有価証券報告書-第10期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/28 14:07
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
財政状態
当連結会計年度末の資産残高は2兆7,385億円となりました。資産の部では、販売用不動産への投資等の進捗により、前連結会計年度末から合計1,041億円増加しました。当連結会計年度末の負債残高については2兆378億円となり、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末から合計467億円増加しております。当連結会計年度末の純資産残高については7,007億円となり、利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末から合計574億円増加しております。
経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高10,058億円(対前期+1.7%)、営業利益1,104億円(同+31.7%)、経常利益996億円(同+36.7%)と、堅調な不動産市場を背景とした売買マーケットや分譲マンションの好調、行動制限や水際対策の緩和によるホテル事業の回復等により増収増益となりました。
「中期経営計画2025」に基づき効率性向上に向けた事業構造改革を進めたこと等により、特別利益として関係会社株式売却益等19億円(前期は特別利益71億円)、特別損失として減損損失等313億円(前期は特別損失240億円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は482億円(同+37.3%)となりました。
当連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて、過去最高となりました。
(単位:億円)
前期当期比較
売上高9,89010,058168
営業利益8381,104266
経常利益728996267
親会社株主に帰属する当期純利益351482131
有利子負債14,21714,829612

<セグメント別業績>
売上高(単位:億円)営業利益(単位:億円)
前期当期比較前期当期比較
合計9,89010,058168合計8381,104266
都市開発3,2583,461203都市開発51958667
戦略投資670788118戦略投資1471525
管理運営3,8383,371△466管理運営△1123124
不動産流通2,3452,630284不動産流通26133775
全社・消去△220△19129全社・消去△89△94△6

イ.都市開発事業
売上高は3,461億円(対前期+6.2%)、営業利益は586億円(同+12.9%)となりました。
下段売上高内訳の「住宅分譲」では、分譲マンションの計上戸数減少により減収となった一方で、「都市(賃貸オフィス)」では、「九段会館テラス」(東京都千代田区)の新規開業、「都市(賃貸商業施設)」では、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設の一定の回復、「都市その他」「住宅その他」でのアセット売却増等により増収となり、セグメント全体では増収増益となりました。
オフィスマーケットは、テレワーク等の働き方の多様化により、オフィスビルの需要縮小等が懸念されておりましたが、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に堅調に推移しており、空室率(オフィスビル・商業施設)は1.1%と低水準を維持しております。
分譲マンションの販売は、引き続き底堅い需要により堅調に推移しております。当期の分譲マンションは、「ブランズ上目黒諏訪山」(東京都目黒区)、「ブランズシティ南草津」(滋賀県草津市)を新規竣工引渡物件として計上した他、完成在庫の販売も進捗しております。なお、マンションの次期売上予想に対する契約済み割合は82%(同+24P)となっております。
(億円)
前期当期比較通期予想
(11月9日公表)
対予想
売上高3,2583,4612033,480△19
営業利益5195866751373

売上高内訳(億円)
前期当期比較
都市1,6942,007314
都市(賃貸オフィス)51054737
都市(賃貸商業施設)3964037
都市その他7881,058270
住宅1,5641,453△111
住宅分譲1,399955△443
住宅その他166498332

賃貸オフィス・賃貸商業施設:空室率
2020年3月期末2021年3月期末2022年3月期末2023年3月期末
0.6%1.3%1.3%1.1%

※新規竣工した「九段会館テラス」を除く2023年3月期末の空室率:0.7%
主な開業物件(2023年3月期開業物件)
用途竣工時期延床面積
九段会館テラスオフィス・商業2022年7月68千㎡

住宅分譲:分譲マンション(戸)
前期当期比較
計上戸数2,1941,369△825
新規供給戸数1,5491,310△239
契約戸数1,8331,562△271
期末完成在庫661200△461

ロ.戦略投資事業
売上高は788億円(対前期+17.6%)、営業利益は152億円(同+3.4%)となりました。
下段売上高内訳の「インフラ・インダストリー」は、物流施設のアセット売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加等により増収となり、セグメント全体で増収増益となりました。
再生可能エネルギー事業は、稼働施設が計画通り増加する等、順調に拡大しており、全施設稼働後の総定格容量(持分換算前)は、1,577MWの規模となります。
(億円)
前期当期比較通期予想
(11月9日公表)
対予想
売上高67078811875038
営業利益147152511834

