有価証券報告書-第186期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、社会経済活動の正常化が進む中で、企業収益の改善や個人消費の持ち直しがみられたこと等により、期を通じて緩やかな回復が続きました。
そうした中、当社グループにおいては、2022年5月に「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン-2040年に向けて-」を公表し、その実行計画としての中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、収支構造の強靱化に向けて進めてきた取組等の成果を活かしながら、着実に利益を回復させるとともに、今後の成長を見据えた施策を推し進めました。
当期の業績については、旅行事業・国際輸送事業において前期に一時的な需要に対応したことによる反動があったものの、都市交通事業において旅客数に一定の回復がみられたことや、不動産事業においてホテルの宿泊需要の回復に加え、分譲、賃貸及び海外不動産等の各事業も伸長したこと、またエンタテインメント事業において阪神タイガースがリーグ優勝及び日本シリーズ制覇を果たすなど、スポーツ事業が好調に推移したこと等により、営業収益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加しました。
当期の当社グループの成績は次のとおりです。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、「不動産」セグメントにおいて、「海外不動産事業」を独立した業態(サブセグメント)として表示しており、増減率については、前期の実績値を組み替えて算出しています。
(都市交通事業)
鉄道事業については、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、阪神尼崎駅のほか、各駅への可動式ホーム柵等の整備を推し進めています。また、阪神大阪梅田駅では、新3番線・新4番線の供用を開始するなど、駅構内の改良工事が完了しました。さらに、阪急伊丹線において、センサ付き固定柵の設置等によりホーム上の安全性を確保のうえ、ワンマン運転を開始しました。こうした施策を通じて、引き続き安全・安心で持続可能な鉄道サービスの実現に取り組んでいきます。
このほか、2024年3月に北大阪急行電鉄南北線延伸線が開業しました。これにより、北摂地域における移動の利便性を大幅に向上させるとともに、公共交通への移動手段のシフトによる道路混雑の緩和や環境負荷の低減を図りました。
自動車事業については、阪急バス・阪神バスにおいて、安全対策や利便性向上施策等に取り組むため、2023年9月に路線バスの運賃改定を実施しました。
営業収益は前期に比べ176億79百万円(9.5%)増加し、2,032億60百万円となり、営業利益は前期に比べ118億22百万円(52.7%)増加し、342億57百万円となりました。
・ 阪急電鉄㈱運輸成績表
・ 阪神電気鉄道㈱運輸成績表
(注)1 上表は、第1種鉄道事業及び第2種鉄道事業の合計です。
2 客車走行キロは、社用、試運転、営業回送を含みません。なお、営業回送を含めた客車走行キロは、阪急電鉄㈱が166,445千キロ、阪神電気鉄道㈱が46,632千キロです。
3 乗車効率の算出方法
乗車効率 = 延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)× 100
(不動産事業)
不動産賃貸事業については、商業・オフィス・賃貸マンションが一体となった複合施設「阪急西宮ガーデンズ プラス館」(兵庫県西宮市)が開業し、阪急西宮北口駅南東エリアの一連の大規模開発が完了しました。このほか、「HEP FIVE」(大阪市北区)の飲食フロア「TAMLO」、「sononそのだ(旧園田阪急プラザ)」(兵庫県尼崎市)、「マルシェ池田(旧阪急池田ブランマルシェ)」(大阪府池田市)をリニューアルするなど、既存の商業施設やオフィスビルにおいても競争力の強化と稼働率の維持向上等に努めました。また、物流施設については、「ロジスタ大阪松原」(大阪府松原市)、「ロジスタ豊中」(大阪府豊中市)が竣工しました。
なお、大規模開発プロジェクトのうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」については、2024年9月の先行街びらきに向けて、工事が計画どおり進捗しています。
不動産分譲事業については、マンション分譲では、「ジオ彩都いろどりの丘」(大阪府箕面市)、「ジオ阪神芦屋」(神戸市東灘区)、「ジオ石神井公園」(東京都練馬区)等を販売しました。また、宅地戸建分譲では、「ジオガーデン千里藤白台」(大阪府吹田市)、「ジオガーデン目黒学芸大学」(東京都目黒区)等を販売しました。
海外不動産事業については、アセアン諸国において住宅分譲事業を推し進めたほか、インドネシアで2022年に取得した大規模商業施設「セントラルパークモール」に隣接する商業施設「ネオソーホーモール」を取得するなど、海外における不動産賃貸事業の規模拡大を進めました。このほか、オーストラリアにおいてオフィス・商業からなる複合施設を取得するなど、事業エリアの拡大にも努めました。
ホテル事業については、インバウンドを中心に高まる宿泊需要や、回復基調にある飲食・宴会需要を着実に取り込むとともに、会員向けアプリの利便性向上や様々なプランの企画・販売等を通じて、競争力の強化に努めました。
営業収益は前期に比べ362億5百万円(12.8%)増加し、3,182億54百万円となり、営業利益は前期に比べ219億75百万円(78.9%)増加し、498億26百万円となりました。
(エンタテインメント事業)
スポーツ事業については、阪神タイガースが、ファンの方々のご声援を受けて18年ぶりのリーグ優勝及び38年ぶりの日本シリーズ制覇を果たしました。また、阪神甲子園球場では、物販・飲食において多彩な企画を実施するなど魅力ある施設運営に取り組んだほか、2024年に開場100周年を迎えるにあたり、「阪神甲子園球場開場100周年カウントダウンイベント」等を開催しています。
