有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
(財政状態及び経営成績の状況)
当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
資産の部につきましては、当連結会計年度中254,324億円増加して、当連結会計年度末残高は3,365,713億円となりました。主な内訳は、貸出金1,091,146億円、現金預け金783,356億円、有価証券655,551億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中258,384億円増加して、当連結会計年度末残高は3,197,156億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金1,954,110億円となっております。
損益の状況につきましては、経常収益は前連結会計年度比6,016億円増加して、72,990億円となりました。主な内訳は、資金運用収益が38,413億円、役務取引等収益が15,775億円となっております。また、経常費用は前連結会計年度比7,139億円増加して、60,633億円となりました。主な内訳は、資金調達費用が19,484億円、営業経費が27,939億円となっております。
この結果、経常利益は前連結会計年度比1,122億円減少して、12,357億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3,445億円減少して、5,281億円となりました。
(セグメント別の状況)
当連結会計年度における主な報告セグメントの営業純益は、法人・リテール事業本部で前連結会計年度比20億円減少して2,986億円、コーポレートバンキング事業本部で前連結会計年度比5億円減少して2,353億円、グローバルCIB事業本部で前連結会計年度比133億円減少して1,289億円、グローバルコマーシャルバンキング事業本部で前連結会計年度比257億円増加して2,327億円、受託財産事業本部で前連結会計年度比71億円減少して712億円、市場事業本部で前連結会計年度比867億円増加して3,430億円となりました。
なお、当連結会計年度において、事業本部間の粗利益・経費の配賦方法を変更しており、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の算定方法に基づいた数値で比較をしております。
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金(劣後特約付借入金を除く)の増加及び債券貸借取引受入担保金の増加などにより、前連結会計年度比24,515億円収入が増加して、80,608億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度比22,591億円支出が減少して、33,684億円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の発行による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度比2,326億円支出が減少して、2,516億円の支出となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比41,287億円増加して783,356億円となりました。
当連結会計年度末の連結自己資本比率(バーゼルⅢ:国際統一基準)は、普通株式等Tier1比率11.90%、Tier1比率13.56%、総自己資本比率15.87%となりました。
① 国内・海外別収支
国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は国内が28,062億円で前年度比1,165億円の増益、海外が18,924億円で前年度比1,437億円の増益となり、合計では39,863億円で前年度比2,605億円の増益となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2 「資金調達費用」は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
② 国内・海外別資金運用/調達の状況
(ⅰ)国内
国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の資金運用勘定平均残高は前年度比43,527億円増加して1,860,054億円となりました。利回りは0.07ポイント低下し1.11%となり、受取利息合計は20,780億円で前年度比834億円減少となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比17,706億円増加して2,022,726億円となりました。利回りは0.00ポイント上昇し0.41%となり、支払利息合計は8,365億円で前年度比247億円増加となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(ⅱ)海外
海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の海外の資金運用勘定平均残高は前年度比14,786億円増加して836,914億円となりました。利回りは0.09ポイント上昇し3.10%となり、受取利息合計は25,994億円で前年度比1,215億円増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比28,028億円増加して831,799億円となりました。利回りは0.06ポイント上昇し1.75%となり、支払利息合計は14,569億円で前年度比974億円増加となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(ⅲ)合計
(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
③ 国内・海外別役務取引の状況
国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が13,265億円で前年度比54億円の増収、役務取引等費用が3,028億円で前年度比86億円増加した結果、役務取引等収支では、前年度比32億円減少して10,236億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が6,530億円で前年度比743億円の増収、役務取引等費用が1,268億円で前年度比113億円増加した結果、役務取引等収支では、前年度比629億円増加して5,261億円となりました。
この結果、役務取引等収支合計では前年度比373億円増加して13,412億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務等を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
④ 国内・海外別特定取引の状況
(ⅰ)特定取引収益・費用の内訳
国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の特定取引は、特定取引収益が1,592億円で前年度比159億円の増収、特定取引費用が8億円で前年度比10億円減少した結果、特定取引収支では、前年度比169億円増加して1,583億円となりました。海外の特定取引は、特定取引収益が1,256億円で前年度比127億円の減収、特定取引費用が511億円で前年度比9億円増加した結果、特定取引収支では、前年度比137億円減少して745億円となりました。
この結果、特定取引収支合計では前年度比547億円減少して1,614億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(ⅱ)特定取引資産・負債の内訳(末残)
国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の国内の特定取引資産は、前年度比31,915億円増加して149,032億円、特定取引負債は、前年度比20,754億円増加して106,907億円となりました。海外の特定取引資産は、前年度比15,055億円増加して73,185億円、特定取引負債は、前年度比8,888億円増加して52,251億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
⑤ 国内・海外別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
4 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
⑥ 国内・海外別貸出金残高の状況
(ⅰ)業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
(ⅱ)特定海外債権等残高
(注) 特定海外債権等は、国内銀行連結子会社の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外連結子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。
⑦ 国内・海外別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
連結自己資本比率(国際統一基準)
(単位:億円、%)
(注) 当社のモルガン・スタンレーに対する出資の大半(2020年3月末基準:8,952億円)は、ダブルギアリングによる自己資本控除額を算出する際の対象資産から除外しています。この取り扱いは、金融庁長官の承認を受けたものであり、2013年3月31日から2023年3月30日の期間(ただし、2019年3月31日以降は対象金額が毎年20%ずつ逓減)に限る取り扱いです。
持株レバレッジ比率(国際統一基準)
(単位:%)
(生産、受注及び販売の実績)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社としての業務の性格上、該当する情報がないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、市場関連収益の増収に加え、インドネシアのバンクダナモンや豪州の資産運用会社First Sentier Investorsの連結子会社化による増収もあり、前連結会計年度比1,058億円増加して11,844億円となりました。当連結会計年度は本業の収益を表す連結業務純益の反転をめざして取組んできましたが、5年ぶりの増益を実現しました。
しかしながら、前連結会計年度に計上した貸倒引当金戻入益の剥落や新型コロナウイルス感染症の影響拡大を考慮した貸倒引当金の計上(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項 (6)貸倒引当金の計上基準(追加情報)」ご参照)等もあり与信関係費用総額が増加したことに加えて、海外連結子会社ののれん一括償却に伴う特別損失の計上もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は同3,445億円減少して5,281億円となりました。
当社グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。
当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。
(法人・リテール事業本部)
市況悪化に伴い資産運用ビジネスは苦戦しましたが、ウェルスマネジメントビジネス拡大によるグループ一体での事業・資産承継ビジネスに加え、コンシューマーファイナンスやクレジットカードを含む資金決済が堅調であったほか、コスト抑制も進めました。
個人のお客さま向けビジネスでは、お客さまとの接点の改革と生産性の向上に取組み、インターネットバンキングやスマートフォンアプリの機能改善によりサービス利用者数が大幅に増加しました。
中堅中小企業のお客さま向けビジネスでは、成長産業支援室を立上げ、新産業の育成をめざしてベンチャー企業への融資や上場支援を一層強化しました。
(コーポレートバンキング事業本部)
貸出利ざやの改善に加えて、大型起債案件の引受けやM&A助言などの証券関連収益が業績を牽引しました。
銀行と信託の営業本部を統合し、海外拠点と一体運営する体制に移行したことに加え、グループ内の調査・助言機能を結集したリサーチ&アドバイザリー・ユニットを立上げるなど、付加価値の高い情報とソリューションをワンストップで迅速に提供することを最優先に取組みました。また、銀行・信託・証券の協同で、気候変動リスクなどをテーマにした大企業CFO向けセミナーも継続的に開催しました。
(グローバルCIB事業本部)
モルガン・スタンレーとの協働により、米国にて過去最大級の買収ファイナンスの幹事行を務めるなど、資産回転型ビジネスの強化に向けた取組みを着実に加速させました。
また、外貨の預金と貸出のバランスや取引採算性の改善に向けた取組みを継続的に強化し、既存の低採算貸出の削減を加速させるとともに、新規の貸出についても厳格なスクリーニングを徹底しました。
加えて、2019年11月にドイツのDVBバンクからの航空機ファイナンス関連資産と従業員の承継を完了しました。
(グローバルコマーシャルバンキング事業本部)
MUFGユニオンバンクは、収益性の改善に向け、貸出ポートフォリオの見直しや経費構造改革による生産性の向上に取組みました。
アユタヤ銀行は、オートローンを中心とする個人向け貸出が順調に伸長し、過去最高益を実現しました。
バンクダナモンは、大企業から中堅中小・個人取引に至る幅広い分野でグループ協働を進め、ビジネスを拡大しました。バンクダナモンを連結子会社化したことで、ASEANを中心とした商業銀行のプラットフォームを完成しました。
また、2020年2月に資本業務提携したGrab社との協働を通じて、東南アジアでの次世代金融サービスの提供を進めてまいります。
(受託財産事業本部)
資産運用事業は、2019年8月に豪州を本拠とする資産運用会社の買収を完了し、グローバルブランド名をFirst Sentier Investorsに変更しました。また、顧客ニーズに沿った機動的な商品提供や高付加価値な情報提供により、国内法人向けの運用商品販売額が伸長し、運用商品残高が増加しました。
資産管理事業は、海外ではファンドに対する貸出などの、国内では事務代行などの複合サービスを展開してビジネスを着実に拡大しました。
年金事業は、確定給付年金では外部評価No.1を9年連続で獲得し、確定拠出年金では加入者数を伸ばしました。また、人事制度・退職給付制度の一体コンサルティングで新規顧客を増やし、年金にとどまらない、福利厚生の総合コンサルティングに注力しました。
(市場事業本部)
顧客向けビジネスでは、事業法人向け為替取引において、お客さまの利便性や価格競争力を更に高めるための電子化への投資を継続し、安定的な取引量確保と収益貢献に繋げました。また、海外の証券子会社を中心に業務戦略の見直しを実施するとともに、各拠点のセールス&トレーディング業務の機能整理による経費削減を進めました。
トレジャリー業務では、持続性ある健全な外貨ビジネスを支えるため、日本国債を用いた有担保調達の拡大等による調達手段や調達先の多様化に取組みました。また、市場変動が大きい局面においても、安定的な外貨資金繰り運営を行いました。
主要な財務指標の推移は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。
① 経営成績の分析
(ⅰ) 主な収支
連結業務粗利益は前連結会計年度比2,605億円増加して39,863億円となりました。
