四半期報告書-第101期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/09 16:23
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以下の分析には、当社及び連結子会社の将来に関する記述が含まれています。こうした将来に関する記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた現時点における仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスク、不確実性並びにその他の要素を内包するものです。かかるリスク、不確実性及びその他の要素によって、当社の実際の連結財政状態、連結経営成績及び連結キャッシュ・フローが、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
特に断りのない限り、将来に関する記述は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営環境
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、米国の景気拡大テンポが緩やかになり、中国も一段と減速したことから、成長の鈍化が続きました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費は底堅く推移するものの、減税効果が徐々に剥落すると見込まれるため、景気拡大のペースが落ちていくと予想されます。また、欧州では、輸出は回復基調にあるものの、英国のEU離脱の行方など不透明要因を抱え、成長鈍化が継続すると思われます。日本では、引き続き輸出が弱い動きとなっており、景気の停滞が懸念されます。新興国については、中国では政策による一定の下支えはあるものの、米中貿易摩擦の影響もあり景気減速が続くと予想されます。また、ブラジルやロシアでは個人消費や設備投資が頭打ちとなりつつあり、成長の鈍化が見込まれます。
世界経済は、全体として停滞感が強まっており、米中通商協議の行方や主要国の政策動向など、今後の情勢には引き続き注意が必要です。
(2)経営成績の分析
① 連結損益計算書
(単位:億円)当期前年同期増減
収益16,33115,562+769
売上総利益2,0922,184△92
販売費及び一般管理費△1,412△1,377△35
その他の
収益・費用
有価証券損益6313+50
固定資産評価損益△17△10△7
固定資産処分損益1469△55
雑損益78△28+106
マルチグレイン事業関連引当金取崩額-111△111
金融
収益・費用
受取利息112102+10
受取配当金248211+37
支払利息△238△190△48
持分法による投資損益785584+201
法人所得税△375△410+35
四半期利益1,3491,260+89
四半期利益(親会社の所有者に帰属)1,2501,184+66

(*)四捨五入差異により縦計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
・収益は1兆6,331億円となり前年同期の1兆5,562億円から769億円の増加となりました。
売上総利益
・主に次世代・機能推進セグメント及びエネルギーセグメントで減益となった一方、金属資源セグメントで増益となりました。
その他の収益・費用
固定資産処分損益:
・前年同期は、鉄鋼製品セグメントで固定資産売却益を計上しました。
雑損益:
・当期は、次世代・機能推進セグメントにおいて、保有株式のプットオプションに関わるデリバティブ評価益を計上しました。
マルチグレイン事業関連引当金取崩額:
・前年同期は、生活産業セグメントにおいて、事業撤退に伴う引当金の取崩しに係る利益を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金:
・主に、エネルギーセグメントで増加しました。
持分法による投資損益
・主に、エネルギーセグメントで増益となりました。
法人所得税
・法人所得税は375億円の負担となり、前年同期の410億円の負担から35億円の負担減となりました。当期の実効税率は21.8%となり、前年同期の24.6%から、2.8ポイント減少しました。主に持分法取込益に対する法人所得税の負担割合が減少しました。
四半期利益(親会社の所有者に帰属)
・上記の結果、前年同期から66億円増益の1,250億円となりました。
② オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
なお、当期より生活産業セグメントの不動産関連事業を次世代・機能推進セグメントに、また、素材事業を化学品セグメントに移管しております。この変更に伴い、前年同期のオペレーティング・セグメント情報を修正再表示しております。
鉄鋼製品
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)1568△53
売上総利益6468△4
持分法による投資損益2972△43
受取配当金10100
販売費及び一般管理費△67△72+5
その他△21△10△11

・その他として、以下要因がありました。
- 前年同期において、関係会社の土地売却に伴う一過性利益59億円を計上
金属資源
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)490397+93
売上総利益618458+160
持分法による投資損益163140+23
受取配当金226+16
販売費及び一般管理費△81△84+3
その他△232△123△109

・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石販売価格の上昇を主因に172億円の増益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において、豪州鉄鉱石事業の売上総利益の増益による法人税負担増を主因に101億円の減益
機械・インフラ
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)168154+14
売上総利益300318△18
持分法による投資損益257187+70
受取配当金1720△3
販売費及び一般管理費△319△309△10
その他△87△62△25

化学品
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)4199△58
売上総利益318374△56
持分法による投資損益3543△8
受取配当金1411+3
販売費及び一般管理費△258△263+5
その他△68△66△2

エネルギー
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)409171+238
売上総利益344353△9
持分法による投資損益22371+152
受取配当金129111+18
販売費及び一般管理費△107△117+10
その他△180△247+67

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- Mitsui E&P Australiaは、生産量減少を主因に54億円減益
- Mitsui & Co. Energy Trading Singaporeは、LNG・石油トレーディングの好調を主因に50億円増益
・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
- Mitsui E&P Mozambique Area 1は、最終投資決断に伴う繰延税金資産の計上を主因に120億円増益
・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は124億円となり、前年同期から17億円の増加となりました。
生活産業
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)76177△101
売上総利益366352+14
持分法による投資損益4558△13
受取配当金2319+4
販売費及び一般管理費△364△327△37
その他675△69