ステージ事業については、歌劇事業において、月組公演「フリューゲル -君がくれた翼-」・「万華鏡百景色」、星組公演「RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~」・「VIOLETOPIA」等の各公演が好評を博しました。
このほか、六甲山地区においては、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」の内容を拡充し、関西を代表する芸術祭への発展を目指したほか、六甲山スノーパークでは開業60周年企画を実施し、インバウンドを含む多くのお客様にご来場いただきました。
営業収益は前期に比べ103億23百万円(14.3%)増加し、826億12百万円となり、営業利益は前期に比べ14億96百万円(11.9%)増加し、141億19百万円となりました。
(情報・通信事業)
情報サービス事業については、eコマース等のインターネット関連ビジネスが好調に推移したほか、鉄道会社に対し、鉄道車両内のセキュリティ向上と犯罪の抑制を目的とした車内防犯カメラシステムの提供を開始しました。
放送・通信事業については、FTTHサービス(光ファイバーを用いた高速インターネットサービス)の提供を推進するなど、お客様のニーズに応える様々なサービスを展開することにより、事業の着実な伸長に努めました。
あんしん・教育事業については、安全・安心に対するニーズの高まり等を背景に、「登下校ミマモルメ」を導入する学校・施設数が着実に伸長したことに加え、ロボットプログラミング教室「プログラボ」の生徒数が堅調に推移しました。
営業収益は前期に比べ42億24百万円(7.0%)増加し、645億79百万円となり、営業利益は前期に比べ2億18百万円(3.7%)増加し、61億35百万円となりました。
(旅行事業)
旅行事業については、新型コロナウイルスの感染症法上の5類への移行と水際対策の終了により、海外旅行部門において、復調途上ではあるもののツアーの取扱いが増加したほか、国内旅行部門においては、全国旅行支援を活用したツアーが好評を博すなど好調に推移しました。
営業収益は前期に比べ255億15百万円(13.3%)増加し、2,169億15百万円となりましたが、自治体からの支援業務などの受注が減少したこと等により営業利益は前期に比べ102億89百万円(△67.4%)減少し、49億68百万円となりました。
(国際輸送事業)
国際輸送事業については、航空輸送・海上輸送ともに前期までの輸送スペース不足等による需給の逼迫状況が緩和したことや、お客様の在庫調整等による物流需要の減少により、厳しい事業環境が続きました。
そうした中でも、アラブ首長国連邦での現地法人の設立等、グローバルネットワークのさらなる拡充を図るとともに、日本国内やアジアを中心に物流倉庫を新設・拡張するなど、ロジスティクス事業の強化に注力しました。
営業収益は前期に比べ629億69百万円(△38.6%)減少し、1,003億円となり、営業利益は前期に比べ81億57百万円(△97.3%)減少し、2億23百万円となりました。
(その他)
建設業等その他の事業については、営業収益は前期に比べ44億75百万円(8.0%)増加し、601億25百万円となり、営業利益は前期に比べ6億58百万円(23.9%)増加し、34億10百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計については、販売土地及び建物や投資有価証券、有形固定資産が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,875億20百万円増加し、3兆529億30百万円となりました。
負債合計については、有利子負債や前受金(流動負債の「その他」)が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ985億89百万円増加し、1兆9,830億59百万円となりました。
純資産合計については、利益剰余金や非支配株主持分が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ889億31百万円増加し、1兆698億71百万円となり、自己資本比率は32.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物については、前連結会計年度末に比べ124億32百万円増加し、538億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益842億46百万円、減価償却費625億82百万円、減損損失242億77百万円、売上債権の減少額183億1百万円、棚卸資産の増加額613億25百万円、法人税等の支払額198億24百万円等により、1,235億13百万円の収入(前期は1,320億91百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,382億70百万円、投資有価証券の取得による支出331億44百万円、工事負担金等受入による収入398億13百万円等により、1,413億20百万円の支出(前期は1,132億16百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の純増による収入551億89百万円、コマーシャル・ペーパーの純減による支出100億円、社債の発行による収入348億11百万円、社債の償還による支出300億円、配当金の支払額121億13百万円等により、284億61百万円の収入(前期は89億81百万円の支出)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、都市交通事業、不動産事業、エンタテインメント事業、情報・通信事業、旅行事業及び国際輸送事業など多種多様な事業を営んでいるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、特に以下の項目が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