外貨預貸金収益が増加したものの、米国長短金利差縮小に伴う外貨ALM収益や国内預貸金収益が減少したことにより、資金運用収支は同298億円減少しました。一方、バンクダナモンやFirst Sentier Investorsの連結子会社化により、役務取引等収支は同373億円増加しました。また、特定取引収支は同547億円減少しましたが、国債等債券関係損益の増加によりその他業務収支は同3,023億円増加しました。
営業経費(臨時費用控除後)は同1,547億円増加して28,018億円となり、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は同1,058億円増加して11,844億円となりました。
(ⅱ) 与信関係費用総額
与信関係費用総額は、前連結会計年度に計上した貸倒引当金戻入益の剥落に加えて新型コロナウイルス感染症の影響拡大を考慮した貸倒引当金の計上等もあり、前連結会計年度比2,171億円増加し、2,229億円の費用計上となりました。
(ⅲ) 株式等関係損益
株式等関係損益は、ETF売却損益の減少に加え、株式等償却の増加もあり、前連結会計年度比812億円減少し、313億円となりました。
② 財政状態の分析
(ⅰ) 貸出金(銀行勘定+信託勘定)
貸出金は、海外子会社、海外店、国内店ともに増加し、前連結会計年度末比17,012億円増加して1,094,744億円となりました。
* 2行間の貸出金及び持株会社、MUAH、並びにアユタヤ銀行向け貸出金を除いております。
○リスク管理債権の状況
当社グループのリスク管理債権(除く信託勘定)は、前連結会計年度末比1,227億円増加して10,898億円となりました。
貸出金残高に対するリスク管理債権(除く信託勘定)の比率は、同0.09ポイント上昇して0.99%となりました。
債権区分別では、破綻先債権額が同74億円、3ヶ月以上延滞債権額が同13億円それぞれ減少した一方、延滞債権額が同642億円、貸出条件緩和債権額が同673億円それぞれ増加しました。
部分直接償却後 未収利息不計上基準(資産の自己査定基準)
○リスク管理債権のセグメント情報
地域別セグメント情報
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
業種別セグメント情報
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
(参考) 元本補てん契約のある信託勘定
○リスク管理債権の状況
直接償却(実施後)延滞債権基準(延滞期間基準)
○リスク管理債権のセグメント情報
地域別セグメント情報
業種別セグメント情報
(参考) 金融再生法開示債権の状況
金融再生法開示債権は、前連結会計年度末比149億円増加して6,542億円となりました。
また、開示債権比率は、同0.02ポイント上昇して0.65%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同153億円増加、危険債権が同404億円減少、また、要管理債権が同400億円増加しております。
当連結会計年度末の開示債権の保全状況は、開示債権合計6,542億円に対し、貸倒引当金による引当が1,405億円、担保・保証等による保全が3,747億円であり、開示債権全体の保全率は78.76%となっております。
金融再生法開示債権(2行合算+信託勘定)
(注) 上段は当連結会計年度末の計数、下段(カッコ書き)は前連結会計年度末の計数を掲載しております。「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
(ⅱ) 有価証券
その他有価証券は、国債が前連結会計年度末比8,992億円減少した一方、その他の証券が同21,726億円増加したことなどにより、同15,725億円増加して、621,511億円となりました。
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(ⅲ) 繰延税金資産
繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比983億円増加して△6,265億円となりました。
2行合算の発生原因別では、繰延税金資産は有価証券有税償却が増加した一方、評価性引当額の増加もあり、同528億円増加して5,890億円となりました。また、繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金が減少した一方、繰延ヘッジ損益の増加もあり、同442億円減少して12,011億円となりました。
(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差引いたものです。
発生原因別内訳(2行合算)
(注) 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
(ⅳ) 預金(2行合算)
預金(2行合算)は、国内法人預金その他が前連結会計年度末比35,473億円、国内個人預金が同23,067億円、それぞれ増加した結果、同55,141億円増加して1,693,763億円となりました。
(注) 1 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
2 譲渡性預金、特別国際金融取引勘定分、並びに2行間の一部預金を除いております。
(ⅴ) 純資産の部
純資産の部合計は、利益剰余金が前連結会計年度末比2,151億円増加した一方、その他の包括利益累計額合計が同3,601億円、非支配株主持分が同2,173億円、資本剰余金が自己株式の消却を主因に同545億円それぞれ減少した結果、同4,059億円減少の168,557億円となりました。
③ セグメント別の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 (セグメント別の状況)」に記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
⑤ 自己資本比率(国際統一基準)
総自己資本比率は、前連結会計年度末比0.15ポイント低下し15.87%となりました。また、Tier1比率は同0.33ポイント低下し13.56%、普通株式等Tier1比率は同0.32ポイント低下して11.90%となりました。
(注) 自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づく平成18年金融庁告示第20号に定められた算式に基づき算出しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用
いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
貸倒引当金の見積り
当社グループは、信用供与先の財務状況の悪化等により、貸出金等の資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク(このリスクを当社グループでは「信用リスク」と定義しております)に備えて、貸倒引当金を計上しております。
当連結会計年度末の連結貸借対照表に計上した貸倒引当金額は7,406億円であり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (6) 貸倒引当金の計上基準」を記載しております。
「貸倒引当金の計上基準」に記載の資産の自己査定とは、保有する貸出金等の資産を個別に検討して、債務者区分及び担保・保証等の状況を勘案したうえで、回収の危険性、又は価値の毀損の危険性の度合に応じて貸出金等の資産の分類を行うことをいいます。資産の自己査定結果は貸倒引当金の計上の基礎となるため、「債務者区分の具体的な判断基準」を資産の自己査定基準において整備しております。
適切な債務者区分の決定が行われるよう、主要な連結子会社である三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行では、信用リスクを評価するための統一的な基準として債務者区分と整合した信用格付制度を導入しており、原則として信用を供与している全ての取引先及びその取引を対象に信用格付を付与しています。信用格付のうち、一般事業法人等を対象とする債務者格付は、取引先の今後3~5年間における債務償還能力を15段階で評価し分類したものです。三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行では、取引先の決算情報に基づく財務定量評価に加え、現時点及び将来の取引先が属する業界環境や、経営リスク、資金調達リスク等の定性要因を債務者格付に反映させています。信用格付は年1回以上の頻度で見直しを行っており、取引先の業況変化等により信用力に変化があると認められる場合には、遅滞なく見直しを実施しています。また、信用格付は、営業部店及び審査所管部が付与し、当該部署から独立した与信監査部署が監査・変更指示を行うことで、透明性の確保を図っています。
なお、信用格付制度及び過去の一定期間における貸倒実績又は倒産実績を基礎とする算定手法では捕捉されない可能性のある将来の信用リスクの増大が見込まれる場合には、一定の仮定に基づき、必要な調整を加えて貸倒引当金を計上しております。
こうした貸倒引当金を算定するにあたっての前提及び見積りには不確実性がありますが、有効な内部統制に基づき、客観性や合理性を確保した最善の見積りを行っております。
買収・出資に伴うのれん及びその他の無形固定資産の評価
① 企業結合における無形資産への取得原価の配分
当社グループは、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、これらの企業結合取引により生じた無形資産を連結貸借対照表に計上しております。
注記事項の(企業結合等関係)に記載のとおり、当連結会計年度において、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「バンクダナモン」という。)及びFirst Sentier Investors(以下、「FSI」という。)は、それぞれ当社の連結子会社となりました。
これらの企業結合取引の結果として、当社が連結貸借対照表に計上した無形資産の企業結合時における時価には、バンクダナモンの取得における「代理店との関係」(795億円)及び「コア普通預金」(298億円)、FSIの取得における「顧客関連資産」(1,008億円)が含まれております。
これらの無形資産の企業結合日における時価は、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの現在価値として算定されており、当該キャッシュ・フローの算定に使用される仮定は、機関決定された中期計画及び機関決定された買収価格の基礎となった中期計画に基づいております。また、時価評価に適用した重要な見積りや、当該見積りに用いた仮定のうち、主なものは以下のとおりです。
(バンクダナモンの取得により資産計上した無形資産に用いた主な見積り・仮定)
将来キャッシュ・フローに使用される前提は、機関決定された中期計画に基づいており、公正価値評価の方法として、インカムアプローチ法を用いております。
「代理店との関係」においては、既存代理店との取引が継続する期間において享受できる超過収益に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、インドネシアにおける自動車・二輪車販売市場に関連する市場の成長予測を反映した貸出実行額の増加率及び過去実績に基づく既存代理店の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
「コア普通預金」においては、既存の預金顧客の預金残高が存続する期間において享受できる資金調達コストの節減効果に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、預金顧客の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
無形資産に適用する割引率の基礎として、株主資本コストを使用しております。当該割引率には、各無形資産に関連する将来の取引継続や取引規模、取引採算性の変動等のリスク、事業規模に伴うリスクを考慮したリスクプレミアムなどの見積り・仮定を用いています。
(FSI取得により資産計上した無形資産に用いた主な見積り・仮定)
将来キャッシュ・フローに使用される前提は、機関決定された買収価格の基礎となった中期計画に基づいており、公正価値評価の方法として、インカムアプローチ法を用いております。
「顧客関連資産」においては、既存顧客との取引が継続する期間において享受できる超過収益に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、株式、債券、インフラ等の投資対象の市場成長予測等を反映した預り資産残高の増加率及び過去実績に基づく既存顧客の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
無形資産に適用する割引率の基礎として、株主資本コストを使用しております。当該割引率には、顧客関連資産に関連するビジネスのリスクを考慮したリスクプレミアムなどの見積り・仮定を用いています。
経営者は、企業結合時の無形資産の時価及びのれんの額に用いた見積り・仮定は合理的であると考えています。しかしながら、これらの見積り・仮定には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより当該見積り・仮定が変化した場合には、結果として、企業結合時の無形資産への取得原価及びのれんの額への配分が適切に測定されない可能性があります。
② のれんの減損処理の要否
当社グループは、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、これらの企業結合取引により生じたのれんを連結貸借対照表に計上しております。
買収・出資・資本提携等においては、相手先の属する業界の想定外の変化等により、当社グループの想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、計上したのれんの毀損により、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末の連結貸借対照表におけるのれんの計上額は、2,836億円であります。
のれんの減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定は、のれんが帰属する事業に関連する資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行います。
(減損の兆候の識別)
のれんを含む資産グループが、以下のいずれかに該当する場合には、減損の兆候を識別します。
・営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっている場合、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合
・事業価値を著しく低下させる変化が生じたか、又は、生じる見込みである場合
・営む事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、又は、悪化する見込みである場合
・資産又は資産グループの市場価格が著しく下落した場合
・その他、のれんを含む資産グループに減損が生じている可能性を示す事象が発生していると考えられる場合
(減損損失の認識)