売上高内訳(億円)
前期当期比較
インフラ・インダストリー528633106
投資運用83896
海外59656

再生可能エネルギー発電施設
2020年3月期末2021年3月期末2022年3月期末2023年3月期末
稼働施設数(件)30386665
稼働済定格容量(MW)4877308821,034

※稼働済定格容量は、持分換算前の容量を記載しております。
※2023年3月期末より、稼働施設数、稼働済定格容量からルーフトップ(屋根上太陽光発電設備)を除いておりま
す。
ハ.管理運営事業
売上高は3,371億円(対前期△12.1%)、営業利益は123億円(黒字転換)となりました。
前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部の自治体において緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令され、運営施設は休業や営業時間の短縮等の影響がありましたが、当連結会計年度は、行動制限や水際対策の緩和等もあり、ホテル事業を中心に需要の回復がみられました。
下段売上高内訳の「管理」は、マンション工事の増加等により増収、「ウェルネス」は、前期におけるアセット売却収益の反動減の一方でホテルを中心とした需要の回復等により増収、「ハンズ」は、株式譲渡に伴い前連結会計年度末より当社の連結範囲から除外されたため減収となり、セグメント全体では減収増益となりました。
(億円)
前期当期比較通期予想
(11月9日公表)
対予想
売上高3,8383,371△4663,390△19
営業利益△11231241149

売上高内訳(億円)
前期当期比較
管理2,0602,13171
マンション管理1,2731,31239
ビル管理78681932
ウェルネス1,0731,10331
ホテル285422138
レジャー16019130
ヘルスケア23826527
ウェルネスその他390225△165
ハンズ567-△567
環境緑化等138137△1

※ホテル :ハーヴェストクラブ、東急ステイ、リゾートホテル等
※レジャー :ゴルフ場、スキー場等
※ヘルスケア:シニア住宅、フィットネス施設等
※ハンズ :株式会社東急ハンズの全発行済株式の譲渡に伴い、前連結会計年度末より当社の連結範囲から除外
(2022年10月1日より株式会社ハンズに会社名を変更しています)
期末管理物件数
2020年3月期末2021年3月期末2022年3月期末2023年3月期末
マンション(戸)829,533839,891831,603867,891
ビル等 (件)1,5611,5321,6261,656

ニ.不動産流通事業
売上高は2,630億円(対前期+12.1%)、営業利益は337億円(同+28.9%)となりました。
下段売上高内訳の「売買仲介」は、活況な不動産流通市場を捉えた取扱件数・平均取扱価格の上昇により、また「不動産販売」は、開発案件および大型案件の計上増等により増収となり、セグメント全体で増収増益となりました。
(億円)
前期当期比較通期予想
(11月9日公表)
対予想
売上高2,3452,6302842,630△0
営業利益2613377531027

売上高内訳(億円)
前期当期比較
仲介1,4671,642175
売買仲介690800110
不動産販売70677266
販売受託等7170△1
賃貸住宅サービス878987109

売買仲介
2020年3月期末2021年3月期末2022年3月期末2023年3月期末
取扱件数(件)26,43725,63528,75029,577
取扱高(億円)13,15912,26515,78018,213