a 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益等が見込めなくなった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合は、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b 販売用不動産の評価
当社グループは、販売用不動産を多数保有しています。市場環境の変化や開発・販売計画の変更等により、正味売却価額が大きく下落した場合は、販売用不動産の評価減を実施する可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得や実現可能性の高いタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。業績の変動等により、将来の課税所得やタックス・プランニングに変更が生じた場合は、繰延税金資産が増加または減少する可能性があります。
② 資本の財源及び資金の流動性
a 有利子負債
当連結会計年度末現在の有利子負債の概要は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「(2) 長期借入金」に含めています。
(※2)「(4) リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計です。
また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、当連結会計年度末における債務保証額は461億44百万円です。
b 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金等については、内部資金または借入金及び社債により資金を調達することとしています。このうち、長期借入金及び社債にて調達した資金については、その大半を回収期間が長期にわたる鉄道事業や不動産賃貸事業を中心とした固定資産の取得等に充当しています。重要な設備投資の計画については、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」「(1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。また、これらの資金は、固定金利に比重を置いた調達を実施しています。
これらの資金調達に加えて、キャッシュマネジメントシステムによるグループ資金一元化により、グループ会社からの余剰資金を集約して有効活用するとともに、大規模自然災害や感染症の流行等の予期せぬ事象に備え、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結することにより、機動的に資金を確保する体制を構築しています。
c 株主還元
株主還元については、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 経営成績の状況」、「② 財政状態の状況」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
経営指標の見通し及び進捗状況については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、社会経済活動の正常化が進む中で、企業収益の改善や個人消費の持ち直しがみられたこと等により、期を通じて緩やかな回復が続きました。
そうした中、当社グループにおいては、2022年5月に「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン-2040年に向けて-」を公表し、その実行計画としての中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、収支構造の強靱化に向けて進めてきた取組等の成果を活かしながら、着実に利益を回復させるとともに、今後の成長を見据えた施策を推し進めました。
当期の業績については、旅行事業・国際輸送事業において前期に一時的な需要に対応したことによる反動があったものの、都市交通事業において旅客数に一定の回復がみられたことや、不動産事業においてホテルの宿泊需要の回復に加え、分譲、賃貸及び海外不動産等の各事業も伸長したこと、またエンタテインメント事業において阪神タイガースがリーグ優勝及び日本シリーズ制覇を果たすなど、スポーツ事業が好調に推移したこと等により、営業収益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも増加しました。
当期の当社グループの成績は次のとおりです。
当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | 対前連結会計年度比較 | ||
増減額 | 増減率(%) | ||
営業収益 | 9,976億11百万円 | 293億10百万円 | 3.0 |
営業利益 | 1,056億89百万円 | 163億38百万円 | 18.3 |
経常利益 | 1,094億13百万円 | 209億80百万円 | 23.7 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 678億1百万円 | 208億48百万円 | 44.4 |
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、「不動産」セグメントにおいて、「海外不動産事業」を独立した業態(サブセグメント)として表示しており、増減率については、前期の実績値を組み替えて算出しています。
(都市交通事業)
