四半期報告書-第100期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
以下の分析には、当社及び連結子会社の将来に関する記述が含まれています。こうした将来に関する記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた現時点における仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスク、不確実性並びにその他の要素を内包するものです。かかるリスク、不確実性及びその他の要素によって、当社の実際の連結財政状態、連結経営成績及び連結キャッシュ・フローが、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
特に断りのない限り、将来に関する記述は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営環境
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国は堅調に推移した一方で、欧州や中国では景気回復の勢いが弱まり、成長が鈍化しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費は底堅く推移するものの、設備投資にピーク感がみられ、また減税効果も徐々に剥落すると見込まれるため、今後は景気回復のペースが落ちていくと予想されます。欧州でも、自動車を中心として生産に停滞感がみられ、成長鈍化が継続すると思われます。一方、日本では、オリンピック・パラリンピック関連投資や省力化を中心とした設備投資の増加に加え、今後は消費増税前の駆け込み需要も見込まれ、底堅い回復が続くと見込まれます。新興国については、中国では政策による一定の下支えは期待されるものの、米中貿易摩擦の影響もあり景気減速が続くと予想されます。一方、ブラジルでは新政権下で景気が持ち直しつつあり、またロシアでも輸出の回復によって景気は下げ止まっています。
世界経済は、全体として停滞感が強まっており、特に米中貿易摩擦の影響などにより景気の下振れリスクが高まっていることから、今後の情勢に注意が必要です。
(2)経営成績の分析
① 連結損益計算書
(*) 四捨五入差異により縦計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
・新基準の適用開始による1兆2,928億円の増加を主因に、1兆3,600億円増加し、5兆130億円となりました。
売上総利益
・主にエネルギーセグメント及び生活産業セグメントで増益となった一方、金属資源セグメント及び鉄鋼製品セグメントで減益となりました。
その他の収益・費用
有価証券損益:
・当期は、主に生活産業セグメントで有価証券利益を計上しました。前年同期は、主に金属資源セグメントで有価証券利益を計上した一方、機械・インフラセグメントで有価証券損失を計上しました。
固定資産評価損益:
・前年同期は、主に生活産業セグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上しました。
固定資産処分損益:
・当期は、主に鉄鋼製品セグメントで固定資産売却益を計上しました。前年同期は、主に生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで固定資産売却益を計上しました。
雑損益:
・前年同期は、鉄鋼製品セグメントにおいて、持分法適用会社出資に係る価格調整条項のデリバティブ評価益を計上しました。
マルチグレイン事業関連引当金:
・生活産業セグメントで、前年同期において、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額を計上した一方、当期において、当該引当金の一部取崩しに係る利益を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金:
・主に、エネルギーセグメント及び金属資源セグメントで増加しました。
持分法による投資損益
・主に、エネルギーセグメント及び鉄鋼製品セグメントで増益となった一方、機械・インフラセグメントで減益となりました。
法人所得税
・前年同期において、Valeparへの投資に係る繰延税金負債の取崩しや、配当に伴う持分法適用会社への投資に係る繰延税金資負債の取崩し、米国税制改正に伴う繰延税金負債の取崩し等により、法人所得税の負担が減少した一方、持分法適用会社への投資に係る繰延税金資産の取崩し及びMultigrain Tradingにおける繰延税金資産の取崩しによる法人所得税の増加がありました。
・当期の実効税率は23.2%となり、前年同期の17.0%から、6.2ポイント増加しました。上述の前年同期の繰延税金資産の取崩しが税率減少要因となった一方、繰延税金負債の取崩しが税率増加要因となりました。
四半期利益(親会社の所有者に帰属)
・上記の結果、前年同期から267億円減益の3,501億円となりました。
② オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
鉄鋼製品
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 三井物産スチールは、日鉄住金物産へ事業譲渡したことを主因に、51億円の減益
- 前期のChampions Cinco Pipe & Supply売却及び前年同期の大型パイプライン案件受注の反動を主因に減益
・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
- 当期において、日鉄住金物産が持分法適用会社となったことに伴い、持分法による投資損益を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Gestamp Automociónへの出資参画に伴う価格調整条項のデリバティブ評価益70億円を計上
- 当期において、関係会社の土地売却に伴う一過性利益59億円を計上
金属資源
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石販売価格の下落及びジョイント・ベンチャー間における保有鉱区の変更を主因に156億円の減益
- 豪州石炭事業は、採掘計画変更に伴う操業費の上昇を主因に103億円の減益
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- Valeparは、2018年3月期第2四半期にValeへ吸収合併され、持分法適用会社から異動したことにより、94億円の減益
- カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileは、前期に当社連結決算にて減損を認識したことに伴い38億円の改善
・Valeからの受取配当金は126億円となり、前年同期から85億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、ValeparのValeへの吸収合併に伴い、有価証券利益563億円及びValeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益352億円を計上
- 前年同期において、持分法適用会社Inner Mongolia Erdos Electric Power & Metallurgicalからの配当に伴い、未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上
機械・インフラ
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- IPP(独立系発電)事業は206億円の減益
◇前年同期において、英国発電所の売却益203億円を計上
◇前年同期において、尼国発電事業のリファイナンスに伴う利益39億円を計上
◇当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持分法適用会社で繰延税金資産を計上
◇電力デリバティブ契約などに係る時価評価損益は9億円の損失となり、前年同期の2億円の損失から、7億円の悪化
- 当期において、海外鉄道事業における損失を計上
- 前年同期において、中南米における融資案件に対する引当金53億円を計上
- 前年同期において、持分法投資先の海外プロジェクトに起因する業績悪化懸念による損失計上