減損の兆候があると識別されたのれんについて、のれんが帰属する事業に関連する資産グループの減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額(以下、「帳簿価額」という。)と、のれんを含むより大きな単位から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額(以下、「割引前キャッシュ・フロー」という。)を比較し、後者が前者を上回る場合には、減損損失は認識されません。前者が後者を上回る場合には、のれんの総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。
割引前将来キャッシュ・フローの算定は、その性質上、判断を伴うものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。当該割引前将来キャッシュ・フローの算定に使用される前提は、それぞれのグルーピングにおける将来見込み及び中期計画に基づいており、将来の市場及び経済全体の成長率、現在及び見込まれる経済状況を考慮しております。
経営者は、のれんの減損損失の認識の判定に使用した見積りの前提は合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、割引前将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、減損損失が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
注記事項の(企業結合等関係)に記載のとおり、2019年4月に連結子会社となったバンクダナモンに係るのれん(2,183億円)を計上しました。
企業結合後に、上場会社であるバンクダナモンの株式の市場価格は取得原価に比べ相当程度下落している状況が継続しており、当該市場価格の下落の状況をバンクダナモンに係るのれんの減損の兆候として識別しましたが、2019年度ののれんの減損判定において、バンクダナモンに係るのれんを含む資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローが帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
しかしながら、当該バンクダナモンに係るのれんは、注記事項の(連結損益計算書関係)に記載のとおり、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(平成10年5月12日 日本公認会計士協会)第32項の規定に基づき、国内銀行連結子会社が保有するバンクダナモンの株式の市場価格下落を受けた減損処理に伴って、当連結会計年度末において全額償却しております。
デリバティブ取引の時価評価
当社及び連結子会社は、顧客に対して為替・資金・証券サービスを提供する業務、並びに市場取引及び流動性・資金繰り管理を行う業務において、多種多量のデリバティブ取引を保有しており、会計上の見積りの観点から重要であると認識しております。
これらのデリバティブ取引は、時価で測定され資産及び負債として計上しております。時価は、市場価格等の市場情報や、金融工学理論に基づく評価モデルなどに基づき、決定しております。
具体的には、市場価格が入手可能な場合は、その市場価格を時価とします。市場価格が直接入手できない場合、所定の手続により承認された評価モデルに基づいて時価を算出しております。評価モデルは市場適合性の観点から検証を実施しておりますが、その性質上会計上の見積もりを含みます。
また評価モデルに投入するインプットには為替レート・イールドカーブ・ボラティリティ・クレジットカーブ・株価等の市場で直接又は間接的に観察可能なインプットのほか、相関係数や倒産確率等の重要な見積りを含む市場で観察できないインプットを使用する場合もあります。算定した時価等について市場で観察できないインプットが重要な構成要素である場合、これらの時価として「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係) 2 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。
なおこれらの評価モデルを用いた時価に対しては、必要に応じて、市場での売買コストを反映させる調整や、取引相手方の信用リスクに関する調整(CVA)等の出口価格への調整を実施しております。
経営者は、適切な検証を実施した上でデリバティブ取引に関する時価が合理的であると判断しております。ただし、これらの時価の算定に使用された見積り・前提には不確実性が含まれているため、予測困難な前提条件の変化などにより、デリバティブ取引の時価評価に関する各種見積りが変化した場合には、結果として、当社及び連結子会社における時価の評価額が変動する可能性があります。
利息返還損失引当金の算定
当社グループのローン事業において、2007年6月17日以前に契約締結したローン商品には「利息制限法」の上限金利を上回るものがあり、当社グループのお客さまがこの上限金利に基づいた債務を主張し、貸付金の放棄や過剰支払金等の返還を求めた場合、これに応じて貸付金の放棄や支払金等を返還することがあります。
当社グループにおける利息返還損失引当金は、利息返還請求の足下の発生状況や外部経営環境等を踏まえ、返還請求見込件数および平均返還見込額等の予測値を用いて算定しています。
当該見積り及び当該予測値については、将来の不確実な外部経営環境等の変動により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する利息返還損失引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当該見積りについては、見積りと実績の乖離状況を四半期毎に評価し、追加繰入・戻入れ等の必要性について検討しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大に関連し、当社が会計上の見積りを行う上でどのような仮定を置いたかについ
ては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
4 会計方針に関する事項 (6) 貸倒引当金の計上基準」に記載しております。なお、他の重要な会計上の見積り
及び当該見積りに用いた仮定には、重要な影響を与えないものと判断しております。
(財政状態及び経営成績の状況)
当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
資産の部につきましては、当連結会計年度中254,324億円増加して、当連結会計年度末残高は3,365,713億円となりました。主な内訳は、貸出金1,091,146億円、現金預け金783,356億円、有価証券655,551億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中258,384億円増加して、当連結会計年度末残高は3,197,156億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金1,954,110億円となっております。
損益の状況につきましては、経常収益は前連結会計年度比6,016億円増加して、72,990億円となりました。主な内訳は、資金運用収益が38,413億円、役務取引等収益が15,775億円となっております。また、経常費用は前連結会計年度比7,139億円増加して、60,633億円となりました。主な内訳は、資金調達費用が19,484億円、営業経費が27,939億円となっております。
この結果、経常利益は前連結会計年度比1,122億円減少して、12,357億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3,445億円減少して、5,281億円となりました。
(セグメント別の状況)
当連結会計年度における主な報告セグメントの営業純益は、法人・リテール事業本部で前連結会計年度比20億円減少して2,986億円、コーポレートバンキング事業本部で前連結会計年度比5億円減少して2,353億円、グローバルCIB事業本部で前連結会計年度比133億円減少して1,289億円、グローバルコマーシャルバンキング事業本部で前連結会計年度比257億円増加して2,327億円、受託財産事業本部で前連結会計年度比71億円減少して712億円、市場事業本部で前連結会計年度比867億円増加して3,430億円となりました。
なお、当連結会計年度において、事業本部間の粗利益・経費の配賦方法を変更しており、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の算定方法に基づいた数値で比較をしております。
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金(劣後特約付借入金を除く)の増加及び債券貸借取引受入担保金の増加などにより、前連結会計年度比24,515億円収入が増加して、80,608億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度比22,591億円支出が減少して、33,684億円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の発行による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度比2,326億円支出が減少して、2,516億円の支出となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比41,287億円増加して783,356億円となりました。
当連結会計年度末の連結自己資本比率(バーゼルⅢ:国際統一基準)は、普通株式等Tier1比率11.90%、Tier1比率13.56%、総自己資本比率15.87%となりました。
① 国内・海外別収支
国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は国内が28,062億円で前年度比1,165億円の増益、海外が18,924億円で前年度比1,437億円の増益となり、合計では39,863億円で前年度比2,605億円の増益となりました。
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
資金運用収支 | 前連結会計年度 | 1,349,760 | 1,118,435 | 545,419 | 1,922,776 |
当連結会計年度 | 1,241,572 | 1,142,510 | 491,114 | 1,892,967 | |
うち資金運用収益 | 前連結会計年度 | 2,161,519 | 2,477,896 | 907,213 | 3,732,203 |
当連結会計年度 | 2,078,077 | 2,599,449 | 836,225 | 3,841,301 | |
うち資金調達費用 | 前連結会計年度 | 811,759 | 1,359,460 | 361,793 | 1,809,426 |
当連結会計年度 | 836,504 | 1,456,939 | 345,110 | 1,948,333 | |
信託報酬 | 前連結会計年度 | 119,744 | 13,071 | 7,431 | 125,385 |
当連結会計年度 | 126,564 | 12,810 | 8,545 | 130,829 | |
役務取引等収支 | 前連結会計年度 | 1,026,877 | 463,169 | 186,092 | 1,303,954 |
当連結会計年度 | 1,023,645 | 526,137 | 208,516 | 1,341,266 | |
うち役務取引等収益 | 前連結会計年度 | 1,321,075 | 578,688 | 376,237 | 1,523,527 |
当連結会計年度 | 1,326,526 | 653,031 | 401,961 | 1,577,596 | |
うち役務取引等費用 | 前連結会計年度 | 294,198 | 115,519 | 190,144 | 219,573 |
当連結会計年度 | 302,881 | 126,894 | 193,445 | 236,329 | |
特定取引収支 | 前連結会計年度 | 141,398 | 88,246 | 13,479 | 216,165 |
当連結会計年度 | 158,374 | 74,545 | 71,463 | 161,457 | |
うち特定取引収益 | 前連結会計年度 | 143,302 | 138,413 | 63,503 | 218,212 |
当連結会計年度 | 159,203 | 125,670 | 81,149 | 203,724 | |
うち特定取引費用 | 前連結会計年度 | 1,903 | 50,166 | 50,023 | 2,046 |
当連結会計年度 | 829 | 51,124 | 9,686 | 42,267 | |
その他業務収支 | 前連結会計年度 | 51,969 | 65,766 | △39,703 | 157,438 |
当連結会計年度 | 256,130 | 136,470 | △67,182 | 459,783 | |
うちその他業務収益 | 前連結会計年度 | 248,828 | 212,415 | 78,753 | 382,491 |
当連結会計年度 | 776,358 | 214,568 | 78,240 | 912,686 | |
うちその他業務費用 | 前連結会計年度 | 196,859 | 146,649 | 118,456 | 225,052 |
当連結会計年度 | 520,228 | 78,098 | 145,423 | 452,903 |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2 「資金調達費用」は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
② 国内・海外別資金運用/調達の状況
(ⅰ)国内
国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の資金運用勘定平均残高は前年度比43,527億円増加して1,860,054億円となりました。利回りは0.07ポイント低下し1.11%となり、受取利息合計は20,780億円で前年度比834億円減少となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比17,706億円増加して2,022,726億円となりました。利回りは0.00ポイント上昇し0.41%となり、支払利息合計は8,365億円で前年度比247億円増加となりました。
種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り |
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
資金運用勘定 | 前連結会計年度 | 181,652,768 | 2,161,519 | 1.18 |
当連結会計年度 | 186,005,483 | 2,078,077 | 1.11 | |
うち貸出金 | 前連結会計年度 | 76,751,355 | 1,032,743 | 1.34 |
当連結会計年度 | 77,893,491 | 1,014,423 | 1.30 | |
うち有価証券 | 前連結会計年度 | 59,886,747 | 994,524 | 1.66 |
当連結会計年度 | 63,616,733 | 938,773 | 1.47 | |
うちコールローン及び 買入手形 | 前連結会計年度 | 286,989 | 705 | 0.24 |
当連結会計年度 | 160,510 | 185 | 0.11 | |