鉄道事業については、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、阪神尼崎駅のほか、各駅への可動式ホーム柵等の整備を推し進めています。また、阪神大阪梅田駅では、新3番線・新4番線の供用を開始するなど、駅構内の改良工事が完了しました。さらに、阪急伊丹線において、センサ付き固定柵の設置等によりホーム上の安全性を確保のうえ、ワンマン運転を開始しました。こうした施策を通じて、引き続き安全・安心で持続可能な鉄道サービスの実現に取り組んでいきます。
このほか、2024年3月に北大阪急行電鉄南北線延伸線が開業しました。これにより、北摂地域における移動の利便性を大幅に向上させるとともに、公共交通への移動手段のシフトによる道路混雑の緩和や環境負荷の低減を図りました。
自動車事業については、阪急バス・阪神バスにおいて、安全対策や利便性向上施策等に取り組むため、2023年9月に路線バスの運賃改定を実施しました。
営業収益は前期に比べ176億79百万円(9.5%)増加し、2,032億60百万円となり、営業利益は前期に比べ118億22百万円(52.7%)増加し、342億57百万円となりました。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
鉄道事業 | 1,479億71百万円 | 10.0 |
自動車事業 | 436億53百万円 | 8.7 |
流通事業 | 127億78百万円 | 6.8 |
都市交通その他事業 | 100億28百万円 | 12.5 |
調整額 | △111億71百万円 | - |
合計 | 2,032億60百万円 | 9.5 |
・ 阪急電鉄㈱運輸成績表
区分 | 当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | 対前連結会計年度 増減率(%) | |||
営業日数 | (日) | 366 | 0.3 | ||
営業キロ | (キロ) | 143.6 | - | ||
客車走行キロ | (千キロ) | 162,391 | △1.8 | ||
定期 | (千人) | 313,294 | 4.6 | ||
旅客人員 | 定期外 | (千人) | 284,626 | 4.6 | |
合計 | (千人) | 597,920 | 4.6 | ||
定期 | (百万円) | 32,244 | 7.8 | ||
運輸収入 | 旅客運賃 | 定期外 | (百万円) | 60,674 | 10.5 |
合計 | (百万円) | 92,919 | 9.6 | ||
運輸雑収 | (百万円) | 5,167 | 5.9 | ||
運輸収入合計 | (百万円) | 98,087 | 9.4 | ||
乗車効率 | (%) | 40.5 | - |
・ 阪神電気鉄道㈱運輸成績表
区分 | 当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | 対前連結会計年度 増減率(%) | |||
営業日数 | (日) | 366 | 0.3 | ||
営業キロ | (キロ) | 48.9 | - | ||
客車走行キロ | (千キロ) | 44,879 | △1.0 | ||
定期 | (千人) | 120,734 | 5.0 | ||
旅客人員 | 定期外 | (千人) | 114,356 | 10.3 | |
合計 | (千人) | 235,090 | 7.5 | ||
定期 | (百万円) | 12,010 | 8.2 | ||
運輸収入 | 旅客運賃 | 定期外 | (百万円) | 22,242 | 14.9 |
合計 | (百万円) | 34,253 | 12.4 | ||
運輸雑収 | (百万円) | 2,684 | 6.2 | ||
運輸収入合計 | (百万円) | 36,937 | 12.0 | ||
乗車効率 | (%) | 40.3 | - |
(注)1 上表は、第1種鉄道事業及び第2種鉄道事業の合計です。
2 客車走行キロは、社用、試運転、営業回送を含みません。なお、営業回送を含めた客車走行キロは、阪急電鉄㈱が166,445千キロ、阪神電気鉄道㈱が46,632千キロです。
3 乗車効率の算出方法
乗車効率 = 延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)× 100
(不動産事業)
不動産賃貸事業については、商業・オフィス・賃貸マンションが一体となった複合施設「阪急西宮ガーデンズ プラス館」(兵庫県西宮市)が開業し、阪急西宮北口駅南東エリアの一連の大規模開発が完了しました。このほか、「HEP FIVE」(大阪市北区)の飲食フロア「TAMLO」、「sononそのだ(旧園田阪急プラザ)」(兵庫県尼崎市)、「マルシェ池田(旧阪急池田ブランマルシェ)」(大阪府池田市)をリニューアルするなど、既存の商業施設やオフィスビルにおいても競争力の強化と稼働率の維持向上等に努めました。また、物流施設については、「ロジスタ大阪松原」(大阪府松原市)、「ロジスタ豊中」(大阪府豊中市)が竣工しました。
なお、大規模開発プロジェクトのうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」については、2024年9月の先行街びらきに向けて、工事が計画どおり進捗しています。
不動産分譲事業については、マンション分譲では、「ジオ彩都いろどりの丘」(大阪府箕面市)、「ジオ阪神芦屋」(神戸市東灘区)、「ジオ石神井公園」(東京都練馬区)等を販売しました。また、宅地戸建分譲では、「ジオガーデン千里藤白台」(大阪府吹田市)、「ジオガーデン目黒学芸大学」(東京都目黒区)等を販売しました。
海外不動産事業については、アセアン諸国において住宅分譲事業を推し進めたほか、インドネシアで2022年に取得した大規模商業施設「セントラルパークモール」に隣接する商業施設「ネオソーホーモール」を取得するなど、海外における不動産賃貸事業の規模拡大を進めました。このほか、オーストラリアにおいてオフィス・商業からなる複合施設を取得するなど、事業エリアの拡大にも努めました。
