有価証券報告書-第187期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当期のわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を背景に、期を通じて緩やかな回復が続きましたが、労働需給の逼迫、国際情勢及び為替市場の動向等による国内の物価上昇や、世界経済の不確実性の高まり等を受け、先行き不透明な状況で推移しました。
そうした中で、当社グループにおいては、中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、さまざまな取組を推し進めて着実に業績を伸長させるとともに、今後の成長を見据えた施策も進めました。
当期の業績については、前期のスポーツ事業におけるプロ野球関連特需や旅行事業における自治体の支援業務受注等の一時的な要因の反動があったことに加えて、国際輸送事業において貨物の取扱いが低迷したものの、不動産事業においてマンション分譲戸数が増加したことや、都市交通事業や海外旅行の需要回復等により、営業収益、営業利益、及び経常利益はいずれも増加しました。また、特別損益は改善したものの、税制改正による影響で法人税等調整額が増加したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期並みとなりました。
当期の当社グループの成績は次のとおりです。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(都市交通事業)
鉄道事業については、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、阪急桂駅、西宮北口駅、阪神甲子園駅をはじめとする各駅への可動式ホーム柵等の整備を推し進めたほか、2025年2月には利便性の向上を図るため、ダイヤ改正を実施しました。また、阪急京都線では、2024年7月より当社グループ初となる座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」の運行を開始しました。さらに、阪急電鉄、阪神電気鉄道、北大阪急行電鉄及び能勢電鉄の全駅において、QRコード(※1)を活用したデジタル乗車券サービス及びクレジットカード等のタッチ決済による乗車サービスを始めました。こうした施策を通じて、訪日外国人等を含めた幅広いお客様に安全・安心で快適にご利用いただけるよう、引き続き取り組んでいきます。
また、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、関西初の取組として、2025年4月より全線カーボンニュートラル運行(※2)を実施することとし、鉄道の環境優位性を活かすことで、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていきます。
このほか、阪急電鉄において、フィリピン マニラLRT1号線事業に参画し、日本での鉄道運営ノウハウを活かしながら、同路線の利便性・安全性の向上に取り組んでいます。
自動車事業については、阪急バス・阪神バスにおいて、公共交通機関として旅客輸送サービスを安定的に提供するために、2024年10月に路線バスの運賃改定を実施しました。
営業収益は前期に比べ63億26百万円(3.1%)増加し、2,095億87百万円となり、営業利益は前期に比べ7億66百万円(2.2%)増加し、350億23百万円となりました。
※1 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※2 鉄道事業(全線の列車運行及び駅施設等)で使用するすべての電力を実質的に再生可能エネルギー由来の電力に置き換え、CO₂排出量ゼロとします。
・ 阪急電鉄㈱運輸成績表
・ 阪神電気鉄道㈱運輸成績表
(注)1 客車走行キロは、社用、試運転、営業回送を含みません。なお、営業回送を含めた客車走行キロは、阪急電鉄㈱が165,990千キロ、阪神電気鉄道㈱が46,658千キロです。
2 乗車効率の算出方法
乗車効率 = 延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)× 100
(不動産事業)
不動産賃貸事業については、阪神千船駅の高架下商業施設「アバリーナ千船」(大阪市西淀川区)や阪急大宮駅直上の「大宮阪急ビル」(京都市中京区)をリニューアルオープンしたほか、「NU茶屋町」(大阪市北区)の段階的なリニューアルに着手するなど、商業施設やオフィスビルにおいて競争力の強化と稼働率の維持向上等に努めました。
また、うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」については、2024年9月の先行まちびらきに続き、2025年3月に南館がグランドオープンしました。工事は、2027年度の全体まちびらきに向けて、計画どおりに進捗しています。
このほか、東京駅前の大規模開発プロジェクト「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」の新築工事に着手しました。
不動産分譲事業については、マンション分譲では、「ジオタワー宝塚グランレジス」(兵庫県宝塚市)、「ジオ島本」(大阪府三島郡島本町)、「ジオ品川天王洲」(東京都品川区)等を販売しました。また、宅地戸建分譲では、「ジオガーデン彩都茨木」(大阪府茨木市)、「ジオガーデン三鷹下連雀三丁目」(東京都三鷹市)等を販売しました。
海外不動産事業については、オーストラリアにおいて物流不動産事業・住宅事業に参画したほか、インドネシアでバリを代表する商業・ホテルの複合施設「ビーチウォークコンプレックス」を一部取得するなど、海外における不動産賃貸事業の規模拡大を進めました。また、アセアン諸国において住宅分譲事業を推し進めたほか、初めてカナダにおいてマンション分譲事業に参画するなど、事業エリアの拡大にも努めました。
