訂正四半期報告書-第100期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)
以下の分析には、当社及び連結子会社の将来に関する記述が含まれています。こうした将来に関する記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた現時点における仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスク、不確実性並びにその他の要素を内包するものです。かかるリスク、不確実性及びその他の要素によって、当社の実際の連結財政状態、連結経営成績及び連結キャッシュ・フローが、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
特に断りのない限り、将来に関する記述は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営環境
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、先進国を中心に堅調に推移しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費が底堅く、また税制改革による設備投資の押し上げ効果もあり、当面は景気回復が続くとみられます。一方、欧州では、企業の景況感が頭打ちとなり、今後も緩やかな成長鈍化が予想されます。日本は、今夏に相次いだ災害の影響が出ていますが、雇用環境の改善が個人消費を下支えするほか、オリンピック・パラリンピック関連投資や省力化を中心とした設備投資の増加により、徐々に回復軌道に戻っていくと見込まれます。新興国については、中国では政策による景気下支えが期待される一方で、過剰な設備や債務の調整に加えて米中貿易摩擦の影響もあり、景気に停滞感が出てくることが懸念されます。ブラジルではトラック運転手のストライキの影響が一巡し景気が持ち直しつつあり、またロシアでも輸出の回復によって景気は下げ止まっています。
世界経済は、今後も緩やかな回復基調を辿るとみられますが、一部に成熟感が見られる欧米経済の先行きやFRBの金融引締めによる新興国経済への影響、更には米国の通商政策を受けた貿易摩擦の拡大などに注意が必要です。
(2) 経営成績の分析
① 連結損益計算書
(*)四捨五入差異により縦計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
・新基準の適用開始による8,665億円の増加を主因に、8,193億円増加し、3兆2,133億円となりました。
売上総利益
・主にエネルギーセグメント及び次世代・機能推進セグメントで増益となりました。一方、金属資源セグメント及び鉄鋼製品セグメントで減益となりました。
その他の収益・費用
有価証券損益
・前年同期は、主に金属資源セグメントで有価証券利益を計上しました。
固定資産評価損益
・前年同期は、主に生活産業セグメントで固定資産評価損を計上しました。
固定資産処分損益
・当期は、主に鉄鋼製品セグメントで固定資産売却益を計上しました。前年同期は、主に生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで固定資産売却益を計上しました。
マルチグレイン事業関連引当金
・生活産業セグメントで、前年同期において、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額を計上した一方、当期において、当該引当金の一部取崩しに係る利益を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金
・主に、金属資源セグメント及びエネルギーセグメントで増加しました。
持分法による投資損益
・主に、機械・インフラセグメント及び金属資源セグメントで減益となった一方、エネルギーセグメント及び鉄鋼製品セグメントで増益となりました。
法人所得税
・前年同期に、持分法適用会社の未処理損失等及びMultigrain Tradingに係る繰延税金資産の取崩しにより一部相殺されたものの、Valeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩しにより、法人所得税負担の減少があった反動で、当期の法人所得税負担は増加しました。
・当期の実効税率は25.5%となり、上述の繰延税金取崩しの反動を主因に、前年同期の20.3%から、5.2ポイント増加しました。
四半期利益(親会社の所有者に帰属)
・上記の結果、前年同期から154億円減益の2,229億円となりました。
② オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
鉄鋼製品
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 三井物産スチールは、日鉄住金物産へ事業譲渡したことを主因に、36億円の減益
- 前期のChampions Cinco Pipe & Supply売却及び前年同期の大型パイプライン案件受注の反動を主因に減益
・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
- 当期において、日鉄住金物産が持分法適用会社となったことに伴い、持分法による投資損益を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において、関係会社の土地売却に伴う一過性利益59億円を計上
金属資源
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石販売価格の下落及びジョイント・ベンチャー間における保有鉱区の変更を主因に179億円の減益
- 豪州石炭事業は、採掘計画変更に伴う操業費の上昇を主因に83億円の減益
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- Valeparは、2018年3月期第2四半期にValeへ吸収合併され、持分法適用会社から異動したことにより、94億円の減益
-カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileは、前期に当社連結決算にて減損を認識したことに伴い31億円の改善
・Valeからの受取配当金は126億円となり、前年同期から126億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、ValeparのValeへの吸収合併に伴い、有価証券利益563億円及びValeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益352億円を計上
機械・インフラ
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- IPP(独立系発電)事業は155億円の減益
◇ 前年同期において、英国発電所の売却益189億円を計上
◇ 前年同期において、尼国発電事業のリファイナンスに伴う利益39億円を計上
◇ 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持分法適用会社で繰延税金資産を計上
