会社・非連結先の当社権益保有見合い)、2018年3月期において年間244百万バレル(同上)となりました。
なお、当社は、2019年3月期において、原油価格の変動が当社石油・ガス関連子会社及び持分法適用会社の販売収入の変化を経由して連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)に及ぼす影響度はUS$1/バレルあたり29億円と推定しています。尚、当社は当連結会計年度より米国SEC基準による持分生産量の公表を行っておりません。
金属資源と同様に、実際の経営成績は、各連結子会社及び持分法適用会社における実際の生産量及び生産費用、為替相場の変動などにより影響を受けます。
生活産業
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)△263254△517
売上総利益1,3951,362+33
持分法による投資損益228241△13
受取配当金43430
販売費及び一般管理費△1,530△1,395△135
その他△3993△402

売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
・XINGU AGRIは、前期の干ばつの反動を主因に40億円増益
・Multigrain Tradingは、集荷・販売事業の不調を主因に42億円減益
持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
・Ventura Foodsは、食用油脂製造事業の不調を主因に39億円減益
・パナソニックヘルスケアホールディングス(現PHCホールディングス)の新規貢献による増益
上記のほか、以下要因がありました。
・当期において、Multigrain Tradingでは、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額255億円及び繰延税金資産取崩を主因とする税金費用86億円を計上したほか、固定資産処分等に係る損失41億円を計上
・前期において、IHH Healthcare株式の一部売却による売却益146億円を計上
・当期において、XINGU AGRIにて土地評価額下落により、固定資産評価損113億円を計上
・当期において、MBK Healthcare Networkにて、出資するDaVita Careの将来計画の見直しによる有価証券評価損59億円を計上
・当期において、IHH Healthcare株式を保有するMBK Healthcare Partnersの解散に伴う繰延税金負債の取崩益83億円を計上
・当期及び前期において、三井物産都市開発にて国内ビルの売却益を計上
次世代・機能推進
(単位:億円)当期前期増減
当期利益(損失)(親会社の所有者に帰属)△46110△156
売上総利益451450+1
持分法による投資損益5021+29
受取配当金2741△14
販売費及び一般管理費△508△502△6
その他△66100△166

売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
・当期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価益45億円を計上
・当期において、国内株式の公正価値評価益を計上
・当期において、新興国での携帯通信事業会社株式の公正価値評価損60億円を計上
上記のほか、以下要因がありました。
・前期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の有価証券評価益48億円を計上
・持分法適用会社において、投資に起因する業績悪化懸念により38億円悪化
・当期において、インドのTVショッピング事業Naaptol Online Shoppingに関して有価証券評価損31億円を計上
・当期において、国内倉庫売却に伴い、固定資産売却益を計上
(5)流動性と資金調達の源泉
会計基準に基づかない財務指標について
現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)
この流動性と資金調達の源泉の項目を含めて、本報告書では現預金差引後の有利子負債比率(ネットDER)に言及しています。当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して、下表のとおり算出しています。
• 短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。
• 有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
当社の経営者は、債務返済能力と株主資本利益率 (ROE)向上のために有利子負債と株主資本の関係を検討する目的から、ネットDERを投資家にとって有益な指標と考えており、下表のとおり「ネット有利子負債」及び「ネットDER」を算出しています。
当期末前期末
(億円)(億円)
短期債務2,0163,046
長期債務40,25444,970
有利子負債合計42,26948,016
(控除)現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)△11,377△15,195
ネット有利子負債30,89232,821