ホテル事業については、インバウンドを中心に宿泊部門が好調な中、「グラングリーン大阪」の南館に宿泊主体型のアップスケールホテルとして「ホテル阪急グランレスパイア大阪」を開業したほか、レストランのリニューアルや様々なプランの企画・販売等を通じて、事業競争力の強化に努めました。
営業収益は前期に比べ495億34百万円(15.6%)増加し、3,677億88百万円となり、営業利益は前期に比べ78億2百万円(15.7%)増加し、576億29百万円となりました。
(エンタテインメント事業)
スポーツ事業については、阪神タイガースが、シーズン終盤まで首位争いを演じ、公式戦主催試合入場者が300万人を超えるなど多くのファンの方々のご声援を受けてリーグ2位となり、クライマックスシリーズ進出を果たしました。また、開場100周年を迎えた阪神甲子園球場では、様々な記念事業を展開するなど魅力ある施設運営に取り組んだほか、次の100年に向けた施策として、銀傘をアルプススタンドまで拡張する工事に着手しました。このほか、阪神タイガースの新ファーム施設を兵庫県尼崎市に移転し、「ゼロカーボンベースボールパーク」として開業しました。
ステージ事業については、歌劇事業において、雪組公演「ベルサイユのばら -フェルゼン編-」、星組公演「記憶にございません! -トップ・シークレット-」/「Tiara Azul -Destino-」等の各公演が好評を博したほか、動画配信サービス「TAKARAZUKA SQUARE(タカスク)」や電子書籍サービス「ebooks タカラヅカ」の提供を開始するなど、お客様に宝塚歌劇をよりお楽しみいただけるよう、様々な取組を推進しました。
なお、宝塚歌劇団において、ガバナンス体制の強化の一環として、次のような取組を進め、すべての関係者が安心して事業に携わり、事業を通じて持続的に成長し活躍することができる体制を構築していきます。
a 宝塚歌劇団の法人化(株式会社化)
宝塚歌劇団の改革の実効性をさらに高めるべく、2025年7月に「宝塚歌劇団」を阪急電鉄が100%出資する「株式会社」として法人化します。法人化にあたり、事業部門・管理部門・内部監査部門による複層的なリスク管理体制のもとでの組織運営を通じてガバナンスを確保するとともに、法人化後の宝塚歌劇団の取締役は、過半数を社外出身者とします。
b 宝塚歌劇団における人事制度・雇用関係の見直し
すべての劇団員が心身とも健全な状態で最大限に力を発揮しながら、持続的に成長し活躍できる環境を構築すべく、宝塚歌劇団の特性も踏まえ、演技者との契約を雇用契約に移行し、労働時間の管理方法を変更しました。また、演出助手等に適用する労働時間制度を見直しました。
このほか、六甲山地区においては、自然・眺望と文化・スポーツ・グルメといった多様なコンテンツを組み合わせたイベントや企画を展開したほか、15回目を迎えた現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が好評を博するなど、インバウンドも含めて一層の集客に努めました。
しかしながら、前期にプロ野球関連特需があった反動や、前期好調だった歌劇関連商品の減収や宝塚歌劇の体制整備に伴う諸費用の増加等により、営業収益は69百万円(△0.1%)減少し、825億42百万円となり、営業利益は27億12百万円(△19.2%)減少し、114億6百万円となりました。
(情報・通信事業)
情報サービス事業については、鉄道会社や自治体に対し、鉄道車両内やまちなかのセキュリティ向上と犯罪等の抑止を目的とした防犯カメラシステムの提供を行いました。また、SNSソリューション事業に強みを持つ企業を子会社化するなど、事業領域の拡充を進めました。
放送・通信事業については、FTTHサービス(光ファイバーを用いた高速インターネットサービス)の提供に加え、携帯キャリア事業者等とのアライアンスを強化するなど、お客様のニーズに応える様々なサービスを展開することにより、事業の着実な伸長に努めました。
あんしん・教育事業については、安全・安心に対するニーズの高まり等を背景に、「登下校ミマモルメ」を導入する学校・施設数が着実に伸長しました。また、ロボットプログラミング教室「プログラボ」が、各種顧客満足度調査においてトップクラスに位置付けられるなど、高い評価を得ています。
営業収益は前期に比べ55億8百万円(8.5%)増加し、700億88百万円となり、営業利益は前期に比べ7億43百万円(12.1%)増加し、68億79百万円となりました。
(旅行事業)
旅行事業については、前期に比べ自治体からの支援業務等の受注は減少したものの、海外旅行部門において、広告展開の工夫や商品力の強化により、ツアーの販売が好調に推移しました。また、訪日旅行部門においては、円安によるインバウンド需要の高まり等を背景としてツアーの取扱いが増加したほか、国内旅行部門も前期に引き続き堅調に推移しました。
営業収益は前期に比べ441億88百万円(20.4%)増加し、2,611億4百万円となり、営業利益は前期に比べ3億29百万円(6.6%)増加し、52億98百万円となりました。
(国際輸送事業)
国際輸送事業については、航空輸送において、日本や東アジアを中心に受注競争が激化したことに加え、海上輸送も需給バランスが緩和したことで運賃水準が低下するなど、厳しい事業環境が続きました。
そうした中でも、南アフリカ、ケニア、アメリカ及びマレーシアで物流倉庫を拡張するなど、ロジスティクス事業の強化に努めるとともに、グローバルネットワークの拡充を図りました。
海外法人において為替の影響によって円換算額が増加したこと等により、営業収益は前期に比べ44億17百万円(4.4%)増加し、1,047億17百万円となりましたが、営業損益は前期に比べ15億8百万円悪化し、12億84百万円の営業損失となりました。