◇ 電力デリバティブ契約などに係る時価評価損益は1億円の損失となり、前年同期の17億円の損失から、16億円の改善
・上記のほか、以下の要因がありました。
- 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持株会社で繰延税金資産を計上
- 前年同期において、尼国発電事業の融資子会社でリファイナンスに伴う損失41億円を計上
化学品
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- MMTXはメタノール価格の上昇を主因に45億円の増益
エネルギー
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 三井石油開発は、原油ガス価格の上昇やコスト減少を主因に171億円増益
- Mitsui & Co. Energy Trading Singaporeは、石油トレーディングの好調を主因に38億円増益
・Japan Australia LNG (MIMI)の原油ガス価格上昇による増益を主因に、持分法損益が増益
・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は225億円となり、前年同期から56億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において、三井石油開発などで20億円の探鉱費用を計上した一方、前年同期は三井石油開発などで39億円の探鉱費用を計上
生活産業
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- Multigrain Tradingは、前年同期不調の反動を主因に34億円増益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Multigrain Tradingの事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額337億円を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益116億円を計上
- 前年同期において、Multigrain Tradingにて繰延税金資産取崩を主因とする税金費用86億円を計上
- 前年同期において、XINGU AGRIにて土地評価額下落により、固定資産評価損58億円を計上
- 前年同期において、三井物産都市開発にて国内ビルの売却益を計上
次世代・機能推進
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 前年同期において、新興国での携帯通信事業会社株式の公正価値評価損65億円を計上
- 当期において、メルカリ株式の公正価値評価益及び売却益を41億円計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、国内倉庫売却に伴い、固定資産売却益を計上
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 資産及び負債並びに資本
(*)当社では「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社では「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して算出しています。
・短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。
・有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
資産
流動資産:
・現金及び現金同等物は1,353億円減少しました。
・棚卸資産は機械・インフラ、次世代・機能推進、化学品セグメントにおける取扱数量増加を主因に、767億円増加しました。
・前受金との純額表示を主因に、前渡金は418億円減少しました。
・売却目的保有資産は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する資産を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、1,089億円減少しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は2,199億円増加しました。
- 為替変動の影響により471億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得、及びこれに伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により、380億円増加
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資により219億円増加
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資により増加
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資により増加
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資により101億円増加
- 当期における持分法による投資損益の見合いで1,248億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により1,097億円減少
・その他の投資は1,814億円増加しました。
- 株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が1,744億円増加
- 為替変動の影響により306億円増加
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得により118億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得に伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により299億円減少
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却により120億円減少
・営業債権及びその他の債権(非流動)は、モロッコのIPP事業向け貸付金の実行で167億円増加したことを主因に、510億円の増加となりました。
・有形固定資産は1,973億円の増加となりました。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で979億円増加(豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化による572億円の増加、為替変動の影響による197億円の増加を含む)
- 米国の不動産事業で428億円増加(為替変動の影響による19億円の増加を含む)
- 米国のタンクターミナル事業で118億円増加(為替変動の影響による60億円の増加を含む)