株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)39,74737,322
ネットDER(倍)0.780.88

フリーキャッシュ・フロー
当社は、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しています。当社の経営者は、この指標を戦略的投資または負債返済に充当可能な資金の純額、或いは、資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、投資家に有用な指標と考えており、以下の表のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。
(単位:億円)当期前期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー5,5364,042+1,494
投資活動によるキャッシュ・フロー△2,482△3,533+1,051
フリーキャッシュ・フロー3,054509+2,545

①資金調達の基本方針
当社の経営者は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主として本邦生保、銀行等からの長期借入金や社債の発行等により10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行っています。同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。さらに、プロジェクト案件等では政府系金融機関からの借入やプロジェクトファイナンスも活用しています。
100%子会社については原則として銀行などの外部からの資金調達を行わず、金融子会社、現地法人などの資金調達拠点を通じたキャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。結果として当連結会計年度末において連結有利子負債の4分の3程度が当社並びに資金調達拠点による調達となっています。
また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めていませんが、金融情勢などを勘案しつつ、安全性並びに流動性の高い短期金融商品で運用しています。
②資金調達手段
当社は、上記の当社資金調達の基本方針に則り、直接金融または間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っています。
当社は、内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、長期借入を中心に必要資金を調達しています。また、国際協力銀行などの政府系金融機関からも資金調達を行っており、プロジェクト案件ではプロジェクトファイナンス等も活用して必要資金を調達しています。
これに加えて、当社では2,000億円の社債発行登録枠、2兆4,000億円のコマーシャルペーパー発行枠、並びに総額50億米ドルのユーロ・ミディアム・ターム・ノート発行プログラムという直接金融の調達手段も保有しており、市場環境に応じて有利な条件での資金調達を行っています。当連結会計年度末における国内社債及びユーロ・ミディアム・ターム・ノートの発行残高は、それぞれ1,700億円及び159億円となっています。また海外での短期の資金調達手段として、米国三井物産による15億米ドルの米国コマーシャルペーパープログラムやMitsui & Co. Financial Services (Europe)による15億米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム、その他の海外地域の一部でも同様のプログラムを保有しており、それぞれ時機をみて活用しています。なお、当社は長期かつ安定的な資金調達を一義としており、コマーシャルペーパーや短期借入金等に資金調達を依存していません。その結果として、当連結会計年度末における連結有利子負債に占める短期債務の比率は、4.8%となりました。
当社及び一部の連結子会社は金融機関に対してコミットメント・フィーを支払い、信用枠を設定しています。これらの信用枠を含めた銀行借入に係る未使用の信用枠につきましては、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示(6)リスク管理」を参照願います。
有利子負債の大半は円建て並びに米ドル建てでの調達によるものです。また、資産側の金利・通貨属性を考慮した上で、負債の金利条件や通貨を変換するために適宜、金利スワップや通貨スワップ、為替予約を締結しています。金利スワップ考慮後の有利子負債における固定金利比率は、現在の当社の資産と負債の状況に見合った水準と認識しています。
これらのデリバティブ取引に関しては、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。また、デリバティブ関連の流動性分析については、連結財務諸表注記事項16.「金融債務及び営業債務等に関する開示」を参照願います。
格付け
当社は、円滑な資金調達を行うため株式会社格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の3社から格付けを取得しています。2018年5月31日現在の格付けは下記のとおりです。
R&IMoody'sS&P