(その他)
建設業等その他の事業については、営業収益は前期に比べ50億5百万円(8.3%)増加し、651億31百万円となり、営業利益は前期に比べ3億60百万円(10.6%)増加し、37億71百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計については、販売土地及び建物や有形固定資産、投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,305億23百万円増加し、3兆2,834億53百万円となりました。
負債合計については、有利子負債や長期前受工事負担金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,684億95百万円増加し、2兆1,509億93百万円となりました。
純資産合計については、利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ620億27百万円増加し、1兆1,324億60百万円となり、自己資本比率は31.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物については、前連結会計年度末に比べ22億6百万円増加し、560億14百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益1,027億95百万円、減価償却費644億75百万円、持分法による投資利益154億51百万円、棚卸資産の増加額928億23百万円、法人税等の支払額194億41百万円等により、874億17百万円の収入(前期は1,235億13百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,279億51百万円、投資有価証券の取得による支出670億58百万円、投資有価証券の売却による収入110億11百万円、工事負担金等受入による収入215億65百万円等により、1,676億37百万円の支出(前期は1,413億20百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の純増による収入457億90百万円、社債の発行による収入745億98百万円、社債の償還による支出150億円、自己株式の取得による支出71億59百万円、配当金の支払額144億72百万円等により、794億71百万円の収入(前期は284億61百万円の収入)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、都市交通事業、不動産事業、エンタテインメント事業、情報・通信事業、旅行事業及び国際輸送事業など多種多様な事業を営んでいるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、特に以下の項目が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
a 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益等が見込めなくなった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合は、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b 販売用不動産の評価
当社グループは、販売用不動産を多数保有しています。市場環境の変化や開発・販売計画の変更等により、正味売却価額が大きく下落した場合は、販売用不動産の評価減を実施する可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得や実現可能性の高いタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。業績の変動等により、将来の課税所得やタックス・プランニングに変更が生じた場合は、繰延税金資産が増加または減少する可能性があります。
② 資本の財源及び資金の流動性
a 有利子負債
有利子負債の概要は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「長期借入金」に含めています。
(※2)「リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計です。
また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、前連結会計年度末及び当連結会計年度末における債務保証額は、それぞれ461億44百万円及び467億54百万円です。
b 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金等については、内部資金または借入金及び社債により資金を調達することとしています。このうち、長期借入金及び社債にて調達した資金については、その大半を回収期間が長期にわたる鉄道事業や不動産賃貸事業を中心とした固定資産の取得等に充当しています。重要な設備投資の計画については、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」「(1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。また、これらの資金は、固定金利に比重を置いた調達を実施しています。
これらの資金調達に加えて、キャッシュマネジメントシステムによるグループ資金一元化により、グループ会社からの余剰資金を集約して有効活用するとともに、大規模自然災害や感染症の流行等の予期せぬ事象に備え、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結することにより、機動的に資金を確保する体制を構築しています。
