有価証券報告書-第65期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 16:06
【資料】
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【項目】
133項目
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績等の状況の概要)
(1)経営成績
当連結会計年度における売上高は2,274億円(前期比19.0%減)、営業利益については153億円(前期比47.1%減)、売上高営業利益率は前期比3.6ポイント減の6.8%となりました。また経常利益は163億円(前期比42.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は179億円(前期比35.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は120億円(前期比31.7%減)、1株当たり当期純利益は49円52銭(前期比22円71銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(コンシューマ) 当セグメントの売上高は、前期比16.8%減の2,040億円、営業利益は前期比26.9%減の285億円となりました。
(システム) 当セグメントの売上高は、前期比38.0%減の186億円、営業利益は48億円の赤字(前期27億円の赤字)となりました。
(その他) 当セグメントの売上高は、前期比14.8%減の47億円、営業利益は前期比14.5%減の2億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度において、生産及び販売の実績に著しい変動がありました。その内容については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) (1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績」に記載のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
コンシューマ184,804△17.9
システム12,774△48.6
その他2,880△21.2
合計200,458△20.9

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
コンシューマ204,003△16.8
システム18,682△38.0
その他4,755△14.8
合計227,440△19.0

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比20億円減の3,320億円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金、棚卸資産の減少などにより、前期比31億円減の2,242億円となりました。固定資産は、退職給付に係る資産の増加などにより前期比10億円増の1,077億円となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(コンシューマ) 当セグメントの資産は、前期比75億円増の1,866億円となりました。
(システム) 当セグメントの資産は、前期比48億円減の258億円となりました。
(その他) 当セグメントの資産は、前期比9億円減の140億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比114億円減の1,201億円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の減少などにより、前期比218億円減の652億円、固定負債は、長期借入金の増加などにより前期比104億円増の549億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、その他の包括利益累計額の増加などにより前期比93億円増の2,118億円となりました。
当グループは、財務安全性を確保しながら成長分野への投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動を推進し、サプライチェーン改革に取り組むなど資本効率の最適化やフリー・キャッシュ・フローの創造に努めることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
(3)キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比84億円減少の245億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益179億円(前期276億円)、減価償却費110億円(前期117億円)、投資有価証券売却益62億円(前期31億円)、運転資金(売上債権、たな卸資産、仕入債務)の減少額73億円(前期は減少額75億円)、法人税等の支払額46億円(前期68億円)であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社の清算による収入23億円などがあった前期と比べて14億円支出が増加し、31億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出83億円(前期98億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入46億円(前期は純収入57億円)であります。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比98億円減少の214億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出100億円、自己株式の取得による支出50億円などがあった前期と比べて19億円支出が減少し、229億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純支出100億円(前期は純収入39億円)、配当金の支払額109億円(前期116億円)であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比27億円増加の1,370億円となり、十分な流動性資金を確保しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、個人消費や企業の生産活動を中心に景気が低迷し、極めて厳しい状況が継続しました。