短期格付けa-1+P-2A-1(**)
(長期)発行体格付けAA--A
長期個別債務格付けAA-A3(*)-
プログラム格付け
(ミディアム・ターム・ノート格付け)
AA-A3A
見通し安定的安定的安定的

(*)Moody’sにおける呼称は「長期債務格付け(シニア無担保)」です。
(**)S&Pにおける呼称は「短期発行体格付け」です。
当社としては引き続き健全な財務基盤を維持し、格付けの維持・向上に尽力していく方針です。
なお、格付けは当社からの情報あるいは格付機関が信頼できるとする情報に基づく各格付機関自身の判断による信用リスクの分析です。格付けは売買・保有の推奨ではなく、また格付機関によりいつでも変更・取り消しされる可能性があります。また格付け基準も格付機関毎に異なります。
③流動性の状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1兆1,314億円となりました。この現金及び現金同等物の半分程度は円建てであり、当連結会計年度末の短期債務(2,016億円)と1年以内に返済予定の長期債務(4,826億円)の返済に必要な流動性を十分に満たしていると認識しています。
当連結会計年度の世界経済は、堅調な消費や投資に支えられ、先進国、新興国共に緩やかな成長が継続しました。当社は資金調達の基本方針に則り、金融機関との長期に亘る良好な関係や公的金融機関による各種施策を活用して必要資金の調達を着実に実行しました。しかしながら、中東を巡る地政学リスクの高まりに加え、一部に成熟感が見られる欧米経済の先行きやFRBの金融引締めによる新興国経済への影響、更には米国の通商政策の動向に不透明感が残ることから、流動性については引続き注視していく必要があると認識しています。
上述資金調達実行の結果、当連結会計年度末における有利子負債は4兆2,269億円(前連結会計年度末比5,747億円減)、連結有利子負債に占める長期債務の比率は、95.2%となりました。このうち、5,550億円は劣後特約付シンジケートローンで、格付機関は、残高の50%である2,775億円を資本と同等に扱っています。また、当連結会計年度末の長期債務の返済年限別内訳は次のとおりです。当連結会計年度末の長期債務の内訳と債務残高の利率については、連結財務諸表注記事項16.「金融債務及び営業債務等に関する開示」を参照願います。
返済年限1年以内1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超合計
金額(億円)4,8264,5483,3883,4822,97921,03240,254

当連結会計年度末の株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)は3兆9,747億円となり前連結会計年度末比で2,425億円増加しました。ネット有利子負債は3兆892億円となり同1,929億円減少、ネットDERは前連結会計年度末の0.88倍から0.78倍へ0.1ポイント低下しました。
また流動比率は、前連結会計年度末の177.3%に対し当連結会計年度末は156.6%となっています。
以上のような数値、及び資金調達環境から判断すると、当社の財務の健全性は引き続き確保されており、中期経営計画に沿った投融資を含む当社の円滑な事業活動を行う上で、現時点で大きな支障はないと認識しています。
当社及び連結子会社は、主として第三者及び関連当事者のために、各種の支払保証を行っていますが、これらの保証において当社及び連結子会社の流動性に実質的な影響を及ぼすものはありません。将来の契約履行義務並びに保証等については連結財務諸表注記事項25.「偶発債務」を参照願います。
当社及び連結子会社は、個別プロジェクト案件等に対するノンリコースファイナンスなどを除き、金融機関との重要な金融取引において、期限の利益喪失となり得る財務比率制限、担保提供制限、追加債務負担制限、利益処分の制限等の財務制限条項を含む契約を締結しないことを基本方針としていることもあり、これらの財務制限条項において重要なものはありません。
連結子会社や持分法適用会社からの配当受取に関しては、その配当の有無が当社の流動性に大きな影響を与えるという状況にはないと認識しております。また、当該連結子会社及び持分法適用会社に適用される現地法制に照らして適切な純資産や配当可能利益がある限り、配当等による資金の受領を制限する契約または法制上の制限として重要なものはありません(一般的な源泉課税並びに現地税法に基づくその他の税金を除く)。
なお、当社及び連結子会社は、翌連結会計年度において、確定給付型年金制度に149億円を拠出する見込みです。
④投融資と財務政策
当連結会計年度は、順調な業績の向上と持分法適用会社からの配当の増額により、基礎営業キャッシュ・フローは約6,700億円の獲得となり、これに順調な資産リサイクルにより獲得した約3,000億円の資金獲得を合わせて約9,700億円のキャッシュ・インとなりました。また、投資規律の徹底を通じて、投融資(*)は約5,600億円にとどまった一方、総額約1,725億円の株主還元を実行したことから、キャッシュ・アウトは約7,325億円となりました。この結果、株主還元後のフリーキャッシュ・フロー(**)の実績は約2,375億円の黒字と、極めて順調に進捗しています。尚、当連結会計年度のキャッシュ・フロー詳細については、後述の⑥ キャッシュ・フローの状況を参照願います。
(*)定期預金の増減を除外した投資キャッシュ・フロー