c 株主還元
株主還元については、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 経営成績の状況」、「② 財政状態の状況」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
経営指標の見通し及び進捗状況については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当期のわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を背景に、期を通じて緩やかな回復が続きましたが、労働需給の逼迫、国際情勢及び為替市場の動向等による国内の物価上昇や、世界経済の不確実性の高まり等を受け、先行き不透明な状況で推移しました。
そうした中で、当社グループにおいては、中期経営計画に掲げる目標を達成すべく、さまざまな取組を推し進めて着実に業績を伸長させるとともに、今後の成長を見据えた施策も進めました。
当期の業績については、前期のスポーツ事業におけるプロ野球関連特需や旅行事業における自治体の支援業務受注等の一時的な要因の反動があったことに加えて、国際輸送事業において貨物の取扱いが低迷したものの、不動産事業においてマンション分譲戸数が増加したことや、都市交通事業や海外旅行の需要回復等により、営業収益、営業利益、及び経常利益はいずれも増加しました。また、特別損益は改善したものの、税制改正による影響で法人税等調整額が増加したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期並みとなりました。
当期の当社グループの成績は次のとおりです。
当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 対前連結会計年度比較 | ||
増減額 | 増減率(%) | ||
営業収益 | 1兆1,068億54百万円 | 1,092億43百万円 | 11.0 |
営業利益 | 1,108億79百万円 | 51億90百万円 | 4.9 |
経常利益 | 1,112億42百万円 | 18億28百万円 | 1.7 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 673億86百万円 | △3億88百万円 | △0.6 |
セグメント別の業績は次のとおりです。
(都市交通事業)
鉄道事業については、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、阪急桂駅、西宮北口駅、阪神甲子園駅をはじめとする各駅への可動式ホーム柵等の整備を推し進めたほか、2025年2月には利便性の向上を図るため、ダイヤ改正を実施しました。また、阪急京都線では、2024年7月より当社グループ初となる座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」の運行を開始しました。さらに、阪急電鉄、阪神電気鉄道、北大阪急行電鉄及び能勢電鉄の全駅において、QRコード(※1)を活用したデジタル乗車券サービス及びクレジットカード等のタッチ決済による乗車サービスを始めました。こうした施策を通じて、訪日外国人等を含めた幅広いお客様に安全・安心で快適にご利用いただけるよう、引き続き取り組んでいきます。
また、阪急電鉄及び阪神電気鉄道において、関西初の取組として、2025年4月より全線カーボンニュートラル運行(※2)を実施することとし、鉄道の環境優位性を活かすことで、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていきます。
このほか、阪急電鉄において、フィリピン マニラLRT1号線事業に参画し、日本での鉄道運営ノウハウを活かしながら、同路線の利便性・安全性の向上に取り組んでいます。
自動車事業については、阪急バス・阪神バスにおいて、公共交通機関として旅客輸送サービスを安定的に提供するために、2024年10月に路線バスの運賃改定を実施しました。
営業収益は前期に比べ63億26百万円(3.1%)増加し、2,095億87百万円となり、営業利益は前期に比べ7億66百万円(2.2%)増加し、350億23百万円となりました。
※1 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※2 鉄道事業(全線の列車運行及び駅施設等)で使用するすべての電力を実質的に再生可能エネルギー由来の電力に置き換え、CO₂排出量ゼロとします。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
鉄道事業 | 1,533億59百万円 | 3.6 |
自動車事業 | 448億31百万円 | 2.7 |
流通事業 | 129億32百万円 | 1.2 |
都市交通その他事業 | 104億94百万円 | 4.7 |
調整額 | △120億30百万円 | - |
合計 | 2,095億87百万円 | 3.1 |
・ 阪急電鉄㈱運輸成績表
区分 | 当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 対前連結会計年度 増減率(%) | |||
営業日数 | (日) | 365 | △0.3 | ||
営業キロ | (キロ) | 143.6 | - | ||
客車走行キロ | (千キロ) | 162,014 | △0.2 | ||
定期 | (千人) | 318,964 | 1.8 | ||
旅客人員 | 定期外 | (千人) | 290,022 | 1.9 | |
合計 | (千人) | 608,987 | 1.9 | ||
定期 | (百万円) | 33,013 | 2.4 | ||