・その他として、以下要因がありました。
- 前年同期において、Multigrain Tradingで、事業撤退に伴う引当金の取崩しに係る利益116億円を計上
次世代・機能推進
(単位:億円)当期前年同期増減
四半期利益(親会社の所有者に帰属)21105△84
売上総利益84259△175
持分法による投資損益3518+17
受取配当金2526△1
販売費及び一般管理費△165△159△6
その他42△39+81

・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 前年同期において、中国の医薬品開発会社Hutchison China MediTech株式の公正価値評価益22億円を計上した一方、当期において公正価値評価損46億円を計上
- 前年同期においてメルカリ株式の公正価値評価益と売却益を計上したことを主因に67億円の減益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において保有株式のプットオプションに関わるデリバティブ評価益39億円を計上
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 資産及び負債並びに資本
(単位:億円)2019年6月末2019年3月末増減
総資産122,094119,458+2,636
流動資産40,23839,963+275
非流動資産81,85679,495+2,361
流動負債27,89127,403+488
非流動負債49,21446,752+2,462
ネット有利子負債(*)36,20835,920+288
親会社の所有者に帰属する持分合計42,33942,632△293
ネットDER(*)0.86倍0.84倍+0.02

(*)当社は「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社は「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して算出しています。
・短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。当期より有利子負債は長短債務からリース負債を除外して計算。これに伴い、2019年3月末数値も修正再表示。
・有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
資産
流動資産:
・現金及び現金同等物は316億円増加しました。
・営業債権及びその他の債権は、エネルギーセグメントにおける取扱数量減少、化学品セグメントにおける価格下落を主因に、665億円減少しました。
・棚卸資産は次世代・機能推進セグメント、機械・インフラセグメントにおける取扱数量増加を主因に、365億円増加しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は154億円減少しました。
- 為替変動の影響により718億円減少
- Mitsui E&P Mozambique Area 1の持分法適用会社への会社区分修正により、365億円増加
- ベトナム海老生産加工事業会社Minh Phuへの出資により、169億円増加
- 当期における持分法による投資損益の見合いで785億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により665億円減少
・その他の投資は12億円減少しました。
- 為替変動の影響により142億円減少
- FVTOCIの金融資産の公正価値評価が230億円増加
・有形固定資産は1,846億円の増加となりました。
- IFRS第16号「リース」の適用に伴い、2,576億円増加
- Mitsui E&P Mozambique Area 1の持分法適用会社への会社区分修正により、385億円減少
・無形資産は、ブラジル鉄道事業再編により726億円増加したことを主因に、694億円の増加となりました。
負債
流動負債:
・短期債務は1,271億円増加しました。一方、一年以内に返済予定の長期債務は短期化による増加があったものの、借入金の返済による減少を主因に491億円減少しました。
・営業債権及びその他の債権の減少に対応し、営業債務及びその他の債務は613億円減少しました。
非流動負債:
・長期債務(一年以内返済予定分を除く)は、IFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債が増加したことを主因に、2,491億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・利益剰余金は、510億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は、958億円の減少となりました。
- FVTOCIの金融資産が164億円増加
- 対米ドルおよび対豪ドルでの円高を主因に、外貨換算調整勘定が957億円減少
② キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)当期前年同期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー1,2791,346△67
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,105△1,006△99
フリーキャッシュ・フロー174340△166
財務活動によるキャッシュ・フロー221△1,050+1,271
現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等△7950△129
現金及び現金同等物の増減316△661+977

営業活動によるキャッシュ・フロー
(単位:億円)当期前年同期増減
営業活動によるキャッシュ・フローa1,2791,346△67
営業活動に係る資産・負債の増減b△280△199△81
基礎営業キャッシュ・フローa-b1,5591,545+14

・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは280億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、1,559億円となりました。
- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は757億円となり、前年同期の751億円から6億円増加
- 減価償却費及び無形資産等償却費は605億円となり、前年同期の436億円から169億円増加
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円)当期前年同期増減
鉄鋼製品36△3
金属資源579483+96
機械・インフラ201212△11
化学品72159△87
エネルギー618529+89
生活産業11685+31
次世代・機能推進△11132△143
その他/調整・消去△19△61+42
連結合計1,5591,545+14

投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、234億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- ベトナム海老生産加工事業会社Minh Phuへの出資による169億円の資金支出
・その他の投資の取得及び売却・償還の純額は、63億円の資金支出となりました。
・貸付金の増加及び回収の純額は、104億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- 中東のIPP事業向け融資の実行による143億円の資金支出
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、608億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で185億円の資金支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
・短期債務の増減は1,315億円の資金獲得、長期債務の増加及び返済の純額は452億円の資金支出となりました。
・配当金支払いによる695億円の資金支出がありました。
(4)対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社及び連結子会社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当連結累計年度の連結業績予想は、第100期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の有価証券報告書において当期利益(親会社の所有者に帰属)を4,500億円、基礎営業キャッシュ・フローを6,400億円と記載しています。当第1四半期連結累計期間においては、連結業績予想の見直しを行っていません。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。