(**)運転資本及び定期預金の増減の影響を除外したフリーキャッシュ・フロー
当連結会計年度の実績と2019年3月期の計画を踏まえて見直した、中期経営計画3年累計のキャッシュ・フロー配分については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)2019年3月期における取組み ③キャッシュ・フロー配分の実績及び最新見通し(中期経営計画3年間累計)」を参照願います。また、既存の債務からの再調達については、前述の①資金調達の基本方針、及び② 資金調達手段を参照願います。
なお、最新のキャッシュ・フロー配分見通し(中期経営計画3年間累計)には投融資の実行を決定していない案件が多く含まれており、これらの進捗は実際のキャッシュ・フローの状況及び財政状態に影響を与えます。
⑤資産及び負債並びに資本
(単位:億円)2018年3月末2017年3月末増減
総資産113,067115,010△1,943
流動資産42,26244,747△2,485
非流動資産70,80570,263+542
流動負債26,98825,240+1,748
非流動負債43,89849,869△5,971
親会社の所有者に帰属する持分合計39,74737,322+2,425

資産
流動資産:
・借入金の返済を主因に現金及び現金同等物が3,724億円減少しました。
・営業債権及びその他の債権は、売却目的保有資産への組替による減少があった一方、エネルギーセグメントにおける取扱数量の増加、化学品セグメントにおける価格上昇、期末休日要因及び取扱数量の増加を主因に、266億円増加しました。
・機械・インフラセグメントにおける取扱数量の増加を主因に、前渡金が819億円増加しました。
・売却目的保有資産は、当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する資産を2018年3月末において区分表示したことにより、1,089億円増加しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は2,387億円減少しました。(括弧内はオペレーティング・セグメント)
-ValeparのValeへの吸収合併に伴い、2,508億円減少(金属資源)
-為替変動の影響により736億円減少
-当期における持分法による投資損益の見合いで2,349億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により2,859億円減少
-北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分追加取得により483億円増加(機械・インフラ)
-米国天然ガス液化事業Cameron LNG Holdingsへの出資により169億円増加(エネルギー)
-アジア最大手の中間所得層向け病院グループの持株会社である米国International Columbia U.S.の持分追加取得により151億円増加(生活産業)
2018年3月末及び2017年3月末における持分法適用会社に対する投資をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント2018年3月末2017年3月末増減
(億円)(億円)(億円)
鉄鋼製品2,1782,088+90
金属資源4,3177,110△2,793
機械・インフラ8,8028,931△129
化学品1,1741,117+57
エネルギー2,5432,546△3
生活産業4,5293,994+535
次世代・機能推進1,5141,636△122
合計25,05627,422△2,366
その他/調整・消去△26△5△21
連結合計25,03027,417△2,387

・その他の投資は4,878億円増加しました。
-ValeparのValeへの吸収合併に伴い、3,071億円増加(金属資源)
-株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が1,595億円増加
-露製薬会社R-Pharmの株式取得により、142億円増加(生活産業)
-日鉄住金物産の株式追加取得により、102億円増加(鉄鋼製品)
・営業債権及びその他の債権(非流動)は770億円減少しました。
-尼国発電事業宛貸付金の回収により280億円減少(機械・インフラ)
-海外ニッケル事業への投資会社SUMIC Nickel Netherlands宛貸付金の回収により194億円減少(金属資源)
-伯鉄道貨車レンタル持株会社Mitsui Rail Capital Participações傘下の一部子会社の持分法適用会社化等により169億円減少(機械・インフラ)
-カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chile宛貸付金に対する貸倒引当金設定により136億円減少(金属資源)
-Gestamp北米事業向貸付金の実行により193億円増加(鉄鋼製品)
-海洋エネルギー関連事業宛貸付金の実行により134億円増加(機械・インフラ)
・有形固定資産は936億円の減少となりました。
-米国シェールガス・オイル事業で、マーセラスシェールガス事業における一部権益売却を主因に、340億円減少(為替変動の影響による81億円の減少を含む)(エネルギー)
-豪州鉄鉱石生産事業で305億円減少(為替変動の影響による163億円の減少を含む)(金属資源)