運輸収入 | 旅客運賃 | 定期外 | (百万円) | 62,265 | 2.6 |
合計 | (百万円) | 95,278 | 2.5 | ||
運輸雑収 | (百万円) | 5,150 | △0.3 | ||
収入合計 | (百万円) | 100,429 | 2.4 | ||
乗車効率 | (%) | 39.1 | - |
・ 阪神電気鉄道㈱運輸成績表
区分 | 当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | 対前連結会計年度 増減率(%) | |||
営業日数 | (日) | 365 | △0.3 | ||
営業キロ | (キロ) | 48.9 | - | ||
客車走行キロ | (千キロ) | 44,902 | 0.1 | ||
定期 | (千人) | 124,258 | 2.9 | ||
旅客人員 | 定期外 | (千人) | 118,288 | 3.4 | |
合計 | (千人) | 242,547 | 3.2 | ||
定期 | (百万円) | 12,449 | 3.7 | ||
運輸収入 | 旅客運賃 | 定期外 | (百万円) | 23,065 | 3.7 |
合計 | (百万円) | 35,515 | 3.7 | ||
鉄道線路使用料収入 | (百万円) | 50 | - | ||
運輸雑収 | (百万円) | 2,617 | △2.5 | ||
収入合計 | (百万円) | 38,183 | 3.4 | ||
乗車効率 | (%) | 41.5 | - |
(注)1 客車走行キロは、社用、試運転、営業回送を含みません。なお、営業回送を含めた客車走行キロは、阪急電鉄㈱が165,990千キロ、阪神電気鉄道㈱が46,658千キロです。
2 乗車効率の算出方法
乗車効率 = 延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)× 100
(不動産事業)
不動産賃貸事業については、阪神千船駅の高架下商業施設「アバリーナ千船」(大阪市西淀川区)や阪急大宮駅直上の「大宮阪急ビル」(京都市中京区)をリニューアルオープンしたほか、「NU茶屋町」(大阪市北区)の段階的なリニューアルに着手するなど、商業施設やオフィスビルにおいて競争力の強化と稼働率の維持向上等に努めました。
また、うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」については、2024年9月の先行まちびらきに続き、2025年3月に南館がグランドオープンしました。工事は、2027年度の全体まちびらきに向けて、計画どおりに進捗しています。
このほか、東京駅前の大規模開発プロジェクト「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」の新築工事に着手しました。
不動産分譲事業については、マンション分譲では、「ジオタワー宝塚グランレジス」(兵庫県宝塚市)、「ジオ島本」(大阪府三島郡島本町)、「ジオ品川天王洲」(東京都品川区)等を販売しました。また、宅地戸建分譲では、「ジオガーデン彩都茨木」(大阪府茨木市)、「ジオガーデン三鷹下連雀三丁目」(東京都三鷹市)等を販売しました。
海外不動産事業については、オーストラリアにおいて物流不動産事業・住宅事業に参画したほか、インドネシアでバリを代表する商業・ホテルの複合施設「ビーチウォークコンプレックス」を一部取得するなど、海外における不動産賃貸事業の規模拡大を進めました。また、アセアン諸国において住宅分譲事業を推し進めたほか、初めてカナダにおいてマンション分譲事業に参画するなど、事業エリアの拡大にも努めました。
ホテル事業については、インバウンドを中心に宿泊部門が好調な中、「グラングリーン大阪」の南館に宿泊主体型のアップスケールホテルとして「ホテル阪急グランレスパイア大阪」を開業したほか、レストランのリニューアルや様々なプランの企画・販売等を通じて、事業競争力の強化に努めました。
営業収益は前期に比べ495億34百万円(15.6%)増加し、3,677億88百万円となり、営業利益は前期に比べ78億2百万円(15.7%)増加し、576億29百万円となりました。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
賃貸事業 | 1,411億24百万円 | 11.1 |
分譲事業等 | 1,883億31百万円 | 22.4 |
海外不動産事業 | 120億68百万円 | 41.1 |
ホテル事業 | 650億76百万円 | 3.9 |
調整額 | △388億12百万円 | - |
合計 | 3,677億88百万円 | 15.6 |
(エンタテインメント事業)
スポーツ事業については、阪神タイガースが、シーズン終盤まで首位争いを演じ、公式戦主催試合入場者が300万人を超えるなど多くのファンの方々のご声援を受けてリーグ2位となり、クライマックスシリーズ進出を果たしました。また、開場100周年を迎えた阪神甲子園球場では、様々な記念事業を展開するなど魅力ある施設運営に取り組んだほか、次の100年に向けた施策として、銀傘をアルプススタンドまで拡張する工事に着手しました。このほか、阪神タイガースの新ファーム施設を兵庫県尼崎市に移転し、「ゼロカーボンベースボールパーク」として開業しました。
ステージ事業については、歌劇事業において、雪組公演「ベルサイユのばら -フェルゼン編-」、星組公演「記憶にございません! -トップ・シークレット-」/「Tiara Azul -Destino-」等の各公演が好評を博したほか、動画配信サービス「TAKARAZUKA SQUARE(タカスク)」や電子書籍サービス「ebooks タカラヅカ」の提供を開始するなど、お客様に宝塚歌劇をよりお楽しみいただけるよう、様々な取組を推進しました。