・上記のほか、以下の要因がありました。
- 前年同期において、発電事業を行う持分法適用会社からの配当に伴い、未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上
- 前年同期において、コンテナターミナルの開発・運営事業で固定資産の減損損失49億円を計上
- 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持株会社で繰延税金資産を計上
- 前年同期において、尼国発電事業の融資子会社でリファイナンスに伴う損失41億円を計上
- 前年同期において、英国発電事業の売却に伴い、英国発電事業への投資会社において有価証券評価損35億円を計上
化学品
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- MMTXはメタノール価格の上昇を主因に56億円の増益
- Novus Internationalは、メチオニン価格の下落を主因に42億円減益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Intercontinental Terminals Companyで米国税制改正による繰延税金負債の取崩益82億円を計上
エネルギー
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 三井石油開発は、原油ガス価格の上昇やコスト減少を主因に264億円増益
- Mitsui & Co. Energy Trading Singaporeは、石油トレーディングの好調を主因に41億円増益
- Mitsui E&P USA は、ガス価格の上昇やコスト減少を主因に30億円増益
・Japan Australia LNG (MIMI)の原油ガス価格上昇による増益を主因に、持分法損益が増益
・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は537億円となり、前年同期から106億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、米国シェールガス・オイル事業の持株会社MEPUS Holdingsで米国税制改正に伴い、繰延税金資産の取崩しによる損失150億円を計上
- 当期において、三井石油開発などで29億円の探鉱費用を計上した一方、前年同期は三井石油開発などで45億円の探鉱費用を計上
生活産業
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- Multigrain Tradingは、前年同期不調の反動を主因に35億円増益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Multigrain Tradingの事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額325億円及び繰延税金資産取崩を主因とする税金費用86億円を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益116億円を計上
- 当期において、IHH Healthcare Berhadの発行済株式数増加に伴う持分変動利益75億円を計上
- 前年同期において、XINGU AGRIにて土地評価額下落により、固定資産評価損109億円を計上
- 前年同期において、三井物産都市開発にて国内ビルの売却益を計上
次世代・機能推進
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 前年同期において、新興国での携帯通信事業会社株式の公正価値評価損65億円を計上
- 前年同期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価益127億円を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、国内倉庫売却に伴い、固定資産売却益を計上
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 資産及び負債並びに資本
(*)当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して算出しています。
・短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。
・有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
資産
流動資産:
・現金及び現金同等物は1,782億円減少しました。
・営業債権及びその他の債権は、エネルギーセグメントにおける取扱数量増加、生活産業セグメントにおける季節性要因を主因に、1,174億円増加しました。
・その他の金融資産は、次世代・機能推進及びエネルギーセグメントにおけるデリバティブ取引の取扱数量増加を主因に、1,010億円増加しました。
・棚卸資産は化学品、次世代・機能推進、機械・インフラ、生活産業セグメントにおける取扱数量増加を主因に、797億円増加しました。
・前受金との純額表示を主因に、前渡金は536億円減少しました。
・売却目的保有資産は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する資産を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、1,089億円減少しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は1,945億円増加しました。
- 日鉄住金物産の持分追加取得、及びこれに伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により、380億円増加
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資により219億円増加
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資により増加
- 欧州における塗料製造事業を展開するKansai Helios Coatingsへの出資により123億円増加
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資により増加
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資により101億円増加
- 当期における持分法による投資損益の見合いで1,860億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により1,834億円減少
- 為替変動の影響により12億円増加
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却により115億円減少
・その他の投資は651億円増加しました。
- 期間延長に伴いLNGプロジェクトに対する投資の公正価値が増加したことを主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が468億円増加
- 尼国消費者関連事業会社CT Corpの社債引受により330億円増加
- 為替変動の影響により189億円増加
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得により118億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得に伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により299億円減少
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却により120億円減少
・有形固定資産は2,199億円の増加となりました。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で957億円増加(豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化による538億円の増加、為替変動の影響による92億円の増加を含む)
- 米国の不動産事業で411億円増加(為替変動の影響による5億円の増加を含む)