ホテル事業については、インバウンドを中心に高まる宿泊需要や、回復基調にある飲食・宴会需要を着実に取り込むとともに、会員向けアプリの利便性向上や様々なプランの企画・販売等を通じて、競争力の強化に努めました。
営業収益は前期に比べ362億5百万円(12.8%)増加し、3,182億54百万円となり、営業利益は前期に比べ219億75百万円(78.9%)増加し、498億26百万円となりました。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
賃貸事業 | 1,270億62百万円 | 0.7 |
分譲事業等 | 1,538億42百万円 | 11.9 |
海外不動産事業 | 85億52百万円 | 163.2 |
ホテル事業 | 626億63百万円 | 41.9 |
調整額 | △338億66百万円 | - |
合計 | 3,182億54百万円 | 12.8 |
(エンタテインメント事業)
スポーツ事業については、阪神タイガースが、ファンの方々のご声援を受けて18年ぶりのリーグ優勝及び38年ぶりの日本シリーズ制覇を果たしました。また、阪神甲子園球場では、物販・飲食において多彩な企画を実施するなど魅力ある施設運営に取り組んだほか、2024年に開場100周年を迎えるにあたり、「阪神甲子園球場開場100周年カウントダウンイベント」等を開催しています。
ステージ事業については、歌劇事業において、月組公演「フリューゲル -君がくれた翼-」・「万華鏡百景色」、星組公演「RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~」・「VIOLETOPIA」等の各公演が好評を博しました。
このほか、六甲山地区においては、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」の内容を拡充し、関西を代表する芸術祭への発展を目指したほか、六甲山スノーパークでは開業60周年企画を実施し、インバウンドを含む多くのお客様にご来場いただきました。
営業収益は前期に比べ103億23百万円(14.3%)増加し、826億12百万円となり、営業利益は前期に比べ14億96百万円(11.9%)増加し、141億19百万円となりました。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
スポーツ事業 | 503億27百万円 | 31.2 |
ステージ事業 | 322億20百万円 | △4.8 |
調整額 | 64百万円 | - |
合計 | 826億12百万円 | 14.3 |
(情報・通信事業)
情報サービス事業については、eコマース等のインターネット関連ビジネスが好調に推移したほか、鉄道会社に対し、鉄道車両内のセキュリティ向上と犯罪の抑制を目的とした車内防犯カメラシステムの提供を開始しました。
放送・通信事業については、FTTHサービス(光ファイバーを用いた高速インターネットサービス)の提供を推進するなど、お客様のニーズに応える様々なサービスを展開することにより、事業の着実な伸長に努めました。
あんしん・教育事業については、安全・安心に対するニーズの高まり等を背景に、「登下校ミマモルメ」を導入する学校・施設数が着実に伸長したことに加え、ロボットプログラミング教室「プログラボ」の生徒数が堅調に推移しました。
営業収益は前期に比べ42億24百万円(7.0%)増加し、645億79百万円となり、営業利益は前期に比べ2億18百万円(3.7%)増加し、61億35百万円となりました。
(旅行事業)
旅行事業については、新型コロナウイルスの感染症法上の5類への移行と水際対策の終了により、海外旅行部門において、復調途上ではあるもののツアーの取扱いが増加したほか、国内旅行部門においては、全国旅行支援を活用したツアーが好評を博すなど好調に推移しました。
営業収益は前期に比べ255億15百万円(13.3%)増加し、2,169億15百万円となりましたが、自治体からの支援業務などの受注が減少したこと等により営業利益は前期に比べ102億89百万円(△67.4%)減少し、49億68百万円となりました。
(国際輸送事業)
国際輸送事業については、航空輸送・海上輸送ともに前期までの輸送スペース不足等による需給の逼迫状況が緩和したことや、お客様の在庫調整等による物流需要の減少により、厳しい事業環境が続きました。
そうした中でも、アラブ首長国連邦での現地法人の設立等、グローバルネットワークのさらなる拡充を図るとともに、日本国内やアジアを中心に物流倉庫を新設・拡張するなど、ロジスティクス事業の強化に注力しました。
営業収益は前期に比べ629億69百万円(△38.6%)減少し、1,003億円となり、営業利益は前期に比べ81億57百万円(△97.3%)減少し、2億23百万円となりました。
(その他)
建設業等その他の事業については、営業収益は前期に比べ44億75百万円(8.0%)増加し、601億25百万円となり、営業利益は前期に比べ6億58百万円(23.9%)増加し、34億10百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計については、販売土地及び建物や投資有価証券、有形固定資産が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,875億20百万円増加し、3兆529億30百万円となりました。
負債合計については、有利子負債や前受金(流動負債の「その他」)が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ985億89百万円増加し、1兆9,830億59百万円となりました。