なお、宝塚歌劇団において、ガバナンス体制の強化の一環として、次のような取組を進め、すべての関係者が安心して事業に携わり、事業を通じて持続的に成長し活躍することができる体制を構築していきます。
a 宝塚歌劇団の法人化(株式会社化)
宝塚歌劇団の改革の実効性をさらに高めるべく、2025年7月に「宝塚歌劇団」を阪急電鉄が100%出資する「株式会社」として法人化します。法人化にあたり、事業部門・管理部門・内部監査部門による複層的なリスク管理体制のもとでの組織運営を通じてガバナンスを確保するとともに、法人化後の宝塚歌劇団の取締役は、過半数を社外出身者とします。
b 宝塚歌劇団における人事制度・雇用関係の見直し
すべての劇団員が心身とも健全な状態で最大限に力を発揮しながら、持続的に成長し活躍できる環境を構築すべく、宝塚歌劇団の特性も踏まえ、演技者との契約を雇用契約に移行し、労働時間の管理方法を変更しました。また、演出助手等に適用する労働時間制度を見直しました。
このほか、六甲山地区においては、自然・眺望と文化・スポーツ・グルメといった多様なコンテンツを組み合わせたイベントや企画を展開したほか、15回目を迎えた現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が好評を博するなど、インバウンドも含めて一層の集客に努めました。
しかしながら、前期にプロ野球関連特需があった反動や、前期好調だった歌劇関連商品の減収や宝塚歌劇の体制整備に伴う諸費用の増加等により、営業収益は69百万円(△0.1%)減少し、825億42百万円となり、営業利益は27億12百万円(△19.2%)減少し、114億6百万円となりました。
事業の内容 | 当連結会計年度 (自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日) | |
営業収益 | 対前連結会計年度 増減率(%) | |
スポーツ事業 | 482億44百万円 | △4.1 |
ステージ事業 | 342億25百万円 | 6.2 |
調整額 | 73百万円 | - |
合計 | 825億42百万円 | △0.1 |
(情報・通信事業)
情報サービス事業については、鉄道会社や自治体に対し、鉄道車両内やまちなかのセキュリティ向上と犯罪等の抑止を目的とした防犯カメラシステムの提供を行いました。また、SNSソリューション事業に強みを持つ企業を子会社化するなど、事業領域の拡充を進めました。
放送・通信事業については、FTTHサービス(光ファイバーを用いた高速インターネットサービス)の提供に加え、携帯キャリア事業者等とのアライアンスを強化するなど、お客様のニーズに応える様々なサービスを展開することにより、事業の着実な伸長に努めました。
あんしん・教育事業については、安全・安心に対するニーズの高まり等を背景に、「登下校ミマモルメ」を導入する学校・施設数が着実に伸長しました。また、ロボットプログラミング教室「プログラボ」が、各種顧客満足度調査においてトップクラスに位置付けられるなど、高い評価を得ています。
営業収益は前期に比べ55億8百万円(8.5%)増加し、700億88百万円となり、営業利益は前期に比べ7億43百万円(12.1%)増加し、68億79百万円となりました。
(旅行事業)
旅行事業については、前期に比べ自治体からの支援業務等の受注は減少したものの、海外旅行部門において、広告展開の工夫や商品力の強化により、ツアーの販売が好調に推移しました。また、訪日旅行部門においては、円安によるインバウンド需要の高まり等を背景としてツアーの取扱いが増加したほか、国内旅行部門も前期に引き続き堅調に推移しました。
営業収益は前期に比べ441億88百万円(20.4%)増加し、2,611億4百万円となり、営業利益は前期に比べ3億29百万円(6.6%)増加し、52億98百万円となりました。
(国際輸送事業)
国際輸送事業については、航空輸送において、日本や東アジアを中心に受注競争が激化したことに加え、海上輸送も需給バランスが緩和したことで運賃水準が低下するなど、厳しい事業環境が続きました。
そうした中でも、南アフリカ、ケニア、アメリカ及びマレーシアで物流倉庫を拡張するなど、ロジスティクス事業の強化に努めるとともに、グローバルネットワークの拡充を図りました。
海外法人において為替の影響によって円換算額が増加したこと等により、営業収益は前期に比べ44億17百万円(4.4%)増加し、1,047億17百万円となりましたが、営業損益は前期に比べ15億8百万円悪化し、12億84百万円の営業損失となりました。
(その他)
建設業等その他の事業については、営業収益は前期に比べ50億5百万円(8.3%)増加し、651億31百万円となり、営業利益は前期に比べ3億60百万円(10.6%)増加し、37億71百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計については、販売土地及び建物や有形固定資産、投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,305億23百万円増加し、3兆2,834億53百万円となりました。
負債合計については、有利子負債や長期前受工事負担金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,684億95百万円増加し、2兆1,509億93百万円となりました。