- 航空関連リース事業で211億円増加(為替変動の影響による8億円の増加を含む)
- 三井物産プラントシステムの国内再生可能エネルギー関連で136億円増加
- 米国のタンクターミナル事業で125億円増加(為替変動の影響による37億円の増加を含む)
- 豪州鉄鉱石事業で113億円減少(為替変動の影響による136億円の減少を含む)
・投資不動産は、三井物産都市開発において新橋田村町地区市街地再開発事業等で109億円増加したことを主因に、183億円の増加となりました。
負債
流動負債:
・短期債務は821億円増加しました。また、1年以内に返済予定の長期債務は借入金の返済による減少があったものの、短期化による増加を主因に338億円増加しました。
・営業債権及びその他の債権の増加に対応し、営業債務及びその他の債務は1,358億円増加しました。
・次世代・機能推進セグメントの貴金属リース取引の増加、またその他の金融資産の増加に対応し、その他の金融負債は913億円増加しました。
・前渡金との純額表示に対応し、前受金は716億円減少しました。
・売却目的保有資産に直接関連する負債は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する負債を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、403億円減少しました。
非流動負債:
・長期債務(1年以内返済予定分を除く)は552億円増加しました。
・その他の金融負債(非流動)は、北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分取得に係る未払金の支払を主因に、248億円減少しました。
・引当金(非流動)は、132億円増加しました。
- IPP事業において、投資形態変更に伴う連結会計処理変更による勘定科目振替により122億円増加
- 豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化により増加
- マルチグレイン事業関連引当金取崩により減少
・FVTOCIの金融資産の増加を主因に、繰延税金負債が286億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・利益剰余金は、1,227億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は、204億円の減少となりました。
- 期間延長に伴いLNGプロジェクトに対する投資の公正価値が増加したことを主因にFVTOCIの金融資産が247億円増加
- 対円での米ドル高の一方、豪ドル安、伯レアル安の進行を主因に、外貨換算調整勘定が557億円減少
・自己株式の消却を実施したことにより、株主資本の減算項目となる自己株式は967億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは1,306億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、4,921億円となりました。
- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は2,611億円となり、前年同期の2,901億円から290億円減少
- 減価償却費及び無形資産等償却費は1,347億円となり、前年同期の1,468億円から121億円減少
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、1,197億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資による219億円の資金支出
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資による資金支出
- 北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分取得に係る未払金支払による資金支出
- 欧州における塗料製造事業を展開するKansai Helios Coatingsへの出資による123億円の資金支出
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資による資金支出
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資による101億円の資金支出
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却による115億円の資金回収
・その他の投資の取得及び売却・償還(子会社又はその他の事業の取得・売却を含む)の純額は、700億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。
- 豪州の石油・ガス資源開発事業の買収による482億円の資金支出
- 尼国消費者関連事業会社CT Corpの社債引受による330億円の資金支出
- 米国の不動産事業の買収による287億円の資金支出
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得による118億円の資金支出
- 日鉄住金物産への事業譲渡による644億円の資金回収
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却による120億円の資金回収
・貸付金の増加及び回収の純額は、361億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- モロッコのIPP事業向け貸付金の実行による167億円の資金支出
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,893億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で787億円の資金支出
- 航空関連リース事業で188億円の資金支出
- 豪州鉄鉱石事業で163億円の資金支出
- 米国のタンクターミナル事業で126億円の資金支出
- 豪州石炭事業で124億円の資金支出
・投資不動産の取得及び売却の純額は、156億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- 三井物産都市開発の再開発事業で108億円の資金支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
・短期債務の増減は534億円の資金回収、長期債務の増加及び返済の純額は62億円の資金支出となりました。
・配当金支払いによる1,390億円の資金支出がありました。
(4)対処すべき課題
① 2019年3月期連結業績予想
[業績予想の前提条件] 3Q累計実績 4Q予想 年間予想 2Q時年間予想
期中平均米ドル為替レート 111.33 110 111.00 110.35
原油価格(JCC) 74ドル 66ドル 72ドル 71ドル
期ずれを考慮した当社 70ドル 73ドル 70ドル 70ドル
連結決算に反映される原油価格
為替レートは第3四半期連結累計期間の111.33円/米ドル、81.36円/豪ドル及び29.20円/伯レアルに対し、第4四半期はそれぞれ110円/米ドル、80円/豪ドル及び30円/伯レアルを想定しています。また、第4四半期の原油価格(JCC)を66米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の通期業績予想に適用される原油価格の平均を70米ドル/バレル(従来予想と同様)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
② 2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計しています。2019年3月期には51%が4~6ヵ月遅れで、40%が1~3ヵ月遅れで、9%が遅れ無しで反映されると想定されます。
(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスは必ずしもHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対する感応度ではなく、加重平均ガス販売価格に対する感応度。