-米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で301億円減少(為替変動の影響による153億円の減少を含む)(エネルギー)
-大手町一丁目2番地区の一体開発事業で105億円増加(その他)
なお、有形固定資産の2018年3月末及び2017年3月末の残高をオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント2018年3月末2017年3月末増減
(億円)(億円)(億円)
鉄鋼製品10995+14
金属資源3,8174,105△288
機械・インフラ1,9942,010△16
化学品2,0152,033△18
エネルギー6,2846,906△622
生活産業1,7001,695+5
次世代・機能推進364379△15
合計16,28317,223△940
その他/調整・消去1,0161,012+4
連結合計17,29918,235△936

また、2018年3月末及び2017年3月末においてオペレーティング・リースに供されている有形固定資産の内訳は次のとおりです。
内訳2018年3月末2017年3月末
(億円)(億円)
不動産876847
船舶及び航空機756810
鉄道車輛及び機械装置625637
連結合計2,2572,294

・大手町一丁目2番地区の一体開発事業による138億円の増加(生活産業)を主因に、投資不動産は92億円増加しました。
・米国税制改正による法人税率引下げを主因に、繰延税金資産が431億円減少しました。
負債
流動負債:
・短期債務が借入金の返済を主因に1,030億円減少しました。一方、一年以内に返済予定の長期債務は借入金の返済による減少があったものの、短期化による増加を主因に943億円増加しました。
・営業債権及びその他の債権の増加に対応し、営業債務及びその他の債務が606億円増加したほか、前渡金の増加に対応し、前受金が757億円増加しました。
・売却目的保有資産に直接関連する負債は、当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する負債を2018年3月末において区分表示したことにより、403億円増加しました(鉄鋼製品)。
非流動負債:
・短期化及び返済、伯鉄道貨車レンタル持株会社Mitsui Rail Capital Participações傘下の一部子会社の持分法適用会社化を主因(機械・インフラ)に、長期債務(一年以内返済予定分を除く)が5,659億円減少しました。
・米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で資産除去債務が190億円減少(エネルギー)した一方、マルチグレイン事業関連引当金計上(生活産業)を主因に、引当金(非流動)が39億円増加しました。
・株価上昇に伴うFVTOCIの金融資産の増加があった一方、ValeparのValeへの吸収合併に伴うValeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩(金属資源)、発電事業を行う持分法適用会社からの配当に伴う未分配利益に係る繰延税金負債の取崩(機械・インフラ)、米国税制改正による法人税率引下げに伴う取崩を主因に、繰延税金負債が144億円減少しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・資本剰余金は、チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiの持株会社であるJapan Collahuasi Resourcesの持分追加取得に伴う減少(金属資源)を主因に233億円減少しました。
・利益剰余金は、3,533億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は374億円減少しました。
-株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産が1,028億円増加
-米ドル、豪ドル、伯レアルに対する円高の進行を主因に、外貨換算調整勘定が1,466億円減少
・自己株式の取得を実施したことにより、株主資本の減算項目となる自己株式は500億円増加しました。
・非支配持分は、チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiの持株会社であるJapan Collahuasi Resourcesの持分追加取得による減少(金属資源)を主因に146億円減少しました。
⑥キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)当期前期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー5,5364,042+1,494
投資活動によるキャッシュ・フロー△2,482△3,533+1,051
フリーキャッシュ・フロー3,054509+2,545
財務活動によるキャッシュ・フロー△6,523△503△6,020
現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等△255124△379
現金及び現金同等物の増減△3,724130△3,854

営業活動によるキャッシュ・フロー
