有価証券報告書-第64期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:01
【資料】
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【項目】
146項目
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績等の状況の概要)
(1)経営成績
当連結会計年度における売上高は2,807億円(前期比5.8%減)、営業利益については290億円(前期比4.0%減)、売上高営業利益率は前期比0.3ポイント増の10.4%となりました。また経常利益は284億円(前期比4.7%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は276億円(前期比5.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は175億円(前期比20.5%減)、1株当たり当期純利益は72円23銭(前期比17円63銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(コンシューマ) 当セグメントの売上高は、前期比4.8%減の2,450億円、営業利益は前期比2.1%増の390億円となりました。
(システム) 当セグメントの売上高は、前期比11.0%減の301億円、営業利益は27億円の赤字(前期 9億円の赤字)となりました。
(その他) 当セグメントの売上高は、前期比20.1%減の55億円、営業利益は前期比0.3%増の3億円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
コンシューマ224,991△5.6
システム24,859△24.6
その他3,656△24.7
合計253,506△8.2

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
コンシューマ245,059△4.8
システム30,110△11.0
その他5,581△20.1
合計280,750△5.8

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比234億円減の3,341億円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより、前期比112億円減の2,273億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比122億円減の1,067億円となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(コンシューマ) 当セグメントの資産は、前期比172億円減の1,790億円となりました。
(システム) 当セグメントの資産は、前期比72億円減の306億円となりました。
(その他) 当セグメントの資産は、前期比8億円減の149億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比143億円減の1,315億円となりました。長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより、流動負債は前期比43億円増の870億円、固定負債は前期比186億円減の444億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、自己株式の増加、その他有価証券評価差額金の減少などにより前期比90億円減の2,025億円となりました。
当グループは、財務安全性を確保しながら成長分野への投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動を推進し、資本効率の最適化やフリー・キャッシュ・フローの創造に努めることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
(3)キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比123億円増加の330億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益276億円(前期293億円)、減価償却費117億円(前期96億円)、運転資金(売上債権、たな卸資産、仕入債務)の減少額75億円(前期は増加額68億円)、特別退職金の支払額26億円(前期はなし)、法人税等の支払額68億円(前期54億円)などであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて45億円支出が減少し、16億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出98億円(前期127億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入57億円(前期は純収入65億円)などであります。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比168億円増加の313億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比79億円支出が増加し、249億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純収入39億円(前期は純支出39億円)、社債の償還による支出100億円(前期はなし)、自己株式の取得による支出50億円(前期8百万円)、配当金の支払額116億円(前期123億円)などであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比21億円増加の1,343億円となり、十分な流動性資金を確保しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
当グループを取り巻く環境は、米中貿易摩擦の影響や、日本では消費税増税の影響による先行き不透明感や円高の影響があったほか、第4四半期においては、国内外において新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、急激に全世界で経済状況が悪化しました。
このような環境のもと、当グループは、中期経営計画の初年度である当連結会計年度において、時計や教育関数などの成長拡大事業では、唯一無二のブランド力、高い技術力を活かし、差別化を図った独自の新製品の拡充などを積極的に推進し、時代の変化にいち早く対応した販路開拓や販売施策をグローバルに展開するなど、第3四半期までは極めて好調に推移しました。また、電子辞書、楽器及びシステムなどの収益改善事業では、経営資源の選択と集中により、構造改革を推進してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、生産拠点が一時稼働停止したほか、世界の主要都市でロックダウン(都市封鎖)が行われたこと等による需要の大幅な減退、販売時期にも変化が生じ、第4四半期は大幅な減収、減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、2,807億円(前期比5.8%減)、営業利益は290億円(前期比4.0%減)、経常利益は284億円(前期比4.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は175億円(前期比20.5%減)、1株当たり当期純利益(EPS)は72円23銭(前期比17円63銭減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(コンシューマ)
<時計事業>「G-SHOCK」の特に中国・その他新興国地域における販売が非常に好調に推移し、さらにGメタルのラインアップ拡大が時計事業全体を牽引しましたが、第4四半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、通期売上高は若干の減収となりました。
<教育事業>電卓は、学生向け関数電卓の販売強化を図っているアジアその他の地域において順調に推移し、また電子辞書は、手軽にコンテンツを追加可能とするWi-Fi通信機能を搭載した新製品を発売しましたが、いずれも新学期に向けた学校での販売会が延期される等の影響により減収となりました。
楽器は、市場で評価されている「Slim&Smart」モデルが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの好調を継続し、増収となりました。
当セグメントの売上高は、2,450億円(前期比4.8%減)、営業利益は390億円(前期比2.1%増)となりました。
(システム)
電子レジスターは、下期に収益性の低いモデルから撤退し、事業そのものの構造を変えるため抜本的な見直しに着手しております。プロジェクターは、市場自体の縮小及び価格競争が激化しており、減収となりました。当セグメントの売上高は、301億円(前期比11.0%減)、営業利益は27億円の赤字(前期 9億円の赤字)となりました。
(その他)
当セグメントは、成形部品、金型などグループ会社の独自事業等であり、その売上高は、55億円(前期比20.1%減)、営業利益は3億円(前期比0.3%増)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期比234億円減の3,341億円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより、前期比112億円減の2,273億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比122億円減の1,067億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前期比143億円減の1,315億円となりました。長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などにより、流動負債は前期比43億円増の870億円、固定負債は前期比186億円減の444億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、自己株式の増加、その他有価証券評価差額金の減少などにより前期比90億円減の2,025億円となりました。この結果、自己資本比率は、前期比1.4ポイント増の60.6%、D/Eレシオは0.31倍となり、ROEは、前期比2.1ポイント減の8.5%となりました。
③ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の減少などにより前期比123億円の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の減少などにより前期比45億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出などにより前期比79億円の支出増加となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比21億円増加の1,343億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当グループは、財務体質の強化のため、有利子負債の圧縮に取り組んでおります。当連結会計年度はユーロ円建転換社債型新株予約権付社債100億円の償還に対し長期借入40億円を実行した結果、当連結会計年度末有利子負債残高は、前期末比61億円減少し630億円となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による急激な景気悪化及び金融市場混乱の懸念に備え、コミットメントラインの長期化を図り、当連結会計年度末は500億円の枠を設定しております。
当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費、販売促進費などです。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的に判断される前提に基づいて実施しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
景気の先行きが不透明であり、かつ、事業環境も大きく変化するグローバル環境の下で、あらゆる変化に迅速に対応できるよう、これまで当グループは全社を挙げて構造改革に取り組んでまいりました。また、これからの持続的成長を確実なものとするべく事業別の成長戦略を描き中期経営計画として発表しました。ユーザーに役立つ製品を作り続け、中長期で企業価値を向上させるための新しい経営に変革することで業績の大幅向上を目指してまいります。中期経営計画の中で、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高・営業利益・営業利益率・ROEについて、財務数値目標を定めております。
当連結会計年度においては、計画が、売上高3,100億円、営業利益315億円、営業利益率10.2%、ROE11%弱に対し、実績は売上高2,807億円、営業利益290億円、営業利益率10.4%、ROE8.5%となりました。
翌連結会計年度においては、現段階において新型コロナウイルス感染症拡大が業績に与える影響を合理的に算定することが困難なことから、連結業績予想は未定としております。
また、財務健全性を確保しながら、資本コストの低下並びにROEの持続的向上を図り、2021年度計画は、自己資本比率60%水準、D/Eレシオ0.4倍以下としており、当連結会計年度は自己資本比率60.6%、D/Eレシオ0.31倍となりました。