(*3) 米国ガスの2019年3月期3Q累計実績欄には、2018年1月~9月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*4) HH連動の販売価格は、HH価格US$3.74/mmBtuを前提として使用しています。
(*5) 鉄鉱石の前提価格は非開示。
(*6) 鉄鉱石の2019年3月期3Q累計実績欄には2018年4月~12月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。
(*7) 銅の2019年3月期3Q累計実績欄には、2018年1月~9月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。
(*8) 各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する感応度。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。金属資源・エネルギー生産事業における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
③ 利益配分に関する基本方針
当社は利益配分に関する基本方針について、独立の社外役員が出席した取締役会における討議を経て、以下のとおり決定しています:
・企業価値向上・株主価値極大化を図るべく、内部留保を通じて重点分野・成長分野での資金需要に対応する一方で、業績の一部について配当を通じて株主に直接還元していくことを基本方針とする
・上記に加え、資本効率向上等を目的とする自己株式取得につき、引続き取締役会が投資需要の将来動向、フリーキャッシュ・フロー水準、有利子負債及び株主資本利益率等、経営を取り巻く諸環境を勘案し、その金額、時期も含め都度機動的に決定することが企業価値向上に資すると判断する
中期経営計画では、環境変化にかかわらず一定の配当を担保するべく、安定的に創出可能と判断した基礎営業キャッシュ・フローの水準に基づき、総額1,000億円を年間配当額の下限と設定しました。業績の向上を通じた配当金額の継続的増加を目指すことを軸にしながら、事業展開に要する内部留保を充分に確保できた場合には柔軟な株主還元を図ることも検討します。
2019年3月期の年間配当金額に関しては、連結業績予想における基礎営業キャッシュ・フロー及び当期利益(親会社の所有者に帰属)並びに配当金額の安定性・継続性を総合的に勘案し、1株当たり80円(前期比10円増、中間配当40円含む)とすることを予定しています。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
特に断りのない限り、将来に関する記述は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営環境
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国は堅調に推移した一方で、欧州や中国では景気回復の勢いが弱まり、成長が鈍化しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費は底堅く推移するものの、設備投資にピーク感がみられ、また減税効果も徐々に剥落すると見込まれるため、今後は景気回復のペースが落ちていくと予想されます。欧州でも、自動車を中心として生産に停滞感がみられ、成長鈍化が継続すると思われます。一方、日本では、オリンピック・パラリンピック関連投資や省力化を中心とした設備投資の増加に加え、今後は消費増税前の駆け込み需要も見込まれ、底堅い回復が続くと見込まれます。新興国については、中国では政策による一定の下支えは期待されるものの、米中貿易摩擦の影響もあり景気減速が続くと予想されます。一方、ブラジルでは新政権下で景気が持ち直しつつあり、またロシアでも輸出の回復によって景気は下げ止まっています。
世界経済は、全体として停滞感が強まっており、特に米中貿易摩擦の影響などにより景気の下振れリスクが高まっていることから、今後の情勢に注意が必要です。
(2)経営成績の分析
① 連結損益計算書
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
収益 | 50,130 | 36,530 | +13,600 | |
売上総利益 | 6,331 | 6,099 | +232 | |
販売費及び一般管理費 | △4,174 | △4,129 | △45 | |
その他の 収益・費用 | 有価証券損益 | 65 | 622 | △557 |
固定資産評価損益 | △36 | △189 | +153 | |
固定資産処分損益 | 58 | 149 | △91 | |
雑損益 | △33 | 195 | △228 | |
マルチグレイン事業関連引当金 | 111 | △304 | +415 | |
金融 収益・費用 | 受取利息 | 314 | 245 | +69 |
受取配当金 | 885 | 680 | +205 | |
支払利息 | △599 | △500 | △99 | |
持分法による投資損益 | 1,860 | 1,883 | △23 | |
法人所得税 | △1,112 | △808 | △304 | |
四半期利益 | 3,671 | 3,942 | △271 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 3,501 | 3,768 | △267 |
(*) 四捨五入差異により縦計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
・新基準の適用開始による1兆2,928億円の増加を主因に、1兆3,600億円増加し、5兆130億円となりました。
売上総利益
・主にエネルギーセグメント及び生活産業セグメントで増益となった一方、金属資源セグメント及び鉄鋼製品セグメントで減益となりました。
その他の収益・費用
有価証券損益:
・当期は、主に生活産業セグメントで有価証券利益を計上しました。前年同期は、主に金属資源セグメントで有価証券利益を計上した一方、機械・インフラセグメントで有価証券損失を計上しました。
固定資産評価損益:
・前年同期は、主に生活産業セグメント及び機械・インフラセグメントで固定資産評価損を計上しました。
固定資産処分損益:
・当期は、主に鉄鋼製品セグメントで固定資産売却益を計上しました。前年同期は、主に生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで固定資産売却益を計上しました。
雑損益:
・前年同期は、鉄鋼製品セグメントにおいて、持分法適用会社出資に係る価格調整条項のデリバティブ評価益を計上しました。
マルチグレイン事業関連引当金:
・生活産業セグメントで、前年同期において、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額を計上した一方、当期において、当該引当金の一部取崩しに係る利益を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金:
・主に、エネルギーセグメント及び金属資源セグメントで増加しました。
持分法による投資損益
・主に、エネルギーセグメント及び鉄鋼製品セグメントで増益となった一方、機械・インフラセグメントで減益となりました。
法人所得税
・前年同期において、Valeparへの投資に係る繰延税金負債の取崩しや、配当に伴う持分法適用会社への投資に係る繰延税金資負債の取崩し、米国税制改正に伴う繰延税金負債の取崩し等により、法人所得税の負担が減少した一方、持分法適用会社への投資に係る繰延税金資産の取崩し及びMultigrain Tradingにおける繰延税金資産の取崩しによる法人所得税の増加がありました。
・当期の実効税率は23.2%となり、前年同期の17.0%から、6.2ポイント増加しました。上述の前年同期の繰延税金資産の取崩しが税率減少要因となった一方、繰延税金負債の取崩しが税率増加要因となりました。
四半期利益(親会社の所有者に帰属)
・上記の結果、前年同期から267億円減益の3,501億円となりました。
② オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
鉄鋼製品
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 102 | 221 | △119 | |
売上総利益 | 207 | 333 | △126 | |