うち買現先勘定 | 前連結会計年度 | 3,535,653 | △6,254 | △0.17 |
当連結会計年度 | 5,617,868 | △2,739 | △0.04 | |
うち債券貸借取引 支払保証金 | 前連結会計年度 | 2,404,333 | 3,255 | 0.13 |
当連結会計年度 | 1,850,094 | 4,286 | 0.23 | |
うち預け金 | 前連結会計年度 | 34,246,768 | 32,884 | 0.09 |
当連結会計年度 | 32,180,487 | 28,510 | 0.08 | |
資金調達勘定 | 前連結会計年度 | 200,502,041 | 811,759 | 0.40 |
当連結会計年度 | 202,272,641 | 836,504 | 0.41 | |
うち預金 | 前連結会計年度 | 142,032,849 | 77,706 | 0.05 |
当連結会計年度 | 143,273,743 | 102,569 | 0.07 | |
うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 2,026,567 | 295 | 0.01 |
当連結会計年度 | 1,755,712 | 235 | 0.01 | |
うちコールマネー及び 売渡手形 | 前連結会計年度 | 2,407,256 | 944 | 0.03 |
当連結会計年度 | 2,385,526 | 279 | 0.01 | |
うち売現先勘定 | 前連結会計年度 | 14,347,079 | 174,271 | 1.21 |
当連結会計年度 | 15,339,986 | 125,956 | 0.82 | |
うち債券貸借取引 受入担保金 | 前連結会計年度 | 2,190,731 | 254 | 0.01 |
当連結会計年度 | 1,042,190 | △91 | △0.00 | |
うちコマーシャル・ ペーパー | 前連結会計年度 | 37,997 | 19 | 0.05 |
当連結会計年度 | 35,998 | 17 | 0.04 | |
うち借用金 | 前連結会計年度 | 24,767,831 | 252,650 | 1.02 |
当連結会計年度 | 25,004,366 | 263,825 | 1.05 |
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(ⅱ)海外
海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の海外の資金運用勘定平均残高は前年度比14,786億円増加して836,914億円となりました。利回りは0.09ポイント上昇し3.10%となり、受取利息合計は25,994億円で前年度比1,215億円増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比28,028億円増加して831,799億円となりました。利回りは0.06ポイント上昇し1.75%となり、支払利息合計は14,569億円で前年度比974億円増加となりました。
種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り |
金額(百万円) | 金額(百万円) | (%) | ||
資金運用勘定 | 前連結会計年度 | 82,212,774 | 2,477,896 | 3.01 |
当連結会計年度 | 83,691,443 | 2,599,449 | 3.10 | |
うち貸出金 | 前連結会計年度 | 44,638,300 | 1,569,181 | 3.51 |
当連結会計年度 | 43,444,293 | 1,616,584 | 3.72 | |
うち有価証券 | 前連結会計年度 | 10,723,075 | 248,067 | 2.31 |
当連結会計年度 | 11,182,101 | 250,396 | 2.23 | |
うちコールローン及び 買入手形 | 前連結会計年度 | 627,919 | 11,995 | 1.91 |
当連結会計年度 | 643,457 | 12,458 | 1.93 | |
うち買現先勘定 | 前連結会計年度 | 7,222,493 | 137,869 | 1.90 |
当連結会計年度 | 10,592,790 | 233,453 | 2.20 | |
うち債券貸借取引 支払保証金 | 前連結会計年度 | 1,205,659 | 18,375 | 1.52 |
当連結会計年度 | 1,112,202 | 22,900 | 2.05 | |
うち預け金 | 前連結会計年度 | 12,311,063 | 225,424 | 1.83 |
当連結会計年度 | 11,333,460 | 182,872 | 1.61 | |
資金調達勘定 | 前連結会計年度 | 80,377,030 | 1,359,460 | 1.69 |
当連結会計年度 | 83,179,925 | 1,456,939 | 1.75 | |
うち預金 | 前連結会計年度 | 42,416,231 | 545,649 | 1.28 |
当連結会計年度 | 44,468,473 | 620,009 | 1.39 | |
うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 6,456,672 | 139,457 | 2.15 |
当連結会計年度 | 7,072,086 | 151,736 | 2.14 | |
うちコールマネー及び 売渡手形 | 前連結会計年度 | 425,885 | 10,350 | 2.43 |
当連結会計年度 | 260,148 | 3,331 | 1.28 | |
うち売現先勘定 | 前連結会計年度 | 8,736,207 | 147,672 | 1.69 |
当連結会計年度 | 10,607,974 | 223,812 | 2.10 | |
うち債券貸借取引 受入担保金 | 前連結会計年度 | 150,355 | 3,783 | 2.51 |
当連結会計年度 | 121,636 | 3,473 | 2.85 | |
うちコマーシャル・ ペーパー | 前連結会計年度 | 2,440,497 | 54,646 | 2.23 |
当連結会計年度 | 2,709,414 | 58,743 | 2.16 | |
うち借用金 | 前連結会計年度 | 3,823,072 | 81,112 | 2.12 |
当連結会計年度 | 4,227,465 | 91,297 | 2.15 |
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(ⅲ)合計
種類 | 期別 | 平均残高 | 利息 | 利回り (%) | ||||
小計 (百万円) | 相殺 消去額 (△) (百万円) | 合計 (百万円) | 小計 (百万円) | 相殺 消去額 (△) (百万円) | 合計 (百万円) | |||
資金運用勘定 | 前連結会計年度 | 263,865,542 | 36,681,385 | 227,184,157 | 4,639,416 | 907,213 | 3,732,203 | 1.64 |
当連結会計年度 | 269,696,927 | 34,765,868 | 234,931,058 | 4,677,526 | 836,225 | 3,841,301 | 1.63 | |
うち貸出金 | 前連結会計年度 | 121,389,656 | 11,898,058 | 109,491,597 | 2,601,925 | 248,472 | 2,353,452 | 2.14 |
当連結会計年度 | 121,337,784 | 13,614,358 | 107,723,426 | 2,631,007 | 267,445 | 2,363,562 | 2.19 | |
うち有価証券 | 前連結会計年度 | 70,609,822 | 15,071,000 | 55,538,821 | 1,242,592 | 556,910 | 685,681 | 1.23 |
当連結会計年度 | 74,798,835 | 15,041,073 | 59,757,762 | 1,189,169 | 496,315 | 692,854 | 1.15 | |
うちコールローン 及び買入手形 | 前連結会計年度 | 914,908 | 488,641 | 426,267 | 12,700 | 2,649 | 10,050 | 2.35 |
当連結会計年度 | 803,967 | 133,502 | 670,464 | 12,643 | 1,518 | 11,125 | 1.65 | |
うち買現先勘定 | 前連結会計年度 | 10,758,147 | 1,069,497 | 9,688,649 | 131,615 | 9,159 | 122,455 | 1.26 |
当連結会計年度 | 16,210,659 | 1,105,522 | 15,105,136 | 230,714 | 7,870 | 222,843 | 1.47 | |
うち債券貸借取引 支払保証金 | 前連結会計年度 | 3,609,993 | 334,019 | 3,275,974 | 21,630 | 797 | 20,833 | 0.63 |
当連結会計年度 | 2,962,297 | 372,525 | 2,589,771 | 27,186 | 479 | 26,707 | 1.03 | |
うち預け金 | 前連結会計年度 | 46,557,832 | 7,292,912 | 39,264,920 | 258,308 | 75,226 | 183,081 | 0.46 |
当連結会計年度 | 43,513,948 | 3,918,042 | 39,595,905 | 211,383 | 51,355 | 160,027 | 0.40 | |
資金調達勘定 | 前連結会計年度 | 280,879,071 | 20,949,448 | 259,929,623 | 2,171,220 | 361,793 | 1,809,426 | 0.69 |
当連結会計年度 | 285,452,567 | 21,315,259 | 264,137,308 | 2,293,443 | 345,110 | 1,948,333 | 0.73 | |
うち預金 | 前連結会計年度 | 184,449,081 | 5,552,129 | 178,896,952 | 623,356 | 44,977 | 578,379 | 0.32 |
当連結会計年度 | 187,742,217 | 4,032,168 | 183,710,048 | 722,579 | 33,117 | 689,461 | 0.37 | |
うち譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 8,483,240 | 12,886 | 8,470,353 | 139,753 | 65 | 139,687 | 1.64 |
当連結会計年度 | 8,827,798 | 13,456 | 8,814,341 | 151,971 | 182 | 151,788 | 1.72 | |
うちコールマネー 及び売渡手形 | 前連結会計年度 | 2,833,141 | 570,239 | 2,262,901 | 11,295 | 7,409 | 3,885 | 0.17 |
当連結会計年度 | 2,645,675 | 193,328 | 2,452,346 | 3,611 | 139 | 3,471 | 0.14 | |
うち売現先勘定 | 前連結会計年度 | 23,083,286 | 1,079,424 | 22,003,862 | 321,943 | 9,877 | 312,065 | 1.41 |
当連結会計年度 | 25,947,960 | 1,136,123 | 24,811,836 | 349,769 | 7,845 | 341,923 | 1.37 | |
うち債券貸借取引 受入担保金 | 前連結会計年度 | 2,341,086 | 374,948 | 1,966,138 | 4,038 | 541 | 3,497 | 0.17 |
当連結会計年度 | 1,163,827 | 402,261 | 761,565 | 3,382 | 838 | 2,543 | 0.33 | |
うちコマーシャル・ ペーパー | 前連結会計年度 | 2,478,495 | 21,198 | 2,457,296 | 54,665 | 10 | 54,655 | 2.22 |
当連結会計年度 | 2,745,412 | 20,399 | 2,725,013 | 58,761 | 10 | 58,751 | 2.15 | |
うち借用金 | 前連結会計年度 | 28,590,904 | 11,654,909 | 16,935,995 | 333,763 | 273,278 | 60,485 | 0.35 |
当連結会計年度 | 29,231,832 | 13,474,312 | 15,757,519 | 355,122 | 286,071 | 69,051 | 0.43 |
(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
③ 国内・海外別役務取引の状況
国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が13,265億円で前年度比54億円の増収、役務取引等費用が3,028億円で前年度比86億円増加した結果、役務取引等収支では、前年度比32億円減少して10,236億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が6,530億円で前年度比743億円の増収、役務取引等費用が1,268億円で前年度比113億円増加した結果、役務取引等収支では、前年度比629億円増加して5,261億円となりました。
この結果、役務取引等収支合計では前年度比373億円増加して13,412億円となりました。
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
役務取引等収益 | 前連結会計年度 | 1,321,075 | 578,688 | 376,237 | 1,523,527 |
当連結会計年度 | 1,326,526 | 653,031 | 401,961 | 1,577,596 | |
うち為替業務 | 前連結会計年度 | 152,162 | 12,487 | 2,313 | 162,336 |
当連結会計年度 | 152,267 | 12,918 | 2,282 | 162,902 | |
うちその他 商業銀行業務 | 前連結会計年度 | 237,915 | 259,557 | 43,404 | 454,068 |
当連結会計年度 | 235,708 | 279,612 | 47,459 | 467,860 | |
うち信託関連業務 | 前連結会計年度 | 99,093 | ― | 4,905 | 94,188 |
当連結会計年度 | 103,958 | ― | 5,440 | 98,517 | |
うち保証業務 | 前連結会計年度 | 122,895 | 33,837 | 43,131 | 113,601 |
当連結会計年度 | 120,696 | 33,865 | 39,577 | 114,984 | |
うち証券関連業務 | 前連結会計年度 | 130,791 | 75,247 | 22,617 | 183,420 |
当連結会計年度 | 112,838 | 80,836 | 22,277 | 171,397 | |
役務取引等費用 | 前連結会計年度 | 294,198 | 115,519 | 190,144 | 219,573 |