・投資不動産は、三井物産都市開発において新橋田村町地区市街地再開発事業で108億円増加したことを主因に、160億円の増加となりました。
負債
流動負債:
・短期債務は329億円増加しました。また、一年以内に返済予定の長期債務は借入金の返済による減少があったものの、短期化による増加を主因に320億円増加しました。
・前渡金との純額表示に対応し、前受金は456億円減少しました。
・売却目的保有資産に直接関連する負債は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する負債を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、403億円減少しました。
非流動負債:
・長期債務(一年以内返済予定分を除く)は890億円増加しました。
・引当金(非流動)は、167億円増加しました。
- IPP事業において、投資形態変更に伴う連結会計処理変更による勘定科目振替により136億円増加
- 豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化により増加
- マルチグレイン事業関連引当金取崩により減少
・株価上昇に伴うFVTOCIの金融資産の増加を主因に、繰延税金負債が774億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・利益剰余金は、646億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は1,434億円増加しました。
- 株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産が1,072億円増加
- 伯レアル安の進行の一方、対円での米ドル高を主因に、外貨換算調整勘定が244億円増加
・自己株式の消却を実施したことにより、株主資本の減算項目となる自己株式は967億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは1,547億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、3,164億円となりました。
- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は1,645億円となり、前年同期の1,346億円から299億円増加
- 減価償却費及び無形資産等償却費は878億円となり、前年同期の972億円から94億円減少
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、869億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資による219億円の資金支出
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資による資金支出
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資による資金支出
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資による101億円の資金支出
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却による115億円の資金回収
・その他の投資の取得及び売却・償還(子会社又はその他の事業の取得・売却を含む)の純額は、154億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。
- 日鉄住金物産への事業譲渡による644億円の資金回収
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却による120億円の資金回収
- 豪州の石油・ガス資源開発事業の買収による482億円の資金支出
- 米国の不動産事業の買収による287億円の資金支出
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得による118億円の資金支出
・貸付金の増加及び回収の純額は、236億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- モロッコのIPP事業向け貸付金の実行による167億円の資金支出
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,046億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で536億円の資金支出
- 豪州鉄鉱石事業で106億円の資金支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
・短期債務の増減は167億円の資金回収、長期債務の増加及び返済の純額は133億円の資金支出となりました。
・配当金支払いによる695億円の資金支出がありました。
(4)対処すべき課題
① 投融資(*)計画の進捗及び見通し
当期において、中核分野へ約2,500億円(含む成長分野との重複300億円)、成長分野(含む中核分野との重複300億円)へ約1,100億円、その他へ約400億円、合計約3,700億円の投融資を実行しました。一方、資産リサイクルとして、当期に約1,300億円を回収しました。
中期経営計画の重点施策の一つとして掲げたキャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤強化の実現に向け、投資規律の徹底を継続し、キャッシュ・フロー経営の基本方針に基づき、中期経営計画期間の株主還元後のフリーキャッシュ・フローの黒字化を達成していきます。
(*) 定期預金の増減および従来運転資本として認識していた一部のリース取引に係るキャッシュ・フローを除く
② 2019年3月期連結業績予想
[業績予想の前提条件] 上半期実績 下半期予想 年間予想 期首予想
期中平均米ドル為替レート 110.71 110 110.35 110
原油価格(JCC) 74ドル 69ドル 71ドル 59ドル
期ずれを考慮した当社 67ドル 72ドル 70ドル 61ドル
連結決算に反映される原油価格
為替レートは第2四半期連結累計期間(上半期)の110.71円/米ドル、81.79円/豪ドル及び29.02円/伯レアルに対し、下半期はそれぞれ110円/米ドル、80円/豪ドル及び30円/伯レアルを想定しています。また、下半期の原油価格(JCC)を69米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の通期業績予想に適用される原油価格の平均を70米ドル/バレル(期首予想比9米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
③ 2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
④ 利益配分に関する基本方針
当社は利益配分に関する基本方針について、独立の社外役員が出席した取締役会における討議を経て、以下の通り決定しています:
・企業価値向上・株主価値極大化を図るべく、内部留保を通じて重点分野・成長分野での資金需要に対応する一方で、業績の一部について配当を通じて株主に直接還元していくことを基本方針とする
・上記に加え、資本効率向上等を目的とする自己株式取得につき、引続き取締役会が投資需要の将来動向、フリーキャッシュ・フロー水準、有利子負債及び株主資本利益率等、経営を取り巻く諸環境を勘案し、その金額、時期も含め都度機動的に決定することが企業価値向上に資すると判断する
中期経営計画では、環境変化にかかわらず一定の配当を担保するべく、安定的に創出可能と判断した基礎営業キャッシュ・フローの水準に基づき、総額1,000億円を年間配当額の下限と設定しました。業績の向上を通じた配当金額の継続的増加を目指すことを軸にしながら、事業展開に要する内部留保を充分に確保できた場合には柔軟な株主還元を図ることも検討します。
連結業績予想における基礎営業キャッシュ・フロー及び当期利益(親会社の所有者に帰属)並びに配当金額の安定性・継続性を総合的に勘案し、2019年3月期の中間配当は、1株につき40円(前期比10円増)と決定し、年間配当金額に関しては、1株当たり80円(前期比10円増、中間配当40円含む)とすることを予定しています。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
特に断りのない限り、将来に関する記述は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営環境
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、先進国を中心に堅調に推移しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費が底堅く、また税制改革による設備投資の押し上げ効果もあり、当面は景気回復が続くとみられます。一方、欧州では、企業の景況感が頭打ちとなり、今後も緩やかな成長鈍化が予想されます。日本は、今夏に相次いだ災害の影響が出ていますが、雇用環境の改善が個人消費を下支えするほか、オリンピック・パラリンピック関連投資や省力化を中心とした設備投資の増加により、徐々に回復軌道に戻っていくと見込まれます。新興国については、中国では政策による景気下支えが期待される一方で、過剰な設備や債務の調整に加えて米中貿易摩擦の影響もあり、景気に停滞感が出てくることが懸念されます。ブラジルではトラック運転手のストライキの影響が一巡し景気が持ち直しつつあり、またロシアでも輸出の回復によって景気は下げ止まっています。
世界経済は、今後も緩やかな回復基調を辿るとみられますが、一部に成熟感が見られる欧米経済の先行きやFRBの金融引締めによる新興国経済への影響、更には米国の通商政策を受けた貿易摩擦の拡大などに注意が必要です。
(2) 経営成績の分析
① 連結損益計算書
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
収益 | 32,133 | 23,940 | +8,193 | |
売上総利益 | 4,237 | 4,039 | +198 | |
販売費及び一般管理費 | △2,744 | △2,716 | △28 | |
その他の 収益・費用 | 有価証券損益 | 12 | 590 | △578 |
固定資産評価損益 | △14 | △87 | +73 | |
固定資産処分損益 | 53 | 119 | △66 | |
雑損益 | △53 | 83 | △136 | |
マルチグレイン事業関連引当金 | 111 | △315 | +426 | |
金融 収益・費用 | 受取利息 | 217 | 150 | +67 |
受取配当金 | 491 | 319 | +172 | |
支払利息 | △396 | △334 | △62 | |
持分法による投資損益 | 1,247 | 1,272 | △25 | |
法人所得税 | △805 | △633 | △172 | |
四半期利益 | 2,356 | 2,487 | △131 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 2,229 | 2,383 | △154 |
(*)四捨五入差異により縦計が合わないことがあります(以下同様)。
収益
・新基準の適用開始による8,665億円の増加を主因に、8,193億円増加し、3兆2,133億円となりました。
売上総利益
・主にエネルギーセグメント及び次世代・機能推進セグメントで増益となりました。一方、金属資源セグメント及び鉄鋼製品セグメントで減益となりました。
その他の収益・費用
有価証券損益
・前年同期は、主に金属資源セグメントで有価証券利益を計上しました。
固定資産評価損益
・前年同期は、主に生活産業セグメントで固定資産評価損を計上しました。
固定資産処分損益
・当期は、主に鉄鋼製品セグメントで固定資産売却益を計上しました。前年同期は、主に生活産業セグメント及び次世代・機能推進セグメントで固定資産売却益を計上しました。
マルチグレイン事業関連引当金
・生活産業セグメントで、前年同期において、事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額を計上した一方、当期において、当該引当金の一部取崩しに係る利益を計上しました。
金融収益・費用
受取配当金
・主に、金属資源セグメント及びエネルギーセグメントで増加しました。
持分法による投資損益
・主に、機械・インフラセグメント及び金属資源セグメントで減益となった一方、エネルギーセグメント及び鉄鋼製品セグメントで増益となりました。
法人所得税
・前年同期に、持分法適用会社の未処理損失等及びMultigrain Tradingに係る繰延税金資産の取崩しにより一部相殺されたものの、Valeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩しにより、法人所得税負担の減少があった反動で、当期の法人所得税負担は増加しました。
・当期の実効税率は25.5%となり、上述の繰延税金取崩しの反動を主因に、前年同期の20.3%から、5.2ポイント増加しました。
四半期利益(親会社の所有者に帰属)
・上記の結果、前年同期から154億円減益の2,229億円となりました。
② オペレーティング・セグメント情報
オペレーティング・セグメント別の経営成績に係る変動要因の分析は以下のとおりです。
鉄鋼製品
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 79 | 111 | △32 | |
売上総利益 | 138 | 248 | △110 | |
持分法による投資損益 | 115 | 75 | +40 | |
受取配当金 | 11 | 13 | △2 | |
販売費及び一般管理費 | △150 | △178 | +28 | |
その他 | △35 | △47 | +12 |
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 三井物産スチールは、日鉄住金物産へ事業譲渡したことを主因に、36億円の減益