(単位:億円)当期前期増減
営業活動によるキャッシュ・フローa5,5364,042+1,494
営業活動に係る資産・負債の増減b△1,129△906△223
基礎営業キャッシュ・フローa-b6,6654,948+1,717

営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは、その他の資産負債の増減の影響を主因に1,129億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、6,665億円となりました。
・持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は3,764億円となり、前期の1,947億円から1,817億円増加
・減価償却費及び無形資産等償却費は1,926億円となり、前期の1,933億円から7億円減少
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円)当期前期増減
鉄鋼製品14286+56
金属資源2,4082,021+387
機械・インフラ1,588744+844
化学品502538△36
エネルギー1,7531,341+412
生活産業7184△13
次世代・機能推進3161△30
合計6,4954,875+1,620
その他/調整・消去17073+97
連結合計6,6654,948+1,717

投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、1,150億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。(括弧内はオペレーティング・セグメント)
- 北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分追加取得による483億円の資金支出(機械・インフラ)
- 米国天然ガス液化事業Cameron LNG Holdingsへの出資による169億円の資金支出(エネルギー)
- CIM Groupへの出資による101億円の資金支出(次世代・機能推進)
- チェコ上下水事業売却による資金回収(機械・インフラ)
- 持分法適用会社の株式一部売却による109億円の資金回収(機械・インフラ)
・その他の投資の取得及び売却・償還の純額は、235億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- 露製薬会社R-Pharmの株式取得による220億円の資金支出(生活産業)
- 米国ヘルスケア人材派遣事業の買収による133億円の資金支出(生活産業)
- 日鉄住金物産の株式取得による102億円の資金支出(鉄鋼製品)
- 米国油井管事業Champions Cinco Pipe & Supply売却による資金回収(鉄鋼製品)
・貸付金の増加及び回収の純額は、257億円の資金獲得となりました。主な増加及び回収は以下のとおりです。
- 尼国発電事業宛貸付金回収による280億円の資金獲得(機械・インフラ)
- 海外ニッケル事業への投資会社SUMIC Nickel Netherlands宛貸付金回収による194億円の資金獲得(金属資源)
- 英国First Hydro揚水発電事業売却に伴う貸付金の回収による184億円の資金獲得(機械・インフラ)
- Gestamp北米事業向貸付実行による193億円の資金支出(鉄鋼製品)
- 海洋エネルギー関連事業宛貸付金実行による134億円の資金支出(機械・インフラ)
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,357億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で641億円の資金支出(エネルギー)
- 豪州鉄鉱石事業で150億円の資金支出(金属資源)
- 豪州石炭事業で139億円の資金支出(金属資源)
- 米国シェールガス・オイル事業で115億円の資金支出(エネルギー)
- 大手町一丁目2番地区の一体開発事業で105億円の資金支出(その他)
- マーセラスシェールガス事業における一部権益売却による158億円の資金回収(エネルギー)
・投資不動産の取得及び売却の純額は、81億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 大手町一丁目2番地区の一体開発事業で138億円の資金支出(生活産業)
- 三井物産都市開発の国内ビル売却による105億円の資金回収(生活産業)
当期及び前期における上述の投資活動によるキャッシュ・フローをオペレーティング・セグメント別に見ると以下のとおりです。
投資活動によるキャッシュ・フロー(オペレーティング・セグメント別)
オペレーティング・セグメント当期
(億円)
前期
(億円)
鉄鋼製品△225△407
金属資源△24△720
機械・インフラ△381△700
化学品△354△13
エネルギー△572△437
生活産業△691△578
次世代・機能推進△33△390
合計△2,280△3,245
その他/調整・消去△202△288
連結合計△2,482△3,533

財務活動によるキャッシュ・フロー
・借入金の返済による資金支出を主因に、短期債務の増減は990億円の資金支出、長期債務の増加及び返済の純額は3,512億円の資金支出がありました。