当連結会計年度 | 302,881 | 126,894 | 193,445 | 236,329 | |
うち為替業務 | 前連結会計年度 | 33,536 | 13,817 | 434 | 46,919 |
当連結会計年度 | 34,149 | 14,590 | 484 | 48,255 |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務等を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
④ 国内・海外別特定取引の状況
(ⅰ)特定取引収益・費用の内訳
国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の特定取引は、特定取引収益が1,592億円で前年度比159億円の増収、特定取引費用が8億円で前年度比10億円減少した結果、特定取引収支では、前年度比169億円増加して1,583億円となりました。海外の特定取引は、特定取引収益が1,256億円で前年度比127億円の減収、特定取引費用が511億円で前年度比9億円増加した結果、特定取引収支では、前年度比137億円減少して745億円となりました。
この結果、特定取引収支合計では前年度比547億円減少して1,614億円となりました。
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
特定取引収益 | 前連結会計年度 | 143,302 | 138,413 | 63,503 | 218,212 |
当連結会計年度 | 159,203 | 125,670 | 81,149 | 203,724 | |
うち商品有価 証券収益 | 前連結会計年度 | 122,153 | 80,518 | 41,407 | 161,263 |
当連結会計年度 | 115,173 | 106,554 | 19,312 | 202,415 | |
うち特定取引 有価証券収益 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― | ― |
当連結会計年度 | △669 | 985 | 56 | 260 | |
うち特定金融 派生商品収益 | 前連結会計年度 | 17,431 | 51,622 | 22,095 | 46,958 |
当連結会計年度 | 44,699 | 16,250 | 60,949 | 0 | |
うちその他の 特定取引収益 | 前連結会計年度 | 3,717 | 6,272 | ― | 9,989 |
当連結会計年度 | ― | 1,879 | 830 | 1,048 | |
特定取引費用 | 前連結会計年度 | 1,903 | 50,166 | 50,023 | 2,046 |
当連結会計年度 | 829 | 51,124 | 9,686 | 42,267 | |
うち商品有価 証券費用 | 前連結会計年度 | ― | 39,824 | 39,824 | ― |
当連結会計年度 | ― | 15,466 | 15,466 | ― | |
うち特定取引 有価証券費用 | 前連結会計年度 | 1,903 | 142 | ― | 2,046 |
当連結会計年度 | △1 | 57 | 56 | ― | |
うち特定金融 派生商品費用 | 前連結会計年度 | ― | 10,198 | 10,198 | ― |
当連結会計年度 | ― | 35,600 | △6,666 | 42,267 | |
うちその他の 特定取引費用 | 前連結会計年度 | ― | ― | ― | ― |
当連結会計年度 | 830 | ― | 830 | ― |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(ⅱ)特定取引資産・負債の内訳(末残)
国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の国内の特定取引資産は、前年度比31,915億円増加して149,032億円、特定取引負債は、前年度比20,754億円増加して106,907億円となりました。海外の特定取引資産は、前年度比15,055億円増加して73,185億円、特定取引負債は、前年度比8,888億円増加して52,251億円となりました。
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
特定取引資産 | 前連結会計年度 | 11,711,705 | 5,813,036 | 1,398,553 | 16,126,188 |
当連結会計年度 | 14,903,220 | 7,318,583 | 1,971,631 | 20,250,172 | |
うち商品有価証券 | 前連結会計年度 | 1,647,144 | 2,609,798 | △63,711 | 4,320,654 |
当連結会計年度 | 2,694,607 | 3,084,203 | 26,446 | 5,752,365 | |
うち商品有価証券 派生商品 | 前連結会計年度 | 211,361 | 81,876 | 53,197 | 240,040 |
当連結会計年度 | 386,267 | 43,381 | 109,377 | 320,271 | |
うち特定取引 有価証券 | 前連結会計年度 | 33,832 | 1,473 | ― | 35,305 |
当連結会計年度 | 28,730 | 8,469 | ― | 37,199 | |
うち特定取引 有価証券派生商品 | 前連結会計年度 | 2,952 | ― | ― | 2,952 |
当連結会計年度 | 7,812 | ― | ― | 7,812 | |
うち特定金融派生 商品 | 前連結会計年度 | 7,441,536 | 3,061,700 | 1,342,907 | 9,160,328 |
当連結会計年度 | 8,066,905 | 4,122,808 | 1,750,328 | 10,439,385 | |
うちその他の 特定取引資産 | 前連結会計年度 | 2,374,878 | 58,187 | 66,159 | 2,366,905 |
当連結会計年度 | 3,718,898 | 59,720 | 85,479 | 3,693,139 | |
特定取引負債 | 前連結会計年度 | 8,615,315 | 4,336,336 | 1,327,529 | 11,624,122 |
当連結会計年度 | 10,690,789 | 5,225,178 | 1,848,141 | 14,067,826 | |
うち売付商品債券 | 前連結会計年度 | 811,655 | 1,674,345 | △111 | 2,486,112 |
当連結会計年度 | 2,098,941 | 1,867,144 | △0 | 3,966,086 | |
うち商品有価証券 派生商品 | 前連結会計年度 | 178,763 | 66,688 | 54,785 | 190,666 |
当連結会計年度 | 311,310 | 37,539 | 110,823 | 238,027 | |
うち特定取引 有価証券派生商品 | 前連結会計年度 | 1,012 | 1 | ― | 1,014 |
当連結会計年度 | 937 | 122 | ― | 1,059 | |
うち特定金融 派生商品 | 前連結会計年度 | 7,623,883 | 2,588,383 | 1,272,855 | 8,939,411 |
当連結会計年度 | 7,914,468 | 3,314,106 | 1,737,318 | 9,491,256 | |
うちその他の 特定取引負債 | 前連結会計年度 | ― | 6,917 | ― | 6,917 |
当連結会計年度 | 365,131 | 6,265 | ― | 371,396 |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
⑤ 国内・海外別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
預金合計 | 前連結会計年度 | 142,928,935 | 43,321,084 | 6,078,739 | 180,171,279 |
当連結会計年度 | 146,503,899 | 44,808,398 | 3,688,746 | 187,623,551 | |
うち流動性預金 | 前連結会計年度 | 103,888,072 | 24,001,039 | 3,381,725 | 124,507,385 |
当連結会計年度 | 107,508,850 | 24,815,807 | 1,592,996 | 130,731,661 | |
うち定期性預金 | 前連結会計年度 | 32,501,570 | 19,255,989 | 2,393,895 | 49,363,664 |
当連結会計年度 | 31,387,263 | 19,941,314 | 1,954,921 | 49,373,657 | |
うちその他 | 前連結会計年度 | 6,539,291 | 64,056 | 303,118 | 6,300,229 |
当連結会計年度 | 7,607,784 | 51,276 | 140,828 | 7,518,232 | |
譲渡性預金 | 前連結会計年度 | 1,806,752 | 7,619,024 | 12,357 | 9,413,420 |
当連結会計年度 | 1,405,933 | 6,395,411 | 13,820 | 7,787,524 | |
総合計 | 前連結会計年度 | 144,735,687 | 50,940,108 | 6,091,097 | 189,584,699 |
当連結会計年度 | 147,909,832 | 51,203,810 | 3,702,566 | 195,411,076 |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
4 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
⑥ 国内・海外別貸出金残高の状況
(ⅰ)業種別貸出状況(末残・構成比)
業種別 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | |
国内(除く特別国際金融取引勘定分) | 64,156,538 | 100.00 | 64,225,015 | 100.00 |
製造業 | 9,825,270 | 15.31 | 10,231,426 | 15.93 |
建設業 | 684,040 | 1.07 | 688,281 | 1.07 |
卸売業、小売業 | 6,344,141 | 9.89 | 6,452,803 | 10.05 |
金融業、保険業 | 6,439,726 | 10.04 | 6,017,725 | 9.37 |
不動産業、物品賃貸業 | 11,003,365 | 17.15 | 11,177,740 | 17.41 |
各種サービス業 | 2,814,250 | 4.39 | 2,763,486 | 4.30 |
その他 | 27,045,743 | 42.15 | 26,893,551 | 41.87 |
海外及び特別国際金融取引勘定分 | 43,255,929 | 100.00 | 44,889,597 | 100.00 |
政府等 | 560,579 | 1.30 | 437,233 | 0.97 |
金融機関 | 9,475,156 | 21.90 | 9,753,152 | 21.73 |
その他 | 33,220,193 | 76.80 | 34,699,211 | 77.30 |
合計 | 107,412,468 | ― | 109,114,612 | ― |
(注) 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
(ⅱ)特定海外債権等残高
期別 | 国別 | 金額(百万円) |
前連結会計年度 | ラオス | 35,625 |
アンゴラ | 2,578 | |
モンゴル | 259 | |
パキスタン | 81 | |
チュニジア | 6 | |
エクアドル | 0 | |
合計 | 38,553 | |
(資産の総額に対する割合) | (0.01%) | |
当連結会計年度 | ラオス | 29,737 |
アンゴラ | 1,630 | |
モンゴル | 255 | |
パキスタン | 60 | |
エクアドル | 0 | |
合計 | 31,683 | |
(資産の総額に対する割合) | (0.00%) |
(注) 特定海外債権等は、国内銀行連結子会社の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外連結子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。
⑦ 国内・海外別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
種類 | 期別 | 国内 | 海外 | 相殺消去額(△) | 合計 |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
国債 | 前連結会計年度 | 22,014,014 | 736,401 | 107,379 | 22,643,036 |
当連結会計年度 | 20,900,585 | 845,284 | 2,246 | 21,743,622 | |
地方債 | 前連結会計年度 | 2,226,565 | ― | ― | 2,226,565 |
当連結会計年度 | 2,952,820 | ― | ― | 2,952,820 | |
社債 | 前連結会計年度 | 3,502,352 | 250,500 | 260,547 | 3,492,305 |
当連結会計年度 | 3,887,252 | 10,500 | 20,514 | 3,877,238 | |
株式 | 前連結会計年度 | 5,945,616 | 71 | 167,362 | 5,778,325 |
当連結会計年度 | 5,152,290 | 69 | 203,131 | 4,949,228 | |
その他の証券 | 前連結会計年度 | 23,481,555 | 9,471,407 | 2,830,732 | 30,122,230 |
当連結会計年度 | 23,824,472 | 10,917,015 | 2,709,269 | 32,032,218 | |
合計 | 前連結会計年度 | 57,170,103 | 10,458,380 | 3,366,020 | 64,262,463 |
当連結会計年度 | 56,717,421 | 11,772,869 | 2,935,162 | 65,555,127 |
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
連結自己資本比率(国際統一基準)
(単位:億円、%)
2020年3月31日 | |
1. 連結総自己資本比率(4/7) | 15.87 |
2. 連結Tier1比率(5/7) | 13.56 |
3. 連結普通株式等Tier1比率(6/7) | 11.90 |
4. 連結における総自己資本の額 | 182,795 |
5. 連結におけるTier1資本の額 | 156,233 |
6. 連結における普通株式等Tier1資本の額 | 137,083 |
7. リスク・アセットの額 | 1,151,356 |
8. 連結総所要自己資本額 | 92,108 |
(注) 当社のモルガン・スタンレーに対する出資の大半(2020年3月末基準:8,952億円)は、ダブルギアリングによる自己資本控除額を算出する際の対象資産から除外しています。この取り扱いは、金融庁長官の承認を受けたものであり、2013年3月31日から2023年3月30日の期間(ただし、2019年3月31日以降は対象金額が毎年20%ずつ逓減)に限る取り扱いです。