- 前期のChampions Cinco Pipe & Supply売却及び前年同期の大型パイプライン案件受注の反動を主因に減益
・持分法による投資損益の増益の主因は以下のとおりです。
- 当期において、日鉄住金物産が持分法適用会社となったことに伴い、持分法による投資損益を計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において、関係会社の土地売却に伴う一過性利益59億円を計上
金属資源
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 891 | 1,867 | △976 | |
売上総利益 | 906 | 1,157 | △251 | |
持分法による投資損益 | 297 | 342 | △45 | |
受取配当金 | 149 | 39 | +110 | |
販売費及び一般管理費 | △166 | △166 | 0 | |
その他 | △295 | 495 | △790 |
・売上総利益の減益の主因は以下のとおりです。
- 豪州鉄鉱石事業は、鉄鉱石販売価格の下落及びジョイント・ベンチャー間における保有鉱区の変更を主因に179億円の減益
- 豪州石炭事業は、採掘計画変更に伴う操業費の上昇を主因に83億円の減益
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- Valeparは、2018年3月期第2四半期にValeへ吸収合併され、持分法適用会社から異動したことにより、94億円の減益
-カセロネス銅鉱山を開発するMinera Lumina Copper Chileは、前期に当社連結決算にて減損を認識したことに伴い31億円の改善
・Valeからの受取配当金は126億円となり、前年同期から126億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、ValeparのValeへの吸収合併に伴い、有価証券利益563億円及びValeparの未処分利益に係る繰延税金負債の取崩益352億円を計上
機械・インフラ
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 371 | 470 | △99 | |
売上総利益 | 626 | 603 | +23 | |
持分法による投資損益 | 436 | 561 | △125 | |
受取配当金 | 30 | 22 | +8 | |
販売費及び一般管理費 | △626 | △607 | △19 | |
その他 | △95 | △109 | +14 |
・持分法による投資損益の減益の主因は以下のとおりです。
- IPP(独立系発電)事業は155億円の減益
◇ 前年同期において、英国発電所の売却益189億円を計上
◇ 前年同期において、尼国発電事業のリファイナンスに伴う利益39億円を計上
◇ 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持分法適用会社で繰延税金資産を計上
◇ 電力デリバティブ契約などに係る時価評価損益は1億円の損失となり、前年同期の17億円の損失から、16億円の改善
・上記のほか、以下の要因がありました。
- 当期において、IPP事業の投資形態変更に伴い、持株会社で繰延税金資産を計上
- 前年同期において、尼国発電事業の融資子会社でリファイナンスに伴う損失41億円を計上
化学品
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 164 | 129 | +35 | |
売上総利益 | 720 | 683 | +37 | |
持分法による投資損益 | 75 | 44 | +31 | |
受取配当金 | 17 | 12 | +5 | |
販売費及び一般管理費 | △502 | △487 | △15 | |
その他 | △146 | △123 | △23 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- MMTXはメタノール価格の上昇を主因に45億円の増益
エネルギー
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 366 | 231 | +135 | |
売上総利益 | 711 | 453 | +258 | |
持分法による投資損益 | 160 | 92 | +68 | |
受取配当金 | 230 | 177 | +53 | |
販売費及び一般管理費 | △238 | △216 | △22 | |
その他 | △497 | △275 | △222 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 三井石油開発は、原油ガス価格の上昇やコスト減少を主因に171億円増益
- Mitsui & Co. Energy Trading Singaporeは、石油トレーディングの好調を主因に38億円増益
・Japan Australia LNG (MIMI)の原油ガス価格上昇による増益を主因に、持分法損益が増益
・LNGプロジェクト6案件(サハリンⅡ、カタールガス1、アブダビ、オマーン、カタールガス3及び赤道ギニア)からの受取配当金は225億円となり、前年同期から56億円の増加
・上記のほか、以下要因がありました。
- 当期において、三井石油開発などで20億円の探鉱費用を計上した一方、前年同期は三井石油開発などで39億円の探鉱費用を計上
生活産業
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(損失)(親会社の所有者に帰属) | 195 | △369 | +564 | |
売上総利益 | 763 | 685 | +78 | |
持分法による投資損益 | 130 | 119 | +11 | |
受取配当金 | 22 | 25 | △3 | |
販売費及び一般管理費 | △748 | △756 | +8 | |
その他 | 28 | △442 | +470 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- Multigrain Tradingは、前年同期不調の反動を主因に34億円増益
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、Multigrain Tradingの事業環境の悪化に伴う損失に対する引当金繰入額337億円を計上した一方、当期において当該引当金の取崩しに係る利益116億円を計上
- 前年同期において、Multigrain Tradingにて繰延税金資産取崩を主因とする税金費用86億円を計上
- 前年同期において、XINGU AGRIにて土地評価額下落により、固定資産評価損58億円を計上
- 前年同期において、三井物産都市開発にて国内ビルの売却益を計上
次世代・機能推進
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
四半期利益(親会社の所有者に帰属) | 99 | 16 | +83 | |
売上総利益 | 364 | 198 | +166 | |
持分法による投資損益 | 46 | 41 | +5 | |