※リテール、ホールセールの合計値です。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,706億円となり、前期末と比較して168億円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払△298億円等により資金減少の一方、税金等調整前当期純利益702億円、減価償却費445億円等により、947億円の資金増加となりました。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入125億円等の資金増加の一方、固定資産の取得△846億円、有価証券及び投資有価証券の取得△396億円等により、1,201億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済△1,515億円、社債の償還△200億円等の一方で、長期借入金の調達2,091億円等により、428億円の資金増加となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナのもと感染症対策等と経済活動との両立が進んだことで緩やかながらも回復基調となった一方、世界的な金融引き締め、地政学リスクの顕在化による供給面の制約等が事業環境に影響を及ぼしました。
このような状況のもと、当社グループは、「中期経営計画2025」に掲げる、「アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性の向上」の実現に向けて、事業ポートフォリオの再構築を着実に推進するとともに、全社方針である「環境経営」と「DX」を通じた独自性のある価値創出に取り組んでまいりました。当事業年度は、事業ポートフォリオマネジメントでは、「中期経営計画2025」において、「抜本的な再構築」の対象とした事業について、売却や外部連携等を含めて改革を推進し、その目処を付けることができました。今後は、事業環境の変化をしっかりと見据えながら、定量評価と定性評価の2軸で事業ポートフォリオを管理し、各事業の変革と成長を実現してまいります。
財政状態については、当期末の総資産は2兆7,385億円で、販売用不動産への投資等が進捗し対前期末1,041億円増加、当期末の総負債についても有利子負債の増加等により、2兆378億円と、対前期末467億円増加しております。当期末の純資産については利益剰余金等が増加し、7,007億円と、対前期末574億円増加しております。財務資本戦略として、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・都市開発事業セグメント
都市事業では、2022年10月「九段会館テラス」の新規開業、東急プラザを始めとする当社グループの主要な商業施設の一定の回復、活況な不動産売買市況によるアセット売却の増加等によって増収増益となりました。住宅事業では、「住宅分譲」の分譲マンションの計上戸数減少の一方、賃貸住宅等のアセット売却が増加となり、セグメント全体では増収増益となりました。
オフィス市場は、テレワーク等の働き方の多様化により、オフィスビルの需要縮小等が懸念されておりましたが、当社が数多く保有する渋谷エリアを中心に堅調に推移しており、当社グループ保有物件における2023年3月末時点での空室率(オフィスビル・商業施設)は1.1%と、引き続き低水準を維持しております。
当社ポートフォリオにおいては、空室率及び賃料に大きな変化は見られませんが、東京都心における新規オフィスの供給状況、各テナント企業のアフターコロナのオフィス戦略には注視が必要です。またコロナ禍を受け従業員の働き方の多様化、企業の環境や健康経営への関心の高まりなど、社会から問われる課題は高度化している中、東急不動産㈱のオフィスでは、テナント企業に働く場所を提供するだけでなく、ハード・ソフトの両面で様々な付加価値サービスを提供するため、新しい働き方として「GREEN WORK STYLE」の提案を行っております。センターオフィスを中心にシェアオフィスなど様々なワークプレイスの提供や、再生可能エネルギーを活用した環境への取り組み、従業員の健康やライフスタイルを充実させる取り組みなど、当社グループのリソースを活用したワンストップでのご提案により、テナント企業の企業価値向上と従業員のウェルビーイングに貢献してまいります。
大型開発プロジェクトについては、2020年9月に開業した当社グループ最大規模のオフィスビルである「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」は開業時より満室で稼働しております。2022年10月に開業した「九段会館テラス」は、歴史的建造物の創建当時の貴重な技術や素材を活かして保存・復原を行った保存部分と、お濠を臨みIoTを活用した地上17階建ての最新鋭のオフィスとなる新築部分が融合した施設で、テナントリーシングは既に100%契約済みとなっております。今後の竣工物件としては、当社グループで最大規模となる「Shibuya Sakura Stage」(渋谷駅桜丘口地区再開発計画)が2023年11月に竣工予定で、その他にも2023年10月開業予定の「Forestgate Daikanyama」(代官山町プロジェクト)、2023年秋開業予定の「COCONO SUSUKINO」(札幌すすきの駅前複合再開発計画)の大型物件が順次開業を迎えます。引き続き「広域渋谷圏」の内外においても、複数の開発案件が進行しております。
商業施設については、東急プラザを始めとする当社グループの主要な施設は、新型コロナウイルス感染拡大影響から一定の回復をしております。インバウンド消費の回復、EC市場拡大継続など消費行動の変化に対応したリーシング活動の推進、新たな価値提供に向けたリニューアルの実施などを進めてまいります。