持分法による投資損益 | 146 | 100 | +46 | |
受取配当金 | 15 | 22 | △7 | |
販売費及び一般管理費 | △211 | △242 | +31 | |
その他 | △55 | 8 | △63 |
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 三井物産スチールは、日鉄住金物産へ事業譲渡したことを主因に、51億円の減益
- 前期のChampions Cinco Pipe & Supply売却及び前年同期の大型パイプライン案件受注の反動を主因に減益
・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
- 当期において、日鉄住金物産が持分法適用会社となったことに伴い、持分法による投資損益を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Gestamp Automociónへの出資参画に伴う価格調整条項のデリバティブ評価益70億円を計上
- 当期において、関係会社の土地売却に伴う一過性利益59億円を計上
金属資源
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 1,276 | 2,293 | △1,017 | |
売上総利益 | 1,359 | 1,616 | △257 | |
持分法による投資損益 | 452 | 485 | △33 | |
受取配当金 | 168 | 90 | +78 | |
販売費及び一般管理費 | △250 | △243 | △7 | |
その他 | △453 | 345 | △798 |
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石販売価格の下落及びジョイント・ベンチャー間における保有鉱区の変更を主因に156億円の減益
- 豪州石炭事業は、採掘計画変更に伴う操業費の上昇を主因に103億円の減益
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- Valeparは、2018年3月期第2四半期にValeへ吸収合併され、持分法適用会社から異動したことにより、94億円の減益
- カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileは、前期に当社連結決算にて減損を認識したことに伴い38億円の改善
・Valeからの受取配当金は126億円となり、前年同期から85億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、ValeparのValeへの吸収合併に伴い、有価証券利益563億円及びValeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益352億円を計上
- 前年同期において、持分法適用会社Inner Mongolia Erdos Electric Power & Metallurgicalからの配当に伴い、未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上
機械・インフラ
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 555 | 790 | △235 | |
売上総利益 | 976 | 919 | +57 | |
持分法による投資損益 | 630 | 807 | △177 | |
受取配当金 | 42 | 27 | +15 | |
販売費及び一般管理費 | △927 | △905 | △22 | |
その他 | △166 | △58 | △108 |
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- IPP(独立系発電)事業は206億円の減益
◇前年同期において、英国発電所の売却益203億円を計上
◇前年同期において、尼国発電事業のリファイナンスに伴う利益39億円を計上
◇当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持分法適用会社で繰延税金資産を計上
◇電力デリバティブ契約などに係る時価評価損益は9億円の損失となり、前年同期の2億円の損失から、7億円の悪化
- 当期において、海外鉄道事業における損失を計上
- 前年同期において、中南米における融資案件に対する引当金53億円を計上
- 前年同期において、持分法投資先の海外プロジェクトに起因する業績悪化懸念による損失計上
・上記のほか、以下の要因がありました。
- 前年同期において、発電事業を行う持分法適用会社からの配当に伴い、未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益を計上
- 前年同期において、コンテナターミナルの開発・運営事業で固定資産の減損損失49億円を計上
- 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持株会社で繰延税金資産を計上
- 前年同期において、尼国発電事業の融資子会社でリファイナンスに伴う損失41億円を計上
- 前年同期において、英国発電事業の売却に伴い、英国発電事業への投資会社において有価証券評価損35億円を計上
化学品
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 233 | 275 | △42 | |
売上総利益 | 1,068 | 1,041 | +27 | |
持分法による投資損益 | 100 | 78 | +22 | |
受取配当金 | 25 | 19 | +6 | |
販売費及び一般管理費 | △749 | △730 | △19 | |
その他 | △211 | △133 | △78 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- MMTXはメタノール価格の上昇を主因に56億円の増益
- Novus Internationalは、メチオニン価格の下落を主因に42億円減益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Intercontinental Terminals Companyで米国税制改正による繰延税金負債の取崩益82億円を計上
エネルギー
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 869 | 350 | +519 | |
売上総利益 | 1,099 | 681 | +418 | |
持分法による投資損益 | 265 | 168 | +97 | |
受取配当金 | 546 | 443 | +103 | |
販売費及び一般管理費 | △337 | △318 | △19 | |
その他 | △704 | △624 | △80 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 三井石油開発は、原油ガス価格の上昇やコスト減少を主因に264億円増益
- Mitsui & Co. Energy Trading Singaporeは、石油トレーディングの好調を主因に41億円増益
- Mitsui E&P USA は、ガス価格の上昇やコスト減少を主因に30億円増益
・Japan Australia LNG (MIMI)の原油ガス価格上昇による増益を主因に、持分法損益が増益
・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は537億円となり、前年同期から106億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、米国シェールガス・オイル事業の持株会社MEPUS Holdingsで米国税制改正に伴い、繰延税金資産の取崩しによる損失150億円を計上
- 当期において、三井石油開発などで29億円の探鉱費用を計上した一方、前年同期は三井石油開発などで45億円の探鉱費用を計上
生活産業
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(損失)(親会社の所有者に帰属) | 327 | △267 | +594 | |
売上総利益 | 1,182 | 1,071 | +111 | |
持分法による投資損益 | 206 | 183 | +23 | |