受取配当金 | 25 | 24 | +1 | |
販売費及び一般管理費 | △262 | △260 | △2 | |
その他 | △74 | 13 | △87 |
・売上総利益の増益の主因は以下のとおりです。
- 前年同期において、新興国での携帯通信事業会社株式の公正価値評価損65億円を計上
- 当期において、メルカリ株式の公正価値評価益及び売却益を41億円計上
・上記のほか、以下要因がありました。
- 前年同期において、国内倉庫売却に伴い、固定資産売却益を計上
(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
① 資産及び負債並びに資本
(単位:億円) | 2018年9月末 | 2018年3月末 | 増減 | |
総資産 | 118,474 | 113,067 | +5,407 | |
流動資産 | 41,023 | 42,262 | △1,239 | |
非流動資産 | 77,451 | 70,805 | +6,646 | |
流動負債 | 27,395 | 26,988 | +407 | |
非流動負債 | 45,652 | 43,898 | +1,754 | |
ネット有利子負債 | 33,723 | 30,892 | +2,831 | |
親会社の所有者に帰属する持分合計 | 42,801 | 39,747 | +3,054 | |
ネットDER(*) | 0.79倍 | 0.78倍 | 0.01 |
(*)当社では「ネット有利子負債」を株主資本(親会社の所有者に帰属する持分合計)で除した比率を「ネットDER」と呼んでいます。当社では「ネット有利子負債」を以下のとおり定義して算出しています。
・短期債務及び長期債務の合計により有利子負債を算出。
・有利子負債から現金及び現金同等物、定期預金(3ヵ月超1年以内)を控除した金額を「ネット有利子負債」とする。
資産
流動資産:
・現金及び現金同等物は1,353億円減少しました。
・棚卸資産は機械・インフラ、次世代・機能推進、化学品セグメントにおける取扱数量増加を主因に、767億円増加しました。
・前受金との純額表示を主因に、前渡金は418億円減少しました。
・売却目的保有資産は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する資産を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、1,089億円減少しました。
非流動資産:
・持分法適用会社に対する投資は2,199億円増加しました。
- 為替変動の影響により471億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得、及びこれに伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により、380億円増加
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資により219億円増加
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資により増加
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資により増加
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資により101億円増加
- 当期における持分法による投資損益の見合いで1,248億円増加した一方、持分法適用会社からの受取配当金受領により1,097億円減少
・その他の投資は1,814億円増加しました。
- 株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産の公正価値評価が1,744億円増加
- 為替変動の影響により306億円増加
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得により118億円増加
- 日鉄住金物産の持分追加取得に伴う持分法適用会社に対する投資への区分変更により299億円減少
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却により120億円減少
・営業債権及びその他の債権(非流動)は、モロッコのIPP事業向け貸付金の実行で167億円増加したことを主因に、510億円の増加となりました。
・有形固定資産は1,973億円の増加となりました。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業で979億円増加(豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化による572億円の増加、為替変動の影響による197億円の増加を含む)
- 米国の不動産事業で428億円増加(為替変動の影響による19億円の増加を含む)
- 米国のタンクターミナル事業で118億円増加(為替変動の影響による60億円の増加を含む)
・投資不動産は、三井物産都市開発において新橋田村町地区市街地再開発事業で108億円増加したことを主因に、160億円の増加となりました。
負債
流動負債:
・短期債務は329億円増加しました。また、一年以内に返済予定の長期債務は借入金の返済による減少があったものの、短期化による増加を主因に320億円増加しました。
・前渡金との純額表示に対応し、前受金は456億円減少しました。
・売却目的保有資産に直接関連する負債は、2018年3月末に当社及び三井物産スチールが日鉄住金物産へ譲渡する負債を区分表示しましたが、当期に事業譲渡完了したことにより、403億円減少しました。
非流動負債:
・長期債務(一年以内返済予定分を除く)は890億円増加しました。
・引当金(非流動)は、167億円増加しました。
- IPP事業において、投資形態変更に伴う連結会計処理変更による勘定科目振替により136億円増加
- 豪州石油ガス資源開発会社AWEの連結化により増加
- マルチグレイン事業関連引当金取崩により減少
・株価上昇に伴うFVTOCIの金融資産の増加を主因に、繰延税金負債が774億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分合計
・利益剰余金は、646億円の増加となりました。
・その他の資本の構成要素は1,434億円増加しました。
- 株価上昇を主因に、FVTOCIの金融資産が1,072億円増加
- 伯レアル安の進行の一方、対円での米ドル高を主因に、外貨換算調整勘定が244億円増加
・自己株式の消却を実施したことにより、株主資本の減算項目となる自己株式は967億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,617 | 1,615 | +2 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △2,480 | △1,048 | △1,432 |
フリーキャッシュ・フロー | △863 | 567 | △1,430 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △672 | △4,127 | +3,455 |