純資産合計については、利益剰余金や非支配株主持分が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ889億31百万円増加し、1兆698億71百万円となり、自己資本比率は32.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物については、前連結会計年度末に比べ124億32百万円増加し、538億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益842億46百万円、減価償却費625億82百万円、減損損失242億77百万円、売上債権の減少額183億1百万円、棚卸資産の増加額613億25百万円、法人税等の支払額198億24百万円等により、1,235億13百万円の収入(前期は1,320億91百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,382億70百万円、投資有価証券の取得による支出331億44百万円、工事負担金等受入による収入398億13百万円等により、1,413億20百万円の支出(前期は1,132億16百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の純増による収入551億89百万円、コマーシャル・ペーパーの純減による支出100億円、社債の発行による収入348億11百万円、社債の償還による支出300億円、配当金の支払額121億13百万円等により、284億61百万円の収入(前期は89億81百万円の支出)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、都市交通事業、不動産事業、エンタテインメント事業、情報・通信事業、旅行事業及び国際輸送事業など多種多様な事業を営んでいるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、特に以下の項目が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
a 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益等が見込めなくなった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合は、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b 販売用不動産の評価
当社グループは、販売用不動産を多数保有しています。市場環境の変化や開発・販売計画の変更等により、正味売却価額が大きく下落した場合は、販売用不動産の評価減を実施する可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得や実現可能性の高いタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。業績の変動等により、将来の課税所得やタックス・プランニングに変更が生じた場合は、繰延税金資産が増加または減少する可能性があります。
② 資本の財源及び資金の流動性
a 有利子負債
当連結会計年度末現在の有利子負債の概要は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
有利子負債 | 年度別要支払額 | ||||
1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 | 合計 | |
(1) 短期借入金(※1) | 101,789 | - | - | - | 101,789 |
(2) 長期借入金(※1) | 88,065 | 150,604 | 166,242 | 388,926 | 793,838 |
(3) 社債 | 15,000 | 40,000 | 40,000 | 170,000 | 265,000 |
(4) リース債務(※2) | 4,130 | 4,725 | 2,859 | 1,817 | 13,532 |
合計 | 208,984 | 195,329 | 209,101 | 560,744 | 1,174,160 |
(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「(2) 長期借入金」に含めています。
(※2)「(4) リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計です。
また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、当連結会計年度末における債務保証額は461億44百万円です。
b 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金等については、内部資金または借入金及び社債により資金を調達することとしています。このうち、長期借入金及び社債にて調達した資金については、その大半を回収期間が長期にわたる鉄道事業や不動産賃貸事業を中心とした固定資産の取得等に充当しています。重要な設備投資の計画については、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」「(1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。また、これらの資金は、固定金利に比重を置いた調達を実施しています。
これらの資金調達に加えて、キャッシュマネジメントシステムによるグループ資金一元化により、グループ会社からの余剰資金を集約して有効活用するとともに、大規模自然災害や感染症の流行等の予期せぬ事象に備え、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結することにより、機動的に資金を確保する体制を構築しています。
c 株主還元
株主還元については、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 経営成績の状況」、「② 財政状態の状況」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
経営指標の見通し及び進捗状況については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。