純資産合計については、利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ620億27百万円増加し、1兆1,324億60百万円となり、自己資本比率は31.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物については、前連結会計年度末に比べ22億6百万円増加し、560億14百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益1,027億95百万円、減価償却費644億75百万円、持分法による投資利益154億51百万円、棚卸資産の増加額928億23百万円、法人税等の支払額194億41百万円等により、874億17百万円の収入(前期は1,235億13百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出1,279億51百万円、投資有価証券の取得による支出670億58百万円、投資有価証券の売却による収入110億11百万円、工事負担金等受入による収入215億65百万円等により、1,676億37百万円の支出(前期は1,413億20百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、借入金の純増による収入457億90百万円、社債の発行による収入745億98百万円、社債の償還による支出150億円、自己株式の取得による支出71億59百万円、配当金の支払額144億72百万円等により、794億71百万円の収入(前期は284億61百万円の収入)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、都市交通事業、不動産事業、エンタテインメント事業、情報・通信事業、旅行事業及び国際輸送事業など多種多様な事業を営んでいるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりですが、特に以下の項目が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
a 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益等が見込めなくなった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合は、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b 販売用不動産の評価
当社グループは、販売用不動産を多数保有しています。市場環境の変化や開発・販売計画の変更等により、正味売却価額が大きく下落した場合は、販売用不動産の評価減を実施する可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得や実現可能性の高いタックス・プランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。業績の変動等により、将来の課税所得やタックス・プランニングに変更が生じた場合は、繰延税金資産が増加または減少する可能性があります。
② 資本の財源及び資金の流動性
a 有利子負債
有利子負債の概要は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度 (2024年3月31日) | 当連結会計年度 (2025年3月31日) | |
短期借入金(※1) | 101,789 | 87,804 |
長期借入金(※1) | 793,838 | 855,588 |
社債 | 265,000 | 325,000 |
リース債務(※2) | 13,532 | 14,382 |
有利子負債 合計 | 1,174,160 | 1,282,775 |
現金及び預金 | 59,610 | 61,052 |
ネット有利子負債 | 1,114,550 | 1,221,723 |
(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「長期借入金」に含めています。
(※2)「リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計です。
また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、前連結会計年度末及び当連結会計年度末における債務保証額は、それぞれ461億44百万円及び467億54百万円です。
b 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金等については、内部資金または借入金及び社債により資金を調達することとしています。このうち、長期借入金及び社債にて調達した資金については、その大半を回収期間が長期にわたる鉄道事業や不動産賃貸事業を中心とした固定資産の取得等に充当しています。重要な設備投資の計画については、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」「(1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。また、これらの資金は、固定金利に比重を置いた調達を実施しています。
これらの資金調達に加えて、キャッシュマネジメントシステムによるグループ資金一元化により、グループ会社からの余剰資金を集約して有効活用するとともに、大規模自然災害や感染症の流行等の予期せぬ事象に備え、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結することにより、機動的に資金を確保する体制を構築しています。
c 株主還元
株主還元については、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 経営成績の状況」、「② 財政状態の状況」、「③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
経営指標の見通し及び進捗状況については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。