持株レバレッジ比率(国際統一基準)
(単位:%)
2020年3月31日 | |
1. 持株レバレッジ比率 | 4.42 |
(生産、受注及び販売の実績)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社としての業務の性格上、該当する情報がないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、市場関連収益の増収に加え、インドネシアのバンクダナモンや豪州の資産運用会社First Sentier Investorsの連結子会社化による増収もあり、前連結会計年度比1,058億円増加して11,844億円となりました。当連結会計年度は本業の収益を表す連結業務純益の反転をめざして取組んできましたが、5年ぶりの増益を実現しました。
しかしながら、前連結会計年度に計上した貸倒引当金戻入益の剥落や新型コロナウイルス感染症の影響拡大を考慮した貸倒引当金の計上(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項 (6)貸倒引当金の計上基準(追加情報)」ご参照)等もあり与信関係費用総額が増加したことに加えて、海外連結子会社ののれん一括償却に伴う特別損失の計上もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は同3,445億円減少して5,281億円となりました。
当社グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。
当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。
(法人・リテール事業本部)
市況悪化に伴い資産運用ビジネスは苦戦しましたが、ウェルスマネジメントビジネス拡大によるグループ一体での事業・資産承継ビジネスに加え、コンシューマーファイナンスやクレジットカードを含む資金決済が堅調であったほか、コスト抑制も進めました。
個人のお客さま向けビジネスでは、お客さまとの接点の改革と生産性の向上に取組み、インターネットバンキングやスマートフォンアプリの機能改善によりサービス利用者数が大幅に増加しました。
中堅中小企業のお客さま向けビジネスでは、成長産業支援室を立上げ、新産業の育成をめざしてベンチャー企業への融資や上場支援を一層強化しました。
(コーポレートバンキング事業本部)
貸出利ざやの改善に加えて、大型起債案件の引受けやM&A助言などの証券関連収益が業績を牽引しました。
銀行と信託の営業本部を統合し、海外拠点と一体運営する体制に移行したことに加え、グループ内の調査・助言機能を結集したリサーチ&アドバイザリー・ユニットを立上げるなど、付加価値の高い情報とソリューションをワンストップで迅速に提供することを最優先に取組みました。また、銀行・信託・証券の協同で、気候変動リスクなどをテーマにした大企業CFO向けセミナーも継続的に開催しました。
(グローバルCIB事業本部)
モルガン・スタンレーとの協働により、米国にて過去最大級の買収ファイナンスの幹事行を務めるなど、資産回転型ビジネスの強化に向けた取組みを着実に加速させました。
また、外貨の預金と貸出のバランスや取引採算性の改善に向けた取組みを継続的に強化し、既存の低採算貸出の削減を加速させるとともに、新規の貸出についても厳格なスクリーニングを徹底しました。
加えて、2019年11月にドイツのDVBバンクからの航空機ファイナンス関連資産と従業員の承継を完了しました。
(グローバルコマーシャルバンキング事業本部)
MUFGユニオンバンクは、収益性の改善に向け、貸出ポートフォリオの見直しや経費構造改革による生産性の向上に取組みました。
アユタヤ銀行は、オートローンを中心とする個人向け貸出が順調に伸長し、過去最高益を実現しました。
バンクダナモンは、大企業から中堅中小・個人取引に至る幅広い分野でグループ協働を進め、ビジネスを拡大しました。バンクダナモンを連結子会社化したことで、ASEANを中心とした商業銀行のプラットフォームを完成しました。
また、2020年2月に資本業務提携したGrab社との協働を通じて、東南アジアでの次世代金融サービスの提供を進めてまいります。
(受託財産事業本部)
資産運用事業は、2019年8月に豪州を本拠とする資産運用会社の買収を完了し、グローバルブランド名をFirst Sentier Investorsに変更しました。また、顧客ニーズに沿った機動的な商品提供や高付加価値な情報提供により、国内法人向けの運用商品販売額が伸長し、運用商品残高が増加しました。
資産管理事業は、海外ではファンドに対する貸出などの、国内では事務代行などの複合サービスを展開してビジネスを着実に拡大しました。
年金事業は、確定給付年金では外部評価No.1を9年連続で獲得し、確定拠出年金では加入者数を伸ばしました。また、人事制度・退職給付制度の一体コンサルティングで新規顧客を増やし、年金にとどまらない、福利厚生の総合コンサルティングに注力しました。
(市場事業本部)
顧客向けビジネスでは、事業法人向け為替取引において、お客さまの利便性や価格競争力を更に高めるための電子化への投資を継続し、安定的な取引量確保と収益貢献に繋げました。また、海外の証券子会社を中心に業務戦略の見直しを実施するとともに、各拠点のセールス&トレーディング業務の機能整理による経費削減を進めました。
トレジャリー業務では、持続性ある健全な外貨ビジネスを支えるため、日本国債を用いた有担保調達の拡大等による調達手段や調達先の多様化に取組みました。また、市場変動が大きい局面においても、安定的な外貨資金繰り運営を行いました。
主要な財務指標の推移は、以下のとおりであります。
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市場関連収益の増収に加えバンクダナモン・First Sentier Investorsの連結子会社化による増収もあり連結業務純益は増益となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響を受けた株価下落に伴う連結子会社ののれん一括償却の計上を主因に親会社株主に帰属する当期純利益が大きく減益となったことにより、ROE・EPSは低下しました。 | |||||||
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営業経費は国内では抑制を継続した一方、海外での業容拡大や規制対応を主因に増加しましたが、連結業務粗利益の増加が営業経費の増加を上回り、経費率は改善しました。 | 分子の普通株式等Tier1資本が減少しましたが、分母のリスク・アセットもリスク・アセットコントロールの取組みにより減少し、普通株式等Tier1比率は引続き十分な水準を確保しています。 | ||||||
2. バーゼルⅢ規制見直しの最終化によるリスク・アセット増加影響を反映させた試算値 |
当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。
前連結 会計年度 (A) (億円) | 当連結 会計年度 (B) (億円) | 前連結 会計年度比 (B-A) (億円) | ||
資金運用収益 | ① | 37,322 | 38,413 | 1,090 |
資金調達費用(金銭の信託運用見合費用控除後) | ② | 18,094 | 19,483 | 1,389 |
信託報酬 | ③ | 1,253 | 1,308 | 54 |
うち信託勘定償却 | ④ | ― | △0 | △0 |
役務取引等収益 | ⑤ | 15,235 | 15,775 | 540 |
役務取引等費用 | ⑥ | 2,195 | 2,363 | 167 |
特定取引収益 | ⑦ | 2,182 | 2,037 | △144 |
特定取引費用 | ⑧ | 20 | 422 | 402 |
その他業務収益 | ⑨ | 3,824 | 9,126 | 5,301 |
その他業務費用 | ⑩ | 2,250 | 4,529 | 2,278 |
連結業務粗利益 (=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩) | ⑪ | 37,257 | 39,863 | 2,605 |
営業経費(臨時費用控除後) | ⑫ | 26,471 | 28,018 | 1,547 |
連結業務純益 (一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前 =⑪+④-⑫) | 10,785 | 11,844 | 1,058 | |
その他経常費用のうち一般貸倒引当金繰入額 (△は戻入益) | ⑬ | ― | 1,114 | 1,114 |
連結業務純益(=⑪-⑫-⑬) | 10,785 | 10,730 | △55 | |
その他経常収益 | ⑭ | 7,155 | 6,329 | △826 |
うち株式等売却益 | 2,034 | 1,667 | △367 | |
うち償却債権取立益 | 670 | 952 | 282 | |
資金調達費用(金銭の信託運用見合費用) | ⑮ | 1 | 1 | △0 |
営業経費(臨時費用) | ⑯ | 409 | △79 | △488 |
その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額控除後) | ⑰ | 4,050 | 4,779 | 729 |
うち与信関係費用 | 1,589 | 2,193 | 603 | |
うち株式等売却損 | 774 | 745 | △29 | |
うち株式等償却 | 133 | 608 | 474 | |
臨時損益(=⑭-⑮-⑯-⑰) | 2,694 | 1,627 | △1,067 | |
経常利益 | 13,480 | 12,357 | △1,122 | |
特別損益 | △2,027 | △4,063 | △2,036 | |
うち減損損失 | △1,846 | △657 | 1,189 | |
うちのれん償却額 | ― | △3,433 | △3,433 | |
税金等調整前当期純利益 | 11,453 | 8,294 | △3,158 | |
法人税等(△) | 1,955 | 2,208 | 253 | |
非支配株主に帰属する当期純利益(△) | 770 | 803 | 33 | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 8,726 | 5,281 | △3,445 |
① 経営成績の分析
(ⅰ) 主な収支
連結業務粗利益は前連結会計年度比2,605億円増加して39,863億円となりました。
外貨預貸金収益が増加したものの、米国長短金利差縮小に伴う外貨ALM収益や国内預貸金収益が減少したことにより、資金運用収支は同298億円減少しました。一方、バンクダナモンやFirst Sentier Investorsの連結子会社化により、役務取引等収支は同373億円増加しました。また、特定取引収支は同547億円減少しましたが、国債等債券関係損益の増加によりその他業務収支は同3,023億円増加しました。
営業経費(臨時費用控除後)は同1,547億円増加して28,018億円となり、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は同1,058億円増加して11,844億円となりました。
前連結 会計年度 (A) (億円) | 当連結 会計年度 (B) (億円) | 前連結 会計年度比 (B-A) (億円) | ||
資金運用収支 | 19,227 | 18,929 | △298 | |
資金運用収益 | ① | 37,322 | 38,413 | 1,090 |
資金調達費用(金銭の信託運用見合費用控除後) | ② | 18,094 | 19,483 | 1,389 |
信託報酬 | ③ | 1,253 | 1,308 | 54 |
うち信託勘定償却 | ④ | ― | △0 | △0 |
役務取引等収支 | 13,039 | 13,412 | 373 | |
役務取引等収益 | ⑤ | 15,235 | 15,775 | 540 |
役務取引等費用 | ⑥ | 2,195 | 2,363 | 167 |
特定取引収支 | 2,161 | 1,614 | △547 | |
特定取引収益 | ⑦ | 2,182 | 2,037 | △144 |
特定取引費用 | ⑧ | 20 | 422 | 402 |
その他業務収支 | 1,574 | 4,597 | 3,023 | |
その他業務収益 | ⑨ | 3,824 | 9,126 | 5,301 |
その他業務費用 | ⑩ | 2,250 | 4,529 | 2,278 |
連結業務粗利益 (=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩) | ⑪ | 37,257 | 39,863 | 2,605 |
営業経費(臨時費用控除後) | ⑫ | 26,471 | 28,018 | 1,547 |
連結業務純益 (一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前 =⑪+④-⑫) | 10,785 | 11,844 | 1,058 |
(ⅱ) 与信関係費用総額
与信関係費用総額は、前連結会計年度に計上した貸倒引当金戻入益の剥落に加えて新型コロナウイルス感染症の影響拡大を考慮した貸倒引当金の計上等もあり、前連結会計年度比2,171億円増加し、2,229億円の費用計上となりました。
前連結 会計年度 (A) (億円) | 当連結 会計年度 (B) (億円) | 前連結 会計年度比 (B-A) (億円) | ||
信託報酬のうち信託勘定償却 | ① | ― | △0 | △0 |
その他経常費用のうち一般貸倒引当金繰入額 (△は戻入益) | ② | ― | 1,114 | 1,114 |
その他経常費用のうち与信関係費用 | ③ | 1,589 | 2,193 | 603 |
貸出金償却 | 1,549 | 1,792 | 242 | |
個別貸倒引当金繰入額 | ― | 182 | 182 | |
その他の与信関係費用 | 40 | 218 | 178 | |
その他経常収益のうち貸倒引当金戻入益 | ④ | 150 | ― | △150 |
その他経常収益のうち償却債権取立益 | ⑤ | 670 | 952 | 282 |
その他経常収益のうち偶発損失引当金戻入益(与信関連) | ⑥ | 550 | 81 | △469 |
その他経常収益のうちその他の与信関係費用 | ⑦ | 159 | 43 | △116 |
与信関係費用総額(=①+②+③-④-⑤-⑥-⑦) | 58 | 2,229 | 2,171 |
(ⅲ) 株式等関係損益
株式等関係損益は、ETF売却損益の減少に加え、株式等償却の増加もあり、前連結会計年度比812億円減少し、313億円となりました。
前連結 会計年度 (A) (億円) | 当連結 会計年度 (B) (億円) | 前連結 会計年度比 (B-A) (億円) | ||
株式等関係損益 | 1,126 | 313 | △812 | |
その他経常収益のうち株式等売却益 | 2,034 | 1,667 | △367 | |
その他経常費用のうち株式等売却損 | 774 | 745 | △29 | |
その他経常費用のうち株式等償却 | 133 | 608 | 474 |
② 財政状態の分析
(ⅰ) 貸出金(銀行勘定+信託勘定)