現金及び現金同等物の為替相場変動の影響額等 | 182 | 123 | +59 |
現金及び現金同等物の増減 | △1,353 | △3,437 | +2,084 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | a | 1,617 | 1,615 | +2 |
営業活動に係る資産・負債の増減 | b | △1,547 | △1,431 | △116 |
基礎営業キャッシュ・フロー | a-b | 3,164 | 3,046 | +118 |
・営業活動に係る資産・負債(Working Capital)の増減によるキャッシュ・フローは1,547億円の資金支出となり、Working Capitalの増減によるキャッシュ・フローを除いた基礎営業キャッシュ・フローは、3,164億円となりました。
- 持分法適用会社からの配当金を含む配当金の受取額は1,645億円となり、前年同期の1,346億円から299億円増加
- 減価償却費及び無形資産等償却費は878億円となり、前年同期の972億円から94億円減少
基礎営業キャッシュ・フローのオペレーティング・セグメント別の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円) | 当期 | 前年同期 | 増減 |
鉄鋼製品 | △24 | 76 | △100 |
金属資源 | 946 | 1,130 | △184 |
機械・インフラ | 314 | 474 | △160 |
化学品 | 300 | 254 | +46 |
エネルギー | 1,080 | 814 | +266 |
生活産業 | 136 | 45 | +91 |
次世代・機能推進 | 105 | △64 | +169 |
その他/調整・消去 | 307 | 317 | △10 |
連結合計 | 3,164 | 3,046 | +118 |
投資活動によるキャッシュ・フロー
・持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収の純額は、869億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・回収は以下のとおりです。
- 東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資による219億円の資金支出
- 石油製品輸送船保有会社MAERSK PRODUCT TANKERSへの出資による資金支出
- チリ最大手の自動車オペレーティングリース・レンタカー事業の持株会社であるInversiones Mittaへの出資による資金支出
- カンボジアの携帯通信事業会社Smart Axiataの持株会社であるAxiata (Cambodia) Holdingsへの追加出資による101億円の資金支出
- アジア・オセアニア地域の医薬情報サービス事業会社MIMSグループの持株会社であるMedica Asia売却による115億円の資金回収
・その他の投資の取得及び売却・償還(子会社又はその他の事業の取得・売却を含む)の純額は、154億円の資金支出となりました。主な取得及び売却・償還は以下のとおりです。
- 日鉄住金物産への事業譲渡による644億円の資金回収
- ニュージーランドの乳製品製造・販売会社Synlait Milkの株式売却による120億円の資金回収
- 豪州の石油・ガス資源開発事業の買収による482億円の資金支出
- 米国の不動産事業の買収による287億円の資金支出
- 東南アジアにおける総合食品事業会社FKS Food & Agriの株式取得による118億円の資金支出
・貸付金の増加及び回収の純額は、236億円の資金支出となりました。主な支出は以下のとおりです。
- モロッコのIPP事業向け貸付金の実行による167億円の資金支出
・有形固定資産等の取得及び売却の純額は、1,046億円の資金支出となりました。主な支出及び回収は以下のとおりです。
- 米国シェールガス・オイル事業以外の石油・ガス生産事業合計で536億円の資金支出
- 豪州鉄鉱石事業で106億円の資金支出
財務活動によるキャッシュ・フロー
・短期債務の増減は167億円の資金回収、長期債務の増加及び返済の純額は133億円の資金支出となりました。
・配当金支払いによる695億円の資金支出がありました。
(4)対処すべき課題
① 投融資(*)計画の進捗及び見通し
当期において、中核分野へ約2,500億円(含む成長分野との重複300億円)、成長分野(含む中核分野との重複300億円)へ約1,100億円、その他へ約400億円、合計約3,700億円の投融資を実行しました。一方、資産リサイクルとして、当期に約1,300億円を回収しました。
中期経営計画の重点施策の一つとして掲げたキャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤強化の実現に向け、投資規律の徹底を継続し、キャッシュ・フロー経営の基本方針に基づき、中期経営計画期間の株主還元後のフリーキャッシュ・フローの黒字化を達成していきます。
(*) 定期預金の増減および従来運転資本として認識していた一部のリース取引に係るキャッシュ・フローを除く
② 2019年3月期連結業績予想
[業績予想の前提条件] 上半期実績 下半期予想 年間予想 期首予想
期中平均米ドル為替レート 110.71 110 110.35 110
原油価格(JCC) 74ドル 69ドル 71ドル 59ドル
期ずれを考慮した当社 67ドル 72ドル 70ドル 61ドル
連結決算に反映される原油価格
(単位:億円) | 2019年 3月期 業績予想 | 2019年 3月期 期首予想 | 増減 | 増減要因 |
売上総利益 | 8,500 | 8,300 | +200 | 原油ガス価格上昇 |
販売費及び一般管理費 | △5,600 | △5,600 | 0 | |
有価証券・固定資産関係損益等 | 100 | 0 | +100 | Multigrainの引当金取崩 |
利息収支 | △400 | △400 | 0 | |
受取配当金 | 1,100 | 1,000 | +100 | LNG配当増加 |
持分法による投資損益 | 2,600 | 2,600 | 0 | |
法人所得税前利益 | 6,300 | 5,900 | +400 | |
法人所得税 | △1,600 | △1,500 | △100 | |
非支配持分 | △200 | △200 | 0 | |
当期利益 (親会社の所有者に帰属) | 4,500 | 4,200 | +300 |
減価償却費・無形資産等償却費 | 1,800 | 2,000 | △200 | エネルギー関連償却費減少 |
基礎営業キャッシュ・フロー | 6,000 | 5,700 | +300 | 原油ガス価格上昇 |
為替レートは第2四半期連結累計期間(上半期)の110.71円/米ドル、81.79円/豪ドル及び29.02円/伯レアルに対し、下半期はそれぞれ110円/米ドル、80円/豪ドル及び30円/伯レアルを想定しています。また、下半期の原油価格(JCC)を69米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の通期業績予想に適用される原油価格の平均を70米ドル/バレル(期首予想比9米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