受取配当金 | 48 | 40 | +8 | |
販売費及び一般管理費 | △1,138 | △1,125 | △13 | |
その他 | 29 | △436 | +465 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- Multigrain Tradingは、前年同期不調の反動を主因に35億円増益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Multigrain Tradingの事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額325億円及び繰延税金資産取崩を主因とする税金費用86億円を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益116億円を計上
- 当期において、IHH Healthcare Berhadの発行済株式数増加に伴う持分変動利益75億円を計上
- 前年同期において、XINGU AGRIにて土地評価額下落により、固定資産評価損109億円を計上
- 前年同期において、三井物産都市開発にて国内ビルの売却益を計上
次世代・機能推進
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 72 | 53 | +19 | |
売上総利益 | 427 | 415 | +12 | |
持分法による投資損益 | 78 | 64 | +14 | |
受取配当金 | 28 | 26 | +2 | |
販売費及び一般管理費 | △382 | △378 | △4 | |
その他 | △79 | △74 | △5 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 前年同期において、新興国での携帯通信事業会社株式の公正価値評価損65億円を計上
- 前年同期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価益127億円を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、国内倉庫売却に伴い、固定資産売却益を計上
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 資産及び負債並びに資本
(単位:億円) | 2018年12月末 | 2018年3月末 | 増減 | |
総資産 | 118,270 | 113,067 | +5,203 | |
流動資産 | 42,046 | 42,262 | △216 | |
非流動資産 | 76,224 | 70,805 | +5,419 | |
流動負債 | 29,318 | 26,988 | +2,330 | |
非流動負債 | 44,587 | 43,898 | +689 | |
ネット有利子負債 | 34,208 | 30,892 | +3,316 | |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 41,745 | 39,747 | +1,998 | |
ネットDER | 0.82倍 | 0.78倍 | +0.04 |
(*)当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して算出しています。
・短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。
・有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
資産
流動資産:
・現金及び現金同等物は1,782億円減少しました。
・営業債権及びその他の債権は、エネルギーセグメントにおける取扱数量増加、生活産業セグメントにおける季節性要因を主因に、1,174億円増加しました。
・その他の金融資産は、次世代・機能推進及びエネルギーセグメントにおけるデリバティブ取引の取扱数量増加を主因に、1,010億円増加しました。
・棚卸資産は化学品、次世代・機能推進、機械・インフラ、生活産業セグメントにおける取扱数量増加を主因に、797億円増加しました。
・前受金との純額表示を主因に、前渡金は536億円減少しました。
・売却目的保有資産は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する資産を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、1,089億円減少しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は1,945億円増加しました。
- 日鉄住金物産の持分追加取得、及びこれに伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により、380億円増加
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資により219億円増加
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資により増加
- 欧州における塗料製造事業を展開するKansai Helios Coatingsへの出資により123億円増加
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資により増加
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資により101億円増加
- 当期における持分法による投資損益の見合いで1,860億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により1,834億円減少
- 為替変動の影響により12億円増加
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却により115億円減少
・その他の投資は651億円増加しました。
- 期間延長に伴いLNGプロジェクトに対する投資の公正価値が増加したことを主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が468億円増加
- 尼国消費者関連事業会社CT Corpの社債引受により330億円増加
- 為替変動の影響により189億円増加
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得により118億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得に伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により299億円減少
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却により120億円減少
・有形固定資産は2,199億円の増加となりました。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で957億円増加(豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化による538億円の増加、為替変動の影響による92億円の増加を含む)
- 米国の不動産事業で411億円増加(為替変動の影響による5億円の増加を含む)
- 航空関連リース事業で211億円増加(為替変動の影響による8億円の増加を含む)
- 三井物産プラントシステムの国内再生可能エネルギー関連で136億円増加
- 米国のタンクターミナル事業で125億円増加(為替変動の影響による37億円の増加を含む)
- 豪州鉄鉱石事業で113億円減少(為替変動の影響による136億円の減少を含む)
・投資不動産は、三井物産都市開発において新橋田村町地区市街地再開発事業等で109億円増加したことを主因に、183億円の増加となりました。
負債
流動負債:
・短期債務は821億円増加しました。また、1年以内に返済予定の長期債務は借入金の返済による減少があったものの、短期化による増加を主因に338億円増加しました。
・営業債権及びその他の債権の増加に対応し、営業債務及びその他の債務は1,358億円増加しました。
・次世代・機能推進セグメントの貴金属リース取引の増加、またその他の金融資産の増加に対応し、その他の金融負債は913億円増加しました。