このような環境のもと、当グループは、アフターコロナを見据え、当連結会計年度を新時代を見据えた準備の1年と位置づけ、様々な改革を実施してまいりました。時計や教育関数などの成長拡大事業は、唯一無二のブランド力、高い技術力などの強みを活かした成長戦略実行により更なる高収益化を図るとともに、楽器やシステムなどの収益改善事業は収益体質の確立と事業構造の変革を図ってまいりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け減収となりましたが、時計は「G-SHOCK」のメタルラインが好調に推移し、中国の時計事業全体の売上高は前期比で大幅に回復するとともに、楽器は巣ごもり需要や構造改革の成果により、増収増益を達成するなど、回復の兆しも見えてきました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、2,274億円(前期比19.0%減)、営業利益は153億円(前期比47.1%減)、経常利益は163億円(前期比42.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は120億円(前期比31.7%減)、1株当たり当期純利益(EPS)は49円52銭(前期比22円71銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(コンシューマ)
<時計事業>新型コロナウイルス感染症の影響を受け減収となりましたが、第4四半期は前期を上回り回復基調となりました。特に中国においては、第4四半期の売上高は大幅に回復し、通期売上高は前期を上回りました。e-コマースの販売が大幅に伸長するとともに、製品では「G-SHOCK」のメタルラインが引き続き好調に推移いたしました。
<教育事業>電卓は、新興国の一部地域における休校の影響があり、また電子辞書は、需要回復傾向にあるものの、学生向けモデルで買い控えの影響があり、減収となりました。
楽器は、競争力の高い戦略商品である「Slim&Smart」モデルが巣ごもり需要をとらえ売上高が好調に推移するとともに、構造改革も完了し、収益性が大幅に改善いたしました。
当セグメントの売上高は、2,040億円(前期比16.8%減)、営業利益は285億円(前期比26.9%減)となりました。
(システム)
電子レジスターは、キャッシュレス対応レジスターへ経営資源を集中、プロジェクターは、次世代プロジェクション領域へ全面転換するなど、事業構造の変革を行いました。
当セグメントの売上高は、186億円(前期比38.0%減)、営業利益は48億円の赤字(前期27億円の赤字)となりました。
(その他)
当セグメントは、成形部品、金型などグループ会社の独自事業等であり、その売上高は、47億円(前期比14.8%減)、営業利益は2億円(前期比14.5%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比20億円減の3,320億円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金、棚卸資産の減少などにより、前期比31億円減の2,242億円となりました。固定資産は、退職給付に係る資産の増加などにより前期比10億円増の1,077億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比114億円減の1,201億円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の減少などにより、前期比218億円減の652億円、固定負債は、長期借入金の増加などにより前期比104億円増の549億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、その他の包括利益累計額の増加などにより前期比93億円増の2,118億円となりました。この結果、自己資本比率は、前期比3.2ポイント増の63.8%、ROEは、前期比2.7ポイント減の5.8%となりました。
③ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減益などにより前期比84億円の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社の清算による収入23億円などがあった前期と比べて14億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出100億円などがあった前期と比べて19億円の支出減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比27億円増加の1,370億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当グループは、財務体質強化のため、有利子負債の圧縮に取り組んでおります。当連結会計年度は、250億円の返済に対し150億円の資金調達を行った結果、前期末比97億円減少し532億円となりました。なお、新型コロナウイルス感染症影響の長期化懸念に備え、有利子負債削減相当分として、コミットメントラインを新たに100億円設定しております。
当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費、販売促進費であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当グループは、これまで事業環境が大きく変化するグローバル環境のもとで、あらゆる変化に迅速に対応できるよう、全社を挙げて構造改革に取り組んでまいりましたが、昨年からの世界的な新型コロナウイルス感染症拡大は、私たちのライフスタイルやワークスタイルなどの行動様式や価値観、そして当グループを取り巻く市場環境に大きな影響を与えました。当グループは、一変した環境に適応し持続可能なグループに変革すべく、商品、事業構造、仕事、働く環境の全てを組み直し、時代に合わせた「新しいカシオ」としてスタートを切りました。当グループは、今後さらに1~2年は新型コロナウイルス感染症の影響が続くと想定し、この環境の変化にスピーディかつ柔軟に対応しつつ、2024年3月期(第68期)をアフターコロナと見据えて、収益体質の改善と構造改革による全体最適化を推し進めてまいります。経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高・営業利益・営業利益率について、目標を定めており、2022年3月期の計画は、売上高2,650億円、営業利益265億円、営業利益率10%、アフターコロナを想定した2024年3月期の事業目標は、売上高3,250億円、営業利益480億円、営業利益率15%としております。
当連結会計年度においては、計画が、売上高2,200億円、営業利益140億円、営業利益率6.4%に対し、実績は売上高2,274億円、営業利益153億円、営業利益率6.8%となりました。