(単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 | 2019年3月期 期首予想 | 増減 | 増減要因 |
鉄鋼製品 | 150 | 150 | 0 | |
金属資源 | 1,750 | 1,750 | 0 | |
機械・インフラ | 750 | 850 | △100 | 鉄道・自動車関連事業下振れ |
化学品 | 400 | 400 | 0 | |
エネルギー | 900 | 650 | +250 | 原油ガス価格上昇、コスト減少 |
生活産業 | 350 | 250 | +100 | Multigrain引当金取崩 |
次世代・機能推進 | 200 | 150 | +50 | FVTPL利益増加 |
その他/調整・消去 | 0 | 0 | 0 | |
連結合計 | 4,500 | 4,200 | +300 |
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
(単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 | 2019年3月期 期首予想 | 増減 | 増減要因 |
鉄鋼製品 | 100 | 100 | 0 | |
金属資源 | 2,000 | 2,000 | 0 | |
機械・インフラ | 750 | 850 | △100 | インフラ関連事業一部遅延 |
化学品 | 600 | 550 | +50 | 関連会社配当増加 |
エネルギー | 2,000 | 1,800 | +200 | 原油ガス価格上昇 |
生活産業 | 250 | 150 | +100 | Multigrain撤退費用減少、Xingu好調 |
次世代・機能推進 | 200 | 150 | +50 | FVTPL利益増加 |
その他/調整・消去 | 100 | 100 | 0 | |
連結合計 | 6,000 | 5,700 | +300 |
③ 2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
価格・為替変動による2019年3月期 当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額 (2018年5月公表) | 期首予想 (2018年5月公表) | 2019年 3月期 上半期(実績) | 2019年 3月期 下半期(前提) | 業績予想 (上半期・下半期平均値) (2018年10月公表) | |||||||
市況商品 | 原油/JCC | - | 59 | 74 | 69 | 71 | |||||
連結油価(*1) | 29 | 億円(US$1/バレル) | 61 | 67 | 72 | 70 | |||||
米国ガス(*2) | 5 | 億円(US$0.1/mmBtu) | 3.00 | 2.84(*3) | 2.93(*4) | 2.88 | |||||
鉄鉱石 | 23 | 億円(US$1/トン) | (*5) | 66.0(*6) | (*5) | (*5) | |||||
銅 | 10 | 億円(US$100/トン) | 7,000 | 6,916(*7) | 6,500 | 6,708 | |||||
為替(*8) | 米ドル | 26 | 億円(\1/米ドル) | 110 | 110.71 | 110 | 110.35 | ||||
豪ドル | 17 | 億円(\1/豪ドル) | 85 | 81.79 | 80 | 80.90 | |||||
伯レアル | 7 | 億円(\1/伯レアル) | 33 | 29.02 | 30 | 29.51 | |||||
(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2019年3月期には51%が4~6ヵ月遅れで、40%が1~3ヵ月遅れで、9%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は連結油価に対する年間インパクト。 (*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対する感応度ではなく、加重平均ガス販売価格に対する感応度。 (*3) NYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの2018年1月~6月の直近限月終値のdaily平均値を記載。 (*4) HH連動の販売価格は、HH価格US$2.93/mmBtuを前提として使用している。 (*5) 鉄鉱石の前提価格は非開示。 (*6) 複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaの2018年4月~9月のdaily平均値(参考値)を記載。 (*7) LME cash settlement priceの2018年1月~6月のmonthly averageの平均値を記載。 (*8) 各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する感応度。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。金属資源・エネルギー生産事業における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。 |
④ 利益配分に関する基本方針
当社は利益配分に関する基本方針について、独立の社外役員が出席した取締役会における討議を経て、以下の通り決定しています:
・企業価値向上・株主価値極大化を図るべく、内部留保を通じて重点分野・成長分野での資金需要に対応する一方で、業績の一部について配当を通じて株主に直接還元していくことを基本方針とする
・上記に加え、資本効率向上等を目的とする自己株式取得につき、引続き取締役会が投資需要の将来動向、フリーキャッシュ・フロー水準、有利子負債及び株主資本利益率等、経営を取り巻く諸環境を勘案し、その金額、時期も含め都度機動的に決定することが企業価値向上に資すると判断する
中期経営計画では、環境変化にかかわらず一定の配当を担保するべく、安定的に創出可能と判断した基礎営業キャッシュ・フローの水準に基づき、総額1,000億円を年間配当額の下限と設定しました。業績の向上を通じた配当金額の継続的増加を目指すことを軸にしながら、事業展開に要する内部留保を充分に確保できた場合には柔軟な株主還元を図ることも検討します。
連結業績予想における基礎営業キャッシュ・フロー及び当期利益(親会社の所有者に帰属)並びに配当金額の安定性・継続性を総合的に勘案し、2019年3月期の中間配当は、1株につき40円(前期比10円増)と決定し、年間配当金額に関しては、1株当たり80円(前期比10円増、中間配当40円含む)とすることを予定しています。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。