・自己株式の取得による500億円の資金支出がありました。
・配当金支払いによる1,058億円の資金支出がありました。
・チリの銅鉱山事業会社Compañía Minera Doña Inés de Collahuasiの持株会社であるJapan Collahuasi Resourcesの持分追加取得(金属資源)を主因に、非支配持分株主との取引は462億円の資金支出がありました。
当期の資金調達状況については、前述の②資金調達手段の頁を参照願います。
(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り
重要な判断を要する会計方針及び見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計方針及び会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を反映させることを要するものです。
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結財政状態計算書上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用、または開示対象となる偶発債務などに重要な影響を及ぼすことがあります。
以下の各項目は、その認識及び測定にあたり、経営者の重要な判断及び会計上の見積りを必要とするものです。
非金融資産及び持分法適用会社に対する投資の減損損失及び減損損失の戻入
・前連結会計年度及び当連結会計年度における、有形固定資産、投資不動産、暖簾及び耐用年数を確定できない無形資産を除く無形資産の減損損失計上額は52億円及び205億円です。また、前連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は発生しておらず、当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は14億円です。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における減価償却累計額及び減損損失累計額控除後の帳簿価額は2兆991億円及び2兆119億円です。
・前連結会計年度及び当連結会計年度における、持分法適用会社に対する投資の減損損失計上額は6億円及び144億円です。また、前連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は発生しておらず、当連結会計年度における同資産の減損損失の戻入額は10億円です。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における持分法適用会社に対する投資の帳簿価額は2兆7,417億円及び2兆5,030億円です。
・非金融資産の減損損失及び減損損失の戻入(持分法適用会社に対する投資を含む)は、当社の連結損益計算書上の当期利益に対し重要な影響を及ぼすことがあります。
・減損損失は主に連結子会社における事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容見直し、及び持分法適用会社に対する投資の市場価格の下落などによるものです。
・非金融資産の減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候があると判断された場合には、資産または資金生成単位の回収可能価額を算定し、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に、差額を減損損失として認識しています。
・回収可能価額は処分費用控除後の公正価値と使用価値のうち、いずれか高い金額としています。
・公正価値は市場性のある持分法適用会社に対する投資の場合は市場価格を、それ以外の場合は独立の第三者による評価結果を使用するなど、市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。
・使用価値の算定に使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された経営計画や、それが入手できない場合は直近の非金融資産の状況を反映した操業計画に基づいて見積っています。この将来キャッシュ・フローの見積り方法として、以下の例があげられます。
- 不動産について、直近の近隣不動産売却価額や賃料が合理的な期間継続するという前提を置く。
- 工場設備にて製造している製品の将来にわたる一定期間の販売価格を、過去に於ける同期間の平均値やアナリストの分析資料等を勘案して見積る。
- 石炭・原油等の資源事業に関わる開発設備及び鉱業権について、直近の確認埋蔵量等に基づく生産計画に沿って当該資産を使用して生産され、減損判定時点における先物価格を基にした価格、第三者による予想価格、もしくは長期販売契約上の販売価格で売却される前提を置く。
- 顧客関係について、将来の一定期間の収益につき、過去に於ける収益への貢献度、解約率、及びアナリストの市況予想等を勘案して見積る。
・使用価値の計算においては、割引率は、資金生成単位の固有のリスクを反映した市場平均と考えられる収益率を合理的に反映する率を使用しています。
・非金融資産は、その性質や、所在地、所有者、操業者、収益性等の操業環境が異なるため、将来キャッシュ・フローの想定や、割引率の算定において考慮すべき各種の要因は、個別の非金融資産ごとに異なります。