・前渡金との純額表示に対応し、前受金は716億円減少しました。
・売却目的保有資産に直接関連する負債は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する負債を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、403億円減少しました。
非流動負債:
・長期債務(1年以内返済予定分を除く)は552億円増加しました。
・その他の金融負債(非流動)は、北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分取得に係る未払金の支払を主因に、248億円減少しました。
・引当金(非流動)は、132億円増加しました。
- IPP事業において、投資形態変更に伴う連結会計処理変更による勘定科目振替により122億円増加
- 豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化により増加
- マルチグレイン事業関連引当金取崩により減少
・FVTOCIの金融資産の増加を主因に、繰延税金負債が286億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・利益剰余金は、1,227億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は、204億円の減少となりました。
- 期間延長に伴いLNGプロジェクトに対する投資の公正価値が増加したことを主因にFVTOCIの金融資産が247億円増加
- 対円での米ドル高の一方、豪ドル安、伯レアル安の進行を主因に、外貨換算調整勘定が557億円減少
・自己株式の消却を実施したことにより、株主資本の減算項目となる自己株式は967億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,615 | 4,030 | △415 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,490 | △1,841 | △2,649 |
フリーキャッシュ・フロー | △875 | 2,189 | △3,064 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △939 | △5,256 | +4,317 |
現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等 | 32 | 126 | △94 |
現金及び現金同等物の増減 | △1,782 | △2,941 | +1,159 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | a | 3,615 | 4,030 | △415 |
営業活動に係る資産・負債の増減 | b | △1,306 | △1,466 | +160 |
基礎営業キャッシュ・フロー | a-b | 4,921 | 5,496 | △575 |
・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは1,306億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、4,921億円となりました。
- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は2,611億円となり、前年同期の2,901億円から290億円減少
- 減価償却費及び無形資産等償却費は1,347億円となり、前年同期の1,468億円から121億円減少
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 |
鉄鋼製品 | △14 | 193 | △207 |
金属資源 | 1,494 | 1,742 | △248 |
機械・インフラ | 579 | 1,288 | △709 |
化学品 | 399 | 366 | +33 |
エネルギー | 1,941 | 1,460 | +481 |
生活産業 | 209 | 131 | +78 |
次世代・機能推進 | 76 | 57 | +19 |
その他/調整・消去 | 237 | 259 | △22 |
連結合計 | 4,921 | 5,496 | △575 |
投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、1,197億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資による219億円の資金支出
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資による資金支出
- 北米トラックリース・レンタル事業会社Penske Truck Leasingの持分取得に係る未払金支払による資金支出
- 欧州における塗料製造事業を展開するKansai Helios Coatingsへの出資による123億円の資金支出
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資による資金支出
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資による101億円の資金支出
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却による115億円の資金回収
・その他の投資の取得及び売却・償還(子会社又はその他の事業の取得・売却を含む)の純額は、700億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。
- 豪州の石油・ガス資源開発事業の買収による482億円の資金支出
- 尼国消費者関連事業会社CT Corpの社債引受による330億円の資金支出
- 米国の不動産事業の買収による287億円の資金支出
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得による118億円の資金支出
- 日鉄住金物産への事業譲渡による644億円の資金回収
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却による120億円の資金回収
・貸付金の増加及び回収の純額は、361億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- モロッコのIPP事業向け貸付金の実行による167億円の資金支出
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,893億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で787億円の資金支出
- 航空関連リース事業で188億円の資金支出
- 豪州鉄鉱石事業で163億円の資金支出
- 米国のタンクターミナル事業で126億円の資金支出
- 豪州石炭事業で124億円の資金支出
・投資不動産の取得及び売却の純額は、156億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- 三井物産都市開発の再開発事業で108億円の資金支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
・短期債務の増減は534億円の資金回収、長期債務の増加及び返済の純額は62億円の資金支出となりました。
・配当金支払いによる1,390億円の資金支出がありました。
(4)対処すべき課題
① 2019年3月期連結業績予想
[業績予想の前提条件] 3Q累計実績 4Q予想 年間予想 2Q時年間予想
期中平均米ドル為替レート 111.33 110 111.00 110.35
原油価格(JCC) 74ドル 66ドル 72ドル 71ドル
期ずれを考慮した当社 70ドル 73ドル 70ドル 70ドル
連結決算に反映される原油価格
(単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 (今回公表) | 2019年3月期 従来予想 (2018年10月公表) | 増減 | 増減要因 |
売上総利益 | 8,300 | 8,500 | △200 | FVTPL損失、 メチオニン価格低迷 |