貸出金は、海外子会社、海外店、国内店ともに増加し、前連結会計年度末比17,012億円増加して1,094,744億円となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | ||
貸出金残高(末残) | 1,077,731 | 1,094,744 | 17,012 | |
うち国内店* | 631,626 | 632,891 | 1,265 | |
うち住宅ローン | 151,219 | 148,201 | △3,017 | |
うち海外店 | 258,665 | 261,235 | 2,570 | |
うち国内子会社[アコム] | 11,090 | 11,043 | △46 | |
うち国内子会社[三菱UFJニコス] | 1,989 | 1,808 | △181 | |
うち海外子会社[MUAH] | 94,259 | 95,154 | 894 | |
うち海外子会社[アユタヤ銀行] | 42,746 | 48,563 | 5,817 | |
うち海外子会社[MUFGバンク(ヨーロッパ)] | 14,725 | 11,853 | △2,871 | |
うち海外子会社[バンクダナモン] | ― | 10,169 | 10,169 |
* 2行間の貸出金及び持株会社、MUAH、並びにアユタヤ銀行向け貸出金を除いております。
○リスク管理債権の状況
当社グループのリスク管理債権(除く信託勘定)は、前連結会計年度末比1,227億円増加して10,898億円となりました。
貸出金残高に対するリスク管理債権(除く信託勘定)の比率は、同0.09ポイント上昇して0.99%となりました。
債権区分別では、破綻先債権額が同74億円、3ヶ月以上延滞債権額が同13億円それぞれ減少した一方、延滞債権額が同642億円、貸出条件緩和債権額が同673億円それぞれ増加しました。
部分直接償却後 未収利息不計上基準(資産の自己査定基準)
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | ||
破綻先債権額 | 465 | 391 | △74 | |
延滞債権額 | 5,864 | 6,506 | 642 | |
リスク管理債権 | 3ヵ月以上延滞債権額 | 186 | 172 | △13 |
貸出条件緩和債権額 | 3,154 | 3,827 | 673 | |
合計 | 9,670 | 10,898 | 1,227 | |
貸出金残高(末残) | 1,074,124 | 1,091,146 | 17,021 |
前連結 会計年度末 (A) | 当連結 会計年度末 (B) | 前連結 会計年度末比 (B-A) | ||
破綻先債権額 | 0.04% | 0.03% | △0.00% | |
延滞債権額 | 0.54% | 0.59% | 0.05% | |
貸出金残高比率 | 3ヵ月以上延滞債権額 | 0.01% | 0.01% | △0.00% |
貸出条件緩和債権額 | 0.29% | 0.35% | 0.05% | |
合計 | 0.90% | 0.99% | 0.09% |
○リスク管理債権のセグメント情報
地域別セグメント情報
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
国内 | 5,843 | 6,213 | 369 |
海外 | 3,827 | 4,684 | 857 |
アジア | 1,703 | 2,591 | 887 |
インドネシア | 45 | 441 | 396 |
シンガポール | 291 | 513 | 222 |
タイ | 1,258 | 1,507 | 248 |
香港 | 5 | 18 | 12 |
その他 | 103 | 111 | 7 |
米州 | 1,482 | 1,455 | △26 |
欧州、中近東他 | 640 | 637 | △3 |
合計 | 9,670 | 10,898 | 1,227 |
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
業種別セグメント情報
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
国内 | 5,843 | 6,213 | 369 |
製造業 | 867 | 1,094 | 226 |
建設業 | 99 | 88 | △11 |
卸売業、小売業 | 1,086 | 1,075 | △10 |
金融業、保険業 | 9 | 11 | 2 |
不動産業、物品賃貸業 | 368 | 393 | 24 |
各種サービス業 | 329 | 579 | 250 |
その他 | 164 | 151 | △13 |
消費者 | 2,918 | 2,819 | △98 |
海外 | 3,827 | 4,684 | 857 |
金融機関 | 11 | 12 | 0 |
商工業 | 2,936 | 3,623 | 687 |
その他 | 879 | 1,048 | 169 |
合計 | 9,670 | 10,898 | 1,227 |
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
(参考) 元本補てん契約のある信託勘定
○リスク管理債権の状況
直接償却(実施後)延滞債権基準(延滞期間基準)
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | ||
破綻先債権額 | ― | ― | ― | |
延滞債権額 | 0 | 0 | ― | |
リスク管理債権 | 3ヵ月以上延滞債権額 | 0 | ― | △0 |
貸出条件緩和債権額 | 1 | 0 | △1 | |
合計 | 1 | 0 | △1 | |
貸出金残高(末残) | 140 | 122 | △17 |
○リスク管理債権のセグメント情報
地域別セグメント情報
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
国内 | 1 | 0 | △1 |
業種別セグメント情報
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
国内 | 1 | 0 | △1 |
製造業 | ― | ― | ― |
建設業 | ― | ― | ― |
卸売業、小売業 | ― | ― | ― |
金融業、保険業 | ― | ― | ― |
不動産業 | 1 | ― | △1 |
物品賃貸業 | ― | ― | ― |
各種サービス業 | ― | ― | ― |
その他 | ― | ― | ― |
消費者 | 0 | 0 | △0 |
合計 | 1 | 0 | △1 |
(参考) 金融再生法開示債権の状況
金融再生法開示債権は、前連結会計年度末比149億円増加して6,542億円となりました。
また、開示債権比率は、同0.02ポイント上昇して0.65%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同153億円増加、危険債権が同404億円減少、また、要管理債権が同400億円増加しております。
当連結会計年度末の開示債権の保全状況は、開示債権合計6,542億円に対し、貸倒引当金による引当が1,405億円、担保・保証等による保全が3,747億円であり、開示債権全体の保全率は78.76%となっております。
金融再生法開示債権(2行合算+信託勘定)
債権区分 | 開示残高 (A) (億円) | 貸倒引当金 (B) (億円) | うち担保・ 保証等による 保全額(C) (億円) | 非保全部分に 対する引当率 (B)/[(A)-(C)] | 保全率 [(B)+(C)]/(A) |
破産更生債権及び これらに準ずる債権 | 1,219 | 27 | 1,192 | ― | 100.00% |
(1,066) | (44) | (1,021) | (100.00%) | ||
危険債権 | 3,109 | 726 | 1,704 | 78.15% | |
(3,514) | (1,482) | (1,413) | (82.40%) | ||
要管理債権 | 2,212 | 651 | 851 | 67.90% | |
(1,812) | (506) | (871) | (76.07%) | ||
小計 | 6,542 | 1,405 | 3,747 | 78.76% | |
(6,392) | (2,033) | (3,307) | (83.54%) | ||
正常債権 | 999,540 | ― | ― | ― | ― |
(1,014,493) | |||||
合計 | 1,006,082 | ― | ― | ― | ― |
(1,020,886) | |||||
開示債権比率 | 0.65% | ― | ― | ― | ― |
(0.62%) |
(注) 上段は当連結会計年度末の計数、下段(カッコ書き)は前連結会計年度末の計数を掲載しております。「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
(ⅱ) 有価証券
その他有価証券は、国債が前連結会計年度末比8,992億円減少した一方、その他の証券が同21,726億円増加したことなどにより、同15,725億円増加して、621,511億円となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
満期保有目的の債券 | 44,481 | 41,657 | △2,823 |
その他有価証券 | 605,786 | 621,511 | 15,725 |
国債 | 215,423 | 206,430 | △8,992 |
地方債 | 22,265 | 29,528 | 7,262 |
社債 | 34,923 | 38,772 | 3,849 |
株式 | 49,533 | 41,413 | △8,120 |
その他の証券 | 283,640 | 305,367 | 21,726 |
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(ⅲ) 繰延税金資産
繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比983億円増加して△6,265億円となりました。
2行合算の発生原因別では、繰延税金資産は有価証券有税償却が増加した一方、評価性引当額の増加もあり、同528億円増加して5,890億円となりました。また、繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金が減少した一方、繰延ヘッジ損益の増加もあり、同442億円減少して12,011億円となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
繰延税金資産の純額 | △7,249 | △6,265 | 983 |
(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差引いたものです。
発生原因別内訳(2行合算)
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
繰延税金資産 | 5,361 | 5,890 | 528 |
貸倒引当金 | 1,687 | 1,599 | △88 |
有価証券有税償却 | 1,088 | 4,145 | 3,057 |
その他 | 4,143 | 4,729 | 586 |
評価性引当額(△) | 1,557 | 4,583 | 3,026 |
繰延税金負債 | 12,454 | 12,011 | △442 |
その他有価証券評価差額金 | 9,418 | 8,049 | △1,369 |
繰延ヘッジ損益 | 831 | 1,457 | 625 |
その他 | 2,204 | 2,505 | 301 |
繰延税金資産の純額 | △7,092 | △6,121 | 971 |
(注) 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
(ⅳ) 預金(2行合算)
預金(2行合算)は、国内法人預金その他が前連結会計年度末比35,473億円、国内個人預金が同23,067億円、それぞれ増加した結果、同55,141億円増加して1,693,763億円となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
預金 | 1,638,622 | 1,693,763 | 55,141 |
うち国内個人預金 | 770,109 | 793,176 | 23,067 |
うち国内法人預金その他 | 630,304 | 665,778 | 35,473 |
うち海外店 | 229,669 | 229,063 | △606 |
(注) 1 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
2 譲渡性預金、特別国際金融取引勘定分、並びに2行間の一部預金を除いております。
(ⅴ) 純資産の部
純資産の部合計は、利益剰余金が前連結会計年度末比2,151億円増加した一方、その他の包括利益累計額合計が同3,601億円、非支配株主持分が同2,173億円、資本剰余金が自己株式の消却を主因に同545億円それぞれ減少した結果、同4,059億円減少の168,557億円となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | |
純資産の部合計 | 172,616 | 168,557 | △4,059 |
株主資本合計 | 133,001 | 134,718 | 1,717 |
資本金 | 21,415 | 21,415 | ― |
資本剰余金 | 10,346 | 9,801 | △545 |
利益剰余金 | 106,406 | 108,557 | 2,151 |
自己株式 | △5,166 | △5,055 | 111 |
その他の包括利益累計額合計 | 28,791 | 25,189 | △3,601 |
うちその他有価証券評価差額金 | 22,492 | 20,663 | △1,828 |
うち為替換算調整勘定 | 3,397 | 3,008 | △388 |
新株予約権 | 2 | 0 | △1 |
非支配株主持分 | 10,821 | 8,648 | △2,173 |
③ セグメント別の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 (セグメント別の状況)」に記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
⑤ 自己資本比率(国際統一基準)
総自己資本比率は、前連結会計年度末比0.15ポイント低下し15.87%となりました。また、Tier1比率は同0.33ポイント低下し13.56%、普通株式等Tier1比率は同0.32ポイント低下して11.90%となりました。
前連結 会計年度末 (A) (億円) | 当連結 会計年度末 (B) (億円) | 前連結 会計年度末比 (B-A) (億円) | ||
総自己資本比率(=①÷④) | 16.03% | 15.87% | △0.15% | |
Tier1比率(=②÷④) | 13.90% | 13.56% | △0.33% | |
普通株式等Tier1比率(=③÷④) | 12.23% | 11.90% | △0.32% | |
総自己資本の額 | ① | 187,697 | 182,795 | △4,902 |
Tier1資本の額 | ② | 162,763 | 156,233 | △6,529 |
普通株式等Tier1資本の額 | ③ | 143,224 | 137,083 | △6,140 |
リスク・アセットの額 | ④ | 1,170,911 | 1,151,356 | △19,555 |