分譲マンション市場は、都心立地や利便性を重視する顧客志向、在宅勤務を契機とした住宅の質の改善、住宅ローン金利の低位安定等、購買環境が引き続き良好なこともあり、実需層を中心に、当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2024年3月期の期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は82%となっております。「BRANZ(ブランズ)」のブランドで首都圏や関西圏を中心に分譲マンション事業を行っており、高付加価値の再開発物件に重点を置いた事業の強化や、持続可能で心地よい暮らしと環境
貢献実現のために新たな発想や仕組みを取り入れた「環境先進マンション」の開発に注力しております。建築工事費については、資材価格の高騰や慢性的な人工不足によりコスト上昇傾向にありますが、引き続き状況を注視しながら、工事金のコントロールを図ってまいります。
2024年3月期の当セグメントにおいては、新規物件の取得環境が過熱する状況の中での厳選投資及び、「Shibuya Sakura Stage」をはじめとした大型開発案件の着実な推進が重点課題となっております。また、分譲マンションの市況は、堅調に推移しており、引き続き着実に販売を進める方針です。
環境対応として、2022年12月には東急不動産㈱の自社事業所やオフィスビル・商業施設をはじめとした全ての保有施設において、使用電力の再生可能エネルギー電力への切替を完了した他、2026年3月期に新築ビル(着工件数ベース)の約50%をZEB水準とすることを目標に掲げるなど、先駆的に取り組んでおります。住宅事業においては、中期経営計画からの目標を前倒して、2023年度以降に着工する分譲マンション「BRANZ」の全物件でZEH相当の環境性能とすることを決定、さらに「低炭素建築物」の認定も業界に先駆けて全棟にて取得いたします。また2025年度以降に着工する都市型賃貸レジデンス「COMFORIA(コンフォリア)」、学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」の全棟でも、ZEH相当の環境性能といたします。
・戦略投資事業セグメント
インフラ・インダストリー事業は、物流施設のアセット売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加等により、増収増益となりました。
当社グループが、近年事業規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT制度によって売電価格が固定されており、景気変動等に対する影響が少なく、安定的に収益に寄与する事業です。「ReENE(リエネ)」のブランド名で太陽光発電所、風力発電所などの開発に注力しており、稼働案件も着実に増やしております。外部環境としては、政府が2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を36~38%に増加させる方針に加え、2050年までに温室効果ガスの排出を0にする2050年カーボンニュートラルを掲げており、今後も市場が拡大していくと見込まれます。
再生可能エネルギー事業の重要性の高まりにより、案件の取得環境は過熱しておりますが、さらなる規模拡大に向け、開発の中心を従来の太陽光発電から風力発電にシフト、PPAモデルやソーラーシェア等の新たな事業モデルの検討、パートナー共創による事業領域の拡大を図っていきます。2023年3月末時点での定格容量は約1.6GW(持分換算前・開発中プロジェクト含む)で、2025年度には原子力発電所2基分相当となる2.1GWへ拡大させていく予定です。
物流施設は、EC市場の成長により引き続き需要拡大が見込める環境であり、再生可能エネルギーの活用やCASBEE認証取得等の環境配慮型施設など、当社グループならではの付加価値を創出し、他社との差別化を図りながら、回転型事業として今後も事業の拡大を進めてまいります。
海外事業においては、米国投資事業のさらなる成長、アジアにおける事業領域の拡大など、対象国を厳選した上で、関与資産を拡大して、管理やアセットマネジメントなどのグループノウハウを活用した事業機会を創出し、中長期的な「営業利益100億円体制」の構築を図ります。また、昨今の海外の政策金利上昇や銀行破綻による影響などを注視しつつ、事業リスク低減に向けた既存事業の見直し及び収益性向上に向けた取り組みを推進してまいります。
・管理運営事業セグメント
㈱東急コミュニティーにおける管理事業では、マンション工事の増加等により増収、東急不動産㈱のウェルネス事業では、行動制限や水際対策の緩和等もあり、「ホテル」を中心とした需要の回復等により増収、セグメント全体ではハンズ事業の連結除外等により減収の一方、増益となりました。
マンション管理やビル管理の管理事業における事業環境は、人材不足・採用難、資材・労務費高騰、マンション新規供給減、大型複合開発やPFI・コンセッション事業の案件増加、2023年3月期より開始となったマンション管理適正評価制度と管理計画認定制度への対応、環境対応やアフターコロナへの移行等の社会課題の顕在化などを課題として認識しております。重点課題としては、管理業においては、ストック拡大に頼った利益成長ではなく、「量」から「質」への転換及び質の向上により、生産性・収益性の改善及び事業ドメインの拡大を図ってまいります。工事業においては当社グループのシナジーを最大限活用した営業強化を進める方針です。
ウェルネス事業においては、2023年3月期はホテルを中心とした需要の回復がみられ、業績は改善しております。また、事業ポートフォリオの見直しを図り、抜本的な再構築が必要な事業については、構造改革の目途づけは完了しました。今後はホテル・レジャー事業では、国内及びインバウンド需要の回復を捉えた運営収益拡大に向けた取り組みの実施、会員制ホテル及びコンドミニアムの開発事業利益拡大に向けた事業推進、ヘルスケア事業では、業界大手のパートナーとの資本提携により、共同での販促、購買などの強化を促進し早期黒字化を目指してまいります。