販売費及び一般管理費 | △5,600 | △5,600 | 0 | |
有価証券・固定資産関係損益等 | 200 | 100 | +100 | 探鉱費減少 |
利息収支 | △400 | △400 | 0 | |
受取配当金 | 1,000 | 1,100 | △100 | Vale配当減少 |
持分法による投資損益 | 2,600 | 2,600 | 0 | |
法人所得税前利益 | 6,100 | 6,300 | △200 | |
法人所得税 | △1,500 | △1,600 | +100 | |
非支配持分 | △200 | △200 | 0 | |
当期利益 (親会社の所有者に帰属) | 4,400 | 4,500 | △100 |
減価償却費・無形資産等償却費 | 1,800 | 1,800 | 0 |
基礎営業キャッシュ・フロー | 5,900 | 6,000 | △100 |
為替レートは第3四半期連結累計期間の111.33円/米ドル、81.36円/豪ドル及び29.20円/伯レアルに対し、第4四半期はそれぞれ110円/米ドル、80円/豪ドル及び30円/伯レアルを想定しています。また、第4四半期の原油価格(JCC)を66米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の通期業績予想に適用される原油価格の平均を70米ドル/バレル(従来予想と同様)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
(単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 (今回発表) | 2019年3月期 従来予想 (2018年10月公表) | 増減 | 増減要因 |
鉄鋼製品 | 150 | 150 | 0 | |
金属資源 | 1,650 | 1,750 | △100 | Vale配当減少 |
機械・インフラ | 750 | 750 | 0 | |
化学品 | 300 | 400 | △100 | メチオニン価格低迷 |
エネルギー | 1,050 | 900 | +150 | コスト減少・数量増、ガス価上昇 |
生活産業 | 400 | 350 | +50 | IHH為替損益改善 |
次世代・機能推進 | 100 | 200 | △100 | FVTPL損失 |
その他/調整・消去 | 0 | 0 | 0 | |
連結合計 | 4,400 | 4,500 | △100 |
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
(単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 (今回発表) | 2019年3月期 従来予想 (2018年10月公表) | 増減 | 増減要因 |
鉄鋼製品 | 100 | 100 | 0 | |
金属資源 | 1,900 | 2,000 | △100 | Vale配当減少 |
機械・インフラ | 750 | 750 | 0 | |
化学品 | 500 | 600 | △100 | メチオニン価格低迷 |
エネルギー | 2,150 | 2,000 | +150 | 数量増、ガス価上昇 |
生活産業 | 250 | 250 | 0 | |
次世代・機能推進 | 150 | 200 | △50 | FVTPL損失 |
その他/調整・消去 | 100 | 100 | 0 | |
連結合計 | 5,900 | 6,000 | △100 |
② 2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
価格・為替変動による2019年3月期 当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額 (2018年5月公表) | 従来予想 (2018年10月公表) | 2019年3月期 | 業績予想 (3Q累計・4Q平均値) (今回公表) | |||||
3Q累計 (実績) | 4Q予想 (前提) | |||||||
市 況 商 品 | 原油/JCC | - | 71 | → | 74 | 66 | → | 72 |
連結油価(*1) | 29億円(US$1/バレル) | 70 | 70 | 73 | 70 | |||
米国ガス(*2) | 5億円(US$0.1/mmBtu) | 2.88 | 2.85(*3) | 3.74(*4) | 3.07 | |||
鉄鉱石 | 23億円(US$1/トン) | (*5) | 68(*6) | (*5) | (*5) | |||
銅 | 10億円(US$100/トン) | 6,708 | 6,645(*7) | 6,168 | 6,525 | |||
為 替 (*8) | 米ドル | 26億円(\1/米ドル) | 110.35 | 111.33 | 110.00 | 111.00 | ||
豪ドル | 17億円(\1/豪ドル) | 80.90 | 81.36 | 80.00 | 81.02 | |||
伯レアル | 7億円(\1/伯レアル) | 29.51 | 29.20 | 30.00 | 29.40 |
(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計しています。2019年3月期には51%が4~6ヵ月遅れで、40%が1~3ヵ月遅れで、9%が遅れ無しで反映されると想定されます。
(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスは必ずしもHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対する感応度ではなく、加重平均ガス販売価格に対する感応度。
(*3) 米国ガスの2019年3月期3Q累計実績欄には、2018年1月~9月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*4) HH連動の販売価格は、HH価格US$3.74/mmBtuを前提として使用しています。
(*5) 鉄鉱石の前提価格は非開示。
(*6) 鉄鉱石の2019年3月期3Q累計実績欄には2018年4月~12月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。
(*7) 銅の2019年3月期3Q累計実績欄には、2018年1月~9月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。
(*8) 各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する感応度。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。金属資源・エネルギー生産事業における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
③ 利益配分に関する基本方針
当社は利益配分に関する基本方針について、独立の社外役員が出席した取締役会における討議を経て、以下のとおり決定しています:
・企業価値向上・株主価値極大化を図るべく、内部留保を通じて重点分野・成長分野での資金需要に対応する一方で、業績の一部について配当を通じて株主に直接還元していくことを基本方針とする
・上記に加え、資本効率向上等を目的とする自己株式取得につき、引続き取締役会が投資需要の将来動向、フリーキャッシュ・フロー水準、有利子負債及び株主資本利益率等、経営を取り巻く諸環境を勘案し、その金額、時期も含め都度機動的に決定することが企業価値向上に資すると判断する
中期経営計画では、環境変化にかかわらず一定の配当を担保するべく、安定的に創出可能と判断した基礎営業キャッシュ・フローの水準に基づき、総額1,000億円を年間配当額の下限と設定しました。業績の向上を通じた配当金額の継続的増加を目指すことを軸にしながら、事業展開に要する内部留保を充分に確保できた場合には柔軟な株主還元を図ることも検討します。
2019年3月期の年間配当金額に関しては、連結業績予想における基礎営業キャッシュ・フロー及び当期利益(親会社の所有者に帰属)並びに配当金額の安定性・継続性を総合的に勘案し、1株当たり80円(前期比10円増、中間配当40円含む)とすることを予定しています。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。