総所要自己資本額(=④×8%) | 93,672 | 92,108 | △1,564 |
(注) 自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づく平成18年金融庁告示第20号に定められた算式に基づき算出しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用
いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
貸倒引当金の見積り
当社グループは、信用供与先の財務状況の悪化等により、貸出金等の資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク(このリスクを当社グループでは「信用リスク」と定義しております)に備えて、貸倒引当金を計上しております。
当連結会計年度末の連結貸借対照表に計上した貸倒引当金額は7,406億円であり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (6) 貸倒引当金の計上基準」を記載しております。
「貸倒引当金の計上基準」に記載の資産の自己査定とは、保有する貸出金等の資産を個別に検討して、債務者区分及び担保・保証等の状況を勘案したうえで、回収の危険性、又は価値の毀損の危険性の度合に応じて貸出金等の資産の分類を行うことをいいます。資産の自己査定結果は貸倒引当金の計上の基礎となるため、「債務者区分の具体的な判断基準」を資産の自己査定基準において整備しております。
適切な債務者区分の決定が行われるよう、主要な連結子会社である三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行では、信用リスクを評価するための統一的な基準として債務者区分と整合した信用格付制度を導入しており、原則として信用を供与している全ての取引先及びその取引を対象に信用格付を付与しています。信用格付のうち、一般事業法人等を対象とする債務者格付は、取引先の今後3~5年間における債務償還能力を15段階で評価し分類したものです。三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行では、取引先の決算情報に基づく財務定量評価に加え、現時点及び将来の取引先が属する業界環境や、経営リスク、資金調達リスク等の定性要因を債務者格付に反映させています。信用格付は年1回以上の頻度で見直しを行っており、取引先の業況変化等により信用力に変化があると認められる場合には、遅滞なく見直しを実施しています。また、信用格付は、営業部店及び審査所管部が付与し、当該部署から独立した与信監査部署が監査・変更指示を行うことで、透明性の確保を図っています。
なお、信用格付制度及び過去の一定期間における貸倒実績又は倒産実績を基礎とする算定手法では捕捉されない可能性のある将来の信用リスクの増大が見込まれる場合には、一定の仮定に基づき、必要な調整を加えて貸倒引当金を計上しております。
こうした貸倒引当金を算定するにあたっての前提及び見積りには不確実性がありますが、有効な内部統制に基づき、客観性や合理性を確保した最善の見積りを行っております。
買収・出資に伴うのれん及びその他の無形固定資産の評価
① 企業結合における無形資産への取得原価の配分
当社グループは、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、これらの企業結合取引により生じた無形資産を連結貸借対照表に計上しております。
注記事項の(企業結合等関係)に記載のとおり、当連結会計年度において、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「バンクダナモン」という。)及びFirst Sentier Investors(以下、「FSI」という。)は、それぞれ当社の連結子会社となりました。
これらの企業結合取引の結果として、当社が連結貸借対照表に計上した無形資産の企業結合時における時価には、バンクダナモンの取得における「代理店との関係」(795億円)及び「コア普通預金」(298億円)、FSIの取得における「顧客関連資産」(1,008億円)が含まれております。
これらの無形資産の企業結合日における時価は、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの現在価値として算定されており、当該キャッシュ・フローの算定に使用される仮定は、機関決定された中期計画及び機関決定された買収価格の基礎となった中期計画に基づいております。また、時価評価に適用した重要な見積りや、当該見積りに用いた仮定のうち、主なものは以下のとおりです。
(バンクダナモンの取得により資産計上した無形資産に用いた主な見積り・仮定)
将来キャッシュ・フローに使用される前提は、機関決定された中期計画に基づいており、公正価値評価の方法として、インカムアプローチ法を用いております。
「代理店との関係」においては、既存代理店との取引が継続する期間において享受できる超過収益に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、インドネシアにおける自動車・二輪車販売市場に関連する市場の成長予測を反映した貸出実行額の増加率及び過去実績に基づく既存代理店の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
「コア普通預金」においては、既存の預金顧客の預金残高が存続する期間において享受できる資金調達コストの節減効果に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、預金顧客の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
無形資産に適用する割引率の基礎として、株主資本コストを使用しております。当該割引率には、各無形資産に関連する将来の取引継続や取引規模、取引採算性の変動等のリスク、事業規模に伴うリスクを考慮したリスクプレミアムなどの見積り・仮定を用いています。
(FSI取得により資産計上した無形資産に用いた主な見積り・仮定)
将来キャッシュ・フローに使用される前提は、機関決定された買収価格の基礎となった中期計画に基づいており、公正価値評価の方法として、インカムアプローチ法を用いております。
「顧客関連資産」においては、既存顧客との取引が継続する期間において享受できる超過収益に基づくキャッシュ・フローを現在価値に割引くことにより価値を算定しております。当該キャッシュ・フローには、株式、債券、インフラ等の投資対象の市場成長予測等を反映した預り資産残高の増加率及び過去実績に基づく既存顧客の剥落率などの見積り・仮定を用いています。
無形資産に適用する割引率の基礎として、株主資本コストを使用しております。当該割引率には、顧客関連資産に関連するビジネスのリスクを考慮したリスクプレミアムなどの見積り・仮定を用いています。
経営者は、企業結合時の無形資産の時価及びのれんの額に用いた見積り・仮定は合理的であると考えています。しかしながら、これらの見積り・仮定には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより当該見積り・仮定が変化した場合には、結果として、企業結合時の無形資産への取得原価及びのれんの額への配分が適切に測定されない可能性があります。
② のれんの減損処理の要否
当社グループは、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、これらの企業結合取引により生じたのれんを連結貸借対照表に計上しております。
買収・出資・資本提携等においては、相手先の属する業界の想定外の変化等により、当社グループの想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、計上したのれんの毀損により、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末の連結貸借対照表におけるのれんの計上額は、2,836億円であります。
のれんの減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定は、のれんが帰属する事業に関連する資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行います。
(減損の兆候の識別)
のれんを含む資産グループが、以下のいずれかに該当する場合には、減損の兆候を識別します。
・営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっている場合、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合
・事業価値を著しく低下させる変化が生じたか、又は、生じる見込みである場合
・営む事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、又は、悪化する見込みである場合
・資産又は資産グループの市場価格が著しく下落した場合
・その他、のれんを含む資産グループに減損が生じている可能性を示す事象が発生していると考えられる場合
(減損損失の認識)
減損の兆候があると識別されたのれんについて、のれんが帰属する事業に関連する資産グループの減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額(以下、「帳簿価額」という。)と、のれんを含むより大きな単位から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額(以下、「割引前キャッシュ・フロー」という。)を比較し、後者が前者を上回る場合には、減損損失は認識されません。前者が後者を上回る場合には、のれんの総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。
割引前将来キャッシュ・フローの算定は、その性質上、判断を伴うものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。当該割引前将来キャッシュ・フローの算定に使用される前提は、それぞれのグルーピングにおける将来見込み及び中期計画に基づいており、将来の市場及び経済全体の成長率、現在及び見込まれる経済状況を考慮しております。
経営者は、のれんの減損損失の認識の判定に使用した見積りの前提は合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、割引前将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、減損損失が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
注記事項の(企業結合等関係)に記載のとおり、2019年4月に連結子会社となったバンクダナモンに係るのれん(2,183億円)を計上しました。
企業結合後に、上場会社であるバンクダナモンの株式の市場価格は取得原価に比べ相当程度下落している状況が継続しており、当該市場価格の下落の状況をバンクダナモンに係るのれんの減損の兆候として識別しましたが、2019年度ののれんの減損判定において、バンクダナモンに係るのれんを含む資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローが帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
しかしながら、当該バンクダナモンに係るのれんは、注記事項の(連結損益計算書関係)に記載のとおり、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(平成10年5月12日 日本公認会計士協会)第32項の規定に基づき、国内銀行連結子会社が保有するバンクダナモンの株式の市場価格下落を受けた減損処理に伴って、当連結会計年度末において全額償却しております。
デリバティブ取引の時価評価
当社及び連結子会社は、顧客に対して為替・資金・証券サービスを提供する業務、並びに市場取引及び流動性・資金繰り管理を行う業務において、多種多量のデリバティブ取引を保有しており、会計上の見積りの観点から重要であると認識しております。
これらのデリバティブ取引は、時価で測定され資産及び負債として計上しております。時価は、市場価格等の市場情報や、金融工学理論に基づく評価モデルなどに基づき、決定しております。
具体的には、市場価格が入手可能な場合は、その市場価格を時価とします。市場価格が直接入手できない場合、所定の手続により承認された評価モデルに基づいて時価を算出しております。評価モデルは市場適合性の観点から検証を実施しておりますが、その性質上会計上の見積もりを含みます。
また評価モデルに投入するインプットには為替レート・イールドカーブ・ボラティリティ・クレジットカーブ・株価等の市場で直接又は間接的に観察可能なインプットのほか、相関係数や倒産確率等の重要な見積りを含む市場で観察できないインプットを使用する場合もあります。算定した時価等について市場で観察できないインプットが重要な構成要素である場合、これらの時価として「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係) 2 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。
なおこれらの評価モデルを用いた時価に対しては、必要に応じて、市場での売買コストを反映させる調整や、取引相手方の信用リスクに関する調整(CVA)等の出口価格への調整を実施しております。
経営者は、適切な検証を実施した上でデリバティブ取引に関する時価が合理的であると判断しております。ただし、これらの時価の算定に使用された見積り・前提には不確実性が含まれているため、予測困難な前提条件の変化などにより、デリバティブ取引の時価評価に関する各種見積りが変化した場合には、結果として、当社及び連結子会社における時価の評価額が変動する可能性があります。
利息返還損失引当金の算定
当社グループのローン事業において、2007年6月17日以前に契約締結したローン商品には「利息制限法」の上限金利を上回るものがあり、当社グループのお客さまがこの上限金利に基づいた債務を主張し、貸付金の放棄や過剰支払金等の返還を求めた場合、これに応じて貸付金の放棄や支払金等を返還することがあります。
当社グループにおける利息返還損失引当金は、利息返還請求の足下の発生状況や外部経営環境等を踏まえ、返還請求見込件数および平均返還見込額等の予測値を用いて算定しています。
当該見積り及び当該予測値については、将来の不確実な外部経営環境等の変動により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する利息返還損失引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当該見積りについては、見積りと実績の乖離状況を四半期毎に評価し、追加繰入・戻入れ等の必要性について検討しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大に関連し、当社が会計上の見積りを行う上でどのような仮定を置いたかについ
ては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
4 会計方針に関する事項 (6) 貸倒引当金の計上基準」に記載しております。なお、他の重要な会計上の見積り
及び当該見積りに用いた仮定には、重要な影響を与えないものと判断しております。