・過年度に認識した減損損失が、もはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、期末日に判定を行っております。こうした兆候が存在する場合、当社及び連結子会社は資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、最後に減損損失が認識されて以降、資産の回収可能価額の決定に用いた仮定に変更がある場合にのみ、過去に認識した減損損失を連結損益計算書上の利益として戻入れております。
暖簾の減損
・前連結会計年度及び当連結会計年度における暖簾減損損失計上額は1億円及び64億円です。また、対応する前連結会計年度末及び当連結会計年度末における帳簿価額は685億円及び758億円です。
・暖簾は、企業結合のシナジーから便益を享受できると期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、年一回及び減損の兆候を示す事象が発生した時点で、減損テストを実施しています。
・減損テストでは、暖簾及び暖簾を配分した資金生成単位または資金生成単位グループの帳簿価額合計を回収可能価額と比較し、帳簿価額合計が回収可能価額を上回る場合に、その差額を減損損失として認識します。回収可能価額の見積りは、非金融資産の減損と同様の見積り方法を用いております。
公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産
・公正価値で測定する市場性ない資本性金融資産については、主に評価差額をその他の包括利益に認識することを選択しています。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、市場性ないFVTOCIの金融資産の公正価値はそれぞれ6,460億円及び6,389億円です。
・市場性ないFVTOCIの金融資産については、主に割引キャッシュ・フロー法、類似企業比較法またはその他の適切な評価方法を用いて評価しており、経営者が金額的重要性が高いと判断する場合には、外部の評価専門家の評価を利用しています。
・また、割引キャッシュ・フロー法に使用される将来キャッシュ・フローは、非金融資産及び持分法に対する投資の減損と同様に、経営者により承認された経営計画などに基づいて見積っています。これらの見積りや仮定は、当社の連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。
繰延税金資産の回収可能性
・繰延税金資産の回収可能性の判断の変更に伴う繰延税金資産の減額は、当社の連結損益計算書上の当期利益及び連結包括利益計算書上のその他の包括利益に重要な影響を及ぼすことがあります。
・経営者は、有税償却に関する無税化の実現可能性や当社及び子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。当社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や、法定税率の変更などにより、回収可能額が変動する可能性があります。
石油・ガス産出活動及び鉱物採掘活動における埋蔵量の見積り
・埋蔵量は、当社及び連結子会社が保有している権益に対応した経済的かつ法的に採掘可能な生産物として見積られた量です。埋蔵量を算出するための見積り及び前提は以下の地質学的、技術的、経済的要因によって左右されます。
- 地質学的要因:鉱物の分量、品位等
- 技術的要因:生産技術、回収率、生産費用、輸送費用等
- 経済的要因:生産物の需要、価格、為替レート等
・埋蔵量の見積りに使用される経済的な前提は毎期変動し、かつ一連の生産活動の中で地質データの更新が行われることにより埋蔵量の見積り額は毎期変動することになります。報告された埋蔵量の変動は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に対して各種の影響を及ぼします。具体的には、
- 埋蔵量の変更に伴う将来キャッシュ・フローの見積りの変動により保有資産が減損する可能性があります。
- 生産高比例法の分母の変動または経済的耐用年数の変動に伴い、連結損益計算書上の当該事業に係る減価償却費が変動する可能性があります。
- 埋蔵量の見積りの変更が生産設備の廃棄や、原状回復義務、環境関係の資産除去債務の発生時期及び債務金額の増減に影響を与える可能性があります。
確定給付費用及び確定給付制度債務
・従業員の確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積られています。IFRSでは、実績と見積りとの差はその他の包括利益として認識後、即時に利益剰余金に振替えられるため、包括利益及び利益剰余金に影響を及ぼします。経営者は、この数理計算上の仮定を適切であると考えていますが、実績との差異や仮定の変動は将来の確定給付費用及び確定給付制度債務に影響します。
・当社及び連結子会社の割引率は、各年度の測定日における高格付けの固定利付社債もしくは日本の長期国債の利回りに基づき決定しています。各測定日に決定した割引率は、測定日現在の確定給付制度債務及び翌年度の純期間費用を計算するために使用されます。
・確定給付費用及び確定給付制度債務に関する見積りや前提条件については連結財務諸表注記事項19.「従業員給付」を参照願います。