有価証券報告書-第67期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 15:10
【資料】
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【項目】
147項目
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績
当連結会計年度における売上高は2,638億円(前期比4.6%増)、営業利益については181億円(前期比17.5%減)、売上高営業利益率は前期比1.8ポイント減の6.9%となりました。また経常利益は195億円(前期比11.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は168億円(前期比26.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は130億円(前期比17.7%減)、1株当たり当期純利益は54円65銭(前期比10円88銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計) 当セグメントの売上高は、前期比3.4%増の1,574億円、営業利益は前期比15.4%減の235億円となりました。
(コンシューマ) 当セグメントの売上高は、前期比6.4%増の863億円、営業利益は前期比26.6%減の43億円となりました。
(システム) 当セグメントの売上高は、前期比9.9%増の146億円、営業利益は25億円の赤字(前期22億円の赤字)となりました。
(その他) 当セグメントの売上高は、前期比3.1%減の53億円、営業利益は前期比3.0%減の3億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
時計144,723△2.4
コンシューマ83,4465.8
システム10,78810.8
その他3,409△9.9
合計242,3660.7

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績
当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
時計157,4823.4
コンシューマ86,3526.4
システム14,6199.9
その他5,378△3.1
合計263,8314.6

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比20億円減の3,352億円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前期比15億円増の2,323億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比35億円減の1,029億円となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(時計) 当セグメントの資産は、前期比42億円増の1,286億円となりました。
(コンシューマ) 当セグメントの資産は、前期比11億円増の822億円となりました。
(システム) 当セグメントの資産は、前期比8億円増の208億円となりました。
(その他) 当セグメントの資産は、前期比9億円減の115億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比47億円減の1,136億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の減少があったものの長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより前期比118億円増の835億円となりました。固定負債は、長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより前期比166億円減の300億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定の増加などにより前期比27億円増の2,216億円となりました。
当グループは、財務安全性を確保しながら手元資金を有効活用し、コア事業への成長投資及びアライアンス等の戦略投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動の推進及びバランスシートの効率化によりフリー・キャッシュ・フローの創造に努めると共に、資本収益性の改善を図ることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比50億円減の113億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益168億円(前期229億円)、減価償却費109億円(前期113億円)、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増加額58億円(前期85億円)、その他の流動負債の減少額36億円(前期は増加額11億円)、法人税等の支払額51億円(前期56億円)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて29億円支出が減少し、31億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出110億円(前期109億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入71億円(前期48億円)であります。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比21億円減の81億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて38億円支出が減少し、152億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純収入4百万円(前期は純支出37億円)、自己株式の取得による支出22億円(前期24億円)、配当金の支払額108億円(前期109億円)であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となり、十分な流動性資金を確保しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はグローバルで緩和されつつあるものの、中国においてはゼロコロナ政策及び規制解除後の混乱により、経済活動の停滞も見られました。また、原材料・エネルギー価格の高止まり、欧米におけるインフレ加速や急激な為替変動等、先行き不透明感が一層強まる状況となりました。
このような環境のもと、当グループは、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」という存在価値のもと、2030年度に企業価値を最大化する「New CASIO C30プロジェクト」をスタートさせました。2030年度の目指す姿からバックキャストした2024年3月期からの3ヶ年中期経営計画のスタートに備え、当連結会計年度は外部環境の変化に左右されない収益体質を確立すべく、各事業において、ユーザーにタイムリーに必要なコトを提供し続けるリカーリング型のビジネスモデルへの移行を進めてまいりました。
当連結会計年度の当グループ業績は、コロナ影響の継続、中国における景気減速や長期化する原材料費・物流費の高騰などの影響を受けたものの、時計の国内でのインバウンド需要の回復及び「G-SHOCK」高価格帯モデルの好調な推移とともに、関数電卓の市場規模がコロナ前水準に回復しており、増収減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,638億円、営業利益は181億円、経常利益は195億円、親会社株主に帰属する当期純利益は130億円、1株当たり当期純利益(EPS)は54円65銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計)
中国における景気減速の影響を受けたものの、国内でのインバウンド需要の回復、「G-SHOCK」の『GMW-B5000D』など高価格帯の製品や、『2100』シリーズが好調に推移するなど、増収となりました。
当セグメントの売上高は、1,574億円(前期比3.4%増)、営業利益は235億円(前期比15.4%減)となりました。
(コンシューマ)
教育は、電子辞書が学校での販売会の中止などの影響を受けた一方、関数電卓はインド・ASEANやオセアニアなどの地域でペントアップ需要を取り込み、増収となりました。
楽器は電子ピアノ「Privia」最上級ラインの好調が継続するも、インフレ影響によるエントリーモデルの需要減などの影響を受け、減収となりました。
当セグメントの売上高は、863億円(前期比6.4%増)、営業利益は43億円(前期比26.6%減)となりました。
(システム)
大型案件の納入が進み増収となりました。
当セグメントの売上高は、146億円(前期比9.9%増)、営業利益は25億円の赤字(前期22億円の赤字)となりました。
(その他)
当セグメントは、成型部品、金型などグループ会社の独自事業等であり、その売上高は、53億円(前期比3.1%減)、営業利益は3億円(前期比3.0%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比20億円減の3,352億円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前期比15億円増の2,323億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比35億円減の1,029億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比47億円減の1,136億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の減少があったものの長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより前期比118億円増の835億円となりました。固定負債は、長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより前期比166億円減の300億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定の増加などにより前期比27億円増の2,216億円となりました。この結果、自己資本比率は、前期比1.2ポイント増の66.1%、ROEは、前期比1.5ポイント減の5.9%となりました。
③ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少などにより前期比50億円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入の増加などにより前期比29億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れ及び返済による純支出があった前期と比べて38億円の支出減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比36億円減の1,302億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当連結会計年度における資金調達につきましては、サステナブルファイナンスにより80億円の長期借入を実施し、同額の有利子負債返済に充当いたしました。
当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当グループは2030年の企業価値最大化に向けて、“市場に新たな価値軸を創り出し、唯一無二のブランドに育て上げる”べく、2024年3月期から2026年3月期を「収益基盤強化期」及び「変革・イノベーション創造期」と位置付け、3ヶ年中期経営計画をスタートいたします。あわせて、『DX』によるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける『技術』の醸成、『人財』の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出してまいります。経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率、ROEについて、目標を定めており、2026年3月期の目標は、売上高3,100億円、営業利益360億円、営業利益率11.6%、ROE10%超としております。また、2024年3月期の計画は、売上高2,650億円、営業利益160億円、営業利益率6.0%としております。
当連結会計年度においては、当初計画:売上高2,700億円、営業利益270億円、営業利益率10%、見直し後の計画:売上高2,630億円、営業利益180億円、営業利益率6.8%に対し、実績は売上高2,638億円、営業利益181億円、営業利益率6.9%となり、ROEは5.9%となりました。