・不動産流通事業セグメント
東急リバブル㈱における売買仲介のリテール部門・ホールセール部門は、活況な不動産流通市場により取扱件数及び平均取扱価格の上昇、また不動産販売における開発案件及び大型物件の計上増等により、セグメント全体で増収増益となりました。
仲介事業における事業環境は、低金利の継続、テレワークの普及等に伴う個人の土地・戸建の購買意欲の高まりを背景に、都心・郊外のエリアを問わず好調な取引が行われました。また、企業および投資家などによる不動産投資市場についても、円安、低金利を背景に海外ファンドの対日投資は旺盛な取引が行われました。今後も新築分譲マンション市場の縮小により中古住宅市場の拡大が見込まれるため、引き続き、店舗展開による収益基盤の拡大に注力する一方、長期的にはITの進化等による事業構造の変化への注視が必要と認識しております。DX活用による営業活動の効率化や、リテール部門における取引件数の更なる積み上げ、ホールセール部門における事業領域の拡大を目的とした法人戦略の強化等を重点課題として考えております。
DX活用による営業活動の効率化として、「マンション価格査定AI」を導入いたしました。実際の査定データとデータサイエンスを活用し、誤差率を低水準に抑えたAIの開発に成功しました。東急リバブルでは年間30,000件超のマンション査定を首都圏エリアで受託しており、このAIを活用することで約15,000時間の削減効果を見込んでいます。削減された時間は、人の力でしか出来ない顧客接点の深化・拡大業務に充てることで、人的資源の最大化を図る方針です。そして将来的には、本システムの外部提供も検討してまいります。また、販売受託業においても新しい取り組みとして、2022年5月には東急リバブル㈱の分譲マンションや受託物件を中心に、デジタル技術を活用し複数の物件を一拠点で販売できる事務所を開設いたしました。
ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「GROUP VISION 2030」で掲げた財務資本戦略として、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。
「資産のコントロール」では、既存事業の効率性向上と事業ポートフォリオの最適化が課題です。既存事業の効率性向上の具体的な施策として、資産活用型事業においては、分譲事業、循環型再投資事業、高効率事業の拡大、大型開発プロジェクトの着実な稼働、外部資本活用やフィー収入の拡大、資産ポートフォリオ入替、低収益資産の売却などに取り組みます。人財活用型事業では、規模の成長と共に労働集約型からの脱却などにより効率性を向上します。
「負債・自己資本のコントロール」では、財務規律を維持しながら、市況悪化時にも耐えうる財務基盤を構築し、円滑な資金調達を目的とした格付維持向上を図ります。引き続き、期間利益の積上げによりD/Eレシオを改善してまいります。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの資産、有形固定資産及び無形固定資産の増加額の内訳は以下のとおりです。
(単位:百万円)
都市開発戦略投資管理運営不動産流通調整額連結
財務諸表
計上額
セグメント資産1,644,082537,028407,569223,015△73,2372,738,458
有形固定資産及び無形固定資産の増加額44,64618,89013,1815,7541,50083,974

当社グループの主要な資金需要は、都市開発事業セグメントにおけるオフィスビルや商業施設、分譲マンションや賃貸住宅等の取得・開発資金、戦略投資事業セグメントにおける再生可能エネルギー発電施設、物流施設等の取得・開発資金、海外事業への出資、管理運営事業セグメントのウェルネス事業におけるリゾート施設等の取得・開発資金等であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応していくこととしております。また、手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の増加等により947億円の資金増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得や有価証券及び投資有価証券の取得等により1,201億円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加等により428億円増加し、現金等の期末残高が1,706億円となりました。翌連結会計年度においても、オフィスビルや商業施設、再生可能エネルギー施設や物流施設等への投資が計画されておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、借入金の調達等の財務活動によるキャッシュ・フローで対応していく予定です。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの実績及び、翌連結会計年度における予想は以下のとおりです。
(単位:億円)
2023年3月期2024年3月期
(予想)
営業活動によるキャッシュ・フロー9471,127
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,201△2,215
財務活動によるキャッシュ・フロー4281,470

(注)2024年3月期(予想)の棚卸資産への投資は、投資活動によるキャッシュ・